華代ちゃんシリーズ






「覗き」

作・風祭玲 −KAZE−
(原案者・真城 悠)




「華代ちゃん」シリーズの詳細については、以下の公式ページを参照して下さい。



http://www.geocities.co.jp/Playtown/7073/kayo_chan00.html






こんにちは。初めまして。私は真城華代と申します。

最近は本当に心の寂しい人ばかり。
そんな皆さんの為に、私は活動しています。

まだまだ未熟ですけれども、たまたまた私が通りかかりましたとき、
お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。

私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。
どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。

報酬ですか?いえ、お金は頂いておりません。お客様が満足頂ければ、それが何よりの報酬でございます。

 さて、今回のお客様は――



「おいっ、知っているか?」

キツかったラグビー部の合宿も残すところあとわずかとなり、

緊張感が和らいだ練習後、中野は俺に突然言ってきた。

「何が?」

「ほら…あの山の真ん中にお寺があるだろう」

と言って中野が指した目の前の山の中腹にお寺のような建物があった。

あぁ、あれってやっぱりお寺なんだ…

「で、あれがどうした」

「尼寺なんだってよ…」

「おぃ、それって本当か?」

横で聞いていた小金井が割り込んでくる。

「あぁ間違いないそうだ」と中野

「そういえば、俺、数人の尼さんが歩いているところ見たことあるよ」三鷹が言う。

「で、それがどうしたんだ?」俺が聞く

「日野クン、キミと言うヤツは…」中野があきれ顔で言う

「覗きに行くに決まっているだろう…尼寺だよあ・ま・で・ら。

男を絶ち俗世を棄てたうる若き乙女達が、 悶々とした日々を過ごしているんだよ、

これを覗き行かなくては失礼であろう。」

中野、お前溜まってねぇーか?

それに、どぅすればそういう理屈が成り立つんだ?

「と、言うわけで、我々はこれから尼寺探検に向かう」

「はいはい、行ってらっしゃいっ」とあしらう俺

「ひぃ〜のぉ〜くん」

中野が思いっきりドアップになる、あと少しで額がくっつく(離れろ!!)

