風祭文庫・人形変身の館






「元旦」



原作・(・∀・)(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-227





時は元日の深夜0時。

1年365日が過ぎ新年の切り替えが行われる聖なる時、

街に響き渡る除夜の音色をバックに大勢の友人達と共に飲んで唄って人、

一人厳かに社に詣でている人、

新年の決意を新たにする人、

人それぞれこの時を迎えていた。



そしてこの家では…

「花梨お姉ちゃん、明けましておめでとう♪」

「由梨、明けましておめでとう」

小学6年生の花梨と小学4年生の由梨の姉妹が

改まると丁寧にお辞儀をしながら新年の挨拶をしていた。

「今年もよろしくねっ」

ニコリと微笑んで見せる花梨の肩より黒く艶やかな髪が揺れると、

「こちらこそ、よろしく」

花利よりもやや短い髪を揺らしながら由梨も同じように微笑返した。

そして

「去年は色々あってたのしかったね〜」

と由梨が無邪気そうな顔で言うと、

「そうねっあんなことやこんなこととか…?」

昨年という枠に押し込められてしまった365日のことを思い出しながら花梨がそう言い、

突然何かを感じたのか突然違う方向を見た。

「どうしたのおねえちゃん?」

それを見た由梨は理由を尋ねると、

「…ん?

 ううん、気のせいだったみたい」

と花梨は答えた時、

電話のベルが鳴った。



「誰からの電話?」

戻ってきた花梨に由梨が尋ねると、

「お母さんから、

 お父さん、友達に捕まっちゃって

 呑んでいるんだって」

呆れたポーズをしながら二年詣でに出かけた両親のことを言う。

「あちゃぁ、

 それじゃぁ朝まで返ってこないね」

それを聞いた由梨は思わず目を覆ってしまった。

すると、

「じゃさっ、ちょっとだけおせち料理食べようかっ」

花梨はそう提案をすると、

「えーっ、

 いいのぉ?」

両親の許しも得ないその行為に由梨は眉を寄せるが、

「いいのっ、

 いいのっ、

 どうせ朝まで返ってこないし、

 これくらいの優先権があってもいいでしょう」

とあっけらかんと花梨は答えると、

「うんっ!」

納得行ったのか由梨は台所へ向かうと花梨の後を追った。

そして1時間後。

「美味しかったっ♪」

「昨日がんばって仕込んだもんね」

数の子や黒豆などのおせち料理を粗方食べ終え、

二人は満足そうに言うと、

「じゃあ片付けしよっかお姉ちゃん」

と言って由梨が食器を持とうとするが、

「そうねっ…?」

同じように立ち上がろうとした花梨が再び何かを感じると、

思わず立ち止まった。

「どうしたのおねえちゃん?」

「……何かしら…何か呼ばれているような…」

小首を捻る由梨に花梨がそう言い返すが、

「お姉ちゃん…?」

「………」

まるで何者かに惹かれるように花梨はふらっと玄関へ向かい始めた。



「もぅ、どうしたの…」

そんな姉の姿に由梨は持とうとした食器を置いて後を追いかける。

しかし、花梨は靴を履かずにそのまま玄関を出ていってしまい、

由梨は靴を履いて後を追う。

「お姉ちゃんまってよ!!どうしたの!!?」

「…………」

いくら呼びかけても花梨は由梨の声も聞かずに歩き続け、

やがて、賑わっていた二年詣も終わり静寂を取り戻した社の境内へと向かっていった。

「お姉ちゃんっ

 待っててばぁっ!」

声を張り上げて由梨が花梨の右手を握ったとき、

「!!っ

 …あれ…

 なに?

 なんだろ……この感覚」

と由梨も何かを感じ始めた。

「…由梨…あなたも感じるのね……」

妹の変化に気が付いた花梨が尋ねると、

「お姉ちゃん…感じる

 なんなんだろこの感覚……」

姉妹揃って何かに感じ始めていた。

とくん……

とくん………

激しく脈打っていた2人の心鼓動が次第に静かになり、

心も落ち着いてくる。

「……あ、あれは……?」

何かに気が付いた

由梨がそういって指を差すと、

その方向には大地に不自然な突起があった。

「……ここに…導かれたのね…」

それを見ながら花梨がそう言うと、

「お姉ちゃん……?」

由梨は顔に”?”の表情を浮かべながら呟いた。

すると、いきなり2人の着ている服が霧のようになって消えてしまうと、

「!」

「え…!?」

その状況に戸惑う2人だが服は数秒で消えてしまい、

瞬く間に2人は全裸になってしまった。

「お、おねえちゃ!!

