風祭文庫・黒蛇堂の館






黒蛇堂奇譚

〜第28話〜
「注意書き」



作・controlv(加筆編集・風祭玲)


Vol.T-271





黒蛇堂が新しい活動を始めてから約2ヶ月のときが経過していた。

『(…さてと…まだ時間があるわね…

  そういえば今日は新人が来るって話だけど…)』

少年スイマーの姿に変身した黒蛇堂はそう呟きながらプールの前にたたずんでいた。

そのときだった。

『きゃっ』

背後から何者かに背中を押され、

足を踏み外した思わず声を上げてしまった黒蛇堂は

そのままよろけこんでプールの中に落ちてしまったのあった。

そして水の中からプールサイドに上がろうとする黒蛇堂の前には

―――銀髪のセミショート、

   碧眼、

   よく鍛えられた水泳体系で青いブーメランの競パンを身に着けた少年が立っていたのである。

『うふふふ…お久しぶりね』

目の前に立っている少年は不敵な笑みを浮かべていた。

『あなた…やはり来たのね。

 行くとこなすとこあたしの邪魔しようとして…今回は何をしようとするの?』

黒蛇堂は目に入って来ようとする水を振り切りながら答えた。

『それはこっちの台詞よ。

 せっかくかわいいあたしの妹の仕事を手伝ってあげようと思ったのに。

 今日からここでも働くことになったの』

『何よ…あなたのことを姉だと思ったことなんてないわ』

『あんたも言うようになったわねえ。

 店番ばっかりしていると思ったあんたがまさかプールを買収して

 しかも自分も変身して商売してるなんて…

 このまま行くと新水泳部の香織もあんたに取り込まれてしまうかもね。

 こんなに美味しそうな体しちゃって…』

少年、いや白蛇堂はそう言いながらいきなり黒蛇堂の股間のふくらみを触りだした。

『きゃっ…何するのよ…』

突然の行為に黒蛇堂はうっかり声を上げてしまった。

男の体になり、

元の声よりは低くなったがどこかボーイソプラノを思わせる声だ。

『かわいい声出しちゃって。

 あんただってこうやって、

 いやもっと激しくやってるんでしょう…

 こうやってるとあたしのももうビンビンに…』

さらに白蛇堂は黒蛇堂のパンツをずりおろしすと、

顔を出した巨大な赤黒いペニスをつかみあげ、

そしてそのペニスをしごき始めたとき。

開始5分前のアナウンスが響いたのであった。

『あ、

 営業時間みたいね。

 あたしも仕事しないと…』

残念そうに白蛇堂は言うとその場を後にした。

『(まったく姉さんったら今度は一体何たくらんでるのかしら…

  でも今のがちょっと気持ちよかったのは否定できないわ…)』

白蛇堂を見送る黒蛇堂はそう呟きながら自分の持ち場へと戻った。



夜、

客もまばらになった頃プールには悩める一人の少女がいた。

「はあ、ああ…」

彼女の名前は中田理恵子。

高校2年生。

女子水泳部の次期エースと呼ばれている。

「先輩…本当に好きなのに…ああ…」

実は彼女は同じ女子水泳部のキャプテン、

上條智美に対して憧れ、

尊敬、

いやそれ以上のものを抱いていた…

その悩みのためか同じ最近は水泳に対しても身が入らず、

記録は思うように伸ばせていなかった。

しかしタイムが伸びないようでは先輩に申し訳ないし、

他の人間にとられてしまう…

そのことでずっとプールで悩んでいた。

「ほんとうにどうしよう…」

悩んでいて始まらない、

そんな彼女が再び泳ごうとしたとき、

背後から声が聞こえてきた。

「何をそんなに悩んでいるんだ?」

その声はこれから変声期に入ろうとしている少年のような声だった。

「わああああああああああああ」

彼女の後にいたのは銀髪碧眼で青い競泳パンツの少年―少年スイマーの姿となった白蛇堂だった。

「ごめんごめん、

 驚かせちゃったみたいだな。

 オレはここの監視員さ。

 それ以外にも悩み相談とかもしてるんだ」

白蛇堂は軽く自己紹介をして見せる。

「悩み…ですか?

