『ゴジラ 2000〈ミレニアム〉』
2000/01/11

 2000年スタートから早いものですでに10日が経過。
 で、この10日間、ついに来た本格的な世紀末に向けいろいろと準備していたと言いたいんだけど、実際は体調ガタガタ。
 風邪が流行っているというのは聞いていたのだけど、どうやらオイラも風邪らしい。
 前回書いたように、年末から妙に体調がおかしいなあ?と思っていたんだけど、年が明けて数日…。ある日突然、本格的に体調おかしくなって下痢。(^^;;)
 いきなりキタナイ話で悪いんだけど(^^;;)、先週末・金曜日の夜に、借りていたCDを返すべく知人と会っていた時、喫茶店の中でもお腹がゴロゴロ…
 慌ててトイレに駆け込んだのだが…
 「げ!!カギが壊れている?!」
 しかし個室は1個しかない…。すでにお腹はのっぴきならない状態になっているので、仕方なく突入。
 「誰か入ってきたらどうしよう…」とドアを手で押さえつつ、排便開始!
 ところが今度は!
 バビィ〜ッ!!ブリブリッ!!っとほとんどマンガの擬音のような排便サウンド!(しかも静かな便所内で70ホンはありそうな感じで)
 なんともスリリングな一時でした。


 んで週が明けて今日は、ちょこっと体調も良くなってきたので「久々に映画を観に行くか!」と有楽町に。
 で、『ゴジラ 2000〈ミレニアム〉』を観てきたんですけど…
 この映画、上記の日常の一場面よりもスリルも物語も無いんだわ。(^^;;)

 なんつーか、今混乱しておる。
 この映画、オレの体調よりもボロボロ…。(^^;;)
 「一体、今オレが観てきた物は何だったの?」というか…。

 『VS デストロイア』で仰々しく滅んだ、日本が誇る映画スター「ゴジラ」の久方ぶりの復活だ。
 本来ならS29年の1作目よろしく、物語冒頭でナゾの事件や現象が起こり、話が進んでいく中で「原因はゴジラの復活だった!あの脅威がまた蘇った!」みたいな盛り上げがあって然るべき。(だとオレは思う)
 物語のスタートは、主人公が地下の電磁波みたいのを測定して、「動いている物体がある」ことを知るシーンから始まるんですが、この出だし数十秒でオイラはてっきり…


 「VS デストロイア」でゴジラによる放射能災害は消え去った。
 しかし、人類にはまだ核や原子力は残されている。
 主人公は、東海村などへの地震などによる災害が起こらないように調査を続ける科学者。
 ある日彼は、原発近くの海底を震源とする小さな地震が頻発することに注目。調査を開始する。
 だが、調査の結果、どうやらその小型地震の震源(沖合)が、発生の度に徐々に陸に近づいてきていることに気づく。
 「地震の震源は動いたりなどしない…。これは、もしや…?」(←このセリフは本編にある)

※ハリウッド的作劇だと、ここまでで「冒頭10分」。

 ゴジラ復活の可能性を訴える主人公。
 だが、上層部はそれを聞き入れない。長きに渡って日本を脅かし続けていたゴジラ災害は、数年前のゴジラ自らのメルトダウンによってとうに過ぎ去ったのだ。
 各機関における「対ゴジラ災害予算」などというものもすでに無くなっており、「Gフォース」(平成ゴジラシリーズに登場していた「対ゴジラ機関」)もすでに解体している。
 それに「ゴジラ復活」などと下手に動けば、社会をパニックに陥れてしまう。

 だがある日、海外から青森に向けて秘密裏に運搬されていた使用済みウランの運搬船が消失。その地点は接近してきた「小型震源」のコース上だった。
 やはり!
 そして、東海村近海に、ついにゴジラが出現!やはりゴジラは復活していた!

※ハリウッド的作劇だと、ここで「30分」。当然、主要登場人物達のキャラクターもここまでで見せておく。

 Gフォースも対ゴジラ兵器も解体された今、果たしてどのようにゴジラに立ち向かえばいいのか?!



 …と、「こんな話だ!」と(わずか数秒間で)勝手に想い描いたのですが…
 実際は、主人公が「動いている物体がある」ことを知った数秒後にはタイトルバックで早くも(ホントにしょっぱなから)ゴジラ登場。
 なんの焦らしも盛り上げもケレンミも無し!!
 どうやら「ゴジラが蘇っている」のも大前提になっちゃっているらしい。

 この時点(つっても映画が始まってまだ2分も経っていないのだが)で、すっかり脱力。(-_-;;)
 しかもこのシーンで、主人公の娘(小学生)の大人のような態度&活躍&こまっしゃくれぶりにさらにガックリ。「ダメだ、コリャ!!」
 こういうガキのキャラクターを登場させるってのは、観客対象がガキである場合の常套手段。これによって、お子様達を映画の人物達と身近な物に錯覚させるわけだ。(昔の『ガメラ』とか『ウルトラマン』にもこういうガキが出ていたでしょ)
 しかし、こういうこまっしゃくれたガキキャラを登場させるってのも正直「前時代」の設定の仕方だけどな。(平成『ウルトラマン』3部作には、すでにこんなキャラ設定されていなかったでしょ)

 その後ストーリーは、次から次へと思いつきのような展開を見せ、自衛隊のゴジラとの戦い。挙げ句の果てが日本近海から引き揚げられたナゾの巨石が実は太古に地球に落っこちてきたUFOで…と、コレまた知能指数ゼロな展開に。
 もはや「映画秘宝」誌のような書き方すれば「脳ミソは家に置いて見に来い!!」の世界。

