風祭文庫・人形変身の館






「出展作品」



原作・カギヤッコ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-158





「ちょっと冬木さん、あなたまだできていなかったの?」

部長である須田千恵の声が美術室一杯に響き渡る。

「ご、ごめんなさい部長、

 クラスの方が忙しくて…」

千恵の剣幕に押されながら

冬木晶子は細々とした声で答える。

「あのね、

 もうあなただけなのよ、

 明日の学園祭の個人出展作品描いていないのは。

 クラス展示の準備とかが忙しいのはわかるけど、

 それ位何とかできなかったの?」

そう言う千恵の顔もどこと無く疲労の色が見える。

無理も無い。

彼女自身学園祭準備で忙しい合間を縫って

自分の作品を描き上げ続けたわけだから。

そんな千恵にとってはいかなる事情があろうとも

作品を仕上げる事を遅らせる事は許されない事なのである。

「すみませんっ、

 何とか今日中に…」

必死で頭を下げる晶子に厳しい視線を向ける千恵だったが、

ふと思いあたる所があったのか、

「…今日中にまともな絵を描くなんて

 いくらなんでも―さすがにわたしだってできないわよ。

 だからね…」

そう言いながらいつの間に用意したのか、

紙コップに入った一杯のお茶を勧める。

「とりあえずこれでも飲んで落ち着きなさい」

「あ、ありがとうございます…」

そう言ってお茶を飲み干した直後…

バタン。

晶子の体は糸の切れた操り人形のごとく床に倒れ落ちた。

「ふふふ…」

千恵の不気味な笑いに気づく事もなく…

「ん、んん…」

それからどれだけ時間が経ったのだろう。

晶子が目を覚ました時、

辺りはすっかり暗くなっていた。

「あれ、

 わたしいつの間に寝ちゃったんだろう…えっ?」

体を起こそうとするが力が入らない。

しかも肌の感覚が今の自分が一糸まとわぬ姿で横たわっている事を教えている。

「ち、ちょっとこれって…」

慌てる晶子。

そこに、

「あら、やっと目が覚めたのね?」

と千恵が声をかける。

「ぶ、部長、これって…っ!」

事情を尋ねようとした晶子の目が恐怖で見開かれる。

無理もない。

千恵の目は歓喜に見開き、

口元は悦楽の歪みを浮かべた狂気の笑顔を浮かべている。

その上、左手に持ったパレットには何やら泥の様な怪しげな物体が乗っている。

「冬木さん、

 あなたには生まれ変わってもらうわよ…

 我が美術部の最高の出展物として。

 だってそうでしょ、

 こうでもしなくちゃあなたの作品は完成しないんですもの」

クチャ…

トレイを晶子の足元に置き、

物体をいやらしい音を立てながらつかむ千恵。

机をかき集めて作ったベッドに横たわる裸身の晶子を見つめるその顔は

間違い無く危険な実験に臨むマッドサイエンティストのそれに近かった。

「い、一体何をするんですか!?」

口と目だけが動く中、晶子はおののきながら尋ねる。

それに対し千恵は物体を右手で持つと、

「こうするのよ!」

ビチャッ!

物体をおもむろに晶子の股間に叩きつける。

「あっ!」

物体のヒンヤリとした感覚と

叩き付けた衝撃がまともに晶子に流れ込む。

千恵はさらにその物体を彼女の上で練り回し、形を整えてゆく。

「あっ、

 あんっ、

 部長、やめて下さい・

 あっ、いやっ…」

クチャッ、

ネチャッ、

ムニュッ、

クニュッ…

巧みな手つきで股間の上を練り回される感触、

そしてさらに自分の胎内に何かが入り込む感覚に

晶子は顔を赤らめ、甘くも激しい声を上げる。

しかし、今この部屋の回りに人はなく、

千恵にとっても彼女の声は最高のBGMであった。

さらに身動き一つできずただ声を上げるだけの晶子の姿は

千恵の嗜虐感を余計にあおらせて行った。

「ふう…やっと第一段階ができあがったわ」

泥まみれの手をぬぐいながら一息つく千恵。

「あなたも感じてみる?

