前期のTVはどーだった?
『スクライド』『ココロ図書館』後編

2002/02/05


 前回の続きです。

★『ココロ図書館』

 「なぜ司書がメイド服?」とか「水陸両用車はそのままじゃ水の中を走れないYO!」とかツッコミどころは(そりゃもう両手じゃ足りないほど)あるんですが、あんま文句言えません。
 ナゼなら、不覚にも何度か涙滲んじゃったから。(^^;;)

 つか最近、個人的に「そういう重箱の隅つつきみたいなツッコミとか文句」ってのに意味も面白みも感じていないってのもあるんですがね。
 少なくとも「作品が面白くなるかどうか?」とは無縁の問題であると思い始めてますし。
 いや、そういうのクリアしてれば「出来は良くなる」と思うけど、2002/01/12更新の「年頭オモチャ始め【ドールネタ】」で
>(つまり「出来が良くない」と「つまらない」は違うってコトです。)
 って書いたように、これは反対に「出来が良い作品」と「面白い作品」もまた別ってコトです。
 実際、物語展開も人物の造形も矛盾も何もなくキチッと整合性は保たれているけど、全く面白くないなんてぇ作品はゴロゴロありますし。


 『ココロ』に話戻すと、『スクライド』とはテンションとかも含め全然ベクトルが違いましたね。
 超ほのぼの物。
 特に「ひかりちゃんの病気で入院していたお母さんが治って、ひかりちゃんが帰っていく話」とか上手いなあと思いましたよ。ホントに。(泣いたし)
 なんつーか、記号的な部分とかネタの使い方とか、かなりベタな感じを受けますが、毎回毎回の落としどころとか、そこでのセリフの使い方とかに一ひねりあるというかね。「へえ」と思わされることが多々ありました。


 で、こういう極度に違う2作品を同時期にやっていたとか(執筆は同時期ではないのかも知れないけど)とか考えると「黒田洋介はやっぱスゲェよなあ」…とか思うわけです。

 なんか黒田洋介氏って一部には評価低いのね。
 「なんでだろう?」と考えるに、おそらくそれはやってきた作品のカラーで評価されちゃっているんじゃないかなァ? と思うわけです。
 評価低い人たちの意見とか読んでいると、どうやら少し前だったら「あかほり先生」がやっていたようなバカ系作品も結構手がけているんで「あかほり風バカ作家」的な言い方(直接的でなくてもそういうニュアンスだったり)をしている人が多いのね。

 で、思ったんですが、それ(作品内容)と「技術的な部分」をごっちゃにされた評価されているような気がします。
(それはまぁ、ハッキリ書けば、その程度のごっちゃにした評価しか出来ない人たちが評価しているってコトなんでしょうけど。)

 オレの中で黒田評価が高いのはこの「技術的な部分」で、「知能指数低い作品はバカに」「計算して作らなくちゃならない構成はキチンと計算して」といったように、作品のカラーに合わせて思考を切り替えていると思える「尋常ならざるフレキシビリティ」にあります。
 それは「作品によって取り組む態度に差がある」とかそういうことではありません。
「ウケるための戦略を変える」というような策士を気取った稚拙なことでもありません。
 どの作品にも同じ力の入れ方と思い入れを持って取り組んでいるんだけど、作品ごとに脳の思考回路とか回転数を変えている…というかなあ…。そんな感じ。

 「そんなの誰でも出来るんじゃないの?」とか「プロなら当然なんじゃないの?」と思われる方もいるかも知れませんが、とーぜん、プロである以上オレも含めてほとんどの人はこの「思考の幅」を「ある程度」は持っています。
 しかしこの「幅」にはかなりの個人差があり、その中でも黒田洋介さんという作家はズバ抜けて広いんです。
 一般的にわかるようにちょっと乱暴な例え方をすると、ほとんどの場合(まず間違いなく)「『北の国から』と『トランスフォーマー』は同じ作家が同時期に平行して書くことは出来ない」わけです。(どーゆー例えじゃ…)
 それが「思考の幅」です。
 これを「そんなのオレにも出来る」と考えるのは、素人か、全く経験値のない「作家のタマゴ」みたいなアマチュア同然の人くらいじゃないかと。

 もっとも「幅が広い=必ずしも優秀」「幅が狭い=無能」ってワケではないんですが。
 例えば「あかほりさとる」という作家も、ものすごく「幅」が狭くて、しかし反面「バカ部分に関しては特化している」んで、それなりにヒット作を出してきたのではないかとも思えます。(面白くはないんですが… ^^;;)

 あ、誤解の無いように書いておきますが、ここで書いている「バカ」ってのは蔑みの意味ではありません。
 「『オースティンパワーズ』ってマジでバカ映画だよね」というような意味での「バカ」です。つまり一つの「ジャンル」として「バカ作品」ってのがあると。そいう意味での「バカ」。
 これと蔑みの意味での「バカ」を混同して、なおかつ作り手までバカ呼ばわりする人が多数いるので困りものですが…。←これがつまり「バカ作品をやっているから黒田もバカだ」的な評価をしている人たちがいる理由だと思ってるんですが。

 あと、これは個人的に思っていることですが、そういう風に中途半端に「黒田はバカ作品やってるからバカだ」的な意見を言ってる人より、遙かに「人生」とか「生きる」とか(笑)、そういうものを考えている人だと思いますよ。
 「なんでオマエにそんなことわかるの?」と言われても、いろいろ彼の作品を見ていて、ダイアログとか聞いているとそう思います。
 前回冒頭で書いた小林靖子さん、栗山緑さんに関しても同様です。オレが感じた「それ以外のもの」ってのはそういう部分が大きいわけです。
 何も考えてないヤツが、思いつきで書いているセリフじゃないよなぁ、とか。

 しかし反面、こういった「尋常ならざるフレキシビリティ」が、ある意味彼の弱点でもあって、それはまあ前述のように「バカ作品を本当にバカにやっているから書いているヤツもバカだと思われてしまっている」とか、「あまりにも自由度が高すぎて、一般的に目に見えるわかりやすい作家性(どんな作品でもそこかしこに鳥や犬が出てくるとか、どんな作品でも説教くさくなるとか)ではないために、その部分での評価がされていない」とかもありますわね。
(まァ、そんな弱点「人が何言おうが関係ない」と本人が思ってりゃ、関係ないんですがね)


 とか、つらつら思っているわけですが、でも「黒田先生。いいかげん『無限のリヴァイアス』小説版の2巻出してよ」ってのもありますな。(^^)


 幸い今期は黒田・小林・栗山の3人全員の作品が放送されているので、そんなコトを考えながら見てみるのも一興ではないかと。
(黒田『おねがい★ティーチャー』、小林『仮面ライダー龍騎』、栗山『おジャ魔女どれみ どっか〜ん』)

 ああ、長ぇ…。(^^;;)


【了】

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