前期のテレビはどうだったのよ?
2002/07/11


 暑くなってきました。
 早くも「家から出たくない気分」です。


 さて「前期のTV感想」。
 なんか、いっぱい見ていたわりには、終わってからそれほど語るべき番組がなかったような…
 そんな気分です。


★『空から降る一億の星』

 始まったときは「展開がタルい!」とか思っていたけど、数話目でなんかハマッている自分に気づきました。(^^;;)

 それなりに最後まで見てしまったんだけど、でも「ラブサスペンス」として面白かったのか? と言われると…う〜ん…
 「ああ、北川悦吏子さんってこういうの書ける人なんだ…」という感心はあったんですが。
 まあ、ブッチャけた話、見てはいたんですが面白くはなかったんですよ。

 「サスペンス」として致命的というか、それほど計算していなかった(と思われる)のが、やはり「物語中盤で、犯人とか謎が全部(見ている側には)わかってしまうところ」。
 というより「犯人が誰か? なんでその事件は起きたのか? 彼は何をしようとしているのか?」に全然重点を置いていなかったことではないか? と。
 この部分での盛り上げがとにかく無くて…。
 ずーっとダラダラした展開になってしまい。

 まあ、野沢ミステリーみたいにむやみやたらと盛り上げるだけ盛り上げりゃいいってもんじゃないですけどね。

 キャスティングに関しては、作品のキャッチコピーが「見たことのある顔の見たことがない顔」というように、それぞれの演者がこれまで演じてきたことがないようなキャラクターをやっていましたが、でもオレ、深津絵里は大好きなんだけど、このドラマでの深津絵里はミスキャストに思えて仕方ない。なんとなく「違う」ような気がしました。
 まあ、これまで深津絵里があまり演じてきたタイプの役ではないことは確かだったんですが。

 反面、世間的な評価はどうか知りませんが、明石家さんまがものすごくイイと思いました。
 予想していたよりも全然良かった。
 「ああ、これはキムタクが主演ではなく、さんまが主演なのだ」ということが納得できるくらい彼のキャラクターを上手く描いていたと思います。
 駆け出しの刑事だったときに(正当防衛とはいえ)犯人を射殺してしまったことをずっと心に引きづり続け、しかし誰にでも優しい男であるにかかわらず、自分が育ててきた血の繋がりのない妹(深津)に「証拠が何一つ無い」殺人者であるキムタクが近づいたときには彼を容赦なく刺してしまう…。
 中盤のこの描写には驚かされると同時に、完三というさんまのキャラクターを上手く描いていたかなあ…と。
 それまで「コロンボ的な役」だとばかり思っていたんだけど、一杯食わされたというか、そこまでのさんまの演技の良さを見て製作側がさんまに挑戦した描写だったというか、そう思いました。
 また、キムタクの描写に関しては、中盤から「彼が一度見た物は全て憶えているものすごい記憶力の持ち主」であるという設定画あまり活かされていなかったような…。それが気になりましたが。


 最後はなあ…。
 どうなんですかね?
 いや、個人的には好きな終わり方なんですけどね。
 「人を死なせることも殺すことも何とも感じていなかった男(キムタク)」が、やっと愛せる女性(深津)に出会って結ばれたと思ったら、実はそれは生き別れていた実の妹で…という近親相姦もののオチ。
 しかも、そうとは知らない深津は「キムタクは自分の父を殺した完三(さんま)に復讐するために、私に近づいた」と勘違いしてしまい、彼を殺してしまい…。
 だけど「実は全ての真実を知ってしまったキムタクは、本当は一人で自殺しようとしていた」ことが遺書でわかってしまい、さらには「自分が寝てしまい、そして殺したその男が、実は本当の兄だった」ことを知った深津もさんまの目の前で死んでしまう…という、なんというか…、思い切りが良すぎるくらい全く救いのないラストに驚きました。

 最終回の視聴率が27%だから、一般的には「ヒット」と言ってしまっていいんですが、このスタッフ・キャストの布陣で考えるとTV業界的には「成功とは言えない」ですね。
 おそらく製作サイドは「30%オーヴァー」を狙っていたのだと思うし。



★『天国への階段』

 これも見ている間は楽しめたんですが。

 偶然でしょうけど、クライマックスの数回は、これの前に放送されている『空から降る一億の星』との共通点が多かったように思いました。
 例えば同じ日の放送回で両作品とも「主要人物が路上で刺されて倒れる」というところで「つづく」とか。
 その次の週は「主要人物の過去・出生の秘密が明かされる」と言うところで「つづく」。

