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■骨髄とは?
骨の髄(ずい)です。それ以外のなにものでもありません。
人間の身体の中にある骨というのは、詳しく見るとチクワやストローのように中心部が空洞になっています。この空洞部にあるゼリー状の物質が <骨髄> です。主に血を造るという重要な働きがあります。読みは、「こつずい」です。よく脊髄(せきずい)と混同してしまう人がいますが、全くの別物です。
また、血液と同じように少なくなると自動的に生成されます。このため、骨髄移植で骨髄を他人に提供しても、しばらくすれば自然と元の状態にもどることになるでしょう。
■ドナーとは?
病気の人に、自分の健康な身体の一部分を提供する人です。
腎臓移植のドナーと言えば、腎臓病の人に自分の腎臓の一部を提供する人物です。骨髄移植のドナーは、白血病やその他の血液の病気の患者に、自分の健康な骨髄液を分け与えます。
腎臓や肝臓、肺を提供する場合は、一部分を切り取って渡すため無くなった部分は元に戻りません。(肝臓は元の大きさまで再生することもあるそうです)
しかし骨髄移植の場合、骨髄は血と同じように無くなってもすぐに生産されて回復するものです。しがって永久に失われるといったようなことにはならないのが特徴と言えるでしょう。
(ただしこれは海外の定義で、日本ではドナーを「骨髄提供希望者」としていて、実際の骨髄提供者とは分けて考えています)
ドナーは誰でも良いというわけではなく、実際のドナーになるためには幾つかの資格があります。
1.提供に関して法的に責任のとれる年齢であること
2.慎重な診察・検査で、健康上に問題がないこと
この2つが、主な資格の条件です。
■HLAとは?
白血球上にある物質で、人それぞれ様々な型のHLAを持っています。要するに、白血球の血液型と考えれば良いでしょう。ただ、私たちが良く知る赤血球の「A」「B」「O」「AB」型といった単純なものではなく、もっと高度に複雑に分類されるものです。骨髄移植を実際に成功させるには、ドナーと患者のHLAが一致している必要があります。
■骨髄移植が必要な病気(患者)とは?
1.白血病
2.重度の再生不良性貧血
3.リンパ腫(ホジキン病など)
4.多発性骨髄腫
5.免疫不全症
6.その他の固形ガン(乳ガンや卵巣ガンなど)
――以上のような病気の患者が骨髄移植を必要とします。ただし、他の治療で治る場合もあり、これらの病気だから必ず移植が必要になるわけではありません。
■なぜ骨髄移植をするのか?
是非ともしたいからです。
骨髄移植が必要となる病気では、当然ながら骨髄の働きがおかしくなっています。骨髄が悪くなり、正常な血液を作り出せないのです。つまり、ある未熟な血球が過剰に作り出されたり(白血病)、血球数が低くなったり(再生不良性貧血)するわけです。こうした不良な骨髄を、正常な骨髄と入れ返る部品交換のように考えてください。その交換作業が <骨髄移植> であると考えれば分かりやすいでしょう。
■骨髄の移植の方法は?
まず、提供者から骨髄液を抜き出します。それを患者に輸血のような方法で注ぎ込みます。
骨髄は、腸骨(ちょうこつ)という骨盤の一部から注射器で採取されます。提供者は全身麻酔を受け、手術室でうつ伏せになります。この状態から骨盤の背中側、ベルトの位置より少し下の腸骨に、専用の針を左右数カ所刺して吸引します。採取する量は患者の体重に応じて変わりますが、通常500〜1000mlの範囲です。所要時間は1〜3時間。抜き取った骨髄は、1ヵ月程度で回復します。
このようにして抜き取られた骨髄は機械によって移植用の処理を受け、患者の身体に点滴注射のような要領で注入されます。
骨髄は血液に似た液状の成分で、経静脈的に輸注されます。循環血液中にはいれば、生理的な機構が働きます。患者の不良(病的)な骨髄に代わり、骨髄腔内に自然に移植骨髄が生着します。骨髄移植に関しては、ドナーと違い患者は一切の痛みを感じません。
■骨髄採取が脊髄を傷つける恐れは?
