風祭文庫・醜女の館






「百合華の災難」


作・風祭玲

Vol.581





ドクン!

ドクン!

「よっよしっ

 かっ神様…

 このわたしに勇気を!!!」

バレンタインデーの朝、

ハートマークが入った包みを持つ一人の少女…

と表現するには些か年齢が過ぎている女性・瀬能百合華は

物陰に隠れジッとその時を待っていた。

「大丈夫…

 大丈夫よ、百合華。

 昨日、縁結びで有名な神社にお願いしてきたじゃない。

 絶対大丈夫よっ」

いまにも挫けそうになりそうな自分の心に向かって百合華はそう言い聞かせ、

ひたすらその時を待ちかまえていたが、

しかし、

10分が過ぎ、

20分が過ぎても彼女が待つ相手の姿は見えなかった。

「あれぇ?

 おっかしいわねぇ…

 いつもならもぅ通り過ぎているはずだけど」

腕時計を観ながら百合華は首を捻ると、

「まさか、

 今日に限ってコースを変えたとか…

 ううん、そんなことはない。

 だって、この道以外のコースは全て遠回りになるし、

 帰りならともかく、高山さんがコースを変える…

 なんてコトは絶対にあり得ないわ。

 でも、じゃぁなんで来ないんだろう?

 講義を休むつもりなのかな…」

百合華は通勤や通学に向かう人並みが途切れた道路に出ると思案した。

そして、

「とっとにかく、高山さんの部屋に行ってみましょう…

 もし、事故か何かで先輩の身に一大事が起きていたら大変ですし」

そう決心するなり、

タッタッタッ!

百合華は足早に高山克也の部屋へと急行した。



「あれ?

 鍵が開いている。

 もぅ、不用心ね…

 で、高山さーん、

 まだいらっしゃいますか?」

克也の部屋の前に到着するのと同時に

鍵が開いていることに気づいた百合華は

ドロボウネコのように部屋へと入っていく、

そして、

前に迫ってきたドアに手を掛けようとしたとき、

「あっあぁ〜っ!」

部屋の奥から何かのうめき声と共に、

「おぉっ

 高山ぁ〜いいぜ、お前のケツっ

 女みたいに締まるぜ」

と言う克也とは明らかに違う男の声が響いてきた。

「あっあぁ…

 先輩っ

 もっと、

 もっと、俺を突いてください」

その声に何かを求める克也の声が上がると、

「え?

 高山さん?」

百合華は眼をまん丸にして驚くと

躊躇っていた手を伸ばすと、

バンッ!!

反射的にドアを開けてしまった。

すると、

「ん?」

部屋の中に置かれていたベッドの上で百合華の想い人、

高山克也が全裸姿のまま両手を左右に大きく広げ、

その手には手枷が嵌められ壁から伸びる鎖に固定にされていた。

また脚は大きく開かされた上に天井から下がる鎖によって吊されると、

その開かされた股間には短髪に筋肉隆々の男が覆い被さり、

盛んに腰を動かしていたのであった。

「誰?」

額から油汗を流しながら、

克也は突然の訪問者を見ると、

「ん?」

腰を動かす男が百合華の方を振り向く、

「え?

 あなたは…レスリング部の…」

そう目の前で克也を犯している男はレスリング部に所属し、

先日のオリンピックで見事メダルを取った男であった。

そして、筋肉隆々の男の股間から伸びる肉棒が

克也の肛門より伸びたりに縮んでいるのを目の当たりにすると、

「え?