 生まれ変わったあなたの一部を」

そう言って晶子の手を股間に沿わせる。

「…えっ!?」

晶子により指先から掌、

そして手全体でなでられ、

つかまされた感触。

それは自分の股間から生えている一本の棒であった。

「こ、これって…」

驚きと言うより恐怖の表情を見せる晶子に対し晶子はさらりと、

「そう、これはあなたのオ・チ・ン・チ・ン。

 すごいわね〜、

 こんな可愛くて立派なオチンチンができるなんて」

と軽く、そして意地の悪い声で言った。

「ぶ、部長、これってどう言う事なんですかっ?」

晶子の声は震えている。

「だいたいわからない?

 あなたは生まれ変わるのよ、

 かわいいかわいい小便小僧に」

そう言って無邪気な笑みを浮かべる千恵。

「わたしね、夢だったのよ。

 可愛い女の子を素材にオブジェを作るのが。

 でも、そんな道具も機会もなくて…

 でも、その夢が今こうしてかなうのよ!

 こんなに嬉しい事はないわ!」

「で、でも、こんな事して…」

「その辺はうまく言いこなすわよ。

 今夜は泊り込むってあなたの代わりに家に言っておいたし、

 あなたのクラスにもうまく言っておくわ。

 あとは…何とかなるわね」

「そ、そんな…」

あっけらかんと言う千恵の声に、

晶子の顔にはただ絶望の色だけが浮かぶ。

「さ、後は心置きなく小便小僧になりなさい」

千恵はそう言うとさらに物体を晶子に塗りつける。

ネチャッ、

ピチャッ…

白く長めの足が、

細めで柔らかい腰から下腹部の辺りが、

静かに灰色に染まってゆく。

「あ…う…」

身動きできないまま、

快感と羞恥心が交差する感覚に晶子は只身を任せるしかなかった。

そして…

ムニュッ。

「ひっ!」

小ぶりな乳房をつかまれた時、

晶子の喉から甲高い声が漏れる。

「ふふふ…

 可愛いオッパイ…でもね、

 小便小僧にオッパイはいらないでしょ?

 消してあげるわ…」

そう言うと千恵はおもむろに物体を晶子の胸に押し付ける。

「いやっ!」

そう叫ぶのも虚しく千恵の手は物体を、

そして晶子の乳房を揉み広げる。

ムニュッ、

クチュッ、

ニュニュニュ…

「あ、いや、ああ…」

胸が変化していく感覚に晶子の顔は歪む。

千恵の手の中で晶子の乳房は小さく、

そして広くなって行き、

ついには男性の胸板とまったく変わらない形に変化して行った。

「そ、そんな…」

晶子の目から涙がにじむ。

しかし、千恵はさらに彼女の両腕に物体を塗りつけ、

その両手をそそりたったイチモツに沿わせる。

「…さて、そろそろ立ち上がらせた方がよさそうね…」

そう言うと千恵は晶子の背中と膝の裏に手を回し、

ゆっくりと動かす。

そして、静かに動かぬ晶子の体を

床の上―いつの間にかしつらえた土台に立たせる。

「よし、何とか乗ったわね…

 あとはこうして整えて…」

晶子の両足をなんとか設置させ、うまくバランスを整えて…

ものの数分も立たないうちに物体をつけていない顔と

背中以外はまぎれもない小便小僧のオブジェが完成する。

「…」

晶子はもはやただ顔を赤くするだけで何も言う事はできない。

それに追い討ちをかける様に、

千恵は晶子の背中に、

そして顔に物体を練りつけてゆく。

ショートカットの髪をなびかせていた晶子の顔はみるみる泥のダンゴに、

そして物言わぬ仮面のような顔に変えられる。

ピキン。

“…えっ?”