ありません。あり得ません。
これは「ボディブロウ(ボクシングで腹部にパンチを入れること)を受たとき、顔面を複雑骨折する危険性がありうるか?」と質問するようなものです。
骨髄と脊髄は全く別物で、骨髄を注射器で抜き出すときにも脊髄には一切触れません。そもそも場所が違います。骨髄採取を腰椎穿刺と混同してしまったときに起こる誤った認識です。
■ドナー登録するには?
日本では、 <骨髄バンク> という組織に「自分の骨髄を病気の人に提供しても良い」という意思を示し、必要な情報を登録することを「ドナー登録」と呼んでいます。
ドナー登録は様々なところで受け付けられていますが、自宅から最も近い施設を知る手っ取り早い方法は、市役所や保健所に電話をかけて直接たずねることです。施設の名前と場所を聞き出したら、そこに予め電話、あるいは郵便で予約を入れると事は簡単に運びます。
また予約前に、骨髄移植推進財団(骨髄バンク)が発行している手引き書『チャンス』を読み、ドナー登録に理解を深めておくことをお薦めします。『チャンス』は財団に郵送を依頼するか、一部の保健所や献血所などで直接手に入れることができます。また財団のウェブサイト(ホームページ)でも閲覧できます。
●財団法人 骨髄移植推進財団
郵便番号:160-0005
住所:東京都新宿区新宿 2−13−12 新宿ISビル8階
電話:03(3355)5041 / FAX:03(3355)5090
http://www.jmdp.or.jp/
■ドナー登録はなぜ50歳まで?
海外では55歳〜60歳までドナー登録し、血液難病の患者に骨髄を提供するのが当たり前になっています。しかし日本は50歳までと短めに制限されていたのはなぜか。
この疑問に骨髄移植推進財団ドナーコーディネート部は、以下の3つを理由としてあげています。
1.年齢が上がるにつれて生活習慣病(いわゆる成人病)の割合が増えるため。
2.厚生労働省によると、年齢が50歳を超えると循環器系の有病率が上がるらしいから。
3.他の年代と比較して、健康上の理由で提供取り止めになるケースが多いから。
もっともらしい理由ではありますが、1991年の財団発足当初に制定された15年近く前の古いルールを引きずり続けていたことも事実です。また、根拠となっている具体的なデータが数値として示されていないので部外者には大変に是非を検証しにくい理由になっています。
血縁者(兄弟姉妹など)間では骨髄提供に年齢上限を特に設けていないことなどを考えると、いまいち説得力に欠ける話であったのかもしれません。
そこで2005年5月、厚生労働省はドナー登録の上限となる年齢上限を5歳引き上げる決定をしました。これによって、現在では55歳の方までドナー登録できるようになっています。
■ドナー登録に体重制限があるのはなぜ?
骨髄を採取するとき、全身麻酔をかける必要があるからです。一定の体重以下の人や、過度の肥満を抱えている人は、麻酔が効きにくかったり、逆に覚めにくかったりする場合があるので、ドナー登録できません。痩せるか太って、適正な体重にしてから再チャレンジしてください。ドナー候補者になる段階で、男性の場合45kg未満、女性で40kg未満の方はドナーになれません。
■ピアスを開けた直後だが、登録できるか?
ピアスの穴を開けたばかりの人でも、骨髄バンクへのドナー登録そのものは可能です。しかし、骨髄提供はすぐにできないこともあります。ピアスを開けた人が献血を断られるのと同じ理由で、血液を介してのウイルス感染が問題になるからです。
判断の基準は、ピアスを開けるときに使った道具と、その方法です。最も大切なのは、ピアッサー(ディスポーザブル器具)等を他人と共用しないこと。もし、ピアスを開けるときに使う道具を他人と一緒に使っていたりすると、1年間は、献血も骨髄提供もできません。器具の共有がなくクリーンに行われている場合は、1カ月間様子を見て炎症がでなければ、献血や骨髄提供をすることが出来る場合もあります。
■輸血経験者がドナー登録できないのはなぜ?
