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あにめショップへいこう！　 SQUADRA D

　夏休みをエンジョイしようと考えていた矢先、以前のバイト先から強引なアルバイトの誘いが。そのバイト先とは・・・・

　ということで、東海地方にチェーン展開するアニメショップを舞台にしたバイト恋愛ADVです。もちろんモデルとなっているのはスクアドラＤの母体である等身大フィギュアでおなじみのペーパームーン。ただし従業員の女の子の制服はゲームオリジナルです。残念。

　派手な制服がウリのバイトものといっても、ファミレスとは違ってアニメショップ。端々に業界ネタというかオタクネタがちりばめられています。在庫管理やポップづくりといった地味なところから、コスプレ、同人誌、声優、会話に出てくる古い特撮ネタなどなど楽しめます。極めつけはヒロインのひとりである桜井の出すマニアクイズで、出題分野も広く（ある意味狭く）確かにマニアック。ただ私も守備範囲内の問題なら大体判ったので、皆で集まって頭をひねれば全問正解も可能でしょう。しかし、ウルトラセブン12話ネタが何度も出てくるんだけど、やばくないのかなぁ・・・・。
　またその他のネタとしては、食の最前線の愛知が舞台なので、異色な食べ物ネタもあり。もちろん「山」ネタもあります。しかしこれらのマニアネタも小ネタ扱いとはいえ、（というか、小ネタだけに）元ネタを知らないと楽しめないんじゃないかと。特に二十歳前後の人とか辛くないだろうか。

　さて、登場人物ですが、ありがちなようで結構特殊。主人公はバイト経験者なのですでに仕事は習得済み。大学4年（しかも自然科学系らしい）というのも微妙な位置づけ。メインヒロインの橘美子はかなり小柄で貧乳のドジキャラ。はわわわわ〜って感じですが車の免許を持っているのが妙。副店長の神代姫は巨乳お姉さまキャラですが、実は主人公より年下。桜井千草はオタクキャラでシナリオも予想通りですが、高校生のようで実は短大生だそうです。あれは制服じゃなかったんですね。高杉朋美は自殺願望を持った少女でシナリオ的には異質。叶野波も高杉と同じ制服を着ていますが、シナリオの展開や車の免許を持っていることを考えると実は制服のある短大なのかも。

　原画は等身大フィギュアのデザインもしているあるなーじゅさん。キャラ自体は地味というかある意味古くさい絵ですが、80年代アイドルを意識した紅林まきしなどいい味を出しています。Ｈシーンにしても顔に似合わず肉感的な（特に胸）体つきが妙にＨで良いです。このあたりも80年代っぽくって良いですね〜。というか遊人っぽいのか？
　そして個人的に素晴らしいのが店の制服のデザイン。なんといってもビスチェですよ、ビスチェ。こぼれそうな巨乳の姫も隙間から見えそうな貧乳の美子も良いですが、ノーマルが一番ですな。メインキャラではありませんが、この二人以外にも店員が登場し、あまつさえＨシーンがあるのは最高です。あ、もちろんメインの二人についても制服Ｈシーンがあります。Piaキャロも見習うように。

　イベントCGの多くはＨシーンで、それはそれで良いのですが、その分シナリオのポイントとなるところにあまりCGが入れられていないのが残念。例えば初登場シーンでいきなりこける美子。普通ならここでイベントCGくらい入れるでしょう。それからやはり初登場シーンで橋から飛び降り自殺しようとする朋美。でも背景CGには橋どころか川もない。病院にお見舞いに行くシーンで背景CGで空きベッド。店に飾ってあるドールが無くなった！でもCGは同じ。絵とシナリオが食い違っていると混乱すると思うのですが・・・・。

　一応メインの女性キャラについては部分的にボイスがあります。が、デフォルトではOffに。普通、わざわざボイス入れたんだからデフォルトはOnだろう、と思ったのですが、実際にプレイしてみると理由が判ったような。一部のキャラの声が超下手。実はこの一本調子なしゃべり方は伏線なんじゃないかと思わせるくらい下手。ボイスをリプレイ出来る機能がついているのですが、そんなものいらないくらい下手。
　下手以外に印象に残ったのが、ヒロインが主人公に対して怒るシーンがあるのですが、その時の声が、地獄のそこから聞こえてくるような低い声。はっきりいって滅茶苦茶怖かったです。でもすぐに高くなったりするので聞きづらい。

　ゲームシステムは前半は1日づつ午前、午後の仕事を決めていく方式ですが、メインキャラについてはどこに誰がいるかが大体判るようになっており、さらに重要なイベント以外はかなり短い（それこそ一瞬で終わるものが多い）のでテンポよくゲームは進行します。18日以降は通常のADVの形式になるのですが、全体的に能動的な選択肢が少なくゲーム性に乏しいところも有り。またシナリオは全体的に小ネタは多いものの、個々のシナリオ自体は小振りで書き込みがたりない気がします。野波シナリオなど波瀾万丈な気がするのですが、思いの外あっさりしていて残念、とか。

　とはいえ面白くないかと言えばそんなことはなく、アニメショップを舞台にした話という枠を越えたバラエティ豊かなシナリオや設定、先が読めているようで読めないびっくり箱的展開はかなり楽しめると思います。また鬼畜な展開やマニアクイズ、ミニゲーム、隠れシナリオなどおまけ的要素も多く、変にシナリオが長すぎないこともあり最後まで飽きずに遊べました。
　ただしＨシーンは多いのですが、ダーク気味なＨも多く軽いノリの恋愛モノを期待すると当てがはずれることもあり。またスタッフロール後にエピローグが入ったり入らなかったりするのは、クリアしたかどうか判らないので、そのあたりのスタイルは統一して欲しかったです。

　さて、実はあるシナリオをクリアするとTrueシナリオが見れるようになるのですが、小振りな他のシナリオとは異なり3章からなるボリュームたっぷりの内容で、CGなどの演出にも妙に力が入っています。物語はシリアスでちょっと痛い系。あまりにも他のシナリオと異質で先の読めない展開は面白かったです。
　でも、アニメショップという設定からかなり逸脱（というか無視）した選択肢のない読み物であり、このゲームのTrueシナリオとしては問題がある気がちょっとします。なんかこのシナリオが一番スタッフが書きたかったんじゃないかと思いましたが、それならそれで別にゲーム作った方が良かったかも。

　ということで、全体としてのレベルは決して高くないのですが、色々やって楽しませようという気持ちは伝わってきますし、妙に地味なところも手作りぃ〜〜って感じで好感が持てます。演出、グラフィック、音楽などTrueシナリオレベルにブラッシュアップされればかなりいい感じになるんじゃないかなぁ、と次に期待。（01.4.27）

評価：75
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