ドルパに行ってきました。
または、「イベント主催者としてのボークスと海洋堂」

text : 岡野勇

2003/05/05


 ドルパに行ってきました。
 バイクかっ飛ばしてGO!
 いきなり道を間違えました。危なかったです。あやうく千葉に行きそうに。


 何と言いましょうか。ムズイです。いろんな意味で。

 見た感じの比率が大きく変動しまして

SD(スーパードルフィー)・6割強 : 27cm以下・4割弱

 こんな感じ。

 明らかに場の流れは大型の「スーパードルフィー」に移行してますね。
 反面27cmとか、12インチとか、前はこれらもかなりスペースあったんですけどかなり縮小気味。
 客層も少し前の回までに比べると男性層が減り、女性が目立ちました。

 本来「ドール」の趣味人口ってのは女性層の方が多いわけで、その女性層の多く…それも古くからやっている人にとっては「キャラ物ではなく、あくまで創作」な人が多いのも事実。
 で、「SDってのはそれ向き」なわけで、そう考えると「ドールのイベントとしては“本来の姿の拡大版”」になりつつあるのかも知れませんが。


 素朴な感想ですが「SDやっている人たちって、よく置き場があるなあ…」と思ってるんですけど。(^^;;)
 オイラがSDに手を出さない最大の理由ですからね。>置き場がない


 ただ、「キャラクター物を作るのには向いていないSD」が主流となっていることから、必然のように版権キャラクター物の数もかなり減っており、このことが「キャラクター物メインでやっている男性層を遠ざけてしまっている」ことになったというのもあるのではないかと。



 で、前の週に「無版権物」のドールイベント「ドールショー」が開催されていたことを考えても、今回のドルパっていろんな意味で「盛り上がりに欠けていた」というか、主催者側がそのへんを考えていたのかいなかったのか…

 「ヤバイな」と思っちゃったんですよ。

 オレの「手の脳」(^^;;)は今現在9割以上が1/100『Ex−Sガンダム』を作ることしか考えていない状態なんですが、それをさっ引いても「ヤバイな」と。


 オイラ、前回は来れなかったんだけど、少なくとも前々回のドルパまでは「場の盛り上がっていく空気」みたいなものを全体から感じられたんですよ。
 「ああ、スゲエな」っていうか、それは前にも書いたけど「創生期のワンフェスみたいな温度」っていうか。

 けど今回は、ものすごく悪い書き方しちゃうと「ドールのイベント」じゃなくて「ボークスのドールのイベント」なんですよ、空気が。
 「ボークスの主催するドールのイベント」って意味じゃなくて、「ボークスのドール商品のイベント」。


 他の大手をある意味シャットアウトしちゃっているように見えるというか。(それが「しちゃった」のか「なっちゃったのか」かは不明ですが。)
 実際、27cmドールの服やアイテムのメーカーとしては大手の『ノアドローム』や『キューティーズ』『アゾンインターナショナル』も今回は参加していませんでしたし。
(3社とも前週のドールショーには参加。)

 で、さらに悪い書き方しちゃうと「メインはSDです。27cmとかはスペース的にオマケです」というか、そんな感じで。
 実際にそういうつもりだったか? ってコトではなく、「そういう風にしか見えない」ってのが気になった部分で。
 ガレージキットブースなんか、すでに何のために設けられているのか意味不明なくらいの縮小ぶりですし。
 参加しているディーラーの人も居心地悪いですわね、アレじゃ。

 その他のブース配置も理解不能な部分が大きかったですね。
 エロゲメーカーのアージュもメーカー参加して、人気ゲーム『君が望む永遠』とかに出てくる制服の1/6(それもゲーム中に出てくる学年別の3色全て)とかを出していたり、結構「ウリ」ではあったと思うんですが、いかんせん会場の一番奥の端…というワケワカな場所にぽつねんと開いていたり。
 服の出来も良くて価格もアマチュアディーラーの物より安かったりして、それなりの場だったらかなりはける物だと思ったんですが、場所が悪いのかなんなのか…はたまた前述のように決定的に男性の客層が少なかったせいなのか、昼を過ぎても余裕で残っているという有様。



 なんかね、見ていてドルパを主催しているボークスと、ワンダーフェスティバルを主催している海洋堂の決定的な差ってのを見せつけられたような気がしたんですよ。

 というより「それが一番印象に残ったイベント」だったんですけど。

 「ボークスがワンダーフェスティバル(WF)における主催者・海洋堂のポジションやスタンスって物を完全に勘違いしている」っていう風にしか見えなかったんですね。オレには。


