RX-78-2 ガンダム ver.Ka

text : 岡野勇

2003/02/01


 久々の更新となる「オモチャ部屋」。
 今回はプラモです。
 02年12月末に発売されたバンダイのMG(マスターグレード)1/100「ガンダム ver.Ka」。いわゆるカトキ版ガンダムです。



この角度がカッコイイのだ。


コレはそもそもどーゆー物なのか?

 「なんでアニメのガンダムと形が違うの?」 ってのは、古いガンプラファンは知っていることですが、ガンプラやらない人は正しく知らないと思うのでちょっと書いておきますと、この「カトキ版ガンダム」ってのは月刊モデルグラフィックス誌の90年7月号『ガンダム・センチネル』の連載最終回に掲載された物です。

 宇宙世紀0088年を舞台にしていた『センチネル』のフォトストーリー連載は前年に終了し、ムック本も発売された後なんですが、アフターケアというか、ムック本後の反響なんかもあるので連載そのものは読者コーナーを中心としたカタチで継続。
 で、それも終わるってんで、90年6月号と7月号に連載終了記念で「これまで連載を読んでくれた読者ちゃんへのラストサービス」ってコトで、「センチネル風にリファインされたデザインや、センチネル的見せ方の物語」によって描かれた0079年の「ソロモン攻防戦」のフォトストーリーが前後編で掲載されました。

※『ガンダム・センチネル』については、昨年末に「オカノ通信」で書いたので、ワカラン人はそっちを参照してください。

 この『センチネル 0079』では、『センチネル』メインメカデザイナーだったカトキハジメ氏によって、GM、ザク、ビグザム、ボール。そしてガンダムが『センチネル』的かつ、その時点での「今風」「解釈」を持ち込まれてリデザインされました。

 このリデザインされたGM、ザクはその後に多少(アニメ用に修正されて)、ビデオアニメの『0083』に登場。
 このカトキ版ザクは現在では「ザクF2」って設定名称になっていて、「ザクの最終生産型」ってことになってます。

 ガンダムは後編に登場。
 つってもあくまで物語の主人公は「GMとかに乗っている普通のパイロット」なので、ホントーに読者サービスとしてちょこっと登場しただけ。
 けどまあ、模型雑誌としての「読者へのサービス」として、大スケールのキチンとした立体物も作られて掲載されたわけです。

 この時掲載された物が、モデルグラフィックス誌03年3月号の「MGカトキ版ガンダム」作例記事などでも形容されている「あのガンダム」ってヤツなワケですね。

 立体物としては、もちろん『センチネル』のワークス体勢で製作。
 90年夏の時点での「解釈も造形も行き着いたガンダムというものへのマスターピース」として作られただけの物はあり、現在の目で見ればこそ不満点があるものの、超絶的な造形であることは間違いありませんでした。

 「ガンダム」でありながら、各部のデザインやバランスは既存の物とは全く異なるため、ガンプラを改造して作れる物ではなく、そういう意味においては(立体物としては)ムック本に掲載された「リファインEx−S」と並ぶ『センチネル』リアルタイマーにとっての「トラウマ」の1つです。

 ただ残念ながらムック発売後に掲載された物であることもあって、この短期連載はこれまでに発売されたムック書籍等には未収録。このガンダム(というか『センチネル0079』)を現在読むことは難しいです。
 古本で探すのもテですが、この2号の古本市場価格はハッキリいって「安くない」ですな。



 カトキ版ガンダムの特徴としては、カトキ氏特有の「カッチリした工業的なデザインライン」でまとめられていることが目立ちますが、けっこう「アニメから逆算した理屈」ってのも踏まえられていて、例えば最大の特徴が「肩」。
 アニメのデザインと決定的に異なる部分で、ある意味この「カトキ版ガンダムの外見上最も目立つ部分」なんですが、これは肩装甲の上部分(パーツ合わせ目の上)が「上へのスライドが可能」っていう風になってます。
 ナンデカ? というと、昔のガンダムのプラモを作ったことがある人はわかると思うけど、アニメのデザインだと最終回の「ラストシューティングポーズ」って出来ないんですよ。
 アニメでは肩部分をグニョと曲げて作画していたために出来ちゃってますけど、立体物であのポーズをやろうとすると肩部分を180度上下にしなくちゃならない。
 で、そうすると肩装甲が上下逆になるんで「カッコワルイ」んですね。そりゃもうものすごく。
 だけどカトキ版デザインでは肩装甲のスライドを設定することによって「肩を180度上下にしなくても、腕部を上に向けて撃つことができる」ようになってるわけです。
(実際、モデルグラフィックスに掲載された作例写真でも実演していましたが。)