 あっ

 あのぅ、あたし…高山さんにこれを渡そうと…

 ごっごめんなさい」

想像することもなかった衝撃の光景に百合華の思考力が飛び、

「あのぅ…

 いえっ

 しっ失礼しました」

その声を残して飛び出すようにして逃げ出してしまった。

どれくらい走ったのかは判らない。

ただ気がついたときには百合華は

恋愛成就の祈願をした縁結び神社の境内をトボトボと歩いていた。

「あたしって、一体何をやって居るんだろう…」

そう呟きながら百合華は歩いていると、

ふと、バレンタインデーとして渡そうとしたチョコが入った包みを一目見て、

「もぅ、

 これは要らないわ」

と言いつつ包みを投げ捨てようとした。

しかし、

「(だっダメよ、

  きっと何か理由があると思うわ)」

即座にあの光景を肯定しようとする声が心の中に響くと、

「そうよ…

 高山さんにも何か理由はあるはず…

 そうだわっ

 あの男に無理矢理犯されているのよっ

 そうに決まっているわ」

心の声に押されるようにして百合華は前向きに考えを改め、

振りかぶっていた包みを握る手を下へと下ろすが

「でも…

 高山さんって…男の人が好きなのかな…」

と無理矢理と表現するにはあまり嫌がっている様子無かった彼の姿に

百合華は考え込んでしまった。

しかし、

幾ら考えてもあの光景を正当化できる理由など見つかるわけでもなく、

次第に百合華の顔が曇ってゆく、

そんな表情をしながら百合華は本殿の前で座り込んでいると、

パァァ!!

その背後から光が光り輝き、

『どうしました?、お嬢さん…』

と背後から老人を思わせる声が響いた。

「え?

 あっいえっ」

その声に驚いた百合華が振り返ると、

ドーーン!!

彼女真後ろには埴輪の時代を思わせる衣服に身を包み、

首には曲玉の首飾り、

そして、頭の左右に白髪を束ねたみずらを下げた老人が杖を突きつつ立っていた。

「はぁ?」

あまりにも突拍子の無いその姿に百合華は唖然としていると、

『ほっほっほっ

 ワシはこの社を根城としている縁結びの神じゃ』

と老人は自己紹介をする。

「かっ神様?」

その声に百合華はますます目を剥くと、

『ほっほっ、

 驚いたかね、まー無理も無いじゃろう、

 ワシがこうして人間の前に立つなど滅多にないからのっ

 さて、お嬢さんはこの間、高額な賽銭を施してくれたのじゃが、

 どうした?

 ふられでもしたか、

 うーん、ワシの術が効かないはずはないのじゃがのぅ…』

神と名乗る老人は勝手に話を進め、一人考え込む。

そして、

『うーん、そうじゃっ

 もぅ一回チャレンジしてみるか?

 今度はパワーアップした術を掛けてみよう。

 それでも、ダメだった場合は…

 一丁、お前さんの身体を弄ってみるか、

 ふふっ、

 思いっきり、セクシーにその姿を変えて、

 男をたぶらかすのだ!』

老人は一人盛り上がりながら作戦を練ると、

「神様…

 私の姿を変えること出来るんですか?」

と百合華は聞き返した。

『うん?

 まーのっ、

 基本的に一度だけだが』

老人はそう返事をする。

すると、

「お願いがあります」

その言葉に百合華は目を輝かせながら声を上げると、

「あっあたしを、

 男にしてください!!!

 オチンチンが大きて筋肉モリモリのマッチョな男に!!!」

と懇願した。

『はぁ?』

百合華からの願いに今度は老人が目を剥くと、

「高山さんって、

 男の人が好きみたいなんです。

 ですから…

 あたしを男にしてください」

そんな老人に向かって百合華は事情を話す。

『うん、まぁ…

 出来なくはないが…

 珍しいのぅ…

 こんな望みを言う娘とは…』

困惑しながらも老人はそう呟くと、

『では、いくぞ、

 覚悟はよいかっ』

と言うなり、

ムニャムニャ

なにやら難しい呪文を唱えなじめた。

そして、

ドンッ!!

振り上げた杖で強く床を叩いた途端。

ビシャーン!!

「きゃっ!」

百合華の身体に雷が落ち、

「あっあっあぁぁぁぁ!!!!」

その中で百合華の身体は変化が始まる。

着ていた衣服が全てはじけ飛んでしまうと、

曲線を持つ女性のシルエットが次第に直線的になってゆき、

柔らかい膨を持つ胸には固い胸板が盛り上がると、

お腹の周りは6つに割れ、深い谷を刻んでいゆく、

さらに腕や脚に筋肉が盛り上がってゆくと、

グッグググググ!!

