華代ちゃんシリーズ






「舞台」

作・風祭玲 −KAZE−
(原案者・真城 悠)




「華代ちゃん」シリーズの詳細については、以下の公式ページを参照して下さい。

http://www.geocities.co.jp/Playtown/7073/kayo_chan00.html






こんにちは。初めまして。私は真城華代と申します。

最近は本当に心の寂しい人ばかり。
そんな皆さんの為に、私は活動しています。

まだまだ未熟ですけれども、たまたまた私が通りかかりましたとき、
お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。

私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。
どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。

報酬ですか?いえ、お金は頂いておりません。
お客様が満足頂ければ、それが何よりの報酬でございます。

さて、今回のお客様は――



「えぇっ、見に来てくれるって約束だったでしょう…」っと女

「悪りい、どうしても急に外せない用事が出来たんだ」っと男

「だってぇ…」女はプッとふくれる。

「なぁに、どうせその他大勢の一人なんだろう…」と言ったところで

パァ〜ン!!

男の頬に平手打ちが飛ぶ。

「悪かったわねっ、どうせ私はその他大勢ですよ。」

「もぅ、敏夫のバカァ」女はそう言い残して男の元から走り去って行く

「ってぇなもぅ…」男は頬をさすりながら、去っていく女の姿を見送った。


「バカバカバカ…敏夫のバカ…」

女はしばらく走ると、走るのを止め歩き出した。

っとその時

「おねぇ〜ちゃん」

後ろから呼ぶ声

「えっ」

振り向くとそこに一人の少女が立っていた。

「誰?」

「はいコレ」

と言って少女は名刺のような紙を差し出す。

「ココロとカラダの悩み、お受けいたします 真城 華代」

とそれには書いてあった。

「何かお悩みの様ですが、良ければ話を聞かせてくれませんか?」と少女は言った。

近くの公園のベンチに腰掛け、華代は女の話を聞いた。

「あたしねぇ…、小さい頃からずっとバレエをやってきたの」

「うわぁ〜、バレエですかぁ」

「うん、いつかきれいな衣装を着て舞台に立つのが夢だったわ」

「それで、それで?」

「やっとね、やっと、舞台に立てるチャンスがきたの」

「おめでとうございます」

「まぁ…その他大勢の一人だけどね。」

と言って美保は片目を瞑ってみせた。

「それで、敏夫さんとは…」

と華代が聞くと、美保は表情を曇らせ

「あっ、聞かれちゃったのね…」

「敏夫のヤツとは幼なじみでねぇ…」

「あたしがバレエを習い始めた頃なんか
『お前のようなヤツが、舞台に立てるわけがないよ。』
なぁんて言ってねぇ…」

「もしも、舞台に出ることになったらどうぅすんの?」って聞いたら。

「『よぉし、そうしたら地の果てからでも見に行ってやる』って言っていたのに…」

美保の話を聞いていた華代は

「ふぅ〜ん」

「つまり、敏夫さんがあなたの舞台を見に来てくれればいいんですね。」

「まぁ、そうだけど」

「まかせて」

「えっ、出来るの?」

「へへへ」

少女は笑い顔を残して彼女の前から姿を消した。



ココは美保が所属するバレエ団のレッスン室…

レオタード姿の女性が長椅子に寝かされている、

「宮沢さん、足の具合どう?」

50代半ばと思われる女性が心配そうに尋ねる。

「あっ京塚センセ、大丈夫です、コレくらい何ともありません。」

と言うと、女性はトゥシューズをつけてポアントで立ち上がろうとしたがスグに

「痛ぅ〜」

と言うとその場にうずくまってしまった。

「あっ、無理しちゃダメよ」

京塚は男性の団員を呼び止めると

「横山クン、悪いけど宮沢さんに病院まで付き添ってくれない。」

「判りました」

「宮沢さん、大丈夫ですか?」

と言って宮沢は横山に抱きかかえられるように、レッスン室から出ていった。


「…センセ、明日の公演はどうなります?」

不安そうな顔をしたバレエ団員が京塚に詰め寄る。

「安心して…なんとか宮沢さんの替わりのヒトを探すから…」

とその場を納めたモノの京塚自身心当たりはなかった。