 また、一見「アニメのガンダムのデザインからかなりはずれている」ように見えつつも、「斜め上から見たシルエット」が、劇場版『ガンダムIII』で安彦良和によって作画されたガンダム出撃時のムチャクチャカッコいいシルエットをイメージしているってのもポイント。
 つまりカトキ版ガンダムの元々のソースは「大河原邦男によるガンダムのデザイン」ではなく「安彦良和によって描かれた映像中のガンダム」なわけです。
(あ、このへんは「オレ推測・解釈」ではなくて、きちんと掲載時に語られていたことです。)


 というように、カトキ版ガンダムは歴史的にはあくまでも「モデルグラフィックスの『センチネル』最終回が初出」なんですけど、以前「オカノ通信」の『センチネル』についてのテキストでも書いたとおり、この時期(から、つい最近まで)は『センチネル』そのものがアンオフィシャル的な位置づけに果てしなく近かったですから、最近のプラモの解説とかその他のテキストを読むと「LDの劇場版1作目ジャケット用に描かれた物が初出」だとか「ハイグレードのプラモの解説書に書かれた物が初出」だとか、そんなコトになっちゃってます。
 まあこのへんは、いわゆる「歴史の改竄」ですね。


 とにかくこのモデルグラフィックスに掲載されたカトキ版ガンダムってのはかなりインパクトがあり、その後バンダイのガンダム当日版権が降りる造形イベント「JAF−CON」などでもガレージキットを作っている人が少なからずいました。
(数年後に、バンダイのガレージキットブランド「B−CLUB」からレジンキットも発売されましたが。)

 ただねえ、ガレージキットではどうしても「高い」し「組み易くはない」じゃないですか。(買ったけどね)
 それが今回のMGプラモ化ってのは、そういう部分を踏まえても嬉しいわけですよ、やっぱ。
 なんせガレージキットならウン万円だったものが3200円。
 しかも色分けされたパーツによって、塗装技術がない人でもそれなりの物が出来ちゃうと言うわけですから。



でで、プラモはどうなのよ?

 そりゃもうもちろん、年末の発売日にアキバダッシュで買ってきましたよ。
 んでそれから約1ヶ月。毎日1時間くらいづつチマチマ作っていてようやく完成したんですけど。(おかげで今期のドラマとかって全然見てないんですよ。)


 あ、本体は完全「無改造」です。キットのままです、コレ。
 色はオリジナル解釈にしてありますが、塗装して、各部のシールやマーキングも組立説明書にあったとおりの位置に貼ってあるだけです。




 ハッキリ言ってね、出来良すぎていじるとこなんかないですよ。
 無駄な改造はカッコ悪くするだけじゃないかと。
 組み易さも大した物です。
 ほぼ全てのパーツが「塗装後に組み立てられる」ので作りやすい上に、接合面が出るパーツが数個しかありません。
 (早い話プラモ製作の作業の中でもメンドクサイ「継ぎ目消し」の作業をしなくちゃならない箇所が数カ所しかない…と。)
 大した設計です。

 反面オレは改造する気も起きなかったけど、組み易いけど構造が複雑というか、内部フレームと外部装甲…のように分けられているパーツもあるので、変に改造しようとすると大変。
 例えば「足を少し延長してえ」とか思ったら、外装だけではなく、内部フレームもいじらなくちゃなりません。そういう意味では「何が何でも改造するのが好き!」って人には大変。

 塗装はガンダムトリコロールを止めてこういう風にしてみたわけですが。
 これはまあ、昨年末に出たGFF『Ex−S』の影響も大きいですけど、実はそれなりに「オレ理屈」を考えてまして。
 いや、本放送のときから疑問ではあったんですよ。>トリコロール
 何が疑問って、作品中でジオン側はガンダムのことを「連邦の白いヤツ」って言うじゃないですか。
 だけどオレには「白いヤツ」に見えなかったんです。
 それは『センチネル』によって「カッコいいトリコロールの見せ方」ってのが提示された後も。
 たしかに『センチネル』が提示したカラー彩度・明度を調整したトリコロールはカッコイイんですけど、だけどやっぱり「トリコロールはトリコロールであって、白いヤツには見えない」と。(ガンコだなあ… ^^;;)
 あれならジオンは「連邦の3色のヤツ」とか「連邦のトリコロール」と思うんじゃなかろーか? と。

 つーこって、あくまでも「白」を目立つように。「白いモビルスーツ」って印象になるようにしてみた…と。
 かといって「全身真っ白」ってのは立体物としては面白くないし、ただたんに地味な色合いで映えない物になってしまう。(全身グレーの「G3ガンダム」が立体物としては面白くないのはそういうこと。)
 なので『0083』のGP03とか、『0080 ポケットの中の戦争』のアレックスみたいなカラーにしてみました。
 「白がメインで目立つ部分だけど、ポイントとしてブルーが使われている」と。
 なんでブルーを基調にしたかっていうと、「赤」は使いたくなかったんですよ。
 「赤」ってのはどう彩度や明度をいじってもやはり目立ってしまう色だし、オレんなかで1年戦争の「赤」ってのは、やっぱシャアの色なんで。(なのでオレはいまだに「ガンキャノンが赤」ってのは好きじゃないんです。)