ブルン!!

股間より、太くて逞しい男性のシンボルが袋と共に飛び出した。

また、

シュルルル…

頭には髷が結われ、

さらに百合華の腰に黒い布が巻かれて締め上げると、

ずしーん!!

「どす、こいっ!!」

老人の前には筋肉隆々の肉体に廻しを締め込んだ力士が

テッポウを打つような姿勢で立ちはだかった。

『ふむっ

 一応、注文通りのようにしたが…』

力士となった百合華を見ながら老人はそう言うと、

「えぇ!!

 なにこれぇぇ!!

 信じられなーぃ!!

 もぅ…

 どうせなら背が高いイケメンにて欲しかったわ

 なんでお相撲さんなのよっ」

鏡で見た自分の姿に百合華は悲鳴を上げると

『文句を言うな!

 ワシの世界ではそれが一番なのじゃ』

と老人は一喝する。

「ぶぅ…」

老人の言葉に百合華はむくれながらも、

「まっいいか、

 これだけマッチョな身体なら

 高山さんもきっとあたしに向いてくれるはず」

いまの自分の姿になんとか納得をした百合華は踵を返すと、

『がんばるのじゃよ』

その背後から送り出す老人の声が響いた。



「高山さぁぁん、

 あたし…じゃなかった。

 おっ俺、高山さんのことがやっぱり忘れられませでしたぁ。

 だから…

 だから、俺、克也さんに好かれるよう、

 男になりましたぁ」

ムキッ!

モリモリの筋肉に廻し締めるマッチョな力士に変身した百合華は

歓喜の声を上げながら克也の居るマンションへと突進してゆく、

そして、

バンッ!

「克也さん、

 俺、男になってきました!!」

と息を弾ませながら部屋のドアを開けると、

ピシッ

部屋の中に鞭の音が響き渡り、

「さぁ、おっしゃいっ

 なにが欲しいの?」

と男とも女とも付かない声が追って響いた。

「え?」

その音と声に百合華は首を捻りながら恐る恐る部屋の中に入っていくと、

「うふっ

 可愛い坊や…

 さぁ、どうして欲しいのか言いなさい」

黒のボンテージ衣装に長い髪、

そして、色を合わせた皮ブーツに革手袋姿の女性と思われる人物が、

縛り上げられ天井からつるされている克也の身体に向かって鞭を放っていた。

「あっあなたは?」

女性の姿に百合華は呆然としていると、

「ん?

 だれ?」

百合華の存在に気づいた女性が振り返る。

すると、

「え?」

女性は突然入ってきた力士の姿に驚くが、

「なに、それ…」

それ以上に驚いたのは百合華の方だった。

ブルンッ!

女性にしては骨太の身体に、

大きすぎる乳房とその肌に彫り込まれた薔薇のタトゥ

そして股間から伸びる男性のシンボル…

百合華の前に達人物は紛れもないニューハーフであった。

「おやっ

 褌を締めた力士のご登場とは面白いわね。

 君の友達?

 うふっ

 あなたも可愛がってあげましょうか」

百合華を見ながらニューハーフは

ハスキーボイスをあげながら迫ってくると、

ツンッ!

手にした鞭で百合華の股間を突く、

「なんで…」

状況が理解できない百合華はそう呟くと、

「あっあっい〜ぃ」

痛みが快感に感じるのか克也は喘ぎ越えを挙げ、

「もっもっとぉ〜

 エミさん、
 
 もっと、僕を責めてください」

と懇願した。

「うふっ

 可愛い子…」

その言葉にニューハーフは百合華に背を向けると、

「さぁ、

 もっとして欲しければ

 あたしのこれに奉仕をするんだよ」

と語気を荒げながら自分の男性自身を克也の口に押し当て、

チュバッ

克也にソレを吸わせ始める。

「克也さん…」

「ふふっ

 この男ねぇ…ニューハーフでしか勃たないんだよ、

 お前とはどういう関係があるかは知らないが渡すわけにはいかないよ」

百合華を横目で見ながらニューハーフはそう告げると、

ダッ!!