しかし、明日の公演は京塚がバレエ団を旗揚げして初めての大公演だけに、

絶対に成功させなくてはならなかった。


「それでは、明日ホールで…」

と言う声を残して、最後の団員が帰宅すると。

「困ったわねぇ…」

一人残った京塚がぼやく、病院からの知らせでは宮沢はとても舞台に立てる状況ではなかった。

「どうしたんですか?」

「え?」

突然の声に振り向くと、ひとりの少女が立っていた。

「あなたは?」

「はい」と言って紙を渡す、内容はすでにご存じの通り。

「悩みといわれても、ねぇ」

「今は、一刻も宮沢さんの替わりのヒトが欲しいとこかしら…」

と言うと、

「あの女の人の替わりですか?、わかりました。
あたしに心当たりがありますので、明日ホールに連れてきます。」

少女はそういうと京塚の前から姿を消した。



翌日

「ったくぅ、どーなってんだ?、今日の予定が全部パーになっちまうなんて…」

敏夫は文句を言いながら歩いていく。

やがて敏夫が着いたところは、美保のバレエ団が「白鳥の湖」を公演する ホールだった。

「昨日、美香にあんなコトを言っちまったからなぁ…」

「いまさら行くのもなぁ…」

「えぇい、帰ろう」

っとその時。

「おにぃ〜ちゃん」

「だれ?キミは?」

「えへへ」

「ちょっとあたしにつき合って」

と言うと、華代は敏夫の手を引いた。

「おっおいっ、何処に行くんだ?」

華代に引っ張られて敏夫が連れてこられたのは、ホールのリハーサル室だった。

「誰もいませんね…」

華代がリハーサル室に誰もいないのを確認すると、

「あのね、美保おねぇちゃんから頼まれたんだけどね。」

「美保おねぇちゃん?、あっ、美保のヤツこんな子を使って…」

と敏夫が言ったところで、

「そぉ〜れっ」っと華代のかけ声

”ふわっ”と敏夫の身体を風が吹き抜ける…

「うわっ、なっなんだ?」

敏夫は一瞬何が起きたのか判らなかったが、

スグに乳首のあたりが痛痒くなりはじめるとムクムクと胸が膨らみ始めた。

「ムググ…」

膨らみ始めた胸はまるで風船を膨らませるように膨らみ、

程なくして見事なバストとなってシャツを内側から押し上げた。

続いてヒップがググと大きく張り出し、ウエストは絞るように括れてくると

敏夫の身体は女性的なボディラインを美しく描き始める。

短髪だった髪が徐々に伸び始め、やがて肩に掛かるようになる。

肩幅はみるみる狭くなり、2本の腕が細く白くなっていった。

「あぁぁ…」

肉体のの変化がほぼ終わると、

今度は服が空気が抜けるようにピッチリと身体に密着し、

シャツは袖と胸元から上の部分が肩紐の残して消え、

胸から下の部分が真珠色に変わると美しい刺繍が入り、

盛り上がった胸を美しく引き立たせる。

続いてズボンは白くなりながら裾が脚を這い上がり、

腰まで来るとシャツだった部分と一体化すると、

腰の部分から真横に向かってスーっとスカートが生えて来た。

最初の1枚目は腰からさほど離れていないところで止まったが、

スカートは1枚出来ると、その上に2枚目、3枚目と生え、

しかも、下になったスカートよりも一回りずつ大きくなっていった、

そして最後の7枚目が広がるとその表面に羽根を模した刺繍が入る。

靴下はズボンの裾追いかけるように這い上がり、

さっきまでジーンズだったチュチュの中に入り込むと、白いバレエ・タイツとなり細くなった足を表現する。

靴は淡いピンク色をしたサテン地の厚皮一枚となり足を包み込む。

そして、つま先が膠で固めたように堅くなると 靴は「トウシューズ」になって足下を飾った。


「あっ、ちゃんとメイクもしなくっちゃね」

華代がそう言うと、

敏夫の髪がスルスルとまとめられると「お団子」となって後頭部を飾り、

顔にはたちまち白粉が塗られたのちに濃厚なアイラインとノーズシャドウ・頬紅が次々と施され、

そして深紅の口紅が塗られていく。

最後に羽毛を模した飾りとティアラが頭上に現れると、

そこには敏夫ではなく一人のバレリーナが恥ずかしげに立っていた。


「京塚センセ、おまたせぇ、バレリーナを連れてきたわ」

息を弾ませ、華代が事務室に駆け込む。

「えっ?ホント?」

半信半疑の京塚が華代に連れられてリハーサル室にはいると、

確かにそこには衣装とメイクを施していたバレリーナがいた。

