風祭文庫・華代ちゃんの館






「防人戦隊・ジャパレンジャー」



作・風祭玲


Vol.666





はじめに…

ようこそ、風祭文庫・Vol.666「防人戦隊・ジャパレンジャー」へ、

この物語は執筆666番目達成を祝い、思いっきり羽目を外して物語を書きました。

ですので、文中に極めて不適切に感じる文言があることをここに明記しておきます。

もし、読まれていて不愉快に感じた場合はすぐに読むのをやめてください。

また、仮に読み続けられて”火病”を発症されても当方の責任は一切ありません。

覚悟はよろしいでしょうか。

では、華代ちゃん。

出番だよ。



こんにちは、初めまして。

私は真城華代と申します。

最近は本当に心の寂しい人ばかり。

そんな皆さんの為に、私は活動しています。

まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、

お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。

私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。

どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。

報酬ですか?いえ、お金は頂いておりません。

お客様が満足頂ければ、それが何よりの報酬でございます。

さて、今回のお客様は――



関東地方の南西。丹沢山地の奥深く、

ザワッ…

森の中のよどんでいた空気が突然動き始めると、

ギャァ!

ギャァギャァ!!

鳥の鳴き声がいっそう高く響き渡った。

そして、その鳴き声の中。

バサッ!

白い服と白銀の髪をなびかせ、

背中より大きな翼を広げた女性が1人、

森の奥深くに向かって飛行してゆく。

『本来ならこのようなことは断るのだが…』

透き通るような碧い目を輝かせて、

そう呟く女性の正体はあの白蛇堂である。

『まっ、

 天界の女神達にはそれなりに世話になったからな…

 このような”遣い”も仕方がないか。

 それにしても久しぶりに翼で飛んでみたが、

 どうも、スピードが遅くて困るな』

いつもなら長距離の移動はテレポートで済ませる白蛇堂であったが、

しかし、このときは天使本来備わっている翼を羽ばたかせ、

この森の奥にあるという場所へと向かっていたのであった。

して、その場所とは…



『狙われているぞぉ〜♪

 白砂青松・緑の国土。

 狙われているぞぉ〜♪

 心穏やかな人々の平和。

 奪われた島を取り返し、

 資源を狙う輩を叩きのめし、

 悪い噂を流す奴らを懲らしめる。

 目指せ、常任理事国!

 廃止だ、敵国条項!

 この青い地球に平和と核廃絶をもたらすため、

 戦え、防人戦隊・ジャパレンジャー!

 国後・択捉・歯舞・色丹・竹島・尖閣諸島・沖ノ鳥島、

 日本の国土を守るのだぁ

 行け行けジャパレンジャーっ』

と軽快なリズムが森の奥に建つ一軒の洋館より響きわたる。

すると、

『華代ちゃん、

 ジャパレンジャーが始まったよぉ』

その洋館の中より幼児を思わせる男の子の声が響き渡り、

『はーぃ』

あの元気の良い、華代の返事が響き渡った。

『また来ているの、あの娘?』

TVの前に並んで座る華代の後ろ姿を苦々しく見ながら、

闇の気配を漂わせる女が呟くと、

『ここのところ、毎週来ている…』

とその女の横に立つ髭をたくわえた巨漢の男が指摘する。

『まっ、

 あのお方がお喜びになっているんだ。

 我々はこうして見守るしかないだろう』

そんな2人に長髪の男はそう諭すと、

『でも、いいのか?

 あの子、天界の女神なんだろう?

 そんな女神があのお方と一緒に座ってTVを見るなんて…』

長髪の男に女はくってかかると、

『真城華代、

 アースお助けセンター所属の1級神2種非限定の女神だが、

 その力は特定の事にしか使わない。

 その特定のこととは…ゴニョゴニョ

 まぁ、あのお方には人畜無害。

 と言うことだ』

女の言葉に長髪の男は華代について書き記したメモ帳を読んで聞かせる。

『なんだ、

 そのゴニョゴニョというのは』

長髪の男が省略気味に伝えた事を、

巨漢の男が指摘すると、

『俺は一度しか言わない。

 細かいことは脳内補完をしておけ』

と長髪の男はそう言い、

サッ

手にしていたメモを懐にしまおうとするが、

『ちょっと待て、

 それを見せろ!
 