その途端、百合華はその場から逃げ出していた。



「克也さん…

 そんな

 ニューハーフにぞっこんになっていて、

 男の人にはもぅ興味がないんだって…

 はぁ、なんで…」

縁結び神社の拝殿前でため息をつきながら百合華は俯くと、

髷が結われた頭の下で鍛え上げられた背筋が浮かび上がる。

『ほぉ?

 ニューハーフとな?』

その言葉に白い髭を幾度も撫でながらあの老人が姿をみせると、

「神様っ

 あっあたしをニューハーフにしてください!!」

と訴え出た。

『はぁ?』

その言葉に老人はまた驚かされると、

「お願いです。

 じゃないとあたし…

 あたし…」

そう言いながら泣き出してしまった。

『やれやれ…

 先に言っておくが、

 今度術を掛けたらもぅ戻れなくなるぞ、
 
 一生、そのニューハーフとか言う者の姿で生きてゆくことになるが、

 それでよいのか?』

と老人は百合華の覚悟を尋ねると、

コクリ

頭の髷が縦に動く。

『ふむ』

彼女の覚悟を確かめると、

『では…ムニャムニャ…』

と老人は呪文を唱え始め。

ギュッ!

追ってやってくるであろう雷撃に百合華は身構えた。

ところが、途中で呪文が止まると、

『のぅ…

 ニューハーフというのは

 どんな者なんじゃ?

 最近のことはとんと疎くての』

と老人がニューハーフについて尋ねてきた。

「はぁ?」

その声に百合華は呆気にとられると、

「あのですね…」

とニューハーフについて説明をし始める。



「判った?」

『ふむ…

 それにしても妙なモノが流行っておのじゃのぅ』

「文句は言わないで、

 さっさとして」

『はいはい、

 では!!
 
 ムニャムニャ…』

百合華に急かされるようにして老人は呪文を唱え、

そして、

ドンッ!

振り上げた杖で床を叩く、

すると、

ビシャーン!

「きゃっ」

力士姿の百合華に雷が落ち、

その中で百合華の姿が変わり始めた。

髷が解け、締めていた廻しが外れると、

ビンッ!

股間から逞しい男のシンボルが飛び出す。

すると、

直線的なシルエットが徐々に緩み、

次第に女性的なラインを描き始めるが、

しかし、その骨格は男らしい骨太のままであり、

また、

シュルル…

張っていた胸板が萎み、

ムリムリムリ…

それに取って代わるように左右両側に乳房が膨らんでくると、

ブルン!!

かつて、百合華の胸にあった乳房よりもはるか凌ぐ大きさの乳房が姿を見せ、

その下に隠れるようにして刻みが消えてゆくツルンとした腹があった。

「あっあぁぁ…

 あたし…ニューハーフになっていく…」

自分の姿が変わっていくのを百合華は実感しながら、

Eカップ近くに成長し薔薇のタトゥが浮かび上がる乳房を抱きしめていると、

股間の袋から玉が抜かれ、

心持ちシンボルが小さくなる。

そして、

ギュッ!

太いウェストを締め上げるように黒革のコルセットが締め上げると、

百合華のウェストに女性の括れを作り、

また、脱毛さたて手足にそれぞれ、

皮の手袋とブーツが姿を見せると、

ギュッ!

その手に鞭が握られた。

ピシーーン!!

鞭の音が境内に響き渡ると、

カッ!!

拝殿前にブーツの音を勇ましく響かせ、

薔薇のタトゥが浮かび上がる巨乳に

コルセットで作り上げた括れ、

そして、股間から男のシンボルを勃起させるニューハーフが

長く伸びた髪を大きく振り回すと、

「ふふっ

 さぁ、高山さん、

 あたし、好みの姿になりましたわ」

ハスキーボイスを挙げながら魅惑的なルージュが引かれた唇をかすかに開ける。

そして、

バンッ!!

