食玩という「パンドラの箱」
第3回

text : 岡野勇

2003/09/14


■ブームの中で、どういう人たちに買われているのか?

 ここまでシステマティックな部分を書いてきましたけど、次はソフトの部分。
 以後の話を進めるに当たって、ちょっと大事なことでもあるので、まずどういう人が買っているのかを考えてみます。

 明確な数字ではないのが悲しいですが、僕は食玩およびガチャなどの市場の総人口は100万人くらいいると考えています。
 もちろんこれは「ちょこっと買う」人から、「ドカ買いする」人まで、全部あわせた総定数字です。

 『ワールドタンクミュージアム』が1シリーズで300万個以上売れたこと。
 1人が平均10個買っていても30万人。
 全員が全員、同じアイテムばかりに偏るわけではなく、メカ物が好きな人もいればファンシー系、キャラクターフィギュア、動物などにも分かれます。
 「戦車には興味ない」ので『WTM』は買わなかったけど、他の商品は買う…という人などを考慮すればそれくらいはいるのではないかと思います。


 時々思うんですが、基本的にボックス物のアソートというのは「買い手性善説」みたいな部分で成立しています。
 「買う人の多くが、ちょっとしたギャンブル感覚を楽しんでいる」という部分で設定されている。(それは本来間違っていないと思います)
 また「購入者の知恵が、こういう物が出始めた頃と同じまま」だという前提も感じられます。
 この考え方では購買者は2種類しかいません。

★ワンダーフェスティバルなどにも行くようなフィギュアマニア層。(少数)
★それ以外の「ぷちギャンブル」で買う人たち。(その他大多数)

 でも困ったことに、この分類はすでに時代にズレを生じています。
 そこに「時間が経って、それ以外の人種が入り込んできちゃった」「人種が多様化した」現実が考慮されていないからです。

 以下は、岡田さんがBBSに書かれた購買者パターンを元に、僕なりに考え直したものです。
 現在の食玩の消費者は以下の4種類に分類できると考えます。
 書かれている比率%は「市場全体に対して推測される人口割合」です。


★A
 本当にそのフィギュアが2000円でも欲しい、造型マニア。
 ワンダーフェスティバルなどに来ることもあるし、ガレージキットなどにも手を出す層です。
 前述のように食玩およびガチャの市場総人口を100万人とした場合、あの場に来る人・買う人の人数を考えると、この層は市場全体の1%ほどだと思われます。


★B
 フィギュアに数千円出すなんてとんでもないが、ぷちギャンブルで良い出来のオモチャが出ることを楽しんでいる人たち。
 浅いんだけど「現在のブーム」や「価格」を維持してくれている。
 市場的に一番重要な役割の人たちで人口も一番多い。
 ヘビーに買うわけじゃないけど「ちょっと面白そうだから買ってみるか」って時々買う人もこの中。
 箱をカタカタ振ってみるとかそんくらいのサーチならやる人もいるけど、基本情報がさほど無いのであまり確率高くないし意味がない。(笑
 (スタイルだけのサーチって感じですか)
 全体の90%くらい。


★C
 フィギュアに数千円出すなんてとんでもないが、ぷちギャンブルもしたくない。
 金はほとんど使わずオモチャだけ欲しい人たちで、「配置情報」「重量情報」「ボックス種別情報」などを元に彩色版やレアアイテム抜き」などなどを行う。
 箱振りも「コレはコレより少し重い。このアイテムラインナップの中でこの重さの順番で言うとコレはコレになる」とか「これにはこの梱包の音がするからコレ」とか「箱を握りつぶした感じ、中はこんな形の物が入っているからコレ」とかそういうレベル。
 「コレはこういう音がしないから非彩色版」とか。
 サーチ的中率が高く、わけがわからないB層から見たらほとんど透視能力者。
 たいがいは「自称:コレクター」「自称:フィギュアファン」。
 全体の8%くらい(あるいはもっと)いると思います。


★D
 転売目的で買うブローカー。転売屋。
 全体の1%くらい。


※BBSで書いた時にはBとCを「Bから派生したB1とB2」としましたが、これは岡田さんの提示した「B」を受けての書き方だったこと。
 そして僕の中ではこの2つはすでに「別物」で書いてしまった方が良いと思ったので、今回のリライトではB、Cと別にしました。


 B、C、Dの割合%が「たぶんこれくらい」というレベルであるのがイマイチ弱いんですが、店頭やネット、雑誌などのメディアなどでの反応や書かれてきたことなどから総合的に考えると「こんな感じかなあ」と。
 A、B、Dがこれくらいの比率であるので、そこから逆算して「Cは8%」になっています。
 全体的にそれぞれ+−数%の幅はあると思いますが、多さの割合(B>C>A、D)は間違っていないはずです。

 この中でも最も人口の多いB層が、食玩の本質である「ぷちギャンブル」を楽しみ結果的にたくさん売れるために、本来の価格だったら「1万人いるかどうかのAという層にしか売れない物」が数十万人に売れ、価格を下げる…わけです。

 で、これが「人口」。
 次に「市場にお金を落としている割合」で考えてみます。

 C層は全体の8%くらいいる。でも、抜き買いは「最低限しか買ってない」ことを考えたら、実際に市場に落としている金は「本来の8%分の(主にBとA)層が落とす金」に比べたら微々たる数字です。
 経験で書けば、全5種のアイテムの物をコンプするのに僕が買うのは、均一アソートの商品でだいたい10個とかそんくらいですかね。
 ↓このサイトで考えられている「期待値」での確率論では
http://kakuritsu.hp.infoseek.co.jp/omake2.html
 5個が均一アソートで「11.416666666666667個」だそうです。
 ま、経験とあまり変わらない数字です。

 けど抜き買いではフルコンプを目指したとして直に「5個」ですから、単純に考えれば半分しか買ってません。
 この場合使うお金は全体の4%分と同等です。
 (たいがいは「5種の中の○○が欲しい」とかピンポイントな人が多いので、もっと少ないと思われますが。)

 アソートやアイテム数が変わればこの数字は3%同等、2%同等…と、もっと下がります。
 D層による買い方も同じようなもんですな。
 しかしこっちは転売用に複数個(アタリのみを)抜いていきますから、人口通りの1%くらいか、もう少し多め。
(但し、『ワールドタンクミュージアム 大戦略エディション』などの「限定版」などの場合は買い占めに走ります。)


 こういう意味では「人口ではなく、市場にお金を落とす経済的な%」にすると
・A+B 市場全体の96%
・C+D 市場全体の4%前後
 とか、そんなもんじゃないでしょうか。

 C+Dは「市場に落としているお金」は少ないんですが、「1人1アイテムづつ抜いている」わけではなく、人口的にも経済的にも%比率以上の「アタリのみ抜き買い」をするので、店頭バラ売りに影響を与えるわけです。

 もしかするとD層はもう少し「アタリ抜き」でお金を落としている可能性がありますが、その場合でも「それを買う人」は市場(メーカーにお金が行くシステムの中)にお金を落とさないので、まあ、一応こういう数字にしておきます。


【了】

>>つづく


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