セリオ ver,1
(ゲーム『To Heart』より)

 これは2000/11/22のオカノ通信「恋人は27cm!」シリーズで5回に渡って掲載した物を、ドールコンテンツ独立に伴い修正した物です。
 写真などは同じです。


 さらに細かい製作記事を読んでみたい方はそちらを参照してください。

 「オカノ通信版」はオレが「超ウルトラスーパー初心者」状態の時に試行錯誤や失敗を繰り返しながら作った経緯が全て書いてありますので、「ドールに興味あるけど、どうやって作ったらいいのかわからない」という方に、少しは参考になるかなー? と思います。



 さて、この『セリオ』は、オイラの自作ドールとしては2体目の作品でした。



 ゲーム『To Heart』に登場するキャラクター「セリオ」です。
 一応、このキャラクターを知らない人のために解説をしておきますと…

■「セリオ」とは…

 『To Heart』は、Leafというメーカーの発売した、元々は「18禁ゲーム」(いわゆるエロゲー)です。
 ビジュアルノベル形式の恋愛物で、選択肢での選び方・進め方で劇中登場する様々な女の子キャラクターとのストーリーが展開します。
 そのシナリオの上手さやキャラクターの魅力もあって、エロゲーとしては異例なまでの大ヒットをし、その後プレステに移植。これまた大ヒットしました。(プレステ版には当然エロシーンはありません)
 後にTVアニメ化もされています。

 で、この「セリオ」はゲーム中に登場するキャラクターなんですが…実はこの娘は「超脇役キャラ」なので、上記のような恋愛ゲームとしての「攻略」は出来ません。
 どのくらいの脇役かというと「通行人程度」です。
 「セリオ」の本名(?)は「HMX−13」。アンドロイドです。
 来栖川電工が家庭用お手伝いや企業での雑用向けなどとして開発したロボットの試作型の1台で、どうやら自己学習型のシステムを搭載しているらしく、人間社会の勉強をするためにメーカーが数日間だけいくつかの学校に送り込んできています。(こう書くとSF物みたいですが、全然SFではないです)

 なにやら頭部に付いているアンテナは「センサー」らしいです。(どういう類のセンサーかは不明だけど)

 んでまあ、なんでこんな脇役・マイナーキャラを作ったのか? というと、ドールをいじり始めた頃に、アキバのボークスでショーケースの中に数体のセリオが飾ってあったんですね。
 すごい出来が良く可愛い一品で一目で気に入ってしまい、3体も同じのが並んでいるから、てっきり「どこかから発売されている物だ」と思っていたんですが、いっくら探しても見つからない。
 しばらくして、そのショーケースに並んでいたのは客が自作した作品を展示してあるのだということが判明したわけです。

 ※後に判明したことですが、この時にオレが見た3体のセリオは、黒河澪さんというマンガ家の方が趣味で作られた物だったようです。偶然見つけた黒河さんのサイトで紹介されていました。

 また、一般販売商品ではありませんが、「マーミット」というメーカーが「イベント限定品」でセリオを少数販売したことはあります。…が、こちらは正直「あまり似ているとは言えないもの」でした。


 このセリオ、どうやらキャラクター物のドールを作っている人の間では人気があるのか、いくつかのショップで、よく「誰かが作ったセリオ」を見ることが多かったです。
 おそらく「アンドロイド」という設定が、無機質なドールの雰囲気にマッチングするのと、「人間のお手伝いロボット」という設定から「どのようなコスチュームを着せてもおかしくはない」自由度の高さが理由ではないか?と思ってますが。(まあ、そもそも「アンドロイド美少女」って設定自体が、昔から人気のある設定だけどね。)



■作品解説

 サイズは標準的なドールサイズの1/6サイズです。
 ボディには、ボークスの素体「NEWエクセレントシリーズB」を使いました。
(胸の大きさなども適度で、大概のドール服が着せられる素体なので個人的には気に入っている素体です。)