輸血を受けたことがある人は、献血することもできません。現在の検査方法では検出できないウイルスや、未知のウイルスが血液中に存在している可能性があり、またその血液を介して相手が病原体に感染する危険性があるからです。同じ理由から、ドナー登録もできない規則になっています。
■患者と適合したとき、連絡はどのようにくる?
調査の結果、病気の患者と相性が合い、本当に骨髄を提供できる可能性が出てきた場合、骨髄移植推進財団はそのドナーに対して手紙を郵送します。
具体的には <骨髄ドナーコーディネートのお知らせ> 、 <問診票> および付属書類、 <骨髄提供者となられる方へのご説明書> などの関係書類が入った大型の封筒が「速達」で届きます。
通常、問診票は4枚。必要事項に記入し、同封の封筒で原則1週間以内に返送する必要があります。封筒は速達用で、既に必要金額分の切手が張ってあり、返信先の記入もされているのでご安心ください。
その後、担当地区事務局のコーディネーターから電話連絡が入り、移植に向けた本格的な調整が始まります。
■実際に移植することになる確率は?
不明です。神のみぞ知るです。
その人物のHLA型がどれくらい珍しいかにもよりますし、たとえ万が一の確率で患者の型が適合しても、骨髄提供をその時点で断ればドナーになる確率はゼロになります。確率はドナーの運と意思次第で大きく変動します。
ちなみに、骨髄移植推進財団は「ドナー登録者の42.6人に1人が、実際に骨髄移植で自分の骨髄を提供しているというデータがある」と発表していますが、これは参考程度にしかなりません。
ちなみに、2005年1月時点の『ドナー登録者数』=202457人。
同時点の『骨髄移植実施回数』=『実際に提供し骨髄移植をしたドナーの人数』=6174人。
つまり、大まかな数値だと20万分の6千が、実際に骨髄提供することになる確率となります。より分かりやすい数値にすると約3%。100人に3人ということになります。しかし、ドナー登録者数は累計ではなく現在の速報値なので、これは完全なデータではありません。累計では25万人を超えているそうなので、実際にはもう少し確率が下がるでしょう。
■家族(血族間)とのHLAの適合確率は?
HLAの型は遺伝します。もっとも適合の確率が高いのは兄弟姉妹で、この場合は25%。4人に1人の割合です。その他は、たとえ両親であっても適合の確率はあまり高くありません。血族間でドナーが見つかる確率は、大雑把な数字だと30%程度だと言われています。
■他人(血が繋がらない人)とのHLAの適合の確率は?
民族や人種、HLA型の珍しさなどによって大きく変わってきます。たとえば日本人の場合、ほとんど単一民族国家に等しく、違う人種と血が交じり合うことが少なかったせいで、適合の確率は他の人種と比較して高めです。具体的な数値でいえば、数百人〜数万人に1人の確率と言われています。
数に開きがあるのは、HLAのタイプに色々な種類が存在するからです。普通の血液型でも「rhマイナス型」が珍しく、なかなかこの血液型の人が見つからないように、HLAの型にも希少でなかなかマッチする人が見つからないものがあります。反面、大変にありふれたタイプもあり、こうしたものは比較的簡単に見つかるようです。
■適合ドナーが見つかったら?
実際に、骨髄移植の話が動き出して準備と調整にはいることになるでしょう。具体的には何が行われるかというと、患者側は移植のために身体の調子を整えます。体力をつけたり、悪いガン細胞を殺す処理を受けたりして移植の成功率を上げる努力をします。 一方、提供者候補(ドナー)の元には、コーディネーターという調整役の係員が向かい、骨髄移植に関連する情報を伝え、意思の確認をし、移植に向けた更に詳しい検査などを行うよう勧めます。
適合ドナーは検査を受け、本当に骨髄提供できる条件を備えていることが確認されると、最終確認をとられます。家族を交えた話し合いが行われ、本当に移植を手伝うかどうかを決定します。
■適合ドナーが見つからなかった場合は?