全身が物体に覆われた時、

千恵の全身を何かが突き抜ける。

体がこわばり、固まってゆく感覚。

「ふふふ…どうやら始まったようね、最後の仕上げが…」

千恵の目がさらに愉悦を深めてゆく。

ピキッ、ピキピキ…

“えっ、何これ、体が固まっていく…”

さっきまで柔らかい粘土のようであった物体はみるみる硬度を増し、

金属のような硬度と光沢に覆われてゆく。

“あっ、

 いやっ、あああ…”

体が冷たくなるのもつかの間、全身から感覚が消えてゆく。

晶子は声にならない声を上げながら固まって行った。

「…やった、やったわ、

 ついに完成したわ!」

目の前に立つ小便小僧を見た時、

千恵の表情は爆発した。

そのもの言わぬ顔に、

まさに少年そのものの胸板に、

背中に、

そして両手に覆われたイチモツに手を伸ばす。

その感触は硬く冷たい金属でありながら

きめ細やかな素肌のような肌触りを千恵の手に伝えた。

“あっ、や、やめて下さい、

 部長…”

感覚もなく、

只触れられた行為に対しての晶子の抗議が耳に届く事もなく、

感極まった千恵はその唇を小便小僧の唇にそっと沿わせた…



「すごーい、

 晶子っていつの間にこんなリアルな像を作っていたのかしら」

「根詰め過ぎてダウンしちゃうのもわかるわね」

翌日、小便小僧と化した晶子の前に立つ部員達は口々に感嘆を漏らしていた。

“みんな、お願い、

 そんなに見つめないで…”

同性同士とは言え、

小便小僧の姿に覆われた―と言うより

小便小僧そのものと化した裸身をまじまじと見詰められるのは

気持ちいいものではない。

逃げ出すどころか、

目をそらす事もできない今の状況を晶子は恨むしかできなかった。

「みんな、

 この像、ホントにすごいわね。
 
 冬木さんの熱意がみなぎってくる感じがしてこない?」

文字通り自画自賛と言う顔で千恵が小便小僧の体に手を置き、そっと見つめる。

部員達も口々にそれに賛同する。

「でもね、この像はこれだけじゃないのよ」

そう言うと千恵はいつの間にか用意した大きな水桶と

ポンプを小便小僧の前に置く。

“部長、何を…”

カチャカチャ…

ポンプから伸びたホースを像の股間につなげ、

もう一方のホースを水桶に流す。

「やっぱり小便小僧と言うからにはオシッコしなくちゃね」

そう言うと千恵はポンプのスイッチを入れる。

グィィィン…

ポンプが動き始め、

水桶から水を吸い出し始める。

“うっ…”

ポンプから送られた水はそのままホースを伝わり、

像の股間に伸びてゆく。

“うっ、あっ、いやっ…”

水は像の股間をくぐり、中を刺激してゆく。

何かが膨れ上がる感触に無くなっているはずの感覚が一気に込み上げる。

“あっ、

 ああっ、
 
 あっ…
 
 あぁーんっ!”

ブシュウッ!

ジョロジョロ…

晶子が鳴いた時、像の股間から盛大に水が吹き出す。

その中に彼女の“中から出た水”も混じっている事を知る者はいない。

「わぁ…」

「すごい、本物みたい…」

部員達から歓声が漏れる。

“そんな…

 わたし…

 みんなの前で…
 
 恥ずかしい!”

痴態を見せてもうつむく事のできない晶子をよそに

千恵はただ満足げな視線を送るだけだった。

グィィィィン…

ジョロジョロ…

“うっ、

 あっ、

 あああ…あぁっ!”

ブシュッ!

晶子の小便小僧は瞬く間に美術部の目玉展示物となっていた。

少年とも少女ともつかない中性的な美を持った像。

と言う芸術性と見物人が自分で小便を出す事ができると言う娯楽性が受けたのか、

多くの客が集まっている。

“ああ…

 みんな…

 見ないで…

 やめて…
 
 ああっ!”