 服装はゲーム中に登場する学校制服姿です。



■ヘッド

 頭部はボークスの「植毛済みB型ヘッド」を使っています。

 しかし「髪の色」は悩みました。
 設定上は「オレンジとブラウンの中間」のようですが、そのような色の「植毛済みヘッド」は売っていません。

 どうしたものか悩んだ末、オレンジで作ることに決定。




 ちょっと前髪が長めのような気もするが、切りすぎるよりはマシだろう。



■「人形は「顔」が命です。」

 …というのは「人形の久月」のキャッチコピーですが、これはガレージキットのフィギュアでも、ドールフィギュアでも、雛人形でも同じです。
 極端な話、「目が上手く描けたか描けなかったかで、そのフィギュアの出来が決まる」と言い切ってもいいくらいではないかと。

 目を入れるには大まかに2つの方法があります。
 1つは「自分で描く」。
 極細の面相筆を使い、模型用の塗料とかリキテックス等で描き込みます。
 この方法のメリットは「自分の思い通りの目に出来る」ということと「費用がそれほどかからない」ことですね。
 デメリットは「キレイに描こうとしたら、かなりの技術力が必要」なこと。
 あと、「キャラクター物の目の場合、ペインティングだと違和感が出ることもある」ってのも最近わかってきました。

 もう1つの方法は、市販の目がプリントされている「目デカール」(プラモに入っているのと同じ、水で濡らして貼るシール)を使うこと。
 この方法のメリットは「初心者でも簡単に出来ること」。
 デメリットは「自分の望む「目」が必ずしもデカールとして製品化されているとは限らない」こと。
 瞳デカールってのはこういうものです。



 しかし、セリオってのは写真を見て貰えばわかるように「目にハイライト」が入ってません。

 こんな目はデカールでは市販品では売っていないので、仕方なく手書きにチャレンジ。
 しかし、いっくら練習してもウマク行かない…。
 んで、ここである事を思いついた。

 「デカールを貼って、その上から瞳だけ筆でレタッチして修正すればいいのでは?」

 デカールはボークスが発売している「瞳デカール」シリーズの中から、セリオの目に「輪郭(まつ毛などの形)」が似ている物を選んで使用することにしました。
 顔面は微妙に歪んでいるから、デカールを貼るときには柔軟剤である「マークソフター」を多少塗ります。

 乾燥後、デカールの上からレタッチをします。
 この塗料にはリキテックスを使用。
 ほんのちょっと水で薄めて流動性を良くし(ボタッとならない程度に)、薄く塗って、その上にまた塗る場合は下の分が完全乾燥してから塗る…というようにします。
 レタッチしたいのは瞳だけなので、まつ毛や白目には手を加えません。
 フィギュアの目の描き方のセオリー通りに…

・まず黒目の輪郭を描き
   ↓
・その後、その中の茶色部分。
 茶色部分の上の方の濃い色の部分。
 下の方の薄い茶色
   ↓
・瞳の黒い部分

 …と順に入れていきます。(濃い茶と薄い茶を上下に入れることによって、ちょっと奥行きが表現できます)




 で、これで「済ましてしまう」人が多いのではないかと思うのですが、オレの場合、ドールアイにデカールを使うときには、この上にさらに1作業。
 「プラモ用のツヤ消しクリアー」を少し薄めた物を、デカールの上を覆うように薄〜く塗っています。

(オレは塗膜を少しでも強くするためにグンゼのラッカー塗料を使っています。別に水性塗料でも大丈夫だと思いますが。というより、ラッカーよりも溶剤成分が弱いので、その方がデカールを痛めないと思いますが。)

 これは何でか? といいますと、ヘッドがソフビ製であるために、場合によっては「貼ったデカールの上から、ソフビに含まれている溶剤成分が染み出して、ベタつき現象を引き起こしてしまう」ため、これを防止するためです。