「この方、大丈夫なの?」

京塚が華代に尋ねると

「うん、大丈夫。」

「はい、アン・ドゥ・トワァ…」

と華代が手拍子を打つと、バレリーナになった敏夫は京塚の目の前でバレエを踊って見せた。

敏夫は知らないはずのバレエを舞う自分に驚きながらも、徐々にバレエを踊ることに 酔いしれていった。

「よし、これで、舞台が出来るわ…」

京塚はオデットの代役が何とか間に合ったことに自信を持つと、スグに開演の準備に入った。


ふと何かを思いついた華代は王子役の控え室に向かうと 「すみませ〜ん」と言って控え室に入っていった。

しばらくして華代が控え室から出て行くと、 部屋の中にはトゥシューズにチュチュ姿のバレリーナが一人座り込んでいた。



「間もなく開演ですので、みなさん準備してください。」

スタッフからの呼び声にチュチュ姿で待機していた美保達は舞台のそでへと向かう。

「そういえばオデット役の宮沢さんの怪我はもぅ大丈夫なのかな…」

「いや、替わりの人が見つかった。ってきいたわよ」

舞台に向かう女性達の口々から心配そうな会話が交わされる。


っとそのとき

「おねぇちゃん」

美保を呼ぶ声がした。

美保が振り向くとそこに華代がいた。

「あら、華代ちゃん。敏夫連れてきてくれた?」

美保が尋ねると、

「うん」っと華代が頷く、

「ありがと、でも大したモノねぇ…そうだ、じゃぁお礼に舞台が終わったらなにが奢って上げるわ」

と言ったところで、

「ううん、そんなコトしてくれなくてもいいですよ、それよりもこっちに来て」

と言って、華代は美保を連れだした。

「ちょっちょっと何処行くの」

華代に連れられて、美保が向かったのはあのリハーサル室だった。

「ちょっと華代ちゃん、あたし時間がないんだけど…」

と言ったとき、

「それぇ〜」と華代のかけ声

「えっ、なに?」

美保が戸惑う間もなく、頭の飾りが消えると彼女が着ているチュチュのスカート が萎むように消え、

足下を飾っていたピンクのトゥシューズは白い布地の バレエシューズへと替わり、

薄手のバレエタイツは厚手のものへと変化した。

「ああぁ」

美保は驚きのあまり声が出ない。

チュチュの色が黒くかわると股下が切れると、下の裾は臍へと駆け上がり、

肩紐のみで露わだった肩には胸元から上がっていた布が覆い、

その後は両手先へと伸びて 金色の刺繍が施されるとチュチュは長袖の衣装になった。

続いて、胸の膨らみが消えるのと美保の身体の筋肉が盛り上がり始めると、

華奢だった美保の身体は逞しく男の体へと変化した。

こうして美保は王子役のバレエダンサーへと変身した。


「さぁ敏夫さんが待っているわ、行きましょう」

「えっ敏夫が?」

美保は何がなんだか判らずに華代に引っ張られて、舞台に向かった。

舞台袖に来たとき音楽が鳴り始め幕が上がった。

「さぁ、憧れの舞台です。行ってらっしゃい。」

と華代は言うと、美保を押し出した。

美保はスポットライトを浴び、王子役として華麗に舞い始めた。

やがて、舞台はオデットの登場そして王子との出会いとなり音楽が変わった。

華代は、続いて敏夫の所に行くと、

「さぁ、あなたの出番です。美保さんの勇姿を見て上げてください。」

と言うと、敏夫の身体を舞台へと押した出した。

敏夫はつま先立ちのまま、まるで白鳥が舞うように美保の所へと向かっていった。

そして、舞台の上で二人は出会った。

「敏夫さん?」

「美保?」

流れる音楽の中、王子とオデットの演舞は何時までも続いた。



今回の依頼はちょっと疲れました。

美保さんの依頼を受けたモノの、どうやって敏夫さんに美保さんの勇姿を 見せて上げようかと、
思案をしていた時に運良く主役のバレリーナが怪我 で舞台に出られなくなってくれたので、
なんとか会わせることが出来ました。

敏夫さんと美保さん、これからもバレエ頑張ってくださいね。
それではまた。




あとがき

はい、お待たせしました。

第1作目に表明していた「バレエもの」です。

私自身、バレエにはちょっと憧れている部分があって、

そういった願望が反映したモノになってしまいましたが、

ちょっと長文になってしまいましたね。

さて、如何でしたでしょうか?





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