骨髄移植をしたいが、骨髄を分けてくれる人が見つからない場合、患者は他に色々な治療方法を選択します。自分の骨髄に処理を施し、自分に移植するような治療方法もあります。臍帯血という、赤ちゃんのヘソの緒を使った移植なども考えられます。移植を諦め、薬や放射線のみを使った治療を続けることも考えられます。
しかし多くの場合、骨髄移植が必要とされる患者は、ドナーが見つからないと助かりません。移植なしで生き延びる患者もいますが、数は限られています。
■ドナーが骨髄提供を拒否する権利は?
もちろんあります。患者とHLA型が合致したと連絡があってから、候補者は度々『提供の意思』を確認されることになります。どの場合も、提供の意思を取り下げ、移植を拒否することは可能です。
しかし、最終同意確認に「OK」を1度出してからの拒否は、患者を殺すことになります。彼らは移植のために大変な準備をし、移植を成功させないと後がないという状態まで自分を追い込みます。その段階で移植をやめた、と提供者に言われれば絶望的な思いをすることになるでしょう。提供者はそのことを理解した上で、慎重に自分の結論を出すべきでしょう。
■海外の人に骨髄をあげると、ついでに旅行可?
そんな美味しい思いはさせません。骨髄移植推進財団と神が断固として阻止するでしょう。
実際のところ、日本人が外国人のために骨髄を提供するようなこともあり得ます。しかしその場合、日本人の骨髄は国内で採取され、抽出した骨髄液のみを海外へ運搬します。つまり提供者がいけるのは、国内の病院のベッドまでです。およそ三泊四日の旅となります。
ただし海外へは空輸による搬送をすることになるため、現在のところ、骨髄採取は関東・近畿・中部・九州の国際線が発着する空港に近い施設で行われます。以上の事情から、場合によってはこれらの都市にまで遠征する必要は出てくるでしょう。その場合の交通費などは、提供者の負担とはなりませんのでご安心ください。
■骨髄を提供する前に準備することは?
ドナーは完璧な健康チェックを移植の数週間前に受けます。これを受ける以外には、特別な準備は必要ありません。ただ、骨髄提供には1〜4日の入院が必要とされるケースが大半なので、社会人などはスケジュールをあける努力をする必要があるかもしれません。
■献血には引き続き行けるのか?
ドナー登録しているだけなら、全く問題ありません。しかし患者の一人とHLAの型が一致し、実際に骨髄移植のための準備が始まってからは、貧血や検査データに異常が出る可能性があるため控えるよう言われるはずです。無論、移植が無事に終了した後はまた献血に行くこともできるようになります。
■患者に考えられる危険は?
骨髄移植の成功は誰にも保証できません。未知の事例がなくなったわけではありませんし、人の顔がそれぞれ違うように、移植がもたらす反応や経過にも個人によってさまざまな差が出てくるのです。
そのなかでも無視できないのは、生殖機能が失われる可能性があることです。
患者は多くの場合、強力な放射線をつかった治療を受けます。その影響で、子どもを作るために必要な能力が失われてしまうことがあることは、この場でも特筆しておく必要があるでしょう。
クローズアップされることが少なく、一般的にはあまり知られていないことですが、この点について非常に悩まれる患者もあるようです。移植を成功させ、病気を完全に克服した方の中からは「こんなことなら移植をすべきではなかった」という声がでた、という話も耳にします。
骨髄移植を必要とするような病気は、ときに単なる健康上のことを超えた問題を患者に投げかけることがあります。それは失われた時間や社会的な立場、交友関係、そしてある種の将来であったりするようです。
■ドナーに考えられる危険性は?
