風祭文庫・黒蛇堂の館






黒蛇堂奇譚

〜第10話〜
「僕の望み」



作・風祭玲


Vol.457





――シュッ、タン!!

放課後の体育館で巧みに手具を操り、

本番同様、真剣な眼差しで新体操の練習に汗を流す一人の少女・藤原瑤子

僕はそんな彼女の姿に惹かれ、

この体育館の隅から練習を見守るのが日課となっていた。

「あっ、また来てる!!」

「え?」

突然響いた声に僕は振り返ると

ドタドタドタ!!

足音と共にレオタード姿の一団が僕に向かってきた。

そして、いきなり僕の襟を掴み上げると、

「こらぁ!!!

 覗きとはいい根性ね!!」

とものすごい剣幕でまくし立てる。

「そんな

 ちっ違います。

 僕はただ…」

「何が違うのよ、このスケベ!!」

「どうせ、藤原先輩見当てでしょう」

「先輩はねぇ、

 明日の試合のために最後の調整をしているのっ」

「もぅ、

 さっさとここから出ていってちょうだい、気が散るでしょう」

集中砲火のごとく怒鳴られた末に僕は体育館から追い出されてしまうと、

バタン!!

と渡り廊下に面するドアが閉められてしまった。

「あっちょっと」

放り出された僕がドアに向かおうとすると、

これまでの様子を見ていた連中が僕の周りに寄って来るなり、

「ようっ八神、

 また懲りずに藤原先輩を見てたのかぁ」

「顔に似合わず、大胆なことをするなお前」

そう言いながら絡んでくる。

そんな声に

「違うよ、僕は…」

と弁明しかけたところで、

「もぅ、いい」

僕は言う気力を失うと周囲を囲んでいる連中を押しのけると

そのまま帰宅の途についた。

夕日に照らされ、長く伸びる自分の足を見つめながら

「僕は下心があって藤原先輩を見ていたわけではない。」

と心の中で叫んでいたが、

しかし、それは言い訳に過ぎず、

僕はいつしか藤原先輩のレオタード姿に欲情していたのであった。



トボトボと歩く僕の背中を夕日が照らし出し、

やがて、街に灯りが点り始めたとき、

「え?」

一軒のお店の前で僕の足は止まった。

【黒蛇堂】

と書かれた重く年代を感じる看板を掲げるその店は、

黒光りするレンガでその回りを囲み、

まるで明治いやもっと以前からこの街にあるような雰囲気をかもし出していた。

「こんな店…ここにあったっけ?」

店を見上げながら僕はそう呟くと、

誘われるように店の中と外界とを分け隔てている重厚なドアを押してしまった。

すると、

スッ…

そのドアは重みを感じさせることなくゆっくりと開いていくと、

「え?

 うわっ」

たちどころに僕を店の中へと引きずりこんでしまった。



フワッ…

小学校の頃、理科室で嗅いだような臭いが僕の鼻を突き、

「この臭いは…」

と半ば懐かしい気持ちに駆られながら僕は目を開けると、

ずらりと並んだ棚の列が僕の目の前に勢ぞろいしていた

「なっなに」

博物館の資料室…

そんな言葉がぴったり合いそうなその光景に僕は驚いていると、

『ようこそ、黒蛇堂へ…

 ここは心を彷徨わせている者達が集うところ…

 そしてここにはそのような者達が求めているものがあります。

 さぁ、あなたの希望の品は何ですか?』

と言う声と共に僕より少し年下、中学生位の少女が姿を見せた。

「君は?」

その少女に僕は聞き返すと、

『ひとは私のことを黒蛇堂と呼びます』

と少女は神秘的な声をあげて僕を見つめる。

「え?」

床にまで届きそうな黒いドレスと、

腰まで伸びた手入れの行き届いた髪、

そして、額を飾る銀のアクセサリ…

彼女がもぅ少し年を重ねれば妖艶な美女となるのではないか?

そんなことを考えながら僕は黒蛇堂と名乗った彼女を見ていた。

『どうかしましたか?』

10分…いや、5分かもしれない。

沈黙の時間が過ぎた後、黒蛇堂は僕にそう尋ねると、

ゴクリ

僕は生唾を飲み込みながら、

「あっあのぅ…

 僕の望みを叶える物って本当にあるのですか?」

と尋ねた。

すると、

『えぇ、あります。

 あなたは一人の女性に憧れていますよね、

 そして、その女性を自分のものにしたい…

 そう考えていますよね』

「え?