 俺が確認する』

長髪の男の腕を止めると、

巨漢の男が迫った。

『見せろ』

『いやだ』

『見せろ』

『い・や・だ』

男と男の力比べを横目に見ながら、

『またこれか…』

女は呆れながら華代達へと視線を移動させると、

『…汝の正体見破ったり、

 中華怪人・春暁っ!』

『ぶひっ

 ばれたあるかぁ〜っ』

『ここは日本の経済水域よ、

 ひとんちの天然ガスを盗み取るなんてセコイマネは止めて、

 とっととお家に帰りなさい!』

『ぶひっ

 何を言うあるかっ

 大陸棚の資源は全て我々中華帝国のものあるね、

 お前達こそ、

 痛い目に遭いたくなければ消えるがいいあるよ』

『おのれ、言わせておけば…』

東シナ海に浮かぶ掘削設備の上、

薙の剣。

八咫鏡。

八尺瓊勾玉。

この3つの神器と、

かつて世界経済を支配していた石見の銀、

そして、世界に冠たる佐渡の金を守護に持つ若き5人の勇者が、

海底資源を盗み取る怪人と対峙しているシーンが、

大型テレビの画面に大きく映し出されていた。

そして、

『いけぇ!』

『頑張って!!』

瞳を輝かせTV画面に食い入るように見つめる5歳くらいの少年の横に、

10歳ぐらいの女の子の姿をした華代が座り、

共に手に汗を握りしめながら応援をしていたのであった。




『ふむ…

 あれだな…』

キラッ!

頬に浮き出る玉の汗を輝かせ、

白蛇堂は森の奥から見えてきた洋館に気づくと、

その洋館の正門前に降り立った。

スーッ

広げていた翼を消し、

閉じていた門扉を開けようとした時、

TVのものと思える音が洋館の奥から響いてくるのが聞こえてきた。

『え?

 TV?』

予想外のTVの音に門扉を開けようと手を止めて、

白蛇堂は洋館を見上げると、

『あのお方がTVを見ているのか?』

と呟く。



『はいはい、

 TVは離れてみましょう、ザケンダー』

『そうですよ、

 近くで見ると目に悪いザケンダー』

の声と共に執事服に身を包んだ、

海坊主を思わす大小二人の人物がお茶とお菓子をもって現れると、

『はーぃ』

少年と華代は声をそろえて返事をした。

『ふんっ

 まぁいいか…

 あのお方もお喜びになっているのだから』

女はそう呟きながら、

相変わらす力比べをしている二人を一瞥すると、

『いつまで遊んでいるんだ』

と怒鳴り飛ばそうとしたとき、

『お前達、

 何をしている』

と髪を7・3に分け、

巨体をスーツに押し込んだ

黒蛇堂や白蛇堂と繋がりのある顎長の男が姿を見せた。

『ん?

 お前か…遅かったな』

『おぉ、久しぶり』

その声に長髪の男と巨漢の男が手を止めて声を掛けると、

『ふっ、

 納品で忙しくてな』

と男は7・3の髪を軽く整えてみせる。

『まったく、

 商売熱心なことで』

そんな顎長の男に女が皮肉を込めて言うと、

『日雇いの肉体労働に比べれば、

 遙かに知的と思うが…』

と顎長の男はとって返す。

『なにっ

 もう一回言って見ろ!』

彼のその言葉に女が怒り出すと、

『なんだ、なんだ?

 褒められているのか?

 それとも、バカにされているのか?』

と今度は巨漢の男が割って入ってきた。

『細かいことはどうでも言い』

けんか腰になり始めた雰囲気に長髪の男が止めに入ると、

『で、先に出すものがあるだろう』

と顎長の男に問いただした。

すると、

『ふっ』

顎長の男は小さく笑い、

『ほらよっ』

と言いながら、

バサッ、

分厚い茶封筒をテーブルの上に放り出した。

『うむっ』

それを見た長髪の男は徐に手に取ると、

ひぃふぅみぃ…

中に入っている諭吉の枚数を数えはじめる。

『まったく、

 この館の光熱費と水道代。

 あのお方とお前達の食費。

 そして、

 ご養育の諸費用諸々。

 出る金ばかりだ」

札を数える長髪の男に顎長の男はそう言うと、

『仕方があるまい

 全てはあのお方のためだ』

ピシッ!