「克也さん、

 あっあたしっ

 ニューハーフになってきました!!」

克也の部屋のドアを勢いよく開け、

黒のボンテージ衣装を身につけたニューハーフとなった百合華は

そう叫びながら飛び込んでくると、

パンパンパン!!

「オラッオラッオラッ!」

「あっあっあっ」

ベッドの上に突き上げられた女の尻めがけて

克也は己の肉棒を打ち込んでいる真っ最中だった。

「え?」

大きく張り出したヒップを突き上げ、

身体をくねらせながら喘ぎ声を上げる女の姿と、

それめがけて腰を動かしている克也の姿に百合華は呆気にとられていると、

「だれ?」

女の方が先に振り向く。

「みっ美佐ぁぁ!!!」

その女の顔を見た途端、

百合華は思わず親友の名前を叫んでいた。

「だっ誰?」

いきなり部屋に飛び込んできた奇妙な女から

自分の名前を呼ばれたことに美佐を呼ばれた女は驚くと、

「ん?

 君の友達じゃないのか?」

と腰を動かす克也は聞き返した。

「しっ知らないわよ…

 こんな女…

 え?

 なにそれ…
 
 やだぁ!!
 
 オチンチンがあるぅぅ
 
 なによっ
 
 ニューハーフじゃない。
 
 高山君っ
 
 あなた、ニューハーフなんかと付き合っているの?」

飛び込んできた人物が自分の友人とは気づかない美佐は

女と思っていたその股間にそそり立つ男のシンボルに気づくなり大声をあげた。

「そっそんな…

 しっ知らないよっ

 何で僕が…」

その声に克也は驚きながら返事をすると、

「え?

 なんでー
 
 高山さん、ニューハーフが好きなんじゃないの?」

と百合華は声をあげ、

ドンッ

ベッド上の克也を突き飛ばした。

すると、

「ちょぉっと、

 なによっ

 いきなり飛び込んできて、あたしの克也を横取りする気?

 このオカマ!!!」

飛びかかってきた百合華を今度は美佐が突き飛ばすと、

「なんですってぇ

 あのねっ

 あたしはチャンとした女の子だったのよっ

 それを、高山さんの好みに合わせていたら、

 こんなニューハーフになっちゃったのよっ

 あなたこそ、そこどきなさいよ!

 は先に目を付けたんだからぁ!!」

百合華も負けじと言い返すと、

今度は美佐を突き飛ばす。

「やったなぁ!!」

「やる気ぃ」

「まーまーっ

 事情はよくわからないが、

 俺は男だろうが女だろうが、

 それ以外でも別にどうでも良いよ」

一触即発の雰囲気に克也が割ってはいると、

「どうでも良いとは…(キッ)

 一体どういうコトよぉ」

その言葉についに切れた百合華のパンチが克也の顔面を直撃し、

ドサッ!!

鼻より血を吹き上げながら克也は倒れると白目を剥いてしまった。

「あぁ!!

 克也くんっ」

倒れた克也に美佐は慌てて駆け寄り介抱をする。

そして、

キッ!

百合華を見上げながら睨み付けると、

「よくもぉ!!!」

と怒鳴りながら立ち向かおうとすると、

「待て!!」

鼻血を流しながら克也は立ち上がり、

ゆっくりと百合華へと歩いてゆく。

「高山さん…」

「克也…」

その姿に百合華と美佐はそう呟くと、

クルリ…

いきなり克也は二人に頭を下げ、

「ごめん、

 おっ俺…

 やっぱり…」

そう謝りながらドアを開けた。

すると、

バフーーン!!

ドアの向こうには樽のように膨らんだ女性が立っていて、

「うふっ

 高山君ってデブ専なのよねぇ」

と言いながら恵美を浮かべていた。

「はぁ?」

その光景に二人は唖然とすると、

フルッ

フルフルフル

「…どっどうしてくれるのよ…

 あたしのこの身体…

 どうしてくれるのよぉ!!!」

と怒鳴りながら、

ピシーン!!!

百合華は手にした鞭を鳴らし、

思いっきり振り上げた。



おわり