 べっ別にそんなことは…」

『ふふ…

 自分の気持ちに偽らないで素直になりなさい、

 さぁ、そんなあなたにふさわしい物をお出ししましょう』

困惑する僕を見透かすように黒蛇堂はそう言うと、

スッ

近くの棚より一本の太い線香を取り出し、僕に手渡した。

「線香?」

手渡された線香を怪訝そうに眺めながら言うと、

『はいっ

 お線香です。

 でも、このお線香を焚いたとき、

 あなたの願いは叶うでしょう』

と黒蛇堂は返事をする。

「僕の願いが…本当に…

 あっでも、

 今日はお金を持っていないけど、これいくらなんですか?」

線香を眺めながら、

僕は文無しであることに気づき申告をした。

すると、

『いいえ、お金という形での御代は頂いておりません、

 ただ、ここの品物で心を満たされたときの気持ちを

 少し分けていただくだけで結構です』

と黒蛇堂は僕の問いに答えた。

「気持ち?

 それでいいの?」

黒蛇堂の答えに僕が驚くと、

『はいっ』

彼女は笑みを讃えながら静かに頷いた。



キィ…

『ありがとうございました』

「……」

黒蛇堂の声に送られて僕は表に出て、

2・3歩歩いたとき、

「あっそうだ

 あのぅ」

手渡された線香のことで黒蛇堂に質問をしようとふと振り返ってみると、

「えっ」

いまし方僕が出てきたはずの黒蛇堂の店舗は姿を消し、

そこには草が生い茂る空き地があるだけだった。

「どうして?

 え?

 え?

 なんで?」

狐に抓まれる…まさにそんな言葉が当てはまる中、

僕は黒蛇堂から手渡された線香を握り締め立ちすくんでいた。



翌朝…

この日は藤原先輩の試合の日だった。

祝日で学校が休みでだったので、

遅く起きた僕はジッと昨日黒蛇堂から手渡された線香を見つめると、

「やってみるか」

と呟き、それに火をつけた。

その途端、

フワッ

部屋中に線香の香りが満ち始めてくる、

「うん?

 なんか、普通の線香と違うような…」

線香というと普通白檀の香りを連想するが、

しかし、黒蛇堂から渡された線香からは白檀の香りではなく、

甘いような不思議な香りだった。

すると、

「あっあれ?」

次第に僕の意識が遠くなっていくと、

そのまま目の前が真っ暗になってしまった。



『ん?

 あっあれ?

 真っ暗だ…』

気がつくと僕は真っ暗な中にいた。

『どこだ?

 ここ』

辺りを見回しても暗いだけで一体どこに居るのか、

さっぱり見当がつかない。

すると、

「じゃぁ、そろそろ出番だから支度してくるね」

部屋の向こう側だろうか、

あの藤原先輩の声が響いた。

『え?、藤原先輩が近くにいるの?

 ちょちょっと待って』

その声に僕は慌てていると、

ジャー!!!

っとチャックが開く音共に僕の周囲に光が差し込んでくる。

『え?

 ここは』

その様子に驚くまもなく

スッ

巨大な手が差し込まれると

グイッ!!

っと僕は持ち上げられて行った。

『え?

 え?
 
 なにが、一体、
 
 うわぁぁぁ
 
 助けてぇ!!』

突然のことに僕は悲鳴をあげると、

なんと僕の目の前に先輩の巨大な顔がアップで迫て来た。

『せっ先輩?

 何でそんな巨人に…』
 
先輩の巨大な顔に僕が驚いていると、

「よしっ

 今日は絶対に負けられない!!」

先輩は僕を見つめながら何かを決意しすると、

僕を再び下へと下ろした。

『なんだ?

 え?

 僕って一体何になっているんだ?』

先輩の姿をローアングルから見上げながら僕は唖然としていると

シュルリ…

バサッ

なんと先輩は僕の目の前で着ている制服を脱ぎはじめだした。

『え?

