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マスクの防御力

2009.05.20 (水)

 新種の豚インフルエンザが流行しているようで、マスクをした渡航者などが連日TV画面でクローズアップされている。
 薬局やドラッグストアでは品切れ状態が散見され、在庫もほとんどないという。
 医療用のマスク(相場は20枚で5000円前後)が、ネットで倍以上の価格で売れたという話も聞かれるほどの騒ぎだ。

 しかし、ここでひとつ問題にすべきことがある。
 現在、流行しているインフルエンザの予防にマスクはどれくらいの効果があるのか――? という素朴な疑問についてだ。
 会社やスタジアムの案内スタッフはマスクマスクとうるさいが、本当に着用する意味はあるのだろうか。

続き

結論:あんまりない

 あまり知られていないのかもしれないが、市販されているごく一般的なマスクで防げるのはホコリや花粉といった比較的大きな飛散物に過ぎない。
 インフルエンザなどのウイルスは花粉などと比較してはるかに小さく、マスクの繊維の間を容易にすり抜けてしまう。
 また、密着していない鼻とマスクの間にできた隙間などは完全なフリーパスのバイパス状態ときている。
 すなわちマスクとは放射線防護服などと同じで、自分が感染した時に周囲へ悪影響をばら撒かないための、いわばエチケット用装備にすぎないのだ。他人の病気(ウイルス)から自分を守るための効果は期待できない。

 実際、臨床ウイルス学の間でも、マスクの感染予防力については見解が大きく割れている。
 UK(イギリス)のように、保健相がマスクの効果について否定的な声明を出す国家もあるほどだ。
 CDC(米国疾病予防管理センター)も懐疑派の一角である。
 現状、マスクに関して確実に言えることは「細菌やウイルスからの予防効果は科学的に認められていない」ということ。
 更に言うなら、マスクがもたらすという保湿効果は、逆に感染リスクにも成りえるという研究報告もある。
 いつだったか、日本小児感染症学会で「マスクにインフルエンザ予防効果がある程度認められた」という発表があったようだが、あれはよく見てみると検証がザルで呆れさせられた。
 小学生を実験対象にしているくせ、マスクをつけさせたのは登下校中のみで、授業中は着用なし。挙句、期間はインフルエンザが流行していない時期のたった一ヶ月と、苦笑したくなるような内容になっていたのだ。

 今のところ、マスクはもしかしたら利くかもしれないお守りや気休め的な存在でしかないのだろう。
 もちろん、自分がウイルスを持っている場合は別だ。くしゃみの時、口や鼻から飛び出るウイルスの量を減らしてくれる(ゼロにはならず、実際はそれでもかなりバラ撒くことになる)点においては、多くの専門家もその効力を認めている。
 感染しているのに外出するというのなら、マスクの着用は逆にエチケットになるかもしれない。
 とりあえず、ガーゼマスクは防御力が低すぎるので、どうしてもマスクをしたいなら、不織布製の立体型マスクにすることをお勧めする。予防効果を考えるなら市販レヴェルならほぼこの一択。
 他のマスクは本当に気休め程度で、立体型不織布製でも一般人は着用方法がわりといい加減なところがあるため効果は薄いとする声も出てきそうだ。
 効果があるマスクを正しく着用していれば、十分もせずに呼吸が苦しくなり強いストレスを感じはじめる。
 それが正しいマスクの選び方における一応の目安になるのかもしれない。

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