 ……あ、あれ…」

由梨は叫ぼうとするがその気持ちが失せてしまい、

目がうつろになっていく。

「由梨……」

すると、花梨も同じように目がうつろになっていく。


そして、

ぱぁぁぁぁぁ………

大地の突起から不思議な光が発せられ始めると、

「……!」

姉妹はその突起物の光に肌が照らされていく。

「……お姉ちゃん

 …なんだか

 …とても

 …いい気持ち…」

「私もよ…

 由梨………」

由梨と花梨がそう言い合い、

そして突起物からは何かが発せられて姉妹をいざなう。

「…………」

「………」

花梨と由梨はその突起物を自分の股に入るようにぺったんこすわりをすると、

「…あうっ…!」

「ああんっ…!」

その突起物を入れ込み、少し感じる。

「お、お姉ちゃん…」

「ゆ、由梨…」

それぞれ感じ会う中、

突起物の光が2人の体内へとどんどん入り、

その体内へ光が入っていくと、

姉妹の体が少しずつ光り始めた。

「はぁはぁ……これ…気持ちいい………」

「あん、なんなの…この感じって…」

由梨と花梨は快感を感じ始めると次第にひたり始めた。

すると姉妹の体に異変が起きはじめた。

二人の手足が縮小していくと、

体の凹凸がなくなっていき、

棒のような形状へと体の形が変わっていく。

恥ずかしげに小さく膨らんでいた胸も平らになっていき、

首周りも太くなっていく。

そして、髪の毛もはらはらと抜けていくと、

目や鼻などの顔のパーツが消え始めた。

「んくっ…んくっ……」

「ううんっ…うんっ……んっ…」

ついさっきまで花梨と由梨”だった”物が鼓動をしながら変化を続ける。

縮小する手足は遂に体の中へと埋もれて消えてしまうと、

首も体と頭と同じ太さにまで大きくなってしまい、

棒の形状へ近くなる。

そして……

ぼこっぼこっ

2つの棒の形をした物体の根元から丸い何かが入った袋が盛り上がってくると

それはどんどんと膨らんでいき、

その表面に皺が寄っていくと丸い何かが中で垂れてきた。



くぱぁ…

大きく膨らんでいた棒の先端が捲れるようにして開くと、

中からピンク色をした亀の頭のようなの物体がぬるりと出てくる。

その変化まで進むと2つの棒のような異形物の変化はとまり、

2本の大きな男性器・ペニスがその場に伸びていた。

「くぷっ…ちゅぷっ…」

「ちゅぷっちゅ…」

2本のペニスはまるで話をするように音を立てるとびくびくっと震えてみせる。

もうここには花梨と由梨という二人の姉妹は存在しない。

あるのは2本の大きな男性器だった。

「ちゅぷぷっ…ちゅぴっ」

「ちゅっ…くぷっ」

2本のペニスは会話をしながらお互いの体を触るように交わると

それが快感を感じるのか

びくっと震えて亀頭の部分に開いている口から透明な粘液を小さく吹き上げた。

大地の突起物による繋ぎとめと、

自分達の交わりによる快感を感じながら…



「ちゅ……」

「ぷぷっ……」

姉妹が2本のペニスになってからしばらくすると新たな変化を始める。

めきっめきっ……

固いものが伸びてきたのかその様な音を響かせながら、

亀頭の部分が3方向へ尖って延び始める。

柔らかかった肉棒は硬くしっかりした尖ったものへと変わり、

袋の部分だった場所も周囲を覆う壁のようへと変形し始めると、

徐々に硬くなり始める。

それから程なくすると袋は桶のような形になり、

中には変化途中のペニスを

鉢植えのように下部を守るように取り囲っていた。

ふぁささ…

その桶の上側から草が生え始めると、

ふっさりと生い茂っていく。

葉牡丹であった。

葉牡丹が生えている反対側の部分からも何かが生え始める。

葉は鋭く、針のような形で無数に生えた草がどんどん生えていく、

生えてきたのは若松であり、

後方を守るかのようにびっしりと生え揃う。

めきめきめきっ…

一方中心の肉棒は本来の硬さをすでになくし、

3方向に分かれて変化している。

長さも違っており、

途中で区切りのような太い線も入っている。

伸びきったところで変化が終わると、

太く斜めに切れた竹が3本姿を現し、

その3本の竹を締めるように縄が現れてきゅっとくくりつける。

縄が締めたところで変化がようやく止まり、

それと同時に朝日が昇ってきた………

ぱぁぁぁぁ……

広い大地の上にある2つの門松を太陽の光が照らして神々しくする。

初日の出を迎える如く。

「…………」

「…………」

2つの”門松”は何も語らず動かずただじっと日の出の光を浴びている。

それだけではない。

大地による恵みを自分達を繋ぎとめる突起物から受け入れて、

さらに綺麗に、

そして大きく変化していく。

最初は1mくらいの大きさだったものが

徐々に大きくなっていくと

ついに2m近くにまで成長していく、

すると、

「…おおっ!?