 さらにラスト2回目は『空から〜』は深津が木村に「例えあなたが人を殺していても、私はあなたが好き」とかいうセリフがあったんですが、『天国〜』でも本上が佐藤に対して同様の思いを抱いてそれを知人に相談するシーンで同じようなセリフがあったり。

 ホントに偶然? と思うくらい、けっこう似たようなセリフやシチュエーションが同じ日の放送で多いんで不思議がりつつも、ある意味「中堅・北川」と「ベテラン・池端」という2人の脚本家の力量の作家を比べることが出来るいい機会でもありました。

 例えば前述の「例えあなたが人を殺していても、私はあなたが好き」という描き方では、『空から〜』がオレの中で「納得できなかった」「ナニ言ってんだ、色ボケしやがって!」程度の印象しか感じられなかったのに対して、『天国〜』は「善悪と、好き嫌いは違う」というセリフがあったことによって、「なるほど」と納得させられたり。
 『空から〜』の北川悦吏子さんももはや「中堅の上」ランクの作家だと思うし、上手いと思うんですが、さらに「この微妙な部分を書けてしまう」のが北川さんと池端さんの「レベル・力量の差」なのだろうなあとか思わされたり。

 ただ最終回はちょっと納得できませんでした。
 ナゼか最終回のシナリオは池端俊作さんではなかったんですが。
 ………なんであんなハッピーエンドになって終わってしまうのか理解不能。
 主人公が「過去に犯した罪」に対して、何も責も取らず、背負っていた物を全部降ろしちゃって息子の結婚式に出てオシマイ…って…。どうよ? と思いました。
 「犯した罪に対してオレはいつか償なければならない時が来る…」とか言っていたのに、何の償いもしていないじゃない…というか。
 むう…。



★『盤嶽の一生』

 最高! ビバ!チャンバラ!!
 面白かったです。
 毎回一ひねり二ひねりある展開や、盤嶽のキャラクターに惹かれて見続けました。
 続きやって欲しいなあ…。



★『フルメタル・パニック!』

 「作画がよいね」と思い見ていたんですが、正直ラスト数話の作画レベルは、序盤の頃に比べると明らかにクオリティが落ちていました。
 動画だけならいざしらず、原画まで一緒に韓国のスタジオに丸投げしている回まであったりして。
 他にも原画は日本だけど、とてもそうとは思えないくらいひどいレベルの回もありましたし。
 いや、一般的に行ってコレより下の作画レベルの作品はいくらでもあると思うんですが、番組スタート時のレベルに比べたら後半は格段に落ちていると思いました。
 アニメ製作はGONZOですが、「ストーリーが全く作れないこの会社」にとって唯一のウリは「作画レベル」だけだったと思うんですが、それすら他に丸投げでこの有様じゃあ、ハッキリ言って存在価値を疑います。
 おそらく『戦闘妖精・雪風』にメインスタッフ回しちゃっているんだと思うけど。

 内容的にはまあ最後までとりあえず楽しんで見ましたけど、原作がまだ続いているせいなのか「オーバーテクノロジーがなぜ存在するのか?」「ウィスパーとは何者なのか?」等々の謎が全く明らかにならなかったし。
 続きやるのかな?



★『ちょびっツ』

 8話目(だったか?)にして早くも総集編がありましたが、大丈夫か?



★『眠れぬ夜を抱いて』

 「野沢先生だから最後で腰砕けるぜ!!」と楽しみに(?)見ていたんですが、最後どころか中盤でもう話が破綻し始めていたというか、「何をやりたいんだかわからなくなってきた」って感じでした。(少なくとも視聴者サイドにとっては)

 物語の入口は最高! 引きも最高! 着眼点も最高!!
 だけど相変わらずの「途中で力一杯脱力…」でした。

 結局このドラマは、誰を主人公にしてどういうミステリーがやりたいのか? 全然わからなかったです。

 中盤までずーっと「バブルとは何だったのか?」みたいなセリフが作品キーワードのようにゴロゴロ出てきたのに、後半は全く触れられず、しかもラストは「夫婦とは何か?」みたいな話になっちゃって…。