 いえ…特に…」

彼女は少しためらっていた。

「嘘つかなくてもいいぜ。

 だってこの時間にこんなところに一人で来るなんて…

 人に言えない悩みがあるんじゃないか?」

目の前にいる美少年が魅力的な視線を投げかけてくる…

理恵子はその誘惑にはさすがに勝てなかったのだろうか

「実は…」

理恵子は悩みを洗いざらいうちあけた。

「それは大変な悩みだな。

 でもそんな悩みを解決できるの、

 オレ持ってるんだよね…どうしようかな〜…」

白蛇堂はじらす様に話を進めた。

理恵子はもうあとには引けないと思ったのか、

「それ…是非譲ってほしいわ…」

白蛇堂にすがりつく。

「いいぜ…でもこれすごくレアものらしいから、

 本当は高いかね出したいんだけど…ただでいいぜ」

その言葉に理恵子は

「本当!いいの…」

と念を押す。

すると、白蛇堂は控え室からひとつの箱を持ってきた。

中には瓶の中に入った液体のようなものがある。

「これを程よく使えば、

 たちまちお前は望むような記録が出るぜ…」

理恵子はそれを受け取ると

「ありがとうございます」

そういい残してプールを去った。

そこには笑みを浮かべる白蛇堂の姿があった。


翌日、女子水泳部の更衣室の一室で、

理恵子は昨日白蛇堂にもらった瓶を開けた

「これを飲めば…」

そういうと瓶の中の液体をすべて飲み干した。

だが、その箱の中には

『この薬を使用するときは以下のことをお守りください

 (1)使用量は少なめに

 (2)この薬は体の一部に塗るための薬です。

    飲んだり目の中に入れたりしないようにしてください

 (3)もし大量に服用した場合には自分だけでなく、

    周りの人間にも大変なことがおこる場合があります

 (4)あくまでこの薬は天界で用いられるものです。

 ほかの種族には使用しないでください』

というものだった…当然理恵子はこのことを知らない。



理恵子の体に異変が起こったのはすぐのことだった。

彼女は一瞬にして…

筋肉隆々の男子スイマーというより

まるでボディビルダーやプロレスラーのような体になってしまい、

着ていた水着は一瞬にして破れてしまった。

「どうしよう…」

あわてて更衣室の奥にあった男子用の競パンを穿くが、

それでもきついぐらいだった。

それからしばらくして、

一人の女子部員が入ってきた。

「理恵子どうしたの…って…きゃあああああああ」

声を上げたのは同じく女子水泳部員の明美だった。

明美が発見したとき、

すでに理恵子は誰よりも巨大で極太のペニスをしごいていたのだ。

「明美…あんたあたしからエースの座を奪おうとしたでしょ…」

「え…その…」

その姿に明美はたじろぐばかりだった

「あんたを犯してあげるわ。

 この体で」

「きゃああああああああああああああ」

変化はそれだけではなかった。

理恵子に犯された明美の体には理恵子の精液が入ったのだが、

明美の体も徐々にではあるが男体化したのだった。

ついには理恵子と明美でお互いのペニスを舐めるようになってしまった…



『程よく使えって言ったのに…でも面白くなってきたけど』

天界にある白蛇堂の拠点で、

白蛇堂はその様子を遠見の鏡で伺っていたが、

しかし少年スイマーの姿がお気に入りなのか少年スイマーの姿から戻っていなかった。

『さてと、

 この姿であの女狐に会いに行ったらあの女狐なんていうのかな?

 黒蛇堂をこの姿で犯せなかったのは残念だったけど。

 あいつが男の体になったのってなんかあたし好みなのよね』

そう呟く白蛇堂の競泳パンツにはテントが作られていた。

『考えたらなんか勃ってきちゃった…そろそろ元に戻るか』

白蛇堂はなにやら呪文をとなえだすと、

見る見るその姿は少年から白銀の髪をたなびかせる女性の姿へと変わっていく、

そして、

『ふふふんっ』

と鼻歌を歌いながら白い衣装を身に纏うと何処かへと消えていったのであった。



おわり



この作品はにcontrolvさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。