 こないな立派な門松が出来るとは…」

何所から来たのか一人の老人が二人の前に立つなり声を張り上げると、

「相変わらずここの突起物から溢れる力はすげえですな」

「どれだけ小さな門松でも立派に成長させてくれるからの」

筋骨隆々の男2人が後からやってくると二人を見ながら大きく頷いた。

「よし、早速取り付けにかかるのじゃ」

老人がそう指示をすると

「よーしっ」

男2人がそれぞれの門松を持って運ぼうとするが、

しかし、

「んっ…やけに今回突起物に刺さってるな」

とビクともしない門松に少し苛立ち、

「ならば…せいっ!」

力任せに気合をいれると

ズボッ!

ついに門松が突起物から抜けてしまった。

「慎重にの、

 落としたら罰当たりもいいところじゃ」

「うっす」

さりげなく注意する老人のあとを門松を抱えた男2人がゆっくりと運んでいく。

誰も気づいてはいなかったが突起物が少し白い液体でぬれていた。

この正月、立派な門松により今までで一番盛況していたという。

何せ今までであった門松はせいぜい1.5mくらいが限度だったからである。

「いやはや…今年のは立派じゃ」

先ほどの老人が門松をゆっくりと眺めながら言うと、

「確かに凄いですね…」

近くに居た若い青年が感心したように褒める。

「お主がちゃんと門松をあそこにおいてくれたからじゃ、

 ふぉっふぉっふぉ…」

それを聞いた老人が笑いながら言うと。

「え?

 あ、はいっありがとうございます

 (本当は置き忘れちゃったんだけど…なんでだろ?)」

青年が言ってはいけないことを思いつつ頭を下げる。



それから無事に三が日が過ぎ、

お正月の区切りの一つである七草の日、

門松は歴代の門松を保管している場所へと運ばれる。

「しかし立派だなあ」

「うむ、ほしいくらいだぜ」

大汗を掻きながら門松を運んだ男2人が再び門松を運んでいると、

「…うっ…」

「どうした?」

運んでいた1人が少し異変を訴えた。

そして、

「すまん、トイレ」

そういい残して門松をゆっくり置くとさっさと走り去ってしまった。

「あっ

 おいっ……ちょっと待ってくれ、俺もトイレだ」

もう1人も門松をゆっくりおいて後を追っていく。

………すると2つの門松が変化を起こし始める。

めりめりと音を立てて変化していき、

竹の部分は1つにまとまってくっつき

しめ縄や若松、葉牡丹などがなくなっていく。

桶の部分もぎゅっと狭くなっていくと

竹の部分から手、

桶の部分から足が生えていく。

竹の先端も揃って結合していき球体を形成していくと、

手足の指がしっかり生え揃ってどんどん人肌の色になり、

硬かった竹や桶も柔らかみをおびていくと人肌の柔らかさを得ていく。

先端の球体は頭部を形成し、

人の形を完全に形成していくと

全裸の花梨と由梨の姿がそこにあった。

「………あれ…ここどこ…?」

「今まで何やってたのかしら……」

キョトンとしながら姉妹は周囲を見回しながら言うと。

「…きゃあっ!?

 由梨は、裸じゃない!」

「え…?

 きゃっ!

 お姉ちゃんも裸だよ!!?」

花梨と由梨は自分達が裸であることに気づき思わず叫ぶ、

「と、とりあえず急いで家に帰るわよ」

「う、うん」

そういい残してそそくさと姉妹は家へと帰って行く。

そして、

「……ありゃ!?

 門松どこいった!?」

「ほ、ほんとじゃ!

 どこいった!?」

それから小戸無くしてトイレから戻ってきた男達は

置いてあった場所に門松が無いことに気づくと頭を抱えて慌て始めていた。



〜翌日〜

「お姉ちゃんおはよ〜」

「おはよう由梨」

朝の日差しが彼女らに朝を告げるが、

「正月おわっちゃったね」

「そうね…何があったのかしら」

正月を迎えた実感の無い由梨と花梨は首を捻っていた。

「………でもなんだかいい気分だよねっ」

「…そうね♪」

ふと呟いた由梨の言葉に花梨も賛成すると、

その日、家に小さな門松が届けられていたそうな。



おわり