「このプロジェクトに関わった以上、キミは自動的に我々の仲間だ、 抜け駆けは一切ゆるさん。」

「抜けがけぇ?」

あきれ顔の俺のそばにそっと近づいた中野は

「それに、マネージャの国分寺さんとデキていること、 先輩達にバラしていいのかなぁ…」と小声で言う。

「きったねぇぞ」中野をにらむが、

「協力してくれるよね」にっこりと中野がほほえむ。

結局、中野に引きずられるように合宿所を抜け出した(出された)俺は 渋々と山道を登って行った。

ややキツメの山道を登ること30分 やがて目の前に大きな山門が姿を現した。

「なかなか見事な門ですね、こりゃぁ徳川時代のものかなぁ…」

歴史が好きな小金井がしげしげと眺める。

「さぁ…行くぞ」と中野が言う

「じゃぁ、俺はここで…」

と言って引き返そうとしたとたん、小金井と三鷹に両腕をがっしりと握られた。

「抜け駆けは揺るさん!!といったろぅ」と中野

「誰が抜け駆けをするかっ、俺は帰るっ」と反論してみたが、

「日野君、先輩達のお仕置きって凄惨を極めるって聞いているけど…我々につき合ってくれるよね。」とウインクする中野

「わかったよ、行けばいいんでしょう、行けば」

「物わかりがいい日野君って好き」

「勝手にしろ」

俺たち4人は山門を抜け境内へ入った。

中に入ったとたんフッっと空気が変わった…

なんて言うか、清々しいと言うか清楚と言うかそんな感じだ。

「きれいに手入れしてますねぇ…」三鷹が盛んに感心する。

そぅいや、三鷹って園芸が趣味だって聞いてたなぁ…

確かに、境内は隙がないくらい美しく整備してあり、歩くのがもったいないくらいだ。

しばらく進むと本堂が見えてきた、山門に負けないくらい立派な建物だ。

が、本堂に近づくに連れ動く人影が見えてきた。

「隠れろ!!」中野の指示で俺たちは取りあえず近くの木の陰に隠れる。

木陰からそっと覗くと、黒衣に白頭巾と言う出で立ちの3人の尼僧が、何か作業をしている様子だった。

「尼さん、いましたね」と小金井

中野は周囲を見回した後としたあと、

「よし、こっちだ」と言って庭木の間を這うように移動する。

「なぁ」

「しっ、黙ってろ」

しばらくつき合ってみたものの、だんだん馬鹿馬鹿しくなってきた。

そしてついに「これ以上つき合ってられない」と立ち上がったとき、

フワっと黒い陰が視界を遮り、そして、人の顔がアップになった。

「えっ」俺は何が起きたか判らなかった。

「キャァ−ッ」目の前の人物が驚き大声を出す。

ヤバイ、俺たちは本能的に逃げ出す。

「何事ですか?」尼僧の悲鳴を聞き他の尼僧達が集まる。

腰を抜かした尼僧が指を指した先に一目散にかけていく俺たちの姿が…

たちまち境内はハチの巣を突っついた様な騒ぎになった。


「う〜ん、これでは脱出は困難か…」

何とか納屋の陰に隠れるコトが出来た俺達は、周囲の状況を観察していたが、

状況は悪くなる一方だった。

っとそのとき、何か考えが思いついた中野は急にまじめ顔になると、

俺の両肩に手をおき「日野君、これからキミに使命を与えよう!!」と言った。

「はぁ?」何かいやな予感がする。

「キミのすばらしい運動神経で、彼女たちの注意を引きつておいてくれたまえ。」

「ちょっと、ちょっと、それって…」

「それでは健闘を祈る!!、ぐっどらっく」っと言ったとたん、

俺は思いっきり突き飛ばされ、中庭に飛び出してしまった。

「あっ、居ました!!、あそこです!!」

俺の姿を見つけた尼僧が大声で叫ぶ、ワラワラと集まてくる尼僧達。

その場から逃げ出す俺、とにかく山門まで行くしかない、

しかし、苔むした庭を走っていると「ズルッ」と足を滑らせ俺は思いっきりスッ転んだ。

イテテ…立ち上がると、足をひねっただろうか思うように走れない。

「こっちに行ったようです」

尼僧達は集まり周囲を探しだした。

万事休す。


「お困りですか?」

声がした方を見ると一人の少女が立っていた。

「あちゃぁ〜見つかった!!」

そう思って観念したところ 一枚の紙が差し出された、

「ココロとカラダの悩み、お受けいたします 真城 華代」

とそれには書いてあった。


「居ましたか?」

「いえ居ません」 尼僧の声が近づいてくる。

「どぅやら、あの方達に見つかると困ることになるようですね。」

少女の言葉に俺は無言で頷いた。

「判りました、では早速」

「それ…」

少女の声がしたとたん、急に胸がくすぐったくなってきた…

「どうしたんだ?」

胸に手を持っていく、小さな膨らみを手のひらに感じる。

「なっ、何だコレ?…」と困惑しているウチに、

それがムクムクと成長しそして立派な乳房になった。

身体の変化はさらに続き、手が細く白く、肩は徐々に狭くなり…

鍛えてきた筋肉が見る見る削ぎ落ちると、腰が括れ自然と内股になった。

ふと頭に風を感じたので手を頭上に持っていくと、

やや長髪だった髪はすっかり無くなっていて、ツルツルの坊主頭になっていた。

「こっこれは…」

自分の変化に驚いてる間もなく変化はさらに続き、

着ていたジャージは粘土細工のように変化すると白衣と黒衣に替わった。

さらに、坊主頭に白頭巾が被さると 何時の間にか手に数珠が…

こうして俺は瞬く間に黒衣に白頭巾の尼僧になった。


そのときガサッっと追ってきた尼僧が顔を出す。

そして俺の姿を見るなり「怪しい者は、何処へ行きました?」と訪ねた。

俺は意味もなく手を本堂の方へ差し出すと、

尼僧は本堂を振り返り「あっちに行きましたか…」と言うと、

「本堂の方に逃げたようです」と他の尼僧に指示をした。

たちまち尼僧達は俺の周囲から姿を消した。

周囲に誰もいなくなったコトを確かめると俺はその場にへたり込んだ。

そして、さっきの少女のコトを思いだすと、少女の姿を探した。

「華代ちゃん?」

「華代ちゃん…何処行ったの…」

「ねぇ…俺を…あたしを元に戻して…よ」

尼僧の呼ぶ声が山の中へと消えていく…





今回の依頼は実に簡単でした。

私の機転で無事事なきを得た日野クン、これからは俗世を忘れた生活をエンジョイしてくださいな。

さて、何か困ったことがありましたら何なりとお申しつけ下さい。

今度はあなたの街にお邪魔するかも知れません。

それではまた。




あとがき
ども、お粗末様でした。

華代ちゃんシリーズ第2作は如何でしたでしょうか?

この作品は私にとって第3作目でして、
実は2作目を書いている途中ですっかり煮詰まってしまい、
その時ふっと思いついたネタを一気に打ち込んでみました。

ただ、それ故に改めて読み返してみると、
1作目に負けず劣らずの問題だらけですね、
これらを反省点に次を書いてみたいと思います。





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