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メタモルファンタジー エスクード

 地球世界とほとんど同じだけど魔法や亜人間が存在する世界「アンゴルノア」。そのアンゴルノアでは魔法や亜人間が衰退してきているが、今でもプロの「魔女っ娘」と「使い魔」は憧れの職業であり養成学校もある。そんな魔女っ娘&使い魔の専門学校のひとつである私立聖泉エンゲル魔法学院にひとりの転校生がやってきた。ハタヤマ・ヨシノリ、一見ただのハムスターのぬいぐるみとしか見えない彼の目的は、プロの使い魔になることではなく、人間に変身する魔法を憶えて人間の女の子とHをすること。そんな欲望の固まりであるハタヤマは偶然から、あらゆる生物に変身できる禁断の闇魔法「メタモル魔法」を知り、それを使い夜な夜な女の子にHな悪戯をする事に。最初はやむにやまれぬ事情から始めた悪戯であったが、秘密結社「闇魔法学会」の陰謀に巻き込まれ学院全体を巻き込む大騒動に・・・・

 はっきりいって購入前は、見た目がぬいぐるみというハタヤマと彼が「触手」に変身して悪戯するという設定に興味があっただけで、その他はとりたてて目立ったところはありませんでした。
 まぁ、触手ってのにはかなり惹かれてましたけどね(^^;

 ゲームシステムは選択肢による分岐と毎日の授業選択によるパラメーターアップ、魔法を使った戦闘から構成されたADV。パラメーターについては平均してあげていけばOKという感じで単調ですが、戦闘についてはなかなか面白いシステムをとっています。敵と対面して互いに3つの魔法を並べて順に実行していく方式なのですが、並べた魔法は対面の魔法と対応しており、攻撃-防御では攻撃が軽減され、攻撃-攻撃では互いの威力を相殺しあう結果になります。さらに補助魔法などが用意され、並びの魔法や対面の魔法に影響を及ぼしたりします。また魔法は3つの系統に分けられ、それぞれが色で判別できるようになっていますが、相手が具体的にどの魔法を並べているかは判りません。つまり相手の並べた魔法の色から予測し、自分の魔法が効果的になるように選択し配列するという戦略性が求められるわけです。イメージとしてはなんとなく遊戯王って感じかな?
 ただし、敵の攻撃パターンが限られているため、なれるとパターンが読めてしまい戦闘が単調になるのが×。もっとパターンを増やすか、より高度な思考ルーチンを用意するかしてあれば、良かったのですが・・・・。それでもその辺のくされ戦闘システムよりはかなり楽しめると思います。

 シナリオは全体的には闇魔法学会との対決というようにパターン化されているものの、ヒロイン毎にシナリオ展開が異なり、ヒロインを換えてプレイしても飽きません。しかし、パラメーター上げパートなどの手間があるため、ゲーム期間の2ヶ月が長く感じられます。シナリオそのものの出来は良いので、あまり意味のないパラメータ部分をどうにかできればもっと展開がスピーディーになり良かったかも。

 ヒロインに関しては、メイン3人は優等生で天然系の姉、子供っぽい妹、暴力中華女とありがちな設定。あとはサブヒロインで謎の美女、世話好きの妖精が設定されています。ぬいぐるみであるハタヤマとヒロインの関係やキャラ設定がうまくシナリオに生かされており○。ただし妹ヒロインであるビビアンに関してはちょっと声が・・・・
そのかわりサブヒロインの妖精のシルフェは萌え〜〜。いわゆる世話女房というか、やたらハタヤマにかまうのですが、その態度が可愛いんですよ〜。特にラブラブになってからが、すごくいい感じなんです。まぁ亜人間の美的感覚からするとハタヤマは美形らしいので、シルフェもハタヤマに夢中になっちゃうんでしょうけどね。でもHシーンが他のヒロインより少ないのが残念というか・・・・

 それよりも主人公のハタヤマのキャラがなかなかいい感じ。人間の女の子が好き(亜人間の世界ではかなりマニアック)で暴走気味だが小市民的小悪党のせこいハタヤマが段々と主人公らしくなっていくところもしっかり描かれており好感が持てます。ただし鬼畜を期待していた人にはものたりないかもしれません。でも基本的にコメディですから、本作は。

 さらに登場する脇役たちがさらに良く、キャラが立ちまくり。同好の志であるぬいぐるみの伊藤くん、扱いが低い師匠の篠原さん、ハタヤマを犯罪者としか見ていない人間の両親や、闇魔法学会のなさけない会員など性格設定も面白く主人公とのやりとりも笑えますし、きちんとシナリオにも組み込まれています。
 ラスボスともいえる闇魔法学会の総帥も単なる障害物ではなく、ちゃんと彼なりの思想に基づき行動しており、ガンダムのシャアのような敵役といえるか。まぁ、アニメではなくアメリカ版実写の方ともいえますが・・・

 特に凄いのは立ちキャラCGすらない、背景CGに書き込まれただけのクラスメイト。よくゲームに出てくる休み時間シーンの教室背景CGなどに描かれている顔も見えないようなクラスメイトなんですが、彼らにもちゃんと名前が設定され、さらにフルボイスで会話し、しかも彼らには彼らのドラマが用意されているのです。たんなるお笑いネタと思いつつも、クライマックス前に登場する彼らには大いに力づけられ感動さえした。特に物言わぬタダのくたびれた人形にしかみえない堀田君の存在感は大きい。よくわからないが(^^)

 HシーンはハタヤマはぬいぐるみでそのままではHは出来ませんので、必然的に変身したときに発生します。人間に変身してのHもありますが、やはり見所は触手(というか触手のあるモンスター)に変身してのHでしょう。触手モンスターに関しては通常のシナリオ展開では悪戯程度(冗談では済まないレベルではあるが)なので物足りなさはあるが、選択肢次第では、悪戯が暴走し鬼畜的展開にもなるので安心。ただしモンスターとヒロインの組み合わせを自由に出来るとか、もっとHのバリエーションを増やすとかして欲しかった。悪戯は毎回見ることになることになるシーンだけに一度のプレイでほとんどが見ることが出来てしまうのは残念。
 あとはヒロインがあえぐだけでいまいちマグロ気味でなのが残念。モンスターの毒で感じちゃうという設定なのだから、もう少し乱れても良かったと思うのだけど。

 とにかく期待以上に世界設定やキャラ設定が良くできており、またそれらが笑いをとりつつもシナリオにうまくまとめられている点が評価できます。変にシリアスに湿っぽくなりすぎないところも良かったです。(01.12.23)

評価:84

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