札の枚数を数え終わった長髪の男は

最後の札を指で弾き返事をした。

すると、

『みなぎる勇気!!』

『溢れる希望!!』

『光の絆と共に…』

と必殺技の体勢に入ったジャパレンジャーのかけ声が部屋に響き渡った。

『………あまり聞きたくない台詞だな…』

それを聞いた顎長の男がふとそう呟くと、

ウン

その場にいた者達が全員大きく頷いた。

そして、

画面いっぱいに日章旗が映し出されるのと同時に、

『るみなりお〜っ!!!』

と言うかけ声が響き渡ると、

バンッ!!

『華代っ

 ここにいたのか、

 仕事だ。

 迎えに来たよ』

閉じていたドアが勢いよく開き、

その声をと共に白蛇堂が部屋に入って来た。

『うぉっ!』

あまりにもタイミングの良さと、

眩しい程に白く輝く衣装に皆が一斉に驚くと、

『あっはーぃ!』

赤のチェック模様の衣装と、

その上に重ねられたエプロンドレスを翻しながら華代は手を挙げた。

ところが、華代のその姿を一目見た途端、

白蛇堂は額に眉を寄せると、

『華代、

 その格好、止めた方がいいぞ』

と一言忠告をする。

『え?

 どうしてですか?』

その忠告の理由を華代は尋ねと、

『いやっ、

 あまり人気が上がらなくて、

 スポンサーから黒歴史扱いされている作品のコスプレはなぁ…』

と表現を押さえた口調で答える。

『そうですか、

 じゃぁこっちに着替えましょうか』

それを聞いた華代はすかさず後番組の”白い方”の衣装を取り出すと、

『いや、この場でそれはどうかと思うぞ…』

と白蛇堂は顔を引きつらせる4人組の様子を見ながら指摘する。

『え?

 じゃぁこっちですか?』

そんな白蛇堂に華代は黒い方の衣装を取り出すと、

『お前のキャラと合わないような…』

と白蛇堂は言う。

それを聞いた華代は少し思案を巡らせた後、

『ふむっ

 そうなりますと…
 
 やっぱりコレでしょうか』

そう言いながら、

バッ!

ピンク衣装を取り出すのと同時に着替え、

『はーぃ、

 シャイニー華代ちゃん!

 ただいま出撃しますー』

の声高らかに華代は宣言をすると、

『うわーっ

 華代ちゃん、スゴイ』

と少年は嬉しそうに手を叩いた。



『じゃっ

 一仕事してくるから、
 
 ちょっとだけ待っててね』

手を叩く少年に向かって華代はそう言うと、

『うんっ

 その間、仮面ライダー・イビキを見ているから、

 終わるまでには戻ってきてね』

と少年は返事をした。

『うんっ

 まっかせなさーぃ。
 
 ちゃちゃっと片付けてくるわ、
 
 さっ白蛇堂。

 事務所からクライアントの座標を聞いてきているんでしょう。

 そこって何処?』

少年に向かって華代はガッツポーズをした後、

白蛇堂に向かって顧客の場所を尋ねた。

『え?

 あぁ、

 事務所から預かってきた依頼票はこれ』

そんな華代に白蛇堂は書類を手渡すと、

『ふむっ、

 日々、ひとりエッチに励むヲタ少年かぁ

 相手にとって不足はないわね』

書類に目を通した華代は

パンッ

と軽く書類を指で弾くと、

『じゃぁ

 言って来まーす』

の声と共に、

高らかに片手を上げると、

『ジュワッ!』

とかけ声をかけた途端。

天井を突き破り華代は洋館から飛び出して行った。

『全く…』

華代が消え去った後、

白蛇堂は腰に手を添え、ため息をついていると、

オホン!

