風祭文庫・醜女変身の館






「底なし胃袋」


作・風祭玲

Vol.612





「おっはよーっ、

 和(ほのか)っ」

朝の通学路、

学校へと向かっている和に渚の元気のいい声が響き渡った。

「渚?

 身体の方はもぅいいの?」

その声に和は驚き、そして聞き返すと、

「え?

 あぁ…

 あんなもん、一晩寝れば大丈夫だって」

心配顔の和に向かってガッツポーズをしながら渚は返事をした。

そう、昨日行われたラクロスの試合の最中に、

なぜ解き放たれたのか判らないが、

渚が痩せるために願を掛けていた”やせ神さま”が突然渚達を襲い、

その結果、チームメイトや相手校の選手達も含めて

極限まで肥え太ってしまったのであった。



「もぅ、昨日に懲りて、

 間食、控えるようにした方がいいよ」

「はぁぁ……

 そうね…

 もぅあんな目は懲り懲りよ」

和が持ってきたダイエット飴のおかげで、

なんとか元の体型に戻ることが出来た渚だったが、

昨日の惨劇を思い起こすとしきりに反省をしていた。

しかし、

クン…

「あぁ、

 おいしそうな匂い…」

漂ってきた甘い匂いに鼻を動かすと、

ススス…

「いらっしゃいませぇ」

「開店記念特別サービス、

 甘くて美味しいケーキがなんと100円均一でーす」

と言う甘い誘いの言葉が響き渡り、

どーん!

ショーウィンドゥ越しにケーキの山が姿を見せた。

その様子を見るなり、

「おいしそー」

口から涎を垂らしながら渚が魅入っていると、

「もぅ、

 渚っ

 さっきの反省はどこに行っちゃったのよ」

ショーウィンドゥにへばりつく渚の手を引っ張りながら和が声を上げた。



「はぁ…

 好きなものを食べることが出来ないだなんて…」

ショーウィンドゥから引きはがされ、

ガックリとうなだれながら渚はそう呟くと、

「仕方がないでしょうしょう?

 また太りたいのなら、

 止めないけど…」

そんな渚に和はそう警告をする。

しかし、

「えーえー、

 そうでしょうとも、

 和はあたしが何も食べられずに

 飢えて死んでいくところを見ればいいのよ」

恨みを込めた視線で渚は和を見ると、

「ちくしょう!!」

と言い残して走り去ってしまった。

「ちょっと、渚…

 落ち着いて」

そんな渚を和はスグに追いかけて行った。



そして、放課後、

昨日の事件の影響で部活は休みとなり、

渚はあのケーキ屋へと向かっていく、

そして、相変わらず客でごった返す店の外から、

次々と売れていくケーキを見ていると、

「ん?」

ケーキ屋の隣にひっそりと建つ建物があることに気がついた。

「あれ?

 結構古そうだけど、

 昔からあそこにお店なんてあったかな?」

ケーキ屋が出来る以前のことを思い返しながら、

古風な煉瓦造りの建物を見つめる。

「黒・蛇・堂か…」

入り口の上に掛かる重々しい看板の文字を読み上げるように呟くと、

いつの間にか渚の足はそこへと向かい、

ギィ…

木で出来た重厚なドアを押し開けた。

すると、

フッ…

周囲の空気が突然変わり、

ポツン…

気がつくと渚は年期の入った巨大な倉庫の中に立っていた。

「あれ?