 なんかGFFっぽくなってしまったので、「こんなんガンダムじゃねえ!!」みたいな意見もあるかとが思いますが。
 オレは結構「カッチョイイ!」と自己満足。(^^)






 今回、塗装は実験的に全部スプレー塗料でやってみました。(エアブラシ持ってるのに…)
 これはまあ、「エアブラシが無くても、これくらいは出来る」ってのをやりたかったんで。
 つか「エアブラシがないから…」ってのを作らない「口実」にしているヤツに腹が立ったので。
 まあ、スプレーの使用量考えると、エアブラシ使った方が安く上がったハズなんですが…(^^;;)

 一応、色データを書いておくと
・白…Mrカラースプレー グランプリホワイト(グレーをめちゃくちゃ薄めた白です。)
・ブルー…タミヤスプレー ブルーバイオレット(これは最近出た新色ですが、モロに「センチネルブルー」)
・関節部…ガンダムカラースプレー ファントムグレー
・ビームライフル&ランドセル&肩ダクト…タミヤスプレー ジャーマングレイ
 ジャーマングレーはMrカラーからも出ていますが、微妙に色が異なります。Mrカラーの方が少し濃いです。
・腰の■&アゴ&目の下のくま取り…Mrカラーのサーフェーサーそのまま
・黄色部…Mrカラースプレー キャラクターイエロー

 んで、全部塗装した後に、関節部以外にトップコートの「つや消し」を吹いてます。



 ただ、このプラモ。基本的に出来はいいんですが、不満も若干ありまして、それはナニか? というと
・肩装甲の上へのスライド機構が再現されていない。(一体パーツなんですよ。>肩)
 これは再現して欲しかった。最大の不満点ですね。

・シールド裏面に「予備のビームサーベルを装備するラック」がちゃんと設定通り造形されているのに、ビームサーベルのパーツが肩に付ける2つしか入っていない。(このへんの間の抜け方がバンダイだよなあ…)
 なので仕方なく、グレーパーツの太いランナー部分がビームサーベルパーツと同じ4mm径だったので、それを切って「それらしい感じの物」を自作しました。(今回自作したパーツはこれだけ。)

・設計がタイトすぎ。
 ひじょうにパーツの合いもピッタリな工業的には優れた設計だと思うのですが、ピッタリすぎて…
 おかげでうかつに塗膜がちょっと厚くなるだけでパーツがハマりゃしねえ。
 で、ムリにはめ込むとパキパキ割れやがるし。
 「色を塗って組み立ててくれるな」ってコトか?>バンダイ
 パーツナンバーで言うと上腕部パーツの「F3」は左右とも割れました。しかも塗装後に。(T_T)
 もちろん塗装削ってから修復作業しましたよ…
 これから作る人のために書いておくと、上腕部の内側になる「串」←こんなモールドは組立段階でカッターで削り落としてしまった方がいいです。

 で、最後の不満点てのがけっこうオレには大きかったんですが…
・付属しているデカールが、「水を使わないドライデカール」と「シール」

 これはもうホントに勘弁して欲しかった。
 前述のように「色分けされているキットなので、塗装せずにそのまま組んで飾りたい初心者あるいはモデラーじゃない人」には優しい仕様だと思うんですケド、「塗装して組みたいモデラー」にはハッキリ言ってむちゃくちゃ困りものです。

 ドライデカールってのはいわゆる「インスタントレタリング」と同じなんですが、これは少しでも貼り方間違えたらもうパー。
 水性デカールなら若干貼る位置を調整しながら貼れますから。
 実際、シールドの大きな文字は貼るのミスりました。(泣)

 各部のとかは全部シールなんですけど、まあこのシールそのもの出来は悪くないんですけどね。でも塗装後に貼ると、場所によっては「シールがパーツから浮いちゃう」んですよ。

 なので!!!
 今回最大のさりげなウリなんですが、キット付属のシールをスキャニング。
 それをゲージにして、全マーキングデータをグラフィックソフトで自作。
 マイクロドライプリンタで印刷して自作デカールにして使用しました。

 データ作るだけで1週間。
 それをチマチマ切って貼るだけで4日間。(-_-;;)
 ゲロ吐きそうになるほど肩が凝りましたよ……。

 データは印刷後にギザギザが目立たないようにかなり大きなサイズで作ってます。
 ただまあ、コレを作ったことによって、本来なら赤い胴部分に貼るシールが「白」なのに、色を変えて赤にできたり…と。
 他のガンプラ製作にも使えますしね。


 しかし、昨年MGで「GM改」が出たときに「パーツ流用できるからカトキ版が出るカモ」と冗談交じりでBBSにも書いていましたが、ホントに出るとはなあ…
 これも出たなら、同じくパーツ流用がかなりきく『0083』の「パワードGM」も出して欲しいです。



【了】

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