咳払いの声が響く。

『ん?』

その声に彼女は振り返ると、

チョイチョイ…

顎長の男が指で白蛇堂を呼び、

『この修理費、

 お前が出してくれるのか?』

と大穴が開いた天井を指さした。



さて、同時刻、

ここは都内某所。

ジャパレンジャーの特大ポスターが掛かる一室に

「んなにぃ!!」

男の声が響き渡ると、

「ジャパレンジャーが打ち切りって、

 本当かっ」

男は持っていた携帯電話に向かって怒鳴り返した。

『あぁ、本当だよ、

 広告代理店に勤めている兄貴からの確かな情報だ。

 なんでも、大口スポンサーの会長が、

 いま中国に行っているそうだけど、

 ジャパレンジャー内容が日中の友好に問題有りだって、

 枕営業の上海美女から言われたとか言われないとか、

 そんなことで、

 ジャパレンジャーのスポンサーから降りることになったそうだ』

「何を言う。

 ジャパレジャーは子供達はもちろん。

 昭和を懐かしむお年寄りから、

 不当に安い輸入品に苦しめられている製造業のお父さん達にも大好評で、

 平均視聴率は40%を常にキープ。

 先日の放送された回ではあの全員●合!を追い抜く、
 
 55%を達成した国民的番組なんだよ、
 
 その番組を打ち切るって言うのかっ」

『そんなこと言ったって、

 俺が決める事じゃないぞ、

 中国様には逆らえない。って事だよ』

「ばっ売国奴めぇっ

 非国民めっ、

 貴様には愛国心がないのか!!

 えぇいっ

 こうなったら、

 ネットでおもちゃの不買運動を呼びかけて全国展開し、

 あわよくば反中デモの大津波と共に、

 一気に倒産させちゃるわぁ」

メキメキメキ!

悲鳴を上げる携帯電話を握りしめ、

男は歯ぎしりをすると、

『おいっ

 落ち着け!』

と電話の主は声を張り上げるが、

「餅をついている場合ではないわ」

男は怒鳴り、

バキッ!

ついに携帯電話を握りつぶしてしまった。

ゼハァゼハァ

「くっそぉ、

 ジャパレンジャーが打ち切られたら、

 撫子さんのムッチリ太股が見られないのではないか、
 
 いやだ。
 
 そんなことは絶対に認められない!」

息を荒げながら男はのたうち回ると

「えぇい、

 こうなったら、

 撫子さんをオカズに思いっきり発電をしてくれる」

と叫びつつ、

ポスターを見ると、

手にナニかを握りしめ、

それを激しく上下に動かし始めた。

それから、小一時間、

部屋の中より男の喘ぎ声と、

何かが吹き出す音が交互に響き渡り、

そして、128回目の喘ぎ声が響き渡ったとき、

カカッ!

突然、男の握りしめるモノが光り輝くと、

『呼ばれ飛び出てジャジャジャジャーン!!』

の声を高らかに、

その中から1人の少女が飛び出した。

「え?

 うっ
 
 うわぁぁぁ!!!」

突然、目の前に少女が姿を見せたことに、

男はひっくり返り、

そして、這い蹲ってしまうと、

『はいっ』

と言う声と共に男の前に一枚の名刺が差し出された。

「え?」

突然出された名刺に男はキョトンとしていると、

『で、お兄ちゃんの願いってなぁに?』

と少女はフィギアが並ぶ机に腰掛け、

余裕の表情で男に尋ねた。

「え?

 あっあのぅ…
 
 これって…」

事態が飲み込めていない男が逆に質問をすると、

『ふっ

 名刺を読みなさい』

と少女は憂いの表情をしながら男に言う。

「はいっ」

少女の言葉に男は手渡された名刺に視線を移し、

『ココロとカラダの悩み、お受けいたします 真城 華代』

と名刺に書かれている文面を読み上げた。

すると、

『はいっ

 契約完了ね。

 ではお兄ちゃんの聞かせてください。

 全て華代に任せていいのよ、

 あっそうそう、

 あたしに”ずっと傍にいて欲しい”っていう願い事はスルーするからね。

 この願いが元で女神の1人に欠員が出てしまって

 上では困っているんだから、

 さぁはやく聞かせて、
 
 お兄ちゃんの望を…』

と少女・華代は男に尋ねる。

「え?