 あたし…」

重々しいが陰気なものとは違う、

極めて清浄な空気に渚が戸惑っていると、

『いらっしゃいませ』

と言う声と共に、

渚と年齢はほぼ同じくらいと思える少女が奥から出てくるなり、

静かに頭を下げた。

「あっどっどうも」

この世の全ての色を溶かし込んだような漆黒の衣装と、

その衣装の色とは対照的な炎を思わせる紅色の瞳に

渚は己の魂が吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥るが、

『お客様?』

彼女から投げかけられたその言葉に

ハッ

と我に返ると、

「あっいっいや、

 このお店って以前からあったかなぁ…
 
 って思ったもので…」

と軽く立ち寄っただけであることを強調した。

そして、

「しっ失礼します」

少女の視線に耐えられなくなった渚は

そそくさと店から立ち去ろうとしたとき、

『…判りました。

 いま貴方が欲しているものをお渡しいたします』

少女は渚に向かって告げ、

程なくして、

『これを…』

と言って差し出したのは赤い色をした大小2つの物体だった。



「これは?」

少女が差し出したものを眺めながら渚が尋ねると、

『はい、

 これは”底なし胃袋”と申しまして、

 こっちが、親機。

 一方、こっちが子機となっています』

「底なし胃袋?」

マンガなどで見る胃袋の絵を模したような姿をした物体を渚は珍しそうにと見ると

「で、これでどうするって言うの?」

と尋ねる。

すると、

『はいっ

 こちらの子機をあなた様が持ち、

 こっちの親機をどこか別のところ、

 そうですね…、

 どこか大きな荷物が置けるようなところがいいでしょうか、

 そこに置くだけです』

と説明するが、

しかし、渚はまだピンと来ず、

「それで?」

と聞き返す。

『はい、そうしましたら、

 子機を持った人がどのような食事をなさっても、

 肥満の原因となる脂肪などは身体には一切蓄積されず、
 
 こちらの親機に蓄積されていくのです』

そんな渚に少女はわかりやすく説明をすると、

「ん?

 てことは…
 
 要するにいくら食べても太らないってこと?」

と聞き返した。

『はいっ

 でも、親機に溜まった脂肪分は必ず消費しないとなりませんが、

 お客様は何かスポーツをなされているご様子、

 そちらの方で消費していただけましたら問題ないでしょう』

その質問と同時に少女は返事をすると、

「ってことは…

 どれだけケーキを食べようとも、
 
 どれだけチョコを食べても…
 
 ラクロスで身体を動かしていれば絶対に太らない…
 
 そうか、
 
 これさえあればもぅ2度とあんなことがおこらないんだ」

底なし胃袋の効果に渚は気づくと、

飛び上がるようにして喜ぶが、

「あっ

 でっでも、
 
 これって高いんでしょう?」

と胃袋の値段について尋ねた。

ところが、

『いえっ

 当店では金銭の授受は一切行っておりません。
 
 お客様の満たされた心こそが私の対価であります』

と少女は答えた。

「え?

 じゃぁ、コレいただいていいの?
 
 お金払わなくてもいいの?」

少女のその言葉に渚は思わず聞き返すと、

『はい』

少女は笑みで返事をし、

『ただし…』

と言いかけたところで、

「やったぁ、

 ラッキィ!」

渚は飛び上がると、

「じゃぁコレ、

 いただくね」

と言い残して瞬く間に店から姿を消してしまった。

その一方で、

『あっ…

 あの…
 
 注意事項を…』

少女は底なし胃袋の使用上の注意事項を言いかけた姿で固まっていた。



「よーしっ

 じゃぁ早速…」

店から出た渚は早速子機を身体に忍ばせ、

隣のケーキ屋に押しかけると、

「おじさん

 これとこれとこれとこれとこれ、
 
 頂戴!」

と声を上げた。

そして、

「さぁ、思いっきり食べるぞぉ」

しこたまケーキを買い込んだ渚は腕をまくり上げると、

「おいしぃ!!」

と声を上げながらケーキを食べまくる。

それから程なくして、

「ふぅ…

 食べた食べた…」

あれだけあったケーキを全て食べ尽くすが、

「あっ

 お腹が全然膨らんでない…

 その代わり、底なし胃袋の親機が膨れている…

 うわぁぁ…

 本当だったんだ!!」

あの少女が説明したとおりの効能に渚は驚くのと同時に、

「うふふっ

 コレさえあれば…」

目を大きく輝かせた。



「渚ぁ…

 悪いことは言わないから、

 もぅそれくらいにしといたら?」

渚の喰いっぷりをたこ焼き屋の店主は心配そうに見るが

「なんのなんの茜さんっ

 たこ焼きお代わり!!」

と渚は未だ衰えぬ食欲を見せながら追加注文をする。

「まっまだ食べるんですか?」

そんな渚に光は心配そうな顔をすると、

「うふふっ

 大丈夫、別腹よっ
 
 別腹!!」

心配するみんなを安心させようとするのか、

渚は自信満々にそう言うと、

自分の腹を叩いて見せた。



「えぇ?