 そんな、

 いきなり脱ぐだなんて、

 すっすっストップ

 先輩ストップ!!』

セーラー服を脱ぎ、

下着姿になった先輩に僕は思わず叫ぶと、

ピタッ

突然、先輩の動きが止まった。

そして、周囲を見渡しながら

「いま…、

 男の人の声がしたけど…」

と呟きながら周囲をキョロキョロした後、

「気のせいね、

 きっと、緊張しているんだ、あたし」

と結論づけながら軽く頭を拳で叩くと胸のブラをはずしはじめた。

プルン!!

ブラが外れると共に形の良い乳房が揺れる。

そして、

そのまま手が下へと動いていくと、

先輩の股間を覆っているパンティが静かにずり下ろされ、

僕の目の前に一糸まとわぬ先輩の姿を晒しす。

『……』

まさにビーナスだった。

僕はただその姿に見とれていると、

「うんっ」

先輩は大きく頷き、

そして再び僕を持ち上げると、

足を上げ、僕に目掛けて突っ込んできた。

『まっ待って

 うわぁぁぁぁ!!』

スルリ

突っ込んできた先輩の足は僕の中を通り抜けていく、

『え?』

それに驚くまもなく、

スルリ

もぅ一本の先輩の足が通り抜けると、

ググググググ…

先輩の足を飲み込んだ僕は引き上げられ、

そして、先輩の身体を飲み込まされていった。

そしてさらに僕の両腕の中に先輩の腕が通され、

ピチッ!!

僕は先輩の身体を飲み込んでしまった。

初めて鏡を見つけると、そこに映った自分の姿を見て驚いた。

『こっこれって…』

「うんっよしっ」

驚く僕に構わず髪をシニョンに結い上げた先輩は大きくうなずく、

そう、僕は先輩が身に着けているレオタードになっていた。

『うっそぉ!!!

 レオタードになって…

 しかも先輩とぉ!?』

一瞬夢かと思ったが、

しかし、僕の身体を照らし出すような先輩の体温と、

そして、その甘い体臭に僕は酔いしれていた。

『うわぁぁ

 先輩と一心同体…』

しかし、先輩は興奮している僕をよそに手具を取り、

更衣室の中で軽く練習を始めだした。

すると、

ジワッ

先輩の身体から汗が染み出し、

その汗が僕の身体を濡らして始める。

『はぁはぁ

 せっ先輩の汗…

 いっいぃ…』

これまで嗅ぎたくても嗅ぐことを許されなかった先輩の汗の香りに包まれ

僕は幸せの絶頂だった。

そして、そのとき、

ベロン!!

溜まらずに僕は先輩の身体を舐めてしまった。

すると、

ヒャウン!!

先輩は声をあげ開いていた股を思いっきり閉じる。

無論、僕自身も驚いていた。

「なっなに?

 いまの…」

いきなりの感覚に先輩は驚きながら周囲を見ているが、

しかし、先輩の局所からは、

ジワッ

っと愛液が流れ始めていた。

『へぇぇ

 先輩って感じやすいんだ』

肌身で先輩の愛液を感じた僕の心に悪巧みが浮かび上がる。

『ふふ…

 まさか、僕がレオタードになっているなんてことは気づかないはず』

まさに先輩は僕という籠に閉じ込められている小鳥同然だった。

そして、そのことに気づくのと同時に僕の理性の箍は外れてしまった。

ジワリ…

波を打つように僕は先輩の身体を締め付け始めると、

「え?

 いやっ

 なにが?

 え?え?」

先輩は身を縮こまらせ防御の姿勢をとる、

しかし、彼女のその行為は僕には通じるはずは無かった。

なにせ、いまの僕は先輩が着ているレオタードなのだから…

『ふふ

 先輩、無駄ですよ』

ゾゾゾゾゾゾ!!!

先輩の両乳房目掛けて僕は腕を動かすように身体を締め付けて行くと、

キュッ!!

先輩の乳房の上の乳首を締め付けた。

「あんっ!!」

その途端、先輩は身体を捩り悶える。

そして、その行為がさらに僕の心に火を付けると、

『先輩…好きです』

僕は全身を動かして先輩を攻めはじめた。

「いやぁぁ!!

 誰か、

 誰か助けて!!」

先輩は見えない何者かに襲われていると思ったのか、

グイグイ

っと蠢く僕・レオタードを脱ごうとはせずに這いずりながら助けを求めた。

しかし、
 
『へへ

 無駄ですよ、先輩

 へぇぇ、

 先輩の腕を動かすことが出来るんだ、

 じゃぁ、こういうのはどぅ?』

助けを求めて伸ばしている先輩の腕を動かせることに気づいた僕は

強引に先輩の腕を曲げると転がっていた手具を取り股間へと導いていく、

「いやぁぁぁ!!

