観たぞ!『シュリ』
2000/01/25

 一部で早くも話題の韓国映画『シュリ』を観てきました。
 隣の国、かつ映画産業が結構盛んである国のはずなんだけど、韓国映画というのはあまり日本では目にする機会がないですね。ましてや、この作品のようなアクション映画は。
 たまにアート系の単館上映で文芸作品が公開されるくらいでしょうか。
 この映画、「本国では7人に1人が観た!」とのことですが、配給会社もその大ヒットを受けての自信なのか、韓国映画としては異例なまでの大きな公開されていますね。
 とりあえず、22日(土)からの上映は先行公開というカタチで、29日からが本公開のようです。(東京エリアでは、28日までに観ると渋谷パンテオンや丸の内ルーブルなどの音響もいい大劇場で観ることが出来ます。ちなみにこの作品の音響はデジタルドルビー)

 まず、評価から書くと、スッゲェ面白い!!です。(^^)

 細かい内容はネタバレになってしまうから書きませんが、結構先がミエミエと言えばミエミエのストーリーです。(^^;;)
 だけど、そのミエミエのストーリーがかなり良い!
 ファーストシーンの、北朝鮮特殊部隊の過酷な特訓シーンで、早くも目が釘付け。(ほとんど『装甲騎兵ボトムズ』に登場する「レッドショルダー」のよう)
 韓国に潜入し、次々と要人暗殺を繰り返していく姿なき工作員と、それを追う韓国情報部の男。
 そして、潜入した上記の工作部隊が何らかの大規模な計画を進めている事が判明し、激しい戦いへと!!
 ジャンルとしてはアクション映画ですが、上記の緊迫したストーリーの核になるのが、主人公とヒロインの「ラヴ」。(ちっ!世界中どの国の映画観ても出てきやがるな。…っと、こっちは「ラヴ撃!妄想録」じゃなかったか)

 んで、見せ所のアクションもGOOD!
 まあ、前述のように、オイラ韓国映画はほとんど観たこと無いので何とも言えないのですが、直感的に「これを撮ったカン・ジェギュ監督というのは、古い世代ではなく外国映画(主にハリウッド映画)を観て育った世代なのではないか?」と思いました。
 特に『ヒート』『ラスト・オブ・モヒカン』、そしてアメリカでは80年代後半に大ヒットしたTVドラマ『マイアミ・バイス』の監督・マイケル・マンの影響を強く感じます。
 主人公が拳銃を持って動くときの「動作」(姿勢を低くし、拳銃を両手でホールド。そして、銃口と視線を必ず同じ方向に動かす…というもの)なんか、『マイアミ・バイス』でのドン・ジョンソンの動きにソックリ。
 中盤の市街戦は『ヒート』からの影響を感じます。(余談だけど、『ヒート』を、ちゃんとしたドルビーデジタルサラウンド音響の映画館で観ると、この市街戦のシーンってスゴイんだよ。耳をふさぎたくなる。ビデオじゃ絶対に体験できないッス)
 ガンアクションは、上記の他にもジョン・ウー(『男たちの挽歌』『フェイス・オフ』)の影響も見られます。(まあ、ジョン・ウーの影響受けたガンアクションは世界中にあるが)
 その他にも『踊る大捜査線』の本広克之監督の影響も入っているような気がします。
 こういった、様々な作品からの影響を、実に上手く「自分流にアレンジ」していますね。
 個人的にはスッゲー好きなタイプの映像の見せ方でした。

 基本設定に「朝鮮半島問題」が流れているのは、まあ、お国柄なのでしょうし、他の韓国映画ってほとんど観たこと無いので何とも言えないけど、あの国にとってはやはり「日常的に考えなくちゃならない目の前の問題」であり、朝鮮半島の両国が持っている「今、そこにある危機」なんでしょう。
 一応、冒頭に英語字幕で簡単な説明が出ますが(海外配給版にのみ入れているのかな?)、まあ常日頃ニュースを観ている人ならば、この「状況」はわかるでしょう。(当事国の人たちの切迫感までは理解することはできませんが)
 で、この基本状況が、ひっじょーに上手く物語に活きています。
 ずっと敵を徹底的に人間性を排除してきた「悪者」としての描き方をしておきながら、クライマックスで敵リーダーのあるセリフで、「彼がなぜ、あのような行動(作戦)に至ったか?」を説得力あるものとし、単純な「北=悪者 南=いい者」という図式にしていないところが素晴らしい!
 このへんの巧さは、98年のオレ的ベスト1映画『ピースメーカー』での核テロを起こす男の描き方に相通じており、かなり好み爆発!
 監督のカン・ジェギュが自分でシナリオも書いたそうですが、韓国では「第19回映画評論家協会賞 脚本賞」を受賞したのだそうです。「韓国にもマイケル・シェーファーのような脚本を書く人がいるのだなあ…」と思わされました。オレ的にはとても好きな作劇です。(映像的にも『ピースメーカー』の影響を感じるところがありますが)

 難点を上げれば…。多分、この公開版はカットされているな、かなり。
 中盤、いきなりシークエンスがド〜ンと飛ぶシーンが何カ所かありました。「間」を想像すると、おそらく最低でも15分前後は切られているような気がする。(本国版もああなのかな?)
 クライマックスはなあ…アレでOK!という気もする反面、「もう一工夫欲しかったかも」という気も若干する。
 でも、友人が日曜日に観に行ったときは、女性客がボロ泣きしていたそうです。
 あと、冒頭に朝鮮半島問題を「英語字幕」で説明入れたってのは「対 海外マーケット」で入れたのではないか?と思うんだけど、それであればクレジットも海外配給分は英語にして欲しかった。(香港映画などでは時々そうしている)
 キャストとかも結構気になる人たちがいるだけに、ハングル文字のみだと、さすがに全然読めなかったので。
(海外でもかなり売れる映画だと思うし、もったいないです)

 ま、「『シュリ』はかなりいいヨ!」ということで。(^^)

【了】


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