前期のTVはどーだった?
『スクライド』『ココロ図書館』 前編

2002/02/01


 『無限のリヴァイアス』についての感想を書いてからかなり経ち、その後にいくつか放送されてきた作品についての感想などからもおわかりだと思いますが、オイラは「黒田洋介」というシナリオライターを評価しています。

 オイラが現在、いわゆる「ベテランというランクの方々以外」でスゴク気になっているシナリオライターというのは3名いまして、それが黒田洋介さん。『タイムレンジャー』などを書いておられた小林靖子さん。『おジャ魔女どれみ』の栗山緑さんです。

 全員、アニメとか特撮系のライターですね。これは「そっち系の作品のライターで気になる人」という風に括ったからではありません。
 フツーの(平日の夜に放送しているような)ドラマや、そして映画も含めた中で「気になっているシナリオライター」です。
 別の言い方すれば、現在の実写ドラマのライターで、「オレがものすごく気にしているライター」ってのはいないんですよ。
 どのドラマを見ても、オレはこの3人が書いたシナリオ以上のインパクトとか、「それ以外のもの」を感じることはほとんどありません。
 「それ以上のもの」ってのは「出来」だとか「面白さ」だとかそういう、通常の「あのドラマは面白かった」で評価されてしまう部分だけではなく、例えば「モノカキとしての信念であるとか執念であるとか、そういうものが感じられるか?」ってコトなどです。
 「ドラマ」では、この部分が感じられる作品がほとんど無いんですね。(少なくともオレは)

 もちろん小山内美江子さんの『金八先生』は、そのへんのコトの塊みたいな作品なんですが、「ベテラン」の上に「超」が付くほどの方ですし、若手の中でも君塚良一氏がいますが、この方もオレの中ではすでに「ベテラン」というランクなので除外。(←そもそも君塚はすでに「若手」ではないと思うが)
 ベテラン勢で言えば、ドラマの方が圧倒的ですね。
 つまり、オレ(34歳)とだいたい同世代前後の作家で…という括りの中でです。


 ということもあって、今回は、前回割愛した『スクライド』と『ココロ図書館』についてです。


★『スクライド』
 スタート時から『ジョジョの奇妙な冒険』のパクリだの『バイオレンスジャック』のパクリだの言われてましたが、うん…まあ、オレの中ではそんなことどーでもよかったです。
 もちろん、これらのメジャーマンガを「作り手が読んだことがなかったにチガイない!」などとは口が裂けても言う気はありませんし(ぜってーに1度は読んだことがあると思う)、その類似性には制作サイドの方はとっくに気づいた上でやっていたでしょう。それは間違いなく。
 で、「パクリだパクリだ」は(低レベルな感想としては)いいんですが、なんで「その設定」なのか? を考えると、「やろうとしていることから結果的にああいう舞台設定とか設定のビジュアルな記号に行き着いている」という感じを強く受けました。

 この『スクライド』という作品は、脚本:黒田洋介・監督:谷口悟朗という『無限のリヴァイアス』のコンビによる作品ですが、根本的な部分(逆説的な部分も含めて)で「『リヴァイアス』の延長線上の話。もしくは、あり得たかも知れない可能性としてのもう一つの『リヴァイアス』」というニュアンスをオレは強く受けました。

 『バイオレンスジャック』の関東平野そっくりな舞台であるロストグラウンドは、リヴァイアスと同じ「外部から閉鎖・隔絶された世界」です。
 突然の隆起現象で東京湾に出来てしまった大地ですが、そこに発生している現象の特殊性(アルター能力者がこの土地でのみ生まれる…など)のせいで、本土からは完全に分離した「特別自治区」という扱いになっています。(本土に渡るのにはパスポートが必要です。)

 んで『ジョジョ』におけるスタンドそっくり(と言われる)、ロストグラウンドでのみ生まれる「アルター能力」は、ある意味『リヴァイアス』におけるヴァイア艦やヴァイタルガーダー(ロボット)と同じ、登場人物達を振り回す「本来の個の能力を超えた巨大なチカラ」という象徴です。(知らない人のために書いておくと、アルター能力ってのは「物質を原子レベルに分解し、各々の精神を反映させた形態・能力を持つ「モノ」へと再構成する能力」です。)
 違いがあるとすれば、『スクライド』の主人公・カズマの能力(アルター)である「シェルブリッド」が腕に融合する形をしているのは、「何かを得るための自分の手(つまりごく極私的なチカラ)」と「それを得るために彼が振るわなければならない暴力」「個のチカラ」の象徴としてはわかりやすくて好きでした。(このへんはOPの映像でも見せていましたが)
 対して「ヴァイタルガーター」(ロボット)は「みんなで一致団結しないとピクリとも動きやしねえ操り人形」(まるでザ・ムーンだ…。 ^^;;)であり、「個のチカラ」の象徴であるアルターの対極であるといえます。


 んで、こんなとんでもなく大きなチカラを望む望まないとは関係なく生まれ持ってしまった人物達が、そこで生きるためにそのチカラを使って暴力に頼らなくてはならない、もしくは暴力に振り回されて生きて行くしかない。
 そんなシチュエーション設定も似ている・延長線上であると受け取れます。(あ、『リヴァイアス』でブルーが持っていた「銃」ってのもチカラの象徴だね。)