既にどれだけの人に見つめられ、

その上小便を出させられたのだろう。

晶子の意識と理性は羞恥と快感、

そして度重なる放水で流されつつあった。

「ふふ…お疲れ様」

人の流れが落ち着いた所で布巾を手にした千恵が現われる。

「ほんとにあなたってエッチな子ね。

 あんなに一杯の人に見られて、

 その上一杯オシッコして…

 ホント、すごすぎるわ」

水桶を取り替え、

像を優しく拭うその声と目は妖しげな空気に満ちていた。

“ああ…部長、

 わたし、

 わたしは…”

文字通り声にならない声で尋ねる晶子。

それを知ってか知らずか、

「あなたは小便小僧。

 みんなに裸とオシッコする所を見せるのが好きな小便小僧よ」

と言いながら千恵は小便小僧の股間を力を入れて拭う。

「言ってごらんなさい、

“ぼくは小便小僧です”って」

それに対し晶子は力無く、

“わ、わたしは…”

そう言おうとした瞬間、

グィィィィン…

ジョロロロ…

ポンプが動き出し、

水がイチモツをふくれ上げさせる。

膨らむ圧力が晶子の心をも押しつぶす。

“わ…ぼ、ぼくは…

 小便小僧…です…”

そう言った瞬間、再びイチモツから水が吹き出した。



学園祭は大成功に終わった。

美術部でもささやかながら打ち上げの宴を催している。

もちろん中心は例の小便小僧である。

「いやはや、今年はこの小便小僧のおかげで大盛況だったね」

「ほんと、小便小僧様々よ」

「でも、晶子って一体どうしたのかしら。

 クラス展示にも顔出していなかったし…」

「まあ、いいじゃない」

色々な声が響く中、千恵が再び音頭を取る。

「え〜、本日は我が美術部の成功を祝してのパーティーですが、

 ここで最大の余興を行いたいと思います」

そう言いながら千恵は他の部員達に手伝わせながら

そっと小便小僧をテーブルをまとめ、

ビニールを張って作ったベッドの上に置く。

「今回の最大の殊勲者でもある我らが小便小僧。

 本来ここにいるべきはずの冬木晶子嬢の渾身の作品ですが、
 
 これには実は最大の秘密があるのです。
 
 それを今、ここでお見せいたしましょう!」

そう言うと取り出した霧吹き器で小便小僧の足元を濡らす。

すると…

ジュクジュク、

ドロドロ…

硬い光沢に覆われた表面が形を失って溶け落ち、

中から白い生身の両足が出てくる。

「!?」

部員達の中から悲鳴が漏れる。

さすがに驚きを隠せない。

「ち、千恵、

 まさかそれって…」

「や、やばいどころじゃないよ!」

おののく部員達をよそに千恵はシュッシュッと両腕に霧を吹きかけ、

像を溶かしてゆく。

ドロドロ…

プリンッ。

胸板に霧を吹いた時、

溶け落ちる胸板の中から可愛らしい一対の乳房が軽く揺れる。

そしてそそり立つイチモツに霧を吹くと、

なかから同じ様な大きさのイチモツが現われる。

腰中の物体が溶けた後、

千恵はイチモツを固定していた両足のベルトを外すと

そっとイチモツに手を置き、

ズボッと引き抜く。

ビクッ!

その瞬間、小便小僧の体が大きく震えた。

部員達はさらにおののく。

「大丈夫、

 ただ“眠っているだけ”なのよこの子は」

千恵はそう言うと手にしたイチモツをブランと部員達の目の前に見せる。

「これってすごいわよね。

 着けるだけでホントのオチンチンみたいに見えるし、

 ホントにオシッコできるのはもちろんここだけの話、

 形だけだけど「ホントに“できちゃう”」のよね〜。

そう言ってイチモツを机の上に置き、最後に顔に霧を吹く。

グチュ、ベチャッ…

泥まみれの顔の中から静かに寝息を立てる晶子の顔が現れる。

「ふ、冬木さん…」

「晶子…!」

小便小僧の中から現れた裸身の晶子を見て目を見開く部員達。

「どうかしら?