(製作初期にベタつきが起き、ドールヘアが目に貼り付いてしまい、剥がすときにデカールも剥がれる…という泣ける現象が起きたために思いついた方法です。)

 これにはベタ付き防止の他にもメリットがありまして、ツヤ消しクリアーを使って目を覆うと、他の肌部分同様に光沢が消え「ペインティングしてあるような感じ」に仕上がり、ちょっと見た目がいい(とオレは思っている)です。



 こーゆーふうになりました。



■耳アンテナ

 これは模型用のエポキシパテで作ったものを白色レジンで複製。それを瞬間接着剤で貼り付けました。

 なんで「白色のレジンで複製した」のかというと、それだと「色を塗らなくていい」ってだけなんですけどね。(あと、ブレードアンテナ部分を特殊なカーブをえがいた造形にしちゃったもんだから、全く同じ物を2つ手作りできなくなったため。)
 色を塗ると、ヘタすると髪が塗料に付いたり、塗膜に傷が付いて汚くなるかも知れないけど、白のムクで塗装しなくていいのならそんな心配もないし、と。

 デザインは、形状がゲーム中CG・グッズ・イラストなどによってバラツキがある上にイマイチ見栄えの薄い感じがしたので、いっそのこと「イメージから外れない範囲で独自解釈をしたアレンジ」してあります。



■「制服」

 意外だったんですが「薄黄色のベスト+白シャツ+赤リボン」という、わりと「よくありそう」だったこの制服が、この組み合わせではどこからも出ていないんですよ。
 そこで制服の部分部分を個別に探して、それを組み合わせることにしました。

 使用した衣装は、以下のような感じです。

 ・長袖Yシャツ
 ・イエローのニットベスト
 ・リボンネクタイ(これは赤・青・緑の3色セット)
 ・グレーのボックススカート(これについては後述します)
 ・ハイソックス(これも黒・白・紺の3色セット)

 ・パンツ(これも黒・白・紺の3色セット)


 全てドール服のメーカー「アゾン」から単品で販売している物の組み合わせです。


 はじめスカートは、設定通りの「グリーンのプリーツ」が売っていないので、色温度が近いグレーで妥協していたのですが、その後ちょっといろいろ試行錯誤しました。
(このページ冒頭の写真では「グレー」ですが)

 結局どうしたのか? というと、アゾンが発売している「プリーツスカート」の「ベージュ」(つっても実際にはアイボリーに近い)を買ってきて、染料で染めてみました。






 かなる不安のある作業だったんですが、思いのほかムラもなくキレイに染まりました。
 染料は東急ハンズの手芸売り場で売っていた「Rit」という輸入品の「ダークグリーン」を使用。
 色数も豊富でどうやら一般的な物のようです。1箱400円。

 染め方は、40度ほどのお湯に熱湯で溶いた染料の溶液を混ぜ、そこに対象物をブチ込んで20分ほどグルグルかき回します。
 その後、水がキレイになるまで濯いでから陰干し。(濯いでおかないと色移りするようになるみたいです)
 念のため乾燥後にも洗濯しました。
(この後に、裏から軽くアイロンがけをしてプリーツを押さえておくと、なお良いです。)

 あ、染料などを入れる器は金属製の物か、もしくは「他のことには使わない」ようなオケを使わないと、器まで染まってしまって大変なことになります。(プラスティック容器は確実に染まります)
 うん。衣装関連はこれでほぼ満足。(^^)



※「グレー」スカートと「グリーン」スカート版の比較。
  やっぱイメージが全然違いますね。



■やっぱ学生はカバンでしょ

 あとは小道具のカバンを作るだけです。
 デザインはガチャポンのセリオが持っていた物にしようと思ったんですが、どうにもイマイチ可愛くないカバンだったので、色合いなどはこのカバンを踏襲しつつ、形は「高校生が通学時に持っていてもおかしくなさそうなもの」に変えてしまうことにしました。


