終ノ空 ケロQ同級生の自殺がきっかけとなり生徒の間に終末思想が広がる。それは学校という閉鎖空間で増幅され意外な方向に物語は進んでいく。終ノ空は、この物語を4人の登場人物の視点でそれぞれ描くマルチビューADVである。 ゲームは4人の主人公による4つのシナリオで構成され、1つのシナリオをクリアするごとに次のシナリオが始まりさらにエピローグがつきます。んが、しかし、全シナリオ中でシナリオに影響するようなものは(ちゃんと確認はしてないが)2つか3つ程度。もしかしたらシナリオ展開が異なるようなものは1つだけかも。シナリオ展開が変わると言っても一部のHシーンの構成が変わるだけで物語の大枠は全然変わりなし。つまりほぼ一本道ADVなわけです。 ということでゲーム性はほとんどありませんが、シナリオ自体はどうかというと・・・私にはちょっと合いませんでした。スタッフも何年も哲学書を読みあさり(趣味なのかな?)、それを元ネタにして、生きる意味とは何か?、この世界の真実とは?といったことを中心にシナリオがかかれているようです。しかしその哲学的部分が書物からの説や比喩などの引用で語られることが多く、主人公の現実の行動や体験として、そういうテーマを感じさせる部分がほとんどありません。いくら登場人物たちが形而上学的問答を繰り返しても物語として行動や体験を伴わず、プレイヤーは感情移入が出来ずに置いてきぼりを食った感がありました。まぁ、カントからラヴクラフトまで幅広いネタを用意したけど、ネタが多すぎて練りこみが甘くなったと言ったところでしょうかね?(^^; また生徒が過激な終末思想に染まっていく過程も唐突で、表層の語りがやたらくどくてわかりにくい割に物語自体としては非常にあっさりしています。スタッフのコメントでは出来るだけわかりやすくするということでしたが、私には単純な物語に難解なテキストを載せてわかりにくくしているように思えました(^^; あとマルチビューとならぶ売りとしてあげられていたAES(オルタナティブエモーションシステム)と呼ばれるシステムですが、これは単に全画面テキストとウインドウテキスト表示を使い分けるというもの。それなりに効果的な場面もありましたが、この全画面表示をするときにエフェクトをかけて画面切り替えが行われる(しかも遅い)ため非常にいらつきます。しかもテキスト送りにしてもこの画面切り替えは行われるので、1話まるまる早送りにしても1時間くらいかかりました。箱に「Macromedia Directer」の表記があったので嫌な予感はしたのですが、このエフェクトの遅さもDirecter由来なのでしょうか? この切り替えの遅さ故にリプレイをする気が失せました。うちのマシンが遅いせいか?Cerelon300A(でもノーマル)なんだけど。 CGについてはスタッフが(たぶんケロQ自身の母体が)ケロッPディスクという同人CGサークルの人々であるため、クオリティは高めです。しかし複数の原画担当がいるため絵のタッチに差が目立ち、しかもキャラの頭身まで異なるので、キャラが並ぶと違和感が生じます。それにCG枚数も少な目ですね。HシーンもケロッPらしくふたなりキャラが出てきますが、期待していたほどの濃さではありませんでした。 なんにしてもダーク系の作品は難しいです。客の興味は引きやすいが満足できる作品が出せるかというと・・・・・・(^^; (99.9.1/99.10.7改訂) 評価:55 |