今頃観てるぜ。夏映画。2
2002/09/14


 早いもので、アメリカ同時多発テロから1年が経っちゃったんですね。
 今週はいろいろ特番が放送されていましたが、中でも画面に釘付けになったのが日本テレビの番組でした。
 はじめはよくある再現物の番組だなあと思って流し見だったんですけど、後半の「その日、たまたまNYの消防士に密着取材していたフランス人兄弟の撮影した貿易センタービル内の映像」には驚かされました。
 視聴率がかなりいったそうなので、見られた方もいるんではないかと思いますが。

 ドキュメントとしても非常に優れていましたが、なによりそこに撮影されていた圧倒的な「現実」に驚かされました。

 事件が起きて次々とNY中からやってくる消防士達。
 WTCビル1階ロビーに来たはいいが、上に上がる手段が階段しかない事実。
 しかもビルに設置されている電波増幅器がすでに壊れてしまっているので無線が使えず、全く上の状況がわからないありさま。
 その中、ドン! ドン! と時折響くナゾの音。

 はじめ見ていて「ビルが壊れ始めている音」だと思ったんですが違いました。
 熱さに耐えきれず、上から飛び降りた人が落ちてくる音だったんですね。
 それが1回2回じゃなくて、何回もずっと断続的に続くんです。
 後半に入っていた生還した消防士のインタビューで「人が雨みたいに落ちてきた」という言葉があったんですが、まさにその状態だったのでしょう。

 なんか、この「音」は、どのようなナレーションや再現映像や現場レポートでも伝えられない生々しさに満ちていて、「オレには関係ない事件」「いまいち現実感がない事件」「どんな憤りや皮肉で語っても、結局は他国の事件」だったのに、「そこに多くの(理不尽な)死があった」という事実を感じさせ、見ていて涙が出てきました。



 と、重い話で始まっておいてナンですが、以下前回の続き。
 例によってネタバレ全開なんで、これから観る方は読まない方がいいかと。


★『バイオハザード』

 ゲームの映画化は過去の作品がことごとく失敗していたため、マッタクと言っていいほど期待していなかったんだけど…
 自分でコントローラーを操作できないことが泣けてきた駄作『ストリートファイター』とか。(いやあ、ヒドかったね。マジで)
 地底帝国からトカゲ人間が攻めてくる…という『ゲッターロボ』みたいな話になっていた『スーパーマリオ』とか。(なんでデニス・ホッパーがこんな映画に出たかなあ…)

 しかしこれはゲームの映画化としてはかなり良い出来ではないかと。
 雰囲気は確かに「ああ、『バイオハザード』だあ」とファンも納得できる物になっているし、ゲームをやったことのない人にも楽しめるんじゃないかなあ。
 不満点と言えば、『ゾンビ』みたいにもっと特殊メイクでグロ・ショッキングなホラーシーンがあるかと思ったんだけど、そういうのがあまりなかったところか。
 ああ、あとゾンビの「動き」がちょっとオレ的には気にくわなかったかな。速いし、あんま怖くないんですよ。

 ただ、映画としても『ゾンビ』にオマージュを捧げたと思えるシーンがいくつかあったりして、そういう部分も楽しかったです。
 主演のミラ・ジョボヴィッチも別に好きでも何でもなかったけど、これはちょっとヨカッタかも。
 エロっちぃ感じで。(^^)
 ちょっと股間にズキュンとキました。

 ゲームのファンとしては「番外編」ではなく、ちゃんとゲームに繋がっているストーリーと設定で作ってあるところにも好感が持てました。
 おそらく舞台になっている「ハイブ」はゲームの『1』『2』で出てきた場所と同じであると思われるけど、『1』の前日談としての描き方(「なんでラクーン市のアンブレラ研究所でバイオハザードが起きたのか?」)が描かれていたり。
 ああ、リッカーが映像で出てきたのも感動したなあ。

 あ、「落ちている葉っぱを拾ってケガを回復」ってのはさすがに無かったね。
 あったら萎えるけど。(^^)



★『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』

 相変わらず「受け手に求めるハードルが高い」コメディ映画です。
 これを「バカのリトマス試験紙」(映画秘宝的な書き方だなあ…)にしてしまうと、ほとんどの人はムリだろうな。
 実際ワタシなんかも全部のネタがわからなくて「ああ、まだまだであることだよなあ…。はふう…」とか思わされた次第です。