 やめて!!」

シニョンに結い上げた髪が解け、

先輩は髪を振り乱し悲鳴をあげる。

『えへへ

 さぁ先輩、気持ちいことをしましょう、

 僕が手伝ってあげますよ』

コロン…

手前に転がってきた手具の棍棒を僕は咥えると、

それを先輩の股間に突き立てた。

「やめて、

 何をするの?

 だっだめっ!!」

自分の股間につきたてられた棍棒に先輩は驚きそして悲鳴をあげると、

『いくよ、

 先輩…』

僕がそう呟くと同時に

グイッ

僕によって上げられた先輩の腕がそれを押し込み始めた。

「うがぁぁぁ!!」

レオタードと共に秘所の中へと沈んでいく棍棒に先輩は白目を剥き、

口をパクパクさせる。

『へへ、

 先輩にはキツ過ぎたかな、

 でも、気持ちいいそうだよ、先輩』

僕は一度沈んだ棍棒を持ち上げると、沈ませる。

「あっあぁぁぁ…」

文字通り先輩の下半身は洪水だった。

そして、その中で僕は先輩の身体を舐めるように攻め、

ズブ…

ズブ…

ズブ…

規則正しく、男性のシンボルよりも遥かに太い棍棒を抽送し続けていた。

「あっあっあっあぁ…!!」

すでに先輩は抵抗する力も消えうせ、

僕の攻めに身を任せていた。

『あぁ先輩が…

 先輩が僕の中で、

 僕の中で

 あぁ…』

僕はそんな先輩を全身で感じ、

そして、ギュッと抱きしめた。

すると、

それが合図になり、

「あっあっあぁぁぁぁ

 いくぅぅぅぅぅぅ!!!」

先輩は棍棒を深く飲み込み、身体を強張らせると絶頂へと達してしまった。

ビシャァ!!

と同時に先輩の局部から大量の愛液が噴出し、

『うわっ』

僕はその愛液にずぶ濡れになってしまった。

すると、

ジュ!!

僕の手に刺すような痛みが走ると、

「痛い!!!」

と叫び声をあげハッと目を覚ました。



「え?

 ここは?」

目を覚ました僕の視界には自分の部屋が映り、

すぐに、

ズキン!!

僕の手に激痛が走った。

その痛みに思わず下を見ると、

僕の手にはあの線香がすっかり短くなり、

その赤い部分が僕の手に掛かっていた。

「え?

 うわっ

 イタタ!!」

それを見た僕はすぐに洗面所へと飛び込むと、

ジャァァ!!

流れる水に患部を冷やしていた。



その後、聞いた話では藤原先輩は試合には出場せず、

不審に思った部員が先輩の様子を見に行くと、

更衣室で先輩は手具を股間に押し込みあられもない姿で倒れていたとか…



1週間後…

僕は先輩の練習を眺めていた。

そして、棍棒を振り回す先輩の姿に

あの時の汗の臭い、

そして愛液の味を思い出していると、

「あっまた来ている」

新体操部員達の怒鳴り声が響くのと同時に

僕のところへとレオタードの集団が迫ってきた。

そして、僕をつるし上げようとしたその瞬間

「お待ちなさい」

藤原先輩の声が響くと、

スタスタ

と僕に近づき、

「あなた達は練習をしなさい」

と指示を出すと部員達を散らしていった。

そして、誰もいなくなった頃を見計らって、

「君ね…

 あの時、あたしにとんでもないことをしてくれたのは」

と僕の耳元で囁いた。

「え?」

先輩のその声に僕は慌てて先輩を見ると、

すると、

「ふふ…

 図星ね、

 声が聞こえたのよ、あなたの声がね、

 ふふっ

 どんなタネがあるのか知らないけど

 でも、あたしを散々弄んだお礼をちゃんとして貰わないとね
 
 今日、この練習が終わったらあたしに気持ちいいことをするのよ、

 いいわね」

と言い残して去っていった。

「先輩…」

その先輩の後ろ姿に僕の股間は自然と固くなっていっていた。



おわり