 渚が?」

「はっはい…」

和がそのことを知ったのは翌日の放課後のことであった。

「そんなに食べまくっているの?」

「えぇ」

科学部の部室を訪れた光より渚の暴飲暴食ぶりを聞いた和が驚くと、

「あの…

 何も知らなかったのですか?」

光は同じクラスなのに渚の異変について

和が何も知らないことを指摘する。

すると、

「え?

 あっいえっ
 
 ちょっとここんところ研究に没頭していたから」

と和は光より投げかけられる軽蔑の視線から逃れながら言い訳をすると、

「とっとにかく、

 渚さんの食べ方は異常です。

 早く何とかしないと取り返しのつかないことに…」

そんな和に光は最悪の事態を想像しながら申し出るが、

「でっでも、

 食べているだけでしょう。

 また太ったら、

 例のダイエット飴で…」

と先日の事例を挙げるが、

「ダメです。

 薬の力を借りるのは良くないことだと思います」

と光は力説をした。



その頃…

ゴワァァァ…

街中を一台のトラックが疾走していた。

『まったく、何で私がこんなことをしなくてはいけないのだ』

闇の気配を漂わせながら長髪の男がブツクサ文句を言いながら、

ハンドルを握っていると、

『仕方がないでしょう、

 水道工事のバイト、

 あんなことになっちゃったし、

 それに、今度買った連凧の支払いもあるのよ』

と助手席に座る同じ闇の気配を漂わせるショートカットの女が言う。

『しかし…』

『文句を言うなっ

 全てはあの”お方”のためだ。

 我々が稼がないとおもちゃが買えないだろう』

『うっ…

 それはそうだが…

 それにしても今日の荷物は何だ』

話の流れを変えようとしたのか、

長髪の男は積み荷について尋ねると、

『さぁ?

 なんでも劇的に太らせる特製ケーキとか』

と女は答える。

『太らせる?』

『さぁな、

 いろいろ理由があるのだろう…』

と言ったとき、

『おっとぉ』

脇道から突然出てきた車を避けようとして男はハンドルを大きく切った。

すると、

スルッ

ドコッ!

その衝撃で、トラックの荷台よりケーキの入った箱が1つ転げ落ち、

たまたま歩道を歩いていた渚にめがけてすっ飛んできた。

「うわっ」

パシッ

持ち前の反射神経の良さで、

渚は箱を受け取ると、

「なっなに?」

と驚きながら走り去っていくトラックを見るが、

「あっおいっ

 これ、落ちたよ」

と声を上げながら追いかけようとしたときには

トラックの姿は街中に溶け込んでしまっていた。

「あーぁ、

 行っちゃった。

 ってなにかしら、コレ」

中身について何も書いてない真っ白な箱に、

渚は警戒しながら恐る恐るふたを開けると、

「うっ

(けっケーキだ!!)」

中に入っているケーキを見るなり、

その目がハートマークへと即座に変わった。



「んっんまいっ」

近くの公園に渚の声が響き渡る。

「うっはーっ

 美味しいなぁコレ」

公園のベンチで渚は落ちてきたケーキをほおばっていると、

「渚っ」

「渚さぁーん」

その姿を見つけて和と光が駆け寄ってきた。

「あれ?

 和に光じゃない、
 
 どうしたの?」

駆け寄ってきた二人に渚はそう言うと、

「あれ、渚、

 どうしたの、そのケーキ?」

和が渚の手元のケーキを指摘する。

「え?