 少し前にTVの街角インタビューで「夏映画で見たくないのはどれ?」みたいなのやっていて、なんかOLだか女子大生だかの小娘が

「『オースティン・パワーズ』。ギャグが浅いから」

 とか言っていたけど
 「『オースティン・パワーズ』が浅いんじゃなくて、オマエが浅いからわかってないんだよ!!」と画面の前で怒ったりしていたんですが。

 『オースティン』シリーズの特徴って、作品中の笑いが「2種類に分けられる」ことだと思うんですよ。
 それは今回の作品で言えば冒頭の10分みたいに「誰でも笑える部分」と、「ものすごいハードルが高い部分」。
 で、この「ハードルが高い部分」こそが、オースティンが素晴らしいバカ映画であり、バカ映画へのオマージュとも足り得ている部分で、人生において「結果的にバカ映画をたくさん観てしまった、それまでは不幸でしかなかったヒトタチ」に「オレたちが観てきた物はムダじゃない!!」という応援歌になっていたわけです。
(だって、『オースティン』が無かったら、テレ東のお昼の映画劇場で『サイレンサー』シリーズ全部観た…なんてのは、「ただのボンクラ」というレッテルにしかならなかったんだから。)

 なので、前述の彼女が『007』全部と『サイレンサー』シリーズと『カジノロワイアル』とか全部観た上で「浅い」と言っているなら「参りました」だけど、たぶんどれも観ちゃいないでしょう。
 「スケベなのがイヤ」って…60年代のイギリススパイは(映画の中では)必ずスケベなんだよ。それが「お約束」なのだ。
 タイムマシンがグルグル渦巻きなのも60年代映画の「お約束」だ。
 こういうヤツはDrイーブルの元ネタが007のスペクターの首領・ブロフェルドだというような初歩的な部分もわかっちゃいないんだろう。(だからマオカラーの服に猫を抱いているんだが…)

 「ゴールドメンバー(黄金の男根)」という名前やら、劇中劇の『オースティンプッシー』やら、さかのぼれば1作目のヒロイン「アロッタ・ファギナ(直訳すれば「たくさんのマ○コ)」やら。このへんのネーミングセンスの無意味な下ネタぶりも、イアン・フレミング的なものをちゃんと踏まえて付けているのが良いですな。
 『黄金銃』の「乳首が三つある男 スカラマンガ」とか。乳首が三つあることに何の意味もなかったし。「オクトパシー」なんか直訳すれば「タコ」だけど、意味しているのはつまるところ「8つの女性器」。劇中の発音をよく聞いていると「オクトプッシー」つってたしね。

 今回、オースティンの父としてマイケル・ケインが出てくるけど、彼こそが「元祖メガネスパイ」だというのもハードルが高くていい部分です。
 はじめはショーン・コネリーにオファーして断られたそうだけど、コネリーと言うわかりやすさより、マイケル・ケインというハードルの高さこそが「オースティンっぽい」と思う。

 はじめの10分の豪華さは、もうお腹いっぱい。(^^)
 劇中劇の『オースティンプッシー』のキャストが、トム・クルーズ(オースティン)にグィネス・パルトロウに、ケヴィン・スペイシー(Drイーブル)にダニー・デ・ヴィート(ミニミー)。(笑)
 ほとんど『MI2』のような映像も笑ったけど、ソレの監督がスピルバーグ。
 ラストに出てくる劇中劇のゴールドメンバーはジョン・トラボルタだし。
 豪華すぎ。
 「ああ、みんなバカ映画が好きなんだなあ」と思わされました。(^^)

 パンフ買ったら、作品のハードルの高さに反比例して(年内で賞味期限が切れそうな)三瓶とかが何か書いていてゲンナリ。
 渋谷系オシャレ感覚なのかも知れませんが、600円も取るんだから、もっとわかってるヤツに書かせろ。



★『ギブリーズ Episode2』

 怪作でしたな。いや「奇作」と言ってもいいかも知れない。

 エピソードごとのストーリーらしいストーリーはなく、オチらしいオチもない。
 ただダラダラと脈絡もなく、アニメスタジオ(らしいが作品中ではマッタクその事について触れられていない)「スタジオギブリ」の面々が激辛カレーを食べにいくとか、初恋を思い出すとか、オットセイみたいな人がただ歩いているだけ…とか。
 この意味不明な状況が、驚異の最新デジタル映像によるアニメーションで無駄に展開されるのだ。
 技術はスゴイ。(ホントにスゴイ)
 話の無さもスゴイ。

 例によって(プロデューサーの鈴木敏夫の趣味だけでキャスティングされたと思われる)ムダに豪華な俳優人の声も全く違和感ありまくりで異様です。

 一体何がやりたいのか? 何を見せたいのか? タイトルの意味は何なのか? エピソード1は存在するのか? ケツに出た「つづく」って事は(まさか)またやる気なのか?

