今期のTVはどーだったのよ? 2
2001/07/15


 暑いっすなあ…(-_-;;)
 さて、前回の続きです。


★『ムコ殿』

 面白かったです。うん。
 ただ、前回書いた『ラブレボリューション』の「恋愛観の定義」じゃないですけど、「現代の家族の在り方」ってのに対してなんの定義も提示もされていないというか、それが「正しい在り方でしょう?!」みたいのが主人公の「想い描いてきた夢」でしかないんで、それだけで押し通しちゃったのはどうかなあ?という気も少しします。(出てきたのがかなり古い家族像だったんで)
 でも無難というか、安心して見れるドラマで、そういうのは悪くはないよね。
 プロデューサーの栗原美和子さんは新聞のコラムで、昨年の『三億円事件』のドラマで長瀬を使ったときに、長瀬の泣く演技を見て「これだ!とにかく長瀬が泣くドラマにしよう!」と思ったそうですが、確かに長瀬の泣き演技はヨカッタすな。
 クライマックスの2話では、自分のことはいくらゴシップで書かれてもガマンできた主人公が、家族の子供のことを書かれたときに怒りが止まらなくなる…なんてのは「お約束」っちゃそうなんですけど、「ああ、オレは今、長瀬にカッコヨサで負けたな…」と、素直に敗北を認めましたよ。(←またなんか書いてんぞ…。 ^^;;)
 第2シリーズがあっても不思議じゃないというか、「あきらかに意図的にオチを付けていない部分」がいくつかあったんで、もしかしたら続編もあるのかも。


★『天国に一番近い男』

 前作は大好きだったんですよ。
 だけど今シリーズは前シリーズの「コント」ぽさがかなり薄まってしまい、だけどコントみたいなネタ(小道具)は毎回出て来るという…。
 シリアスで押し通すにはコント色が強い。だけど、コントで見るには前作ほど突き抜けていない…どうにも中途半端な印象は拭えませんでした。
 ストーリー展開や解決を、小道具に頼りすぎているのも気になったポイントです。
 脚本は前作と同じく、バラエティなどで活躍している放送作家の越智真人氏ですが、なぜか今回はバラエティでの名義である「おちまさと」名義でシナリオクレジットされてます。(だけど前述のようにコント要素がゆるい)
 肝心のストーリー部分も、描き方がユルいというか…ストレートに書けば「粗い」。
 実は学校で、教師から生徒から全員の弱みを握って裏で支配している問題児ってのも、「家庭事情に原因がありました」ってのはいいんだけどさ、ならその家庭事情に関する伏線はあんな1回だけでやっちゃうんじゃなくて、もっと細かく見せて行くべきだったと思うし。(実はこの辺、前シーズンの『金八』における兼末健次郎と全く同じなんだけど、金八はこの辺の描き方がメチャクチャ上手かったわけです)

 でも、「んじゃつまんなかったの?」と言われると、「いや、毎週楽しんで見てたんだけどさ」なんですけどね。(^^;;)
 主人公が成長していく過程や、「天童という天使の存在を信じる」までに至る描き方は前作よりも上手かったと思いますし。

 だけど…あの最終回で唐突に出てきた「天童の正体」はどうなんだろう…?
 オレ自身がそうだけど、前作から好きだった人にはワリと拒否反応じゃないかって気もするんですが…?
 「あのオチははじめから計画していた」っていう感じが全く無くて、唐突というか…ヘンな伏線じみた物だけは毎回入れていたから「とりあえず見てる人がアッと思うようなオチを考えなくちゃならなくなったときにああなった」っていう後付的な物としか思えなかったんですが…
 それに、あのオチがものすごく「いい加減だった」のは、んじゃ仮に天童が「天使ではなかった」んだとした場合、前シリーズからたびたび起きていた奇跡的な出来事について全く説明が付かないわけだし。
 で、そう考えると「やっぱ天使だよな」なんだけど、だったらあの良くわかんない「正体は…」はいらないよなあ…と。
 だけどあのラストシーンはよかったよなあ、とか。


 ついでにわざわざ枠取ってまで書く気ないんで、ここでサラッと書いちゃいますけど、同じくバラエティ作家の高須光聖氏がシナリオを担当していた日本テレビの『明日があるさ』も、主人公達に対する作り手の「ハードルの設置」が低すぎて面白くなかったです。(なので、コレはすぐに見るのやめちゃいました)
 大体、「ほら、吉本ですよ!面白いでしょう!?」的なあの作り方自体に拒絶反応があったことも確かなんですけどね。
 「そこで見せることの面白さ」ではなく「吉本という肩書きで面白さを頼っている」ような気がして。


★『ゾイド新世紀スラッシュ0』

 『レッツ&ゴー』の加瀬監督で、前シリーズとはうって変わって「ゾイドによるバトリングもの」ってんで、かなり期待しながら見ていたんですが…
 まあ、前シリーズも後半からの展開はかなり盛り上がりのいい作品で好きだったし。『レッツ&ゴー』も好きだったしね。(余談だけどあの劇場版は傑作だね。ミニ四駆であそこまでやられて文句たれる客がいたら、そりゃロクデナシだね。 ^^)
 だけど、意外にもそれほど盛り上がらなかった…。
 CGとの合成技術などもこなれてきていたりしたので、ちょっと残念。