 「送り手(ディーラー参加者側)の空気や温度」ってのは、オレはWFもドルパもそう大して変わらないと思っているんですよ。
 対象が「模型」か「人形」かって部分が違うだけで。

 むしろこの10年以上「コレだと売れるからコレを作ってるんだ!」という意識の参加者が増えてきてしまったWFに比べて、「コレが好きだからコレ作ってるんだ! 文句あるか!」っていう空気がいまだにあるドール系の方が部分温度は明らかに高いよなあ…とか思っているくらいなんですが。

 けど、それはやはり「ディーラーという送り手側」の意識や温度の高さであって、「イベント主催者の意識の高さ」ではないわけです。
 そこを勘違いしている、あるいは「過去数回のイベントの中で勘違いしてきてしまった」ように感じられたというか。


 別の書き方すると「イベント主催者側はその規模(あるいは場に与える影響力)が大きければ大きいほど“場の全体”というものに対して熱とか意識の高さとかを維持させる責任とかってのが生じてしまう」と思うんですよ。それは望むと望まざるとに関係なく。
(コミケなんかもそうです。「すでに後戻りできなくなってしまっている」最大の理由はこのためだと。)


 WFにおける海洋堂を全面肯定する気はない。
 だけど、海洋堂ってイベント運営に当たってソレはわかっているというか、「参加者の熱ってのはソレはソレ。主催者側は別の意識の高さや熱を提示しなくちゃいけない」っていうスタンスを持っているって言うか。

 それは「造形が好きな者が集まるこの場に、どういうカンフル剤や毒(笑)を撒き散らすか」っていう工夫や努力も含めてなんだけど。
 それが「ワンダーショーケース」だったり「リセット宣言」だったり「当日版権取得の労力」だったりするわけです。

 少なくともオイラはWFにはそういうのが感じられるのだと。
(で、その意識を持っているから、ゼネプロがWFを引き継がせたのが海洋堂だったんだと思っています。)


 数年前にセンセーションを巻き起こした「ワンフェスを中止します」っていうリセット宣言なんか、その「温度の維持」としては最たるもので、「その場(造形ファン社会そのもの)の空気がぬるくなってきたら、毒を打ってでも身体を強制的に活性化させる」っていう、それはもう「考えていないからやれた」んじゃなくて「考えちゃったからやった」わけじゃないですか。

 たぶん(これはオレの推測解釈でしかないけど)海洋堂サイドとしては「本気で造形ってものにのめり込んでいるから、その場を維持するためには一度やらざるを得なかった」んだと思うんですよ。
 それは無責任でも何でもなくて、「造形物を作り続ける」「その“場”を維持し続ける」ってコトに対して、むしろ「責任と覚悟」がなきゃできんだろ、と。

 あれを「無責任だなんだ」と批判したヒトタチの多くってのは、これはもう勝手な憶測で決めつけ的に書くけど(^^;;)、「ワンフェスや、造形物のある世界(場)が好き」なんじゃなくて「自分たちが版権物を売る場所・版権物を買える物(特にワンフェス限定品とか)がある場所が好き」なんだろ、と。
 ぬるぬる参加者とか元々温度低いヤツとか転売屋とか。

 「なんか最近、ワンフェスをそういう場だと勘違いしている人が多いけど。で、そういうぬるぬるなヒトタチがそういう勘違いをするのは勝手だけど、元々ワンフェスはそういうもの(場)じゃないんだよ」っていう提示以外何者でもないでしょ。

 さらに「自分の会社の商品のストリームを、イベントのストリームとゴッチャにしない」というか、そのへんのイベント主催者とメーカーとして一線を引いているって言うか「客観視」している部分とか。
 わかりやすく書くと、海洋堂自体は数年前からすでにガレージキットからほぼ撤退して、トイとか食玩の会社にシフトしちゃったわけじゃないですか。
 だからといって、自分たちが主催しているWFも「そういうものを中心に」ってことをしちゃったかと言ったらそれは全くない。
 WFではいまだにガレージキットというものがメインストリームでイベントそのもの全体の核になっている。


 だけど今回のドルパって「ウチの会社(ボークス)が今すでに27cmよりもSDをメインにすえているんで、イベントもSD主体にしました」っていう感じがしたというかな。

 ドールの市場そのものがそっちにシフトし始めているってんなら仕方ないんですよ。
 「市場的にLDからDVDの時代になりました」ってことでLDが消えたって言うのと同じで、困ることは困るけどそれは仕方がない。
 だけど現状、多くのホビーショップが扱っていて、いまだメインストリームなのは27cm以下じゃないですか。
 いや、27cm素体の新製品とかも出ていたけどさ、でもやはり「場の空気」は明らかにSD寄りだったし。