※これがガチャポンのセリオ。

 東急ハンズに行ってフェルトと、ベージュの豚スエード革、同じくスエードの焦げ茶の革ヒモを購入。
 この革を選んだのは、色がイメージに近かったのと「薄さ」からです。
 作る物の大きさが大きさだから、あまり分厚い革を使うとスケール感が無くなってしまいます。
 革と言っても端切れのような物ですから、全部合わせて700円ほど。ドール用のバッグをわざわざ買うよりは遙かに安上がり。
 裁縫が出来ないので、製作はほとんど全て革用接着剤で行いました。

 フェルトを小さな四角の状態で10枚貼り合わせ「箱」のようにした後、内側をカッターでくり抜き、その回りにスエードを貼っていきます。
(フェルトで「箱組み」をすることによって、肩に掛けさせたときに型くずれする事を防げます)

 カバンのフタの部分にはマジックテープを小さく切った物を貼り付けて、ちゃんと閉じられるようにしました。
 ベルト部分は、焦げ茶のスエードを細く切り、1mmプラ板から切り出した長さ調節用のバックルを付けます。
 実はこのバックル、大きさ的には本当に長さ調節できる「ライブ」な物にすることも可能だったんですが、肩に掛けたときの負荷でバックル部分が折れるかも知れないと考え、あえて接着してオミットしてあります。

 次は中に入れる教科書とかの製作。
 パソコンでテキトーなグラフィックに「国語」とか「現代社会」とか書いたものをプリントアウト。
 これを余った白のフェルトに貼り付けて小さく切り出します。



 写真に写っているもう1冊は何かというと…

「セリオは人間社会での適応性のデータ収集のために学校に来ているとはいえ、もしかしたらフリーズしちゃったり何だったりと言うことがあるかも知れない。そういう時に周囲の人間がすぐに対処できる用の方法が書かれた非常時マニュアル」

 …です。
 つまり彼女たちが読む物ではなく、「人間用」って設定で考えました。
 表紙には、以前アキバで買ったパソコンのエンブレムスペースに貼る「来栖川電工」のシールをスキャナーで読み込み、そのマークを印刷してあります。
 こういった各種の本は、ホントーは「開くと中に字が書いてある」豆本にしても良かったんですが、その手間を考えたらすげーイヤになったのと、人に見せている内にボロボロになるのが目に見えたのでやりませんでした。(あと、セリオ人形よりもそっちの方に注目が行っちゃいそうだから)

 また、しまっておくときなどに、頭部のブレードアンテナを外してこの中にしまえるようになってます。(アンテナ付けたままだとケースに収納がしづらいので)



■どうせなら…

 さてさて、普段しまっておく箱もちょっと凝ってみました。

 箱自体は素体が入っていた透明ケースにそのまま入れることにしましたが、そこで!!
 パソコンを使ってラベル作成。
 あーだこーだとほぼ1日をかけて、ちょっと見栄えのするラベルを作りました。
 で、出来たのがコレ!!




 「さも、売っている商品であるかのようなラベル」になるように心がけました。
 んで、このラベルにもオレ的設定を入れ…

「来栖川電工が、セリオタイプのメイドロボットの販売促進用にイベントや直営店でプレゼントアイテムとして配った1/6の非売品フィギュア」

 …ってことにしました。(横の注意書とかにそういうことが書かれている)



 カバンの中のマニュアルと同じく、アキバで買ってきた「パソコンエンブレム」用の画像をスキャニングして、書かれていた「来栖川電工のメイドロボットマーク(マルチの耳センサーのシルエットが描かれている)」をレイアウトし、らしさを出すためにバーコードも書き込み。
 こいつを光沢シール用紙にプリントアウトし、丁寧にカッティングして箱に貼ります。
 さりげーにですが、パッケージの上部には、この「パソコンエンブレム用」である、Intelマークのパロディ「Multi inside Serion Processor」のシールが貼ってあります。(ここ、オレ的には結構ポイント。 ^^)



 なんとなく「らしい」感じになりました。(^^)


【了】


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