 あぁ…」

和の指摘に渚がケーキの経緯を説明すると、

「えぇっ

 拾得物を勝手に食べたの?」

と声を張り上げた。

「大丈夫だって、

 ちゃんと1割は残すようにしているから」

そんな和に渚はそう言い訳すると、

「なんで、1割を残すんです?」

と光がその根拠を尋ねた。

「え?

 だって、

 1割は持ち主に返すんでしょう?」

光の質問に渚は答えると、

「それを言うなら、

 1割がお礼として貰えるってことよ」

と和は指摘した。

「え?

 そうなの?
 
 あらら、ほとんど食べちゃったよ」

和の指摘に渚は頭を掻くと、

「それはそうと、

 渚っ
 
 あなた、最近食べているばかりって聞いたけど」

和は渚の暴飲暴食にて尋ねた。

「え?

 あぁ、これはねぇ
 
 別腹なのよ」

和の質問に渚はそう答えると、

「ふざけないで」

公園に和の怒鳴り声が響き、

「渚っ

 あたしは貴方のことを心配して聞いているのよ」

渚の手を握りしめながら和は言い聞かせた。

「和…

 ごめんね、
 
 でも、実はこれには…」

そんな和に渚は底なし胃袋のことを告げると、

「うそぉ…」

「そんなことが…」

渚より”底なし胃袋”の話を聞いた和と光は同じように驚くと、

「ふっふっふっ、

 そりゃぁあたしも驚いたけどね、
 
 でも、この胃袋のおかげでいくら食べても太らなくなったのよ」

と勝ち誇ったように持っていた”子機”を掲げ挙げた。



その頃、渚の自宅では

「お姉ちゃん、

 いい加減、僕のゲーム返してよ」

渚の弟が文句を言いながら部屋のドアを開けると、

「あれ?

 まだ、学校から帰ってきていないのかな」

と無人の部屋を見渡しながら首をひねる、

と、その時、

ゴトッ!!

部屋のクロゼットから音が響き渡った。

「ん?

 なにかな?」

その音に気づいた弟がクロゼットに近づき、

そして、恐る恐るクロゼットの戸を開けた途端。

「うわっ、

 なにこれ!!」

その中にあったモノを見るなり腰を抜かした。

それは…

ドクン…

ドクン…

不気味に鼓動をしながらクロゼットの中をほぼ占領している

あの”底なし胃袋”の親機の姿であった。

「うわぁぁ…

 なにこれぇ…
 
 気持ち悪い」

これまで渚が食べてきた体脂肪を取り込み

パンパンに膨れあがっている親機を見ながら弟は引き下がると、

カタ…

渚の机の上に置いてあったカッターを手に取るなり、

恐る恐るその刃先で軽く突っついてみた。

すると、

ピシッ!

親機の側面に光の亀裂が入り、

それがみるみる全体に広がっていくと、

パァァァァン!!!!

まるで風船が破裂するかのように破裂してしまった。

そして、その直後、

『ザケンダー!!!』

不気味な声が部屋中に響き渡ると、

グモモモモ!!!

赤い光を輝かせ、

にわかに黒い影がわき上がる。

「なっなに……

 おっお母さぁん!!」

その影の姿を見た弟は悲鳴を上げながら部屋を飛び出していった。



「で、でも、渚…」

胸を張る渚に心配顔の和が話しかけると、

「なに?」

「そんな、訳のわからないものを使って本当に大丈夫なの?

 ねっ、
 
 それでさ、
 
 一度、その親機というのを見せてほしいんだけど
 
 いいかなぁ?」

と和は持ち前の科学者魂を見せながら、

渚に底なし胃袋の親機を見たいことを告げた。

「え?

 えぇ、まぁ…
 
 和がそう言うのなら…」

和の意気込みに渚は押されるようにして折れると、

「うふっ」

和の瞳が妖しく輝いた。



「ただいまぁ」

和や光を引き連れて渚が帰宅すると

「おっお姉ちゃん!!」

奥から弟が泣きべそをかきながら飛び出してきた。

「どうしたの?」

泣きべそをかく弟の姿に渚が驚くと、

「お姉ちゃんの部屋にヘンなのが…」

と渚の部屋を指さし訴えた。

「あぁっ、

 コラ!!
 