 そう言われても…」

突然飛び出してきた華代に悩みを言えと言われて、

男は困惑していると、

その間、ぐるりと部屋の中を見渡していた華代は

ジャパレンジャーの特大のポスターを見つけ、

『!

 お兄さん、
 
 これって、ジャパレンジャーのポスターじゃないですか』

と声を張り上げた。

「え?

 君、ジャパレンジャーを知っているのか?」

華代の声に男は驚くと、

『知ってます、

 知ってますとも。

 防人戦隊・ジャパレンジャー!!

 国後・択捉・北方四島に居座る不逞な輩を追い払い、

 竹島・尖閣・沖ノ鳥島を狙う悪い奴に正義の鉄槌を下し、

 中華帝国と共謀して反国家的ねつ造記事を書きまくる不埒な新聞社や、

 主文ではなく呟きで違憲判断を下すアカ裁判官を切って捨てる。

 まさに姿を変えた現代の新撰組。

 あぁ、お国のためにその命を捧げる姿には痺れちゃいます。

 この星の生きとし生けるものは全て俺のモノだ。

 と調子ぶっこいているヤンキーな国には、

 世界で一番小さな国連加盟国である某公国と手を組んで。

 ブラックマンデーと言う経済原爆を投下した13話。

 さらには核開発に手を染める某キタの国の将軍様を懲らしめるため。

 秘密の核工場に忍び込んで原子炉を暴走させたあの特攻作戦の26話は

 地球から吹き上がる巨大な火柱に胸がスッとしましたし、

 ”この作戦によって出来たクレーターは

  人類が地球に作ったもっとも大きな穴である”

 と言うナレーションは涙モノでしたよ』

と華代は目を輝かせながらまくし立てる。

「そっそうか…

 うん、あの回は監督のこだわりがあったからねぇ

 僕たちの間でも神がかった回として有名だよ」

と男は苦笑いをしながら返事をした。

『うんうんうん!

 そうですよねそうですよね』

それを聞きながら華代は幾度も頷いていると、

「でも、

 そのジャパレンジャーもまもなく終わり」

と男は呟いた。

『え?』

男の思いがけないその言葉に華代は驚くと、

「某国から横やりが入ったんだよ、

 内容が気に入らないって…
 
 スポンサーにね…」
 
と男は事態の詳細を告げた。

『そんなぁ…』

「仕方がないよ、

 それにしても、
 
 あの社長が上海美女の枕営業にコロっといってしまうなんて、

 情けないよなぁ」

ため息混じりに男はそう言うと、

パチン!

その途端、指が鳴り、

『それだ!』

華代の声が響いた。

「え?」

『お兄ちゃんっ

 悔しくはないの?

 このままではジャパレンジャーが終わってしまうんですよ』

「わっ判っているよ、

 でも、どうすることも出来ないよ」

まくし立てる華代に男はそう反論すると、

『華代にまっかせなさーぃ!

 要は簡単、
 
 お兄ちゃんが上海美女になって、
 
 社長からジャパレンジャーの継続を取り付ければいいのよ』

「そんな無茶苦茶な」

『無茶なじゃないわ、

 華代にはそれが出来るのよっ

 行きますわよ、
 
 そうれ!!!』

困惑する男に向かって華代のかけ声が高らかに響き渡ると、

「あっ

 あっ
 
 あっ

 いやぁぁぁぁんんん!!!」

艶やかに変化してゆく男の声が響き渡り、

そして、華代の前にはチャイナドレスを身に纏ったナイスバディな美女が1人、

身体をくねらせていた。

「こっこれは…」

『うふっ、

 さっお兄ちゃんっ
 
 じゃなかった。
 
 お姉ちゃん。

 頑張って!

 ジャパレンジャーの未来はお姉ちゃんの肩に掛かっているのよ』

と華代は告げ、

トン!

とその肩を押した。

注目のジャパレンジャーはその後どうなったかはあえてここでは書かない。

しかし、大勢の日本人の心を鷲づかみにしたことは事実である。



さて、今回のミッションも実に簡単でした。

お兄ちゃん、日本の為に頑張ってね。

華代はいついかなる時でも悩めるあなたの元に参上します。

それではまた会う日まで…

では