 全ての謎が中盤で明かされてしまい、「さあ後半はどうなるのか!?」と思ったけどさしてどうにも成らなかったし、新たな展開やどんでん返しがあったわけでもなく。
 第1話で描かれた「12年前にオーストラリアで起きた銀行強盗事件で死んだ日本人職員」が、犯人の起こした偶然の事故ではなく「彼」が撃ったことなんか、わかる人は中盤で全部わかってしまうし、最終回でイキナリ語られても何の意外性も感じなかったというか…。



★『夢のカリフォルニア』

 前期のドラマの中ではオレ的No1でした。

 中でも、物語の転機である後半の、ヒロイン達の周りが大きく変わってしまうくだりの描写はちょっと泣けました。

 それまで距離を感じていたエリートの恋人が、会社をクビになって荒れ、人間的な弱さを見せたときにやっと「親近感」を感じた琴音(柴咲コウ)。
 で、甲斐甲斐しく食事とか作ってあげたりなんだったり。
 でも、突然の彼からの「うっとしいからもう止めてくれ!」という拒絶反応と「オレは誰にも弱いところを見せたくないし、同情されたくもない!」という強気な態度は、彼が再び再起しようと立ち上がったことの証なんだけど、彼が再起したときに別れが来てしまうという皮肉。

 恵子(国仲涼子)の、「まだ離婚届を出していなかった元夫」とのやりとりも秀逸でした。
 あれで元夫がイヤなヤツだったなら恵子的にも「嫌う」「憎む」ことで心の中の整理もつくし自分でも納得が出来るのだろうけど、「とても良い人」であるがゆえに、自分がかつて突きつけた一方的な離婚は「自分のワガママ」「身勝手」「自分で納得行かないことからの逃げ」でしかないことを彼女に再確認させてしまうと言う残酷さ。

 なんというか秀逸なシナリオだと思いました。

 それらの目の前にある全てのことから主人公達は逃げ出すわけですが、逃げた先では一時的に夢見ていた楽しい時を過ごせるのだけど、それもつかの間。
 「いつか逃げたことのツケが来る時が来る」現実を見せつけられてしまう主人公達。

 だけど「逃げた先ですら何も成していない自分たちが、そのまま帰るということは、逃げた先からまた逃げる…ということでしかない」わけであって、ではそこで彼らに何をさせるのか? というのがまた…。
 ものすごく小さな(彼ら以外の人にとっては全くどうでもいい)事。「子供が無くしたイヤリングを真剣に。持ち主の子供がいなくなっちゃっても最後まで諦めずに探し続ける」という行為を経て、それが彼らの中に「人生に一歩踏み出す」というきっかけを与えたのは、ユニークであり、それでいて岡田シナリオ独特の「派手さなどはないが、ものすごく優しさに満ちた描写だ」と感動しました。
 「泣く」っていう感動ではなく、「心になんかほわーんとくる」感動。

 堂本剛の演じていた「何の面白味もない本当に普通」の主人公も、見ていて実に好感が持てました。
 何の取り柄も面白味もないけど、けどそれは「人間としてダメ」というわけではなく、むしろ人間的には「感受性が強すぎて、人の痛みがわかりすぎてしまう」という主人公を、嫌味なく描いていたというか、彼によって救われている話だったというか。

 第1話のかつての同級生が目の前で自殺するときに残した「この先、生きていて何かいいことあるのか?」という、彼らの中で引っかかり続けていた問いに、最後に彼らが出す答えはものすごく簡単な答です。
 だけど、その「簡単な答」を出すまでの課程が本当に丁寧に描かれていたなあ…と。

 ドラマの見せ方のバランスも好きでした。
 暗く、重くなってしまいそうなところで、「それを外してしまう」軽い笑いが入るタイミングは絶妙でした。
 そのために、本来なら「暗い青春物」になってしまいそうな物語が、心地よく見続けることの出来る作品になっていたと思います。

 なんというか「傑作」ではなく「秀作」「佳作」と評したい。
 泣けるとかではないのだけど、心に残る良い青春ドラマであったと思う。
 岡田シナリオ独特のあの優しい視線は、見ている側を優しい気持ちにしてくれるというか、自然と見ている顔が微笑むというか。
 個人的には『イグアナの娘』『彼女たちの時代』に続く岡田シナリオのベスト作に入れたい感じでした。