 途中で「ゴジラはナゼ復活したのか?結局ゴジラをどうしたいのか?なぜ破壊をするのか?ゴジラとは何なのか?」というコトが、登場人物達の口からセリフで一瞬語られるも、言ったソバから忘れられていき、ついに何一つ疑問は考えられることもなく解決もしない。(つーか、後半ではみんなそんな疑問すら忘れている)
 さらには突如現れた宇宙人が何者か?物語上どのような必然性がある物かもわからないまま、とりあえず怪獣(「オルガ」って設定名になっているけど、本編中ではそんな名前はついぞ語られず)が出現して都心部でゴジラと対決。
(んで、コイツが怪獣になる前に一瞬、宇宙人としての姿を見せるんだけど、コレが60年前くらいのセンス全開な「タコ型火星人」みたいなカタチでおもわず爆笑。ただし大きさは100mくらいあるが)

 途中見せ場(らしきもの)はテンコモリであるものの、「何一つ物語を展開させる見せ場が存在しない」というのも特筆すべきポイントだろう。
 ぜ〜んぶ「見せ場のための見せ場」。

 セリフも人物設定も、「作り手が何かをやりたかったのだろう」と思わせてくれる部分があるのだが、何一つ描けていないところも興味深い。
 例えば、理由などわからないが主人公は父子家庭。オヤジは全国のヒマ人共と民間の「ゴジラネット」なるゴジラ調査組織を運営している。
 この親子にからんでくる雑誌編集者の女性とかいたりして、何かドラマが起きそうなんだけど何も起きない。
 また主人公は「生物の進化のヒミツを研究するために、ゴジラは殺してはならない!だからゴジラ被害を「減らすために」、ゴジラネットをやっている」らしーんだけど…常識的に考えたらかなり狂っているよな。
 だって、減らしたって被害で死んだり、家を無くす人はいるんだから。
 しかも、ゴジラによる災害って、原発事故どころか原爆クラスの放射能災害なんじゃなかったっけ?
 反面、危機管理局のアタマを張っている阿部寛演じる男は、「ゴジラ災害を無くすには、ゴジラそのものの駆逐」という、どう考えても常識的な考えを持っているにもかかわらず、物語ではどういう意図なのか、全く好感の持てないキャラクターとして描かれ、挙げ句の果てに「因果」だとでも言わんばかりに劇中で唯一人ゴジラに殺される。
 あ、書き忘れたけど、この『ゴジラ2000』では彼以外には人が死ぬシーンが全くありません。誰も死んでいないのか?あんなのが首都で暴れて…

 ちなみに本来「ゴジラ」というキャラクターの存在意義でもあったはずの「放射能の脅威」についても、劇中でほとんどと言ってもいいほど語られません。
 どうやら家屋はやたらと壊れるが、殺傷力では林真須美よりも低いようだ。
 平成『ゴジラ』をガキ向けに陥れた張本人の一人、東宝の田中友幸プロデューサー(名作『初代ゴジラ』の生みの親の一人でもあるけど、近年の「ストーリーを捨ててでも10分に一度の見せ場と30分に一度の大見せ場を入れる」というガキ向けフォーマットを作った人でもある)が亡くなられたし、なんつったって「怪獣なんて物がホントに街で暴れたらどうなるか?」をイヤってほど見せつけてくれた『ガメラ3』の後だし、日本人は誰も納得行かなかったあの「USA版」の後ですぜ?
 「怪獣映画本家の意地ちゅうモンを見せちゃる!!」と東宝スタッフが大発奮したスゴイ物を期待したんだけどなあ…

 まあ、柏原寛司氏(代表作:『あぶない刑事』・TVスペシャル版の『ルパン三世』のつまらないヤツ全部)がシナリオって聞いた段階で「ああ、じゃあ、ストーリーは捨てているのね」と薄々思ってはいたのだが…。
 柏原氏のシナリオは予想通り、観客に脳味噌を使わせない親切設計。
 …っつーか、ストーリーとか内容あるのか?これ。マジで。
 少なくとも作劇における「起承転結」って定石は無いな。
 ほんとに頭使ってシナリオ書いてんのか?1時間半のシナリオを1時間半で書いているんじゃ…とすら思えてくる。

 確かに特撮はそこそこイケているシーンも多い。
 F−15が四方八方からゴジラに向けてミサイルを発射!再接近したところで全機が急上昇!というほとんどアクロバット飛行のような攻撃シーンとかは「お!」と思わせてくれる(実際にやったら、ほとんど間違いなく全機激突!でしょうが)し、ゴジラの分厚い表皮に対抗するため、爆発で倒すのではなく「貫通でダメージを与える!」という「フルメタル・ミサイル」(爆発しない。要はミサイルがライフルの貫通弾のようになっている)とかのアイデアも良かった。
 でも、「水中を泳いで進むゴジラの映像」とか、カッコイイんだけど明らかにUSA版からの影響丸見えなシーンとかもあり、「東宝!おめーら、プライド無いんかい!」とツッコミたくなるシーンも随所にあるし、今回のゴジラの設定身長はどれくらいなのだかしらんけど、「どー見てもゴジラが500mくらいに見えるシーン」とかもある。
 要は「あまり考えていない」ってコトだな。多分。

 「笑える」って意味でもなあ…。確かに笑えるけど、オレ的には『ゴジラ対キングギドラ』の方が100倍は笑えたな。
 んで、本編終わって恒例の予告編。
 来年は『ゴジラ2001』だそうです。(脱糞! >_<)

 【了】

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