ほとんどありません。ただし、全くないとも言えません。
1969年以降、骨髄移植は世界で数万件行われてきましたが、それに際して起こった死亡事故が全部で4件あります。そのうち日本では1件起こっており、これは骨髄バンクを介さない血族間(家族の間)での事故でした。
また、死亡に至らずとも、全身麻酔には危険性が少なからず伴ないます。他にもイレギュラーな事故として、骨髄を採取する注射の針が腰に刺さったまま折れたりすることも、とても小さな可能性ですがあり得ます。近年起こった大きな事故は以下の通りです。
●1998年、骨髄採取後の非血縁ドナーが急性C型肝炎を発症。院内感染による。
●2000年、骨髄採取後の非血縁ドナーに血腫(血のかたまり)が発生。
●2003年、骨髄採取後の非血縁ドナーに長期の腰痛。両側腸骨不全骨折、骨髄浮腫と判明。
●2003年、骨髄採取後の非血縁ドナーに酸素飽和度の低下の症状。
●2003年、骨髄採取後の非血縁ドナーの左腸腰部位に血腫が発生。
いずれの場合でも緊急に処置が行われ、ほとんどのドナーは極短期間で社会復帰を遂げています。また、こうした事故の度に安全対策が見直され、より安全性は高められています。今後も事故は起こるかもしれませんが、可能性はそれほど高くありません。よく交通事故に遭遇する確率が引き合いに出されますが、それくらい――あるいは、それより遥かに低い程度の確率です。
■骨髄提供に痛みは伴なうか?
個人差がありますが、大抵の場合は痛みを伴ないます。特に注射針を刺した腰の部分には、打撲を負ったような違和感が感じられるでしょう。少なくとも3〜4日は、骨盤のあたりがある程度痛むと考えて下さい。
日本骨髄バンクの <提供後48時間アンケート> によると、「採取した場所が痛むか」という質問に対し、提供者の14%(619人)が「痛む」と答え、69%(2642人)が「少し痛む」と答えています。
またこれは全米骨髄バンク(NMDP)の調査ですが、「移植の痛みは想像に比べてどうだったか」というアンケートに対し、ドナーの約20%が「想像より痛かった」と答え、約40%が「想像ほどではなかった」、約40%が「だいたい想像していた程度であった」と回答しています。
■ドナーの入院期間は?
入院の時期は、骨髄移植が行われる前日が一般的です。それから、移植のあと大体3日間入院をすることになります。人によっては伸びることもありますが、大体3〜6日程度と考えればよいでしょう。
骨髄移植推進財団の調査によると、入院期間の割合としては、「4日間」が2946ポイントと最も高く、次いで「5日間」が965ポイントで2位、3位は「3日間」319ポイント、4位は「6日間」317ポイントです。
入院期間が長引く最大の理由は、実は病院側のスケジュールの都合に過ぎません。
たとえば「骨髄採取を行うのは月曜日」といったルールを決めている大学病院などは、事務処理の都合などで前の週の金曜日から入院してほしい、とドナーに頼むでしょう。
採取の前日に入院してもらい、それから検査をおこなって翌日に本番を迎える――というのが多くの場合で共通したやり方なのですが、月曜日に採取するとなると、日曜日に入院してもらわなければならないからです。
しかし、大学病院は土日に手続き業務を行わないのです。これは入院手続きを行うこともないということであり、その都合でドナーを金曜日から呼びつけざるを得なくなるわけです。
こうした病院側の一方的な都合で日数を伸ばされるのが気に食わなければ、ドナーは最初に対策を打つことができます。
タイミングは適合者として選ばれたときです。ドナー候補は自分が利用する病院を幾つかの候補から選択できる(これは地域にどれだけ財団の指定病院があるかによっても違います)のですが、このときコーディネータに「どの病院を選ぶとどれだけの入院日数になるか」を確認しましょう。
そして都合の良い場所を選び、そこで採取が行われるよう調整してもらうのです。
「採取日を月曜日に固定しているような病院はお断り」「3泊4日で済ませることができる病院にしてほしい」といった条件をだせば、コーディネータはできるだけ要望に応じようと努力してくれるはずです。
この「病院選びの段階で、入院日数をある程度コントロールできる」という事実は、財団が発行するマニュアルにはどこにも書かれておらず、コーディネータも説明しないことがあるのだとか。大切なことなので是非とも覚えておきたいことです。
■ドナーと患者は面会できますか?
