エピローグとしての『サクラ大戦4』
2002/03/30


 さてさて、発売されて1週間以上経ったこともあり、そろそろ全キャラコンプしている方もいるんではないかと思われる『サクラ大戦4』。
 たぶん、ドリームキャスト最後の花火でしょう。
 …と、『3』の時にも書いた記憶があるな…。 ^^;;)
 一体何発あるんだ。>最後の花火


 このゲーム、わたしゃゲーム雑誌を読まないので知らなかったんですが、事前評判があまり良くなかったようです。

 で、オレ的には「とりあえずサターンの『1』から全部やってきたしな…」という感じで買ってきたわけですが…。

 不思議なゲームでした。






※ 以下、多分にネタバレを含んでいますので、これからプレイする方は読まない方が良いと思われます。












 これまでの3作と違い、スゲー短編でした。
 内容的にも、これまでのような「ゲーム」を求めてしまう人にはちょっとツライかもしれません。
 事前評判が良くなかったのはこういうことだったんでしょう。


 今までだと、だいたい敵に「大ボス」がいて、その下に「四天王」だとか「ナントカ何人衆」みたいのな中ボスが複数人いて…って構造で10話くらいの構成だったんですが、今回は敵が1人。
 エピソード数もわずか3話(+エピローグ)。

 ダラダラやっても1周8時間でお釣りが来ますね。


 気になるのは前回書いたとおり、今回はシナリオに「あかほり先生」だけではなく、アニメ版を担当していた川崎ヒロユキ氏が名を連ねていることでした。
 で、実際にプレイしてみた感じで、これはあくまでオレの直感的な部分の推測でしかありませんが、実質的な「ダイアログ」などのシナリオ部分は川崎氏だったんではないかと思います。
 なんつーかね、セリフ回しとか微妙な部分の「ノリ」が、これまでのゲーム3作より「アニメ版」に近いんですな。

 「ゲーム作品」としては、これまでの3作が「TVシリーズ」のような物だとしたら、「劇場版」とか「スペシャル編」みたいな感じでしょうか。
 なので、あらかじめ「短いストーリー」として展開していくのでそのへんの不満は、実はオレ的にはそれほど感じませんでした。

 ただ、展開が急な分、余計なことをやっている暇がまるで無いので、前回の『3』のようにバカまる出しなセリフややりとりが全くなかったり、四天王に相当するキャラクターもいませんから「ライオンとかウサギとかよくわからない敵の中ボス軍団を統率している一番えらいヤツがナゼかイカだった」とかいうワケワカな「あかほりちっくな何も考えてません。ハイ」的な物がまるで無いため、「そういう部分を期待していた人」には肩すかし意外何物でもないですな。(オレとかな)


 「今回どれくらいバカなんだろう…! 前回の『3』がアレだったからなあ…。ちょっとやそっとのバカじゃ納得しねえぞ、オレは! ええ?! あかほりぃッ!!」

 とか意気込んでレッツプレイ!!! だったんですが…。

 「こんなんアカホリじゃないッ!!」(泣)

 みたいな。



 まあそんな感じで、物語の展開が早いとか、そういう余計な部分がないからと言って、物語は相変わらず「抜きんでて面白いわけではない」んですが…。(おい)


 ただ、それでもこの『サクラ大戦4』に「価値」があるのは、ひとえに作り手の側&受け手側の「思い入れが詰め込まれている」からでしょう。


 余計な詮索&邪推かも知れないけど、作り手側の問題として、「今さらドリキャスなんかで新作出す意味あるのか?」ってのはあったんじゃないかと思うんですよ。
 「PSに移行するのは決まってるんだから、もうPS2でいいじゃん」みたいな。
 ドリキャスで出したって「売れる絶対数」は見えていますが、、反対にPSになれば「これまでの絶対数+新規参加者」が望めますし。

 『サクラ』が商売として成立し続けられたのは、まあ、この「売れる絶対数」が非常に読みやすかったからと言うのはあるでしょう。
 「新作を出せば明らかに30万本売れます」なんて安全パイは、そうそうあるもんじゃありません。
 これが仮に5万本でも同じです。「売れる数が事前にハッキリしている」ものはプロデュースしやすいわけです。(このへんはゲームに限らず他の物も同じね。)


 だけど、「それでもドリキャスで出した」って所に、普段はオレ、そういうことにはあまり感動しないんですが、ちょいと感動しました。いろんな意味で。


 それはどういうことかというと、作り手が「SEGAハードでやってきたこれまでの『サクラ大戦』シリーズに、1つの区切りをキチンとつけようとした」のだろうなと言うことを感じたからです。

 『3』で終わりにしちゃって、そのままPSに行っちゃっても良かったんだろうけど、「これまでのキャラクター達」「これまでの(SEGAハードの中で支持されてきていた)シリーズ」「支持してきてくれたファンたち」というものにちゃんとしたエピローグを作ってあげたかったんではないかな? と。