 これをジャンル分けするなら、一番当てはまるジャンルはと言えば「実験映画」。
 いや「シュールレアリズム」と言ってもいいかも。『アンダルシアの犬』とか『ひとで』とかさ。
 こんな物が劇場でかかるなんて、ある意味「奇跡」です。

 いや、だが奇跡にも程があるだろう。

 作り手サイド(鈴木敏夫とか)は、これが面白いと思ったのか?
 「ジブリの面々の面白い日常をネタにしよう!」
 とか思ったのだろうか?
 別に面白くないぞ。

 これが「ジブリに作画を発注したはいいが、完全週休2日で、料金は高く、言われているほど作画レベルが抜きんでているわけでもなく。しかも画が上がってくるのがスゲー遅いために振り回されてしまう外部スタジオのドタバタ劇」ならまだ面白いかも知れない。
 けど、給料はアニメ業界内で異例の高さ。週休2日。福祉も充実していて、年に1ヶ月は完全に休み。基本的に殿様商売……な、言ってしまえばエリート的な立場にある人たちを主人公にしたところで面白いわけがない。
 せめてまだスタッフ達が宮崎監督に振り回される様であるとか、自虐的な(世間が想い描いているようなのではない、不健全な側面であるとか)からアプローチしていれば別だったかも知れないけど、ただ「マジメっ子ちゃんな側面から」しかやっていないからなおさらタチが悪い。

 そもそも、優等生の「私って面白いでしょ」という自己申告はかなり割り引いて考えるべきだろう。本当に面白かった試しなど、まず無い。
 優等生がムリに劣等生やバカを装ったってイヤミにしかならないってのが全くわかっていない。
 なんか夢を見た気分です。

 今年最大のメモリアル映画でしたわ。



★『猫の恩返し』

 前の上映が意味不明な実験映画だったせいなのか、こちらは普通に面白かったし楽しんで観ることが出来ました。
 いや、もしかしたらホントは面白くないんだけど、前の上映がアレだから面白く思ってしまったのだろうか? (こういう疑問を感じさせてしまうあたり、やはり『ギブリーズ』の存在は『猫の恩返し』の評価の足を引っ張っているとしか思えないんだけど…)


 途中で出てくる「自分の時間」とかいうものがテーマ的に活きていないし、唐突だし、「別に必要だとも思えない」というのが気になりましたが。
 素直にマンガ映画として楽しめる作品になっていたと思うので、そんな部分入れなくてもいいのに。
 個人的には『千と千尋の神隠し』なんかより全然面白かったです。
 なにしろ、近年のジブリ作品には珍しく、説教くさくないのがいいです。

 てっきり、冒頭の猫を助けたときにハルはトラックに跳ね飛ばされていて、彼女が生死の狭間で見た夢…とかいうオチなのかと思ったら、別にそういうわけではなかったですね。(^^;;)
 また「猫が恩返ししてくれて楽しかったりいいことがある話」だと思っていたんですだが、「猫が恩返ししてくるのはいいんだけど、それが人間にはイヤがらせにしかなっていなくてスゴイ迷惑で困ってしまう話」だったというのも意外でした。(笑

 こちらも池脇千鶴とか実写俳優人が声を当てていますが、意外なことにそれほど違和感はないキャスティングでした。

 しかし……画面を観る限り、『ギブリーズ』の方が金がかかっていそうなのはどういうことなのか?
 ますますナゾだ。>『ギブリーズ』

 で、パンフレット買ったら、全体の半分が『ギブリーズ』だった。マイッタね…
 こんなん1ページくらいでいいよ…。



★『忍風戦隊ハリケンジャー シュシュッとTHE MOVIE』

 飽きさせないテンポの良さですが、基本的なストーリー部分がよくわからなかったです。
 なんで吉野紗弥加が狙われているのか? ナントカの儀式ってので何をしようとしているのか? などなど。
 個人的には「劇場版なんだから、もうちょっと長澤奈央のサービスカットが欲しいんですが…」というのも巨大です。
 敵も味方もみんなが歌って踊るエンドクレジットは観ていて楽しかったけど。(^^)


★『仮面ライダー龍騎 Episode FINAL』

 こちらは昨年の『アギト劇場版』同様、あくまで「TVとリンクしているようでリンクしていないアナザーエピソード」らしいので、「最終回先行映画化」と言っても、TVの最終回は厳密には異なる物になるようです。
 そもそもシナリオが小林靖子さんじゃなくて井上敏樹氏だし。

 印象としては「TVの最後8話くらいをダイジェストにした」って感じかなあ。
 本編ではもっと膨らまして欲しいな。
 ファム(加藤夏希)の存在と、彼女の死は城戸にとってもっと大きな意味を持つ物になるんではないか? とか思ったし。
 ユイまで死んじゃって、あそこまで絶望的なラストなのか? って疑問はあるし。(個人的にはキライじゃないんだけどさ)
 TV本編でこの前出てきた「13番目のライダー」が全然出てこなかったのも気になるところです。

 んじゃ不満か? というと、劇場版ならではのダイナミズムある映像も多く、そういう点では大満足でした。

 ラストシーンは、まさか本編も「アレで終わり」はないだろう。『ガメラ3』みたいな終わり方だったけど…

 ただ「最終回(というか、シリーズのクライマックス)のダイジェスト」というか、「壮大な予告編」という意味では、TVの今後がさらに楽しみにはなりました。


 こんなとこすかね。


【了】

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