一見なんの変哲もない人魚にみえますが、実はこのヒト体長が30センチ弱と極めて小型の種族に属しております。人魚族では珍しく陸上にある木の実などを食べて生きておりますが、基本的に「魚」であるため陸上で外敵などに遭遇してしまった場合、生存率は限りなくゼロに近いため上陸は荒天時か夜間に限られていました(それでも夜行性動物の脅威が常につきまとっています)。

 そこで彼女達のとった戦術は「陸上に普通にあるものに化ける」というものでした。彼女達の住む南太平洋沿岸にはハイビスカスの群生地が多く存在しており、これに紛れてしまえば敵をやり過ごせる可能性はかなり高くなる、そう考えたのでした。それから長い年月を経て尾鰭はハイビスカスの花びらそっくりに変化し、イヌ族など嗅覚の鋭い敵に対抗するため強烈な花の匂いを発する器官も備わり、今に至ってます。