 全話録画しなかったことをマジ後悔してます。



★『ゴールデンボウル』

 軽妙で楽しんで見れました。
 吉川ひなのが出てきたときにオレの中でかなりテンション下がったんですが、まあ「好感が持てる人物」として描いていなかったのでいいですか。(どうにも彼女は好きになれないので…。いつまでたってもヘタすぎだし)

 野島ドラマというのは結局ファンタジーに行くしかない物語が多いんですが、これもある意味ファンタジー的というか…
 マンガチックというか。

 主にフジで放送していたいくつかの作品のイメージで勘違いしてしまいそうなんですが、結局この人はあまり「リアルな世界」を描くつもりなんてのは毛頭なく、「どう見ても作り物の世界観」の中で「恋愛の詩」を描きたいんじゃないかなあ…とか思ったり。
(それが一番色濃く出ていたのが『世紀末の詩』だったんじゃないかと)

 世間…というか大多数の人にとって「評価している・好きな 野島ドラマ」というとおそらく『101回目のプロポーズ』『愛という名のもとに』『高校教師』『一つ屋根の下』『リップスティック』…とかではないかなあ…と思うんですが、オレがただヘンクツなのか感覚オカシイのかわかりませんが、オレの中で好きな野島ドラマはあの「ドラマとしてはメチャクチャ」だった『世紀末の詩』だったり。(^^;;)

 んで、今回のこの『ゴールデンボウル』もけっこう気に入りました。
 前述のように「軽妙」だったことも挙げられますが、毎回毎回、地上げ屋が送り込んでくる敵とボウリング対決をする中で、「ボウリングのピン」などから「愛を語る」というセンテンスがそれなりに気に入ってしまったというか。



★『ウルトラマンコスモス』

 作品的には評価不能です。
 しようがないわね。
 まあ、番組的には実は撮影は全て終了していたので、主役タレントも不起訴だったことだし、残りを放送するか否かが検討されているようですが。

 最大の見所は、番組冒頭「『ウルトラマンコスモス』を応援してくれているみんな。ムサシが急遽、番組に出られなくなった。彼がいつ戻ってこられるのかは私にもわからない」とコスモスが視聴者に詫びるシーンですね。
 長生きするものです。まさかウルトラマンに謝られるとは思いもしませんでした。


 まあ、最後の「総集編」でどういう話だったのかのアウトラインだけはわかったんですが、「あれで納得できるか?」と言われて納得できる人はまずいないでしょうし。

 …というか、アレを見る限り、残りを放送されても「あんまり面白く無さそう…」と思ってしまったのは気のせいでしょうかね?

 放送された所までは毎回見ていましたが、結局そこに至るまでも、オレの中ではどうにも燃え切れなかった…というか全然テンション上がらなかったんですよ。
 以前の「平成3部作」に比べちゃうと明らかに面白くなかった。

 子供に対して「生き物を殺さない」という姿勢を見せたかったのはわかるんですが、決定的にカタルシスに欠ける上に、「いや、考え方はわかるんですけど、でもそれは『ウルトラマン』でやることなんでしょうか?」というか。「やるならやるでもっと方法論煮詰めなきゃダメじゃないの?」というか…。

 「生き物を殺しちゃダメだ!」はいいと思うんですよ。考え方や、子供に今伝えるテーマとしてはね。
 だけどオレがどうにも最後まで納得できなかった…感情移入できなかったのは、その「思想」を描くにあたって、作り手サイドがその「思想」について考え抜いていない…と思えちゃったからなんですが。

 ギリギリの所まで考えていない。

 例えば『ウルトラマンガイア』の名編で「藤宮(アグル)が、地球を守るために20万人の人間を見殺しにしようとする」エピソードがありましたが、そこまでギリギリな部分に行き着けていない。

 「生き物は殺しちゃダメですよ」という結論だけを「道徳教育的」に持ち出されているような気がしてしまって、「じゃあなんで殺しちゃいけないのか?」をキッチリ伝えていない。

 悪い言い方すると、むやみやたらに「クジラを守ろう!」と言っている人たちと同レベルにしか見えなかったんですよ。オレには。

 なので、さらに悪い言い方すると「生き物を殺しちゃいけない」という思想を描くことを、作り手がものすごく安易に出しちゃったよなあ…としか思えなかったというか…。

 うーん…



★『ぴたテン』

 まだ終わってませんが。
 画は可愛いんだけど、何をやりたいストーリーなのか? がいまだによくワカランです。


 そんなところで。

【了】

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