★『R−17』

 うーん。前期のドラマ群(つってもそんなに見てなかったけど)の中ではオレ的にはダントツでベスト1でした。
 いやあ、ひたすら暗いんだけどさ…(^^;;)
 中谷美紀演じる学校のカウンセラーが少女達(舞台は女子高)の心の闇と毎回ぶつかるという内容でしたが、なんちゅーか、ものすごく真面目に(いいかげんな事を言わずに)描いているなあと感じました。
 ほとんどのエピソードが2話完結方式で描かれていたんですが、中でも中盤の「心の境界線」という同性愛を扱ったエピソードは、最後に思わず泣いてしまいましたよ。
 クラスの中でいつもイジメられている少女を、ある日、いままで何のつきあいもなかった同級生の少女が助けるんだけど、助けた娘は彼女に突然「私と友達になろう!」と言い出す。
 それまで友達なんかいなかったから、イジメられていた娘はうれしいんだけど、それがだんだんおかしい方向に進み始める。
 なんか自分が他の人(中谷とか)と話していたりすると、彼女が邪魔をするようになったり。
 助けた方の娘は、これまでに何人もつきあった男がいて、性体験もそれなりに経ているんだけど、その中でイヤな目にもあっているんで、男がキライになっているのね。
 だけど、自分がなんでそんな行動をとるのかがよくわからない。なんで彼女を独占したいのかもわからない。
 どうやら彼女はイジメられっこだった彼女のことが好きらしいんだけど、だけど「女が女の事を好きになる」って感情や、その「キモチをどこに、どういう形で表せばいいのかわからない」。
 で、そのやり場のない感情が境界線を越えてしまったときに、彼女はイジメられっこだった彼女をさらってきて(^^;;)、自分の部屋に縛って監禁しちゃうのね。(おいおい…)
 最後は学校を去ることになった彼女が、荷物を取りに教室に来るんだけど、みんなにバレちゃってて白い目で見られるんですよ。
 だけどそれに対し、自分の好きな彼女への気持ちをハッキリ言って去っていく姿にはエロティックっちゃエロティックなんだけど、結構泣けましたよ。
 興味ある人は再放送かビデオで見てください。
 この後の「ドラッグ編」はねえ…凄すぎ。
 「ドラッグに手を出した娘を引き戻すために、娘の前で覚醒剤を打ち続けることによって戦う父親」ってのは、よく思いついたもんだ。
 あの展開はオレには全く書けないと思いました。
 ちょうどコレを放送した後くらいかな。
 出演者(つっても脇役だけど)の少女が、トルエンの常習だってんで逮捕されましたけど、あのエピソードやった後にそういうこと起きるとさあ…
 オレが制作者だったらヘコむな。
 それは作り手の「おごり」だとか「思い上がり」だとか思われるかもしれないけど、やっぱヘコむな。

 全体を通して脚本の寺田敏雄氏の執念みたいな物を感じましたね。(実際には寺田氏と滝川晃代さんという方の2人でエピソード別に担当して書いてますが。上記の「心の境界線」のエピソードは滝川さん)
 大人に対しても子供に対しても甘やかした展開にしていないというか、「いいかげんな提示をしていない」。

 前にも書いたかもしれないけど、オイラは他人に対して無責任に「あなたを救う」とかなんとか言う行為(というか、そういうことを言う人間)ってのが大嫌いで、それは言った本人的には「いや無責任には言っていない」とか言うのかもしれないけど、やっぱ無責任だと思うんですよ。
 そういうことを「口から発すること」自体が無責任というか、「責任もって言ってるって…それってどの程度の、どういう責任よ?」というかさ…。「それはアンタにとっての言い訳でしかないでしょ?相手には関係ないじゃん」というか。
 そもそも「救う」なんてえのは、「救うと言った側の主観」によってその行為が成し遂げられたかどうかの結論があるのではなくてさ、相手がホントに助けられたかどうかという「相手の主観」でしか「本当に成されたのかどうか?」の答えは無いわけじゃないですか。
 それが本当に救えたのかどうかなんて、実は「救う」という言葉を発した側には「わかるはずがない結果」なわけです。(なんか量子力学の「シュレーディンガーの猫」みたいだけど)
 けど、なんだかしんないけどあちこち(普通の社会の中でも、メディアの中でも)に「自分にはそれが出来る」的な過剰な自意識とか勘違いとか(つか自分を過大評価してるのかもしれんけどさ)、そういうのを平気で(言葉の重さも考えずに)口にする輩が氾濫していてさ、挙げ句に自分で「私は誰彼を救うことができた」とか言うヤツがいるわけじゃないですか。
 なんかこういうのがモノスゴク腹が立つわけですよ。オレは。