 で、総合的なドールイベントを称していながら「メインストリーム」を縮小して「主催メーカーのメイン商品」を中心にするってのは、企業としては当然かもしれんけど、前述のように「こういうイベント主催としてはチガウだろ」と。
 メインストリームをきっちりフォローした中でそれをやるべきじゃないのかなあ…と。


 このへんが「ボークスのドール商品のイベント」と感じられた部分なんですが。


 確かに現状のドール人気を広げたのにはボークスの存在って小さくはないんですが、かといって「全部引っ張ってきた先駆けや主戦力か?」つったらそうでは無いわけだし。
 むしろ後発だし。

 あのね、なんでこれを「ヤバイ」と感じたかって言うと簡単なことなんですけど、こういうやり方すると「広がってきた裾野がまたしぼむ」可能性がデカイんですよ。

 前の海洋堂について書いた例えで比喩すればそこに感じられるのは「責任でも覚悟」でも何でもなくて、「ボークス商品を維持し続ける」ってコトにだけ向けられた、むしろ「これまで広げてきた27cmとかのユーザー層に対する無責任」だろ、と。

 ボークスサイドがどう考えていたかは知りません。
 でもオレにはそういう風に感じられてしまったわけです。
 そしてそれって、もしオレ以外にも感じちゃった人がいたとしたら(それがホントに「ヤバイね」な部分だけど)、それって受け手の温度を下げるにはかなり十分な理由なんですよ。

 それをボークスがどこまで感じたか不明ですけど。
 SDやっている人にとっては大きな場だろうから、要求は満たされているんでしょうけど、SDをやらないオレとしては実際「次回も来るかどうか」はかなり考えましたね。


 「自分の所(ボークスのブース)には大行列が出来ました」ってこと“だけ”がOKなら、あんなイベントやらなくてもいいんですよ。
 各ボークス店舗でのイベントにすればいい。
 けど「ドールファン」というものが集まる場としてのイベントとして続けていきたいってんなら「チガウでしょ」と。


 ドール(それも主に27cmとかの)未来に危機感を感じたと共に「海洋堂とボークスのイベント運営に当たっての決定的な魂の違い」ってのを感じてしまったイベントでした。


 とか書いてみたけど、でも根本的な部分で

 何を言ってるんだ! ドルパは「ドールの総合イベント」じゃなくて「ボークスのドール商品イベント」なんだ!
 オマエの書いていることは根本部分でカンチガイしている!!


 だったら、スイマセンと平謝りですね。(^^;;)


 ああ、オイラは27cmの人なので、書けば書くほど前週のドールショーに行きそびれたことが悔やまれるなあ。
 ああいう場でないと手に入らない物って結構あるのよ。

 なんかね、もしかしたら今後は27cm以下を牽引していくチカラ(それは送り手も受け手も含めて)ってのは、ドールショーとか別の所に移るカモね、とかも思ったり。



※とか、いっぺんアップした後になって知ったんだけど、次のドルパは12月7日開催。
 なんと同日にドールショーも開催だって。
 ちなみに先にその日を選定発表したのはドールショー。

 この件で一部からドルパは少し悪印象もたれてます。(いろいろ勘ぐられたりな)






 んで、同じビックサイトの他会場ではエロゲメーカーが一堂にかいする大イベント『キャラフェス』とか、同人誌即売会『コミティア』とかが開かれていて。
 金が無くて入場料払えないから見てきませんでしたけど。(泣)

 『キャラフェス』はものすごく盛り上がっているのが会場の外にも漏れていて、エロゲの可愛いキャラクター画が描かれた紙袋を抱えたむくつけきヤツらがいっぱいビックサイト内外をウロウロしていて。

 『かってに改蔵』の「アキバ駄目お遍路さん」とかによく出てくる、ああいう人たち。

 オレとかアキバとかよく行く人にとっては珍しくもない光景ですけど、たぶん『ブロードキャスター』とか『pooh』とかああいう番組を作っている“自称:健全なヒトタチ”にとってはおそらくとてつもなくショッキングな光景だろうなあ…と。

 で、それを見ていたら

「ああ、今ここ、爆撃されちゃえばいいのに」

 とかふと思ってしまったり。(^^;;)
 エロゲ紙袋抱えたヤツらが全員爆死。
 なんか面白そうじゃないですか。(おい)
 もちろん「オレもその中にいたい」ですよ。


【了】


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