 これらの記号的な部分での類似性や下地づくりは、明らかに『リヴァ』の延長線上であることを意図していると思いました。(こういった記号をビジュアライズしていったときに、『ジョジョ』や『バイオレンスジャック』に類似した設定にならざるをえなかったんじゃないか? と)

 極端な解釈かも知れませんが、「個が持っている腕力(能力)の超絶さ」「性格の歪み方がもうちょっとマシ」って違いはあれど、『スクライド』における2人の主人公・カズマと劉鳳というのは、『リヴァイアス』における相葉祐希とエアーズブルーに近いのかも知れません。

 ただ、いくつかの記号は『リヴァイアス』と同じなんですが、そこでの主人公たちのモチベーションとか、意識の向き方が180度違う。いや「違うことをやりたかった」んではないかと。(実際違うんですが。だから『リヴァ』の世界観でパート2をやりたかったわけではない)

 最後の直前まで「傍観者」「理想論者」「平和主義者」であり続けた『リヴァイアス』の主人公・相葉昂治に対して、彼がもっと「行動的」「現実主義」「暴力を行える」人間だったら、それはそれで違う結末があったんだぜ? というような話だったんじゃないかと思いました。

 もっとも、作品全面から出ている「カラー」は『リヴァイアス』とはだいぶ違いましたね。より「わかりやすい作り」「マンガ的な馬鹿馬鹿しさや面白さ」も踏まえた作品にしていましたが。
 正直に書きますが、描かれていたアルター能力の中には、オレには理解不能なモノもいくつか在りました。(^^;;)

 放送開始前の雑誌記事などを読んだときには、『リヴァイアス』よりもっとストレートな「暴力描写」のある話かと思っていたんですが、それも違う描き方でしたし。
 実際はそうでもなかったのが個人的には肩すかしでしたが。

 人気サイト『ちゆ12歳』でも書かれていましたが、前作の『リヴァ』がアレでしたしー…そもそも「TVアニメじゃやっぱ制限あるからね」とばかりに黒田自身がノベライズした小説版『無限のリヴァイアス』(2巻以降が出てねぇ…。現在入手困難)は、TVを見ていたときに「コレって、○○って描写のニュアンスなんだよね…?」と想像していた部分が全部描かれ…んで描かれたら、18禁小説のようなものになっていましたし。
 そんなこともあって、「さらに縛られちゃったり犯されちゃったり殺されちゃったりするのでわッ!? つか、嵐が吹き荒れるのでわッ!?」 と思ってたんですが、意外とその辺の描写は無かったり。(まあ、シェリスの過去の回想シーンはそういう意味だったんじゃねえかなあ? とは思いましたが。)
 バトルがとにかく多いにも関わらず、その描き方も「少年ジャンプ」的で、暴力部分のニュアンスに関しては『リヴァイアス』の意図的に「暴力への嫌悪」を感じさせようとしていたものとは狙いが違っていたようで、今回はその辺の嫌悪感は描く気はなかったようですね。
 そこも含めて、「生きていくチカラ」として描きたかったんじゃないかと。(そういう暴力を肯定できるかどうかは別問題…というか「受け取る側が自分で考えてね」という描き方として。)


 でまあ、こういうコトなどを考えて見ていたので、オレの中ではテーマ的な部分や物語の基本部分は、以前書いた「『無限のリヴァイアス』を考へる」と同じとか、それとは逆説的なことを言いたいのだろうな、とかそういうコト考えながら見ていました。(なので、いまさら新しく考えたり付け加えたり、複雑に解釈するところはそれほど無かったんですが)

 すげー単純な面白い・面白くないで書けば、オレは面白かったですよ。


 でで、シナリオの技術的な部分とか構成とかを書くと…どうなんだろう。
 個人的にはあの最終回はいらなかったような気もするんですが。
 あの前の回で物語もテーマ的な部分も描ききっていると感じたんで、別になくてもいいんじゃないかなあ? と。
 例えるなら『リヴァイアス』の最終回で、どうやらブルーに殴られたらしい相葉祐希が、ひっくりかえって笑っているというシーンがありましたが、あの直前にあったであろうことを30分に拡大して見せてしまったというような。

 セリフは、好きなものは多かったですね。
 劉鳳の断定的な言い回しとか、カズマの常にイラついている感じとかね。それぞれのキャラクターが出ていて上手いと思いましたよ。(カズマの「常にイラついている感じ」は声優さんの力もありますが)
 けっこう「フツーこういうセリフは書かないだろ」ってのが(明らかに)作為的に入ってましたね。(なんで「明らか」かというと、黒田の他のシナリオでも使われていないセリフ回しが多かったからなんですが。)
 「オマエは今、泣いていい!!」は名セリフだったんじゃないかと。(^^)
 実生活でも、いろいろな場面で応用できるセリフですな。
 ガチャポンで同じモノが5回連続ダブったヤツを目撃したときとか。(爆)


 で、こういうバトルアクション物と平行して放送されていた、同じ黒田脚本作品がコレですが、えらく長くなったので続くってコトで。


【了】

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