 で、このドラマでは、主人公はカウンセラーという仕事をしているんだけど、人を救うなんてことがいかに「難しいか」「自己満足では成立しないか」がね、後半(特にドラッグ編)ちゃんと描かれていたのも好感が持てました。(ドラッグ編のクライマックスでは、主人公は全くの無力でしかなかった)
 で、その上で「じゃあ、自分には何が出来るのか?」が描かれていたし。(もちろんこれは中谷演じる森山という人物にとって「何が出来るのか?」です。こんなもんに万人に対する共通解答なんかありはしませんから)
 当然こういう展開では、やりきれない結末になるエピソードも多いんですが、個人的には好きな作劇でした。
 中谷の好演はもちろんですが、桃井かおりもヨカッタす。
 中盤まではほとんど『ケイゾク』の真山みたいなポジションでしたが(^^;;)、実は『女が一番似合う職業』(アルゴピクチャーズ唯一の傑作映画)のキヌだったと…。(わかんねー…)


★『機動天使エンジェリックレイヤー』

 あー…なんでここまで「燃える(「萌える」じゃないよ)展開に出来る要素」が全部あるのに、全く燃えないんだろう…
 いや、燃える燃え無いじゃない!
 もりあがらねーわ、おもしろくねーわ…
 原作読んでないんで、CLAMPのせいなのかどうかわからんけど…
 最大の問題点は…いや、問題点多すぎて「問題じゃない部分」を考えた方が早い位なんだけど…、あえて「コレって問題だろ」だと思うのは、「話の作り方」「展開のさせ方」「見せ場の作り方」「エピソードごとの落としどころ」等々が毎回同じだってところでしょう。
 極端な言い方すると、敵キャラクターの「デザイン」が違うだけで、あとは(作劇としては)同じなんですよ。
 で、そんなしょうもない作りの中、主人公はさしたる悩みも難関も向上心も敗北も盛り上がりもなくトントン拍子に勝ち進み、気が付いたら決勝戦。
 人生ナメてますね。
 目的意識もないままでエンジェリックレイヤーという競技を始めたんだから(そうにしか見えなかったぞ。オレには)、ふつー途中でそれが明確になるとか、どうしても越えられない壁があるとかさ、そういうのを設けると思うんだけどなあ。

 全く同じようなことやっていた作品として、古いですけど『プラレス3四郎』ってのがありましたが、これでは途中で技量だけでは超えられない壁(主人公が使っているロボットの「構造上の強度問題」)が出てきました。(そこで当時としては最先端でもあった「セラミック」を使った装甲ってのが登場したわけです)
 「美少女による対決物」という表面的な構図だけで括っても、最近の作品でTVシリーズの『バトルアスリーテス大運動会』はベースストーリーはしょーもないドタバタ物でありながら、「勝負に負けた敗者キャラクターの物語」を丁寧に入れることによって、作品の基本ストーリーが本来持っていたはずの「限界」以上のストーリーを見せてくれました。

※知らない人のために書いておくと『バトルアスリーテス大運動会』(TVシリーズ版)は…

地球一の美女「コスモビューティ」を決める大会(全て超人レベルのスポーツ競技で競われる)に出ることになったものの、まったくダメダメな主人公が努力と根性で勝ち進んでいく。
が、実はコスモビューティは来るべき宇宙からの侵略者と「スポーツ競技で戦う」時のために準備されていた…


 てな物語で、これだけ読むとおおかたの人は「オカノのあらすじ説明が下手だ」ってのをさっぴいても「全く面白く無さそう」と思うハズなんですが(^^;;)、まあオイラもスタートから数回目までは「なんでオレはこれ見てるの?」と自問自答の日々だったんですけど、主人公が特訓を始めるようになってからの燃えっぷり&見せ方の上手さはすさまじく、おそらく近年のスポ根アニメではNo1だったんではないかと。
(ちなみに最後に立ちはだかる宇宙人の敵は「“天才”以上の存在。“天然”」という、まあなんつーか、いい設定だと思いましたよ。 ^^;;)

 でまあ『エンジェリック』にはこういう「燃え」が全くないんですよ。(「萌え」だけは必要以上にありますけどね)
 「みさきタン…ハァハァ…」だけで見続けるのにも限界があります。一体(オレの根性が)いつまでもつのやら…

 まあなんすかねえ…話チョットそれるけど、最近思ったんだけどCLAMPのマンガって何がスゴイって、「買っても読む気が起きない」んですよね。オレ。
 スゴイですよね。買っても読む気が起きないマンガ。
 『ちょびっツ』なんかも1巻読んだだけで「もうイイヤ」って気になったのに、ナゼか2巻買っちゃったんですけどね、やっぱ読んでないんですよ。
 「とりあえずオタクのたしなみで(グッズ感覚で)買ってみた」って感じでね。
 受け手にこう思っちゃうヤツがいるのって、送り手的にはどうなのかね。それでも売れればうれしいのかね。

 あ、『エンジェリック』をあえて誉める部分があるとすると、主題歌は好きですよ。それくらいだな。


 さて次回は、書いていたらベラボーに長くなっちまったんで、わざわざ別立てで2クールがもうすぐ終わるアレについてです。(^^;;)


【了】

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