 冬木さんが我が身をさらして作り上げた芸術作品は。

 見も蓋もない事を言うとわたしが作った訳だけど、

 やはり冬木さんの“心”が

 彼女自身を最高の芸術作品に作り上げた訳なのよね」

(正確にはその手の通信販売と

 あの不思議なお店で材料を揃えたんだけどね)

「ホントはずっとあのままにして起きたいけど、

 色々ややこしくなりそうだし、

 やはり“最高芸術作品”たる冬木さんの

 “ありのままの姿”を見てこそこの作品は完成なのよ」

(中和剤を使わなくても一応時間が経てば元には戻るみたいだけど…)

自慢げに胸を反らす千恵。

ふと見渡すと部員達が顔を赤らめながら誰と無くしなを作っている。

それの意図を見抜いた千恵はニヤリと笑みを浮かべて見せた。



「う、うん…」

ふと晶子は目を開けた。

静かに身を起こすと体にかけられていたシーツが落ちる。

「あ、あれ…ぼくの体、柔らかい…」

素肌をそっとなでる感覚がどこか異質に思える。

「えっ?

 あれ?

 ぼ、ぼくの体…」

違和感を覚えてつかんだ胸の柔らかさ、

そして小さくなった股間…

「ぼ、ぼく、女の子になっちゃってるの?」

慌てふためく晶子。

彼女にとっては余りにも長かった小便小僧としての時間が

彼女の心を蝕んでいた。

「…」

ふと尿意を覚える。

そのまま晶子は近くの男子トイレに駆け込む。

「えっと…ここはこうして…」

小便器の前に立ち、

余りにも短くなってしまった尿口を何とか便器に近づける。

「うっ…」

チョロロロ…

ささやかに流れ落ちるものが自分の指を濡らす。

同時に指に触れた感覚が彼女に“女の感覚”を思い出させる。

「あ…そうだ…

 わたし…部長に…!」

同時に様々な“恥ずかしい記憶”も甦る。

晶子はそのまま手洗い場に走り、

その記憶をも洗い流すかのように手を水流に擦り合わせた。

「うう…気持ち良かったのは否定できないけど、

 やっぱり恥ずかしすぎるよ…」

そうつぶやきながら部室に戻り、

とりあえずシーツを体に巻きつけるとようやく一心地つく。

「あれ?そう言えばみんなどうしちゃったんだろ。

 もう帰ったのかな…」

ふと回りを見渡す。

そこに…

グィィィィン…

ジョボジョボ…

「あ、ああ〜ん…」

どこからか忘れたい音が響く。

それでも意を決して音のする部屋に足を向ける。

そこには…

「な、な…」

そこには大きな水桶とポンプがあちこちに置かれ、

それを取り巻くようにちょうど自分を除く人数分の小便小僧が立っていた。

かつての晶子同様少年の姿をしているもの、

少女の姿に股間だけそそり立てたもの、

さらには材料不足かはたまた嗜好か、

胸や股間、

さらには顔が生身のまま剥き出されたものもある。

「こ、これって…」

驚き半分、呆れ半分の晶子。

そこに自分を呼ぶ声がする。

振り向いた顔が思わずこわばる。

そこには顔半分と口元以外小便小僧と化した千恵が立っていた。

「ぶ、部長!」

「いやはや、これも冬木さんのおかげよ。

 おかげでみんな小便小僧になりたいって言っちゃって。

 ほんとにやりがいがあったわよ」

部員全員に加え自らも小便小僧になった事で満足しきっているのだろう。

その顔は満ち足りていた。

「あ、わたし達明日の晩までこうしているから、

 もう帰っていいわよ。
 
 それとも、“また”やってみる?」

脳天気な声の千恵に対し、

晶子はあきれと怒りに拳を震わせていた…



おわり



この作品はカギヤッコさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。