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顔のない月  ROOT

 羽山浩一は所属するゼミの民俗学教授にむりやり連れられて一時帰郷する事となった。彼は信州の名家・倉木家に繋がるものであり、その倉木本家の屋敷で一族のしきたりにより彼が一人娘の鈴菜と結婚し本家当主となることを突然告げられる。教授の説得により1か月後の「月待ちの儀」まで仮の当主として屋敷に留まることとなるのだが・・・・。

 人気原画家のCARNELIAN女史のプロデュースということで期待されていたが、延期による延期でようやく20世紀末に発売となった本作品、私も体験版をプレイしてそれなりに手応えを感じていたので発売を心待ちにしていました。発売日も会社さぼって朝から並んだしね。で、そこまでして買っておきながら結局プレイしたのは21世紀になってから。プレイした感想はというと・・・・・・疲れた。

 CGに関してはCARNELIAN女史ですから一級品です。女の子は可愛いしCGも綺麗だし枚数多いし(126枚以上)そのほとんどはHシーンだし。購入動機の第一位はCGでしょうから、皆様満足されたことでしょう。
 ただし、CG自体はいいのですが、CGにメッセージボックスが思いっきり被さってるのがダメ。しかもCGの肝心の部分(例えば、手にしたナイフとか)がメッセージボックスを消さないと見えないというのはどうしたものか。特にHシーンでは顔や大切な部分が見えなかったりして、テキストとCGを同時に楽しめないのは最悪。

 音楽は・・・・・・すみません、うちの環境では再生されませんでした。最新のMediaPlayerが必要ということでしたが、Win95なので7ではなく6.4が最新。それが原因というよりもサウンドボードに問題があったのかも。他でもBGMが鳴らないという話もありましたので、環境によってはそういうことがあるみたいです。とりあえずBGMがないと眠たいですね。

 まぁ、眠いのはBGMがないからだけではありません。とにかく長い、たるい。ゲーム期間は4週間なのですが、1プレイ6時間くらいでしょうか。ネタバレになりますが、Trueシナリオを見るためにはいくつかのエンディングを見ておく必要があります。で、エンディングに至るまでもたるいんですよねぇ。

 まず基本的システムは各選択肢による思慕と情欲の2つのパラメータ変化とフラグによるマルチエンディングのADVとなっています。ただしパラメータは実質的にメインヒロインである鈴菜のシナリオ分岐に影響するだけでほとんど意味がありません。選択肢も基本的にオンリープレイに徹していればクリア出来る、というかオンリープレイに徹していないとHappyEndにはいけない(一部例外あり)ようです。そのため、昼と夜の主人公の移動先は狙いのヒロインを選ぶだけになってしまっています。実際、選択肢などをわかりやすくしてシナリオ進行がとぎれないようにしてゲームを楽しめるよう製作したそうですが、シナリオがどんどん進むからといってゲームとして楽しめるかどうかは疑問。さらにこのシナリオの進行が遅い遅い・・・・。

 シナリオ進行を遅くしている原因の一つは効果音と画面エフェクト。体験版をプレイしたときもドアの音やタバコを吸うときのライターの音などがちょっとしつこいと思っていたのですが、本編ではプレイ時間が長いこともあって余計いらいらさせられます。主人公がとにかく事あるごとにタバコを吸うんですよ。私は特に嫌煙家という訳ではありませんが、携帯灰皿を持っているとはいえ、やたらとタバコを吸いまくる主人公に殺意を抱きました。今時、主人公にタバコを吸わせることにどれだけ意味があるのか?シナリオのギミックにタバコが効果的に使われているわけでもないし。
 またシーンやシステムメニューなどの画面の切り替わり時にフェードがかかるのだが、これがとろくてうざったい。効果音にしてもエフェクトにしてもシナリオを盛り上げる点で効果的なのだが、あまりにしつこいとゲームの進行を妨げると思うのだがどうだろうか。

 次にシナリオについて。骨子は、山奥の名家に伝わる神事とか、謎めいた館の住人とか、女性の顔を認識できない主人公とか、主人公の隠された過去とか、色々とネタが仕込んであって興味深かったと思います。
 しかし、かなり謎を含んだミステリアスな物語なのに、シナリオの前半ではヒロインと関係を深めるためにひたすら女の子の尻を追いかける展開となり、その間にも謎の断片が示されるのだが、本当に断片だけ。後半では倉木家と儀式に関する話が多くなってくるのだが、それでも示されるのはやはり謎の断片だけだ。Trueシナリオにいけば真実が明らかにされるのだが、全体的にテキストが饒舌なわりに説明不足で話の繋がりがわかりにくい。会話主体のテキストも更に話をわかりにくくしているかも。しかも、主人公は最後まで女の尻を追いかけてるだけであまり積極的に謎を解こうという雰囲気がないし。そのため、Trueシナリオをクリアして大団円を迎えてもすっきりとした気分にはなりませんでした。
 また各ヒロインのエンディングがその後の展開を期待させる物だったのに、それがTrueシナリオに繋がっていなかったのも期待はずれかな(勝手な思いこみではありますが)。
 そもそも主人公の「いままで女性の顔が認識できなかった」という設定はなんだったのだろうか? もしかして「女性に対するテクニックを持っていつつも今は赤面してしまうほどうぶ」というのは、鬼畜と純愛をあわせるためなのか。それともチェリーボーイなプレイヤーのレベルにあわせた結果なのか。う〜〜む。
 ということで、アドベンチャーゲームとしてはB級のシナリオだと思います。この点に関しては、スタッフがコンシューマゲーム製作出身が多く、AVG製作に慣れていないとのコメントがあるので仕方ないかもしれません。それでもCARNELIAN女史は散々AVG製作に関わってきたのですから、もう少しなんとかならなかったのでしょうか?

 さて、このゲームの売りであるHシーンに関して。キャラの立った豊富なシチュエーションHを目指したらしいので、とにかくHシーンは多いです。シナリオによっては毎日Hといった感じになります。そのシチュエーションも巫女服だったり、制服だったり、お風呂場だったりといろいろ。
 しかし、な〜んか物足りない。Hに関しては人それ趣味嗜好があるでしょうが、ほとんどのHで女の子が受け身であり、ただあえぎ声をあげてるだけで、いまいちあっさり気味だし淫靡さにも欠ける。個人的には、もっと汁気が多く、女の子がもっと積極的に迫ってこないとダメですね。折角、情欲というパラメータがあるのだから、それに連動して段々女の子がHに積極的になってくるという展開にすれば面白かったのに。
 まぁ、Hシーンで良かったのは着衣Hかな?ほとんどのシーンは着衣Hなのですが、特に鈴菜のスカートから見えるペチコートとか沙也加のビスチェとガーターとか萌え萌え。あぁ、沙也加可愛いなぁ〜もっとHシーン欲しかったなぁ。鈴菜もいいけど、マグロだしなぁ〜。シナリオ的にも鈴菜ってキーパーソンではあるけど、お飾りみたいな存在だったしなぁ。Hシーンが多いだけって感じ。(01.1.9/01.1.13改訂)

評価:66

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