全くできません。少なくとも日本骨髄バンクは、提供者と患者を断固会わせないと決めているようです。
しかし骨髄提供を決意したドナーは、相手患者の入院期間中、或いはそれ以降も、病気の状態に関する報告を受けることができる場合もあります。ただし、これにも様々な制約があり、いつも満足できる情報が得られるとは限りません。基本的には、互いの情報は知りようがないと考えていた方が良いでしょう。
とはいえ、世界に眼を向ければ、ドナーと患者の面会が実際に行われたことは実際に何度かあります。たとえばNMDP(アメリカ骨髄バンク)では、1989年にイヴェントを通して非血族者間骨髄移植の患者とドナーが出会いました。ブルック・ウォード(当時6歳・女性)と、ドナーであるダイアン・ウォルターズ(当時49歳・女性)の対面は、多くの人に感動をもたらしたそうです。このイベントの模様は、日本でも衛星中継でTV放映されました。
シンガポールでも同様の試みが行われたという報告がありますが、これらはあくまで例外的な話であり、現在の日本では全く考えられないことです。ただし、世界の骨髄バンクでは両者の対面について進歩的な考えを持っているところも存在します。
■コストの負担は?
日本の場合、入院費用・検査費用・交通費など、ドナーが金銭的負担を負うことは全くありません。これらは患者側が支払ったり、医療保険や財団の援助金がカバーすることになります。
ただし、日本では社会的なシステムの整備が遅れていて、移植のために会社を休むことになっても、多くの場合で何の保障もしてくれはしません。ただの欠勤(普通は有給休暇をとることになるでしょうが)扱いとなる場合が多いでしょう。
この点での経済的な損失は、結局ドナーが負うことになります。近年、これに関しては議論が活発におこなわれており、社会的・法的な救済処置が求められています。
■移植の成功はいつ判明?
「生着」の最初の徴候は、移植が行われてから約2週間後に見られます。
この「生着」とは、新しい骨髄が患者の体内に根付き、血液細胞の生産をはじめたことを意味します。ある意味で、成功のサインです。
それ以降、白血球は増えつづけ、更に血小板の生産も始まります。移植後4〜6週間で無菌室治療は終わり、一般病室に戻ります。患者の退院は100日が目処です。
■複数回ドナーになることは?
骨髄は短期間で再生し、完全に元通りになるものですので、原理的には提供を繰り返すことが可能です。非常に稀なことですが、以前骨髄を提供した経験を持つドナーが、別の患者に改めて提供するということがありました。医学的には何の問題もありません。
ただし、上記したのはNMDP(アメリカ骨髄バンク)の見解です。
日本では、何故か1度骨髄提供すると1年間は再度提供ができないというシステムになっています。恐らく提供者の健康上・システム上の配慮からでしょう。提供回数の上限は2回までという規則もあります。これも日本限定のローカルルールです。
■相手に手紙やプレゼントを送れるか?
日本では、骨髄採取後1年以内であれば2回まで手紙を出すことができます。しかし、手紙には個人を特定するような内容を書けません。これを確認するため、事前に第三者によるチェックが入る可能性も否定できないかと思われます。
これとは別に、千羽鶴などを贈りたいという申し出が多かったりするようですが、物品については財団側が取次ぎを断固拒否する姿勢をとっています。つまりプレゼントを贈り合うのは不可能です。
参考
NMDPオリエンテーション・ガイド:全米血液資源教育プログラム,全米骨髄ドナープログラム
Bone Marrow Transplants "a Book of Basics For Patients":BMT Newsletter (c) 1992:Susan.L.Schwartz
骨髄バンク 「一人のために」から「みんなのために」へ,(C)1994 中公新書1219:十字猛夫
骨髄バンク入門 -Give Marrow Create New Life-,(C)1990:佐治博夫,十字猛夫,高橋孝喜
※このテキストは、日本骨髄バンクではなくNMDP(全米骨髄バンク)の資料を元に作成しています。よって、日本の事情とは若干の相違があり得ます。予めご了承下さい。
また、専門医の手による編集ではありませんので、誤解や謝った記述が存在するかもしれません。
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