 これはまあ完全にオレの推測なんですが、「次からはPSで…ってアナウンスされているけど、たぶん、このキャラクター達による『サクラ大戦』は今回の『4』で終わりなんだろうな」と感じさせられました。


 なので、相変わらず設定にツッコミどころがやたらとあったり、「別にセリフが感動的だとか、ストーリーがすごくいい」とかいうことは全くないんですけど(^^;;)、オレも含めて「サターン時代から6年間付き合ってきた受け手」にはチョット「じ〜ん…」としてしまったり…。
 まあ、「作品の質よりも、年月から来る感動」というか「一時代の終わりを見届けた気分」というか。そんな感じでしょうか。

 別の言い方しちゃうと、「『サクラ大戦』は、1か2をちょっとやってみたことがある」程度だとか、これまでのシリーズを全くやっていなかった「今回初めてプレイしてみた」って人などは、(これは断言しちゃいますけど)「『4』は全く面白くない」んじゃないかなあと思いますね。


 というように、オレは完全に「現メンバーによる帝国華撃団(『サクラ大戦』)」最後の作品だと思いこんでいるので(現実問題としてすみれ役の声優さんは今回が最後ですし)、以下の感想もソレが前提なんですが、今回の作品、まっとうな感想を書くと「ロジックの組立方」はけっこうナットクというか、「最終回」というものを提示するにあたって上手いよなあとか思ってしまった部分があったんですよ。
 あと「作り手が抱えてきたジレンマみたいな物」が物語の核に上手く活かされているというか。


 例えば今回の「敵」はこれまでの「帝都を狙う者」ではなく、長安という「帝都を作り、そしてそれをまた無に帰そうとする者」なわけです。
 コレってつまりそのまま「作り手サイドの象徴」ともとれるわけで、そう考えるとボスキャラ(長安)の声が「広井王子」であることも「サービス」ってこと以上の意味があるよなあ…とか思ってしまったわけです。

 何というか、こうも長く続いてしまった以上、おそらく広井氏的には「『サクラ』の新作をリリースし続けるためには、他の新企画を思いついてもなかなか思うように作れなかった」っていうジレンマがあったんじゃないか? と思うんです。
 それは時間的にもマンパワー的にも。

 でもそれは決して「『サクラ』なんかもうやりたくない!」ってことではなく、「だけど、他のもやりたいのに…」というような。
 けど確実に「新しい『サクラ』」を期待してくれているファン達がいるからこそ、ジレンマになってしまう。

 今回の話って彼の中でのそういう葛藤のようなものが少し出ていたのかなあ…とか思うんですよ。
 つまり「長安=広井」ってのはそういうことだったんじゃないかと。
 「作ったけど、もうブッ壊したい!」というような。

 だけど最後に行われる「長安の鎮められかた」とかを見ていると、それでもやはり「支持してきた受け手」を否定することなど出来るわけもなく、あそこで発せられるサクラの言葉はそのまま彼が受け取った「ファン達からの声」の象徴であり、「それでもドリキャスでエピローグを作りたかった動機」だったんではないかなあと。
(そう思ってしまったので、オレはあそこのでのサクラのセリフに、ちょっと涙にじんでしまいました。)


 サクラをはじめとした、中でも大神一郎は、もちろんこれまでも「プレイヤーの分身」であったわけですが、今回の『4』ではそれ以上の…あえて美しいコトバで例えてしまえば「プレイヤーが本当に帝国華撃団の1人である」ことを表したんじゃないかなあと思うわけです。
 彼に対抗し帝都を守ろうとする大神&サクラたち華撃団の面々ってのは、「6年プレイしてきた僕ら受け手」の象徴だったんじゃないかと。


 なんかね、ストーリー的には脆弱であり、ボリューム的にも「これまでの作品」と比べたら圧倒的に短いのにも関わらず、だけど終わった後になにがしかの「満足感」とか「文化祭が終わってしまったような感じ」がするのは、そういうことだったんじゃないかなぁ? というのが、1週間オレの思っていたことなんですが。 (過大評価かなあ…)

 で、多くのプレイヤーも同様の気分を感じてしまったからこそ、あの最後の米田のセリフにグッときちゃうんだと思ったり。

 うん。「最終回」「エピローグ」としては、オレは満足でしたよ。
 長さ的にも、あれより長ければ、オレらはズルズルひきづられたまま吹っ切れないものがあったんじゃないかと思います。
 ちょうど「終わり」としてスパッとこちらの気分を終わらせてくれる、良い長さだったな。


 でで、こういうこと考えたり何だったりしていたら、これまで毎回「バカだ何だ」「ツッコミどころ満載だ」とか言いながらプレイしていたのに、結局オレは『サクラ大戦』が好きだったのだなあ…とか自覚してみちゃったり。(^^;;)


 まあなんつーか、シリーズ通して初めて「プレイしてヨカッタ」と思いましたよ。(←な…何様?!)


【了】

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