 勝手に人の部屋に入るんじゃないわよ」

話を聞いた渚が弟が自分の部屋に勝手に入ったことを咎めると、

「だって、

 ゲーム返して貰おうと…」

と弟は理由を言うが、

「言い訳はしないの!!!」

その言葉を渚は遮ると

「あっ入って」

と玄関先で立ちつくしている和と光を招き入れる。

そして、二人を部屋に通した後、

「今度勝手に覗いたら、

 お仕置きだからね」

と言い残すと、

パタンとドアを閉めた。



「渚…

 あんまり弟さんに辛く当たらない方が」

「いいのよ、

 あれくらい言わないとね、
 
 それよりも…」

弟に対する態度を注意しようとする和の言葉を遮り、

渚は底なし胃袋の親機をしまってあるクロゼットの扉を開いた。

ところが、

「あっ!!」

渚の目に飛び込んできたのは無惨に破裂している親機の姿と、

その下で光る一本のカッターだった。

「これは…」

カッターを拾い上げた渚は直感的に弟の仕業と判断すると、

「あいつぅ!!」

歯ぎしりをしながら畝まくりをするが、

その直後、

『ザケンダー!!』

と重々しい声が響き渡り、

ゴゴゴゴ…

部屋の中に黒い影が覆い始めてきた。

そして、

『ザケンダー!!』

再度叫び声が響き渡ると、

ブワッ!!

渚に向けて影が迫ってきた。

その時、

「渚っ

 危ない!!」

反射的に和が叫ぶと、

ドン!!

横に立っていた光を思いっきり突き飛ばしてしまった。

その直後、

「きゃっ!」

ドシン!!

光と激突した渚はベランダへと飛ばされ、

一方、光は、

「きゃぁぁぁぁ!!!」

瞬く間に影に包み込まれてしまうと、

その中で、

「やっやだ…

 身体に何か入ってくる。
 
 いっいやっ
 
 渚さん、
 
 和さん、
 
 たっ助けてぇ!!」

と光は渚と和に助けを求めるが、

ボコッ

差し出したその手に巨大な瘤が飛び出すと、

ボコッ

ボコッ

ボコボコボコ!!

続々と瘤が飛び出し、

やがて体中を瘤が覆い尽くしてしまうと、

さらに、瘤の上にまた瘤を作り上げなから、

光はその身体を大きくしていった。

そして、

バリバリバリ!!!

体型の変化について行けなくなった服が引き裂けていくと、

ボテッ!!

モリモリモリモリモリ!!!!

渚の部屋の中に肌色をした肉の山を築いていく。

「光…」

人の姿でなくなっていく光の姿を見ながら

渚は呆然としていると、

「渚…

 安易な道具に頼ろうとするからよ、

 もぅコレに懲りて節制をすることね」

と額の汗を拭いながら和は警告をした。

「うっうんっ

 ありがとう、和…

 あたし、本当に目が覚めたわ」

「うごぉぁ!!」

ボコボコボコ…

悲鳴を上げながら未だ膨れ続ける光をよそに

渚は反省をすると、

「うん、判ってくれればいいのよ」

和は安心した表情になると、

お互いに手を握りしめ合っていた。



「ところで、和…

 光、こんな姿になっちゃったけど、

 どうしよう…」

「うーん、

 まさに肉の山って感じね…

 そうだわ、

 おうちの方が帰られないうちに学校の部室に運びましょう…

 昨日見つけた2ち○んのスレッドに

 プレキストン博士の未発表論文のコトが書かれていてね、

 それを元に作った新しい飴を作ったの」

「へぇぇ、そうなんだ、

 良かったね、光、

 元に戻れるってさ」

「うふ

(人間の姿に戻れるかは判らないけど)」



おわり