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銅像伯爵
493
: 2006/05/05(Fri) 10:10:25
ともこ

 ある日、河川敷に銅像が放置されていた。その銅像は高校生くらいの男子の裸体像で、何か嫌なものを見たような表情だった。
 数日後、銅像はなくなっていた。ある満月の夜、拓也は部活の帰り道に襲われた。気が付くと、どこかの室内にいた。薄暗い周囲にはおびただしい銅像が並んでいた。いずれも青銅の銅像で、高校生くらいだった。
 声がして振り向くと、一人の男性が立っていた。男性は資産家で、この屋敷の持ち主だった。男性は拓也にクイズを出した。正解しなかったらこの屋敷の執事になってもらうという。
 残念ながら、拓也は三つ目の問題を間違えてしまった。男性が手をかざした。拓也の身体に一瞬、電流が走ったような衝撃があった。すると、履いていたシューズや靴下が風化して、素足になった。その先が徐々にメタリックな緑色になり始めた。青銅色ともいえるだろうか。
 一時間後、玄関には、立派な身体つきの少年の銅像があった。その銅像はスイミングキャップとゴーグル、身体には小さな競泳水着をまとっていた。そんな銅像であった。その目からは涙があふれ、彼が受けた苦痛と快楽を表していた。

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