風祭文庫・ヒーロー変身の館






「超ムキムキマッチョマン」
(第15話:相撲ライダー)



原作・@wolks(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-355





♪ラ―ララララララララ〜

♪リルレロリララーン〜

謎のテーマソングとともにバイクに乗って表れる巨漢の戦士、

その名も相撲ライダー。

相撲ライダーには知られざるドラマがあったのだ。

どすこーい!

どすこーい!

9月終わりになっても暑い日が続いていたある日。

神社の境内ではしこを踏む一人の力士の姿があった。

その力士は体重152kg、

体脂肪率61%という体格の持ち主であり、

通称マワシファイターとも呼ばれていたものだった。

「はあ…なんであたしだけ…」

その力士の正体は神条初音。

実はその神社の娘であり、

かつて自分の周りの人間を野心のために

次々とマワシファイターの姿にしてきたのだった。

しかし、それがある日、

彼女自身に報いとなって降りかかってきたのだった。

彼女は自分が犯した罪のために

その高くついた代償を支払うこととなったのだが…

ここ一月ばかり不幸の汗を流し続けているが、

ここからが彼女にとって本当の試練の始まりだったのだ。

「ふう…

 一カ月ずっとしこばかり踏んだから…

 少し…

 あっあれ?」

ドタン!

初音は暑さが災いしたのか、

その場に倒れこんでしまったのであった。



初音が意識を失ってから数時間後…

な…何これ?

初音は力士の体なのに

なぜか銀のペンダントとややメタリックなブーツ、

それになぜか旧世代のバイクが乗らされていた。

「おめでとう…

 マワシファイター改め、相撲ライダーよ!」

「え…あんたたち、いったい誰?」

初音は眼の前に現れた力士軍団を見ていた。

どうやらマワシファイターとは関係のない集団らしい。

「君は、私たちの仲間になるのにふさわしい体格であったが、

 新入りだったので、

 頭脳派の相撲博士によって改造されたのだ。」

「は?

 なにそれ?」



そう初音は力士にされた上に改造されてしまった。

初音の受難はさらに続きそうだ。

「そのため、

 今日から君は我々の仲間にふさわしいかどうか、

 我々の指令に従ってもらおう!」

「ちょっと待ってよ…何よ…」

初音は反抗しようとするが…

「ふぉふぉふぉ…

 いつもしこを踏んでいるだけでは解けないこともあるで。

 変化球があれば近道にもなりえるで」

どこからともなく相撲の神様が声をあげたのだ。

「…わかったわ…」

初音は今自分が置かれている立場を理解したのか、

そういう返事をした。

「ならばよろしい、

 君に指令を与える。

 バイクに乗ってある場所に向かってもらおう!」

力士軍団の一人の声で初音は無理やりバイクに乗せられ、

基地と思われる場所から飛び出した。



そして、謎のテーマソングをバックに

廻し1本の巨漢の力士がさっそうと走り去っていた。

(相撲ライダーの歌

 その1:ttp://www.youtube.com/watch?v=KzaHnrc_Z9w&feature=PlayList&p=8C6F079F80826B3B&index=1)

 ♪初音ショック!業によって力士変身

 バイクにまたがるフンドシで

 イチモツあるけど脂肪もある

 ゴー!ゴー!ごっつあんです!!

 輝くネックレス

 体重162kg体脂肪61%

 相撲ライダー相撲ライダー

 ウラカタサーンウラカタサーン

 相方は生徒会長

 部活のキャプテン成績優秀

 相撲ライダー相撲ライダー

 後ろにちっちゃい相撲の神様

 そして、心なしか初音は最後におならをするようになってしまったのだ。



「なによこれ〜、

 本当に恥ずかしいじゃない〜」

最初の指令…

それは有名な某ファーストフード店の新メニューを購入するというものだったが…

わざわざ飯時に廻し1本で行列に並ぶなど、

今の初音にとっては本当に耐えられない屈辱であった。

「我慢するのよ…」

そのとき、謎の着メロが鳴り響いた。

「こっちから指令を出すから」

その内容は…店員に呼ばれてもごっつあんです!

と挨拶をする、

さらには客の前でしこを踏め、

さらには隣の客のコーヒーを一口もらえなど、

普通の人間が行っても屈辱としか思えないものばかりだった。

「なんでこんな目に会わなきゃいけないのよ〜」

不幸の汗はさらに出るばかりであった。

しかし…無理難題を吹っかけられるほど、

初音のマゾヒスティックな面が芽生えたのか、

次々と快感に感じるようになってしまった。

ついには、ファーストフード店から

例のテーマソングを大音量で歌って帰ってしまうほどであった。

だが、次の指令は

これよりはるかに恥ずかしいものであることは

言うまでもなかったのだが…

次の指令は若者の街・原宿でのクレープやジーンズの購入だ。

かつてスレンダーな少女の姿であったころ、

初音はよく買い物に来ていた。

だが、今回はそんな姿ではなく、

160kgを越えた巨漢の力士として、

しかも恥ずかしいことをしながら来なければならないのだった。

自分の恥ずかしい姿をさらす

マゾヒスティックな快感はさらに研ぎ澄まされ、

言われた指令を何倍にも反して…

たとえば、某ジーンズ店で

ジーンズ店のテーマソングを歌えと言われた際も、

ジーンズ店のテーマに

「おすもうさーん、ごっつあんでーす」

などというフレーズをたったきつけたり、

クレープ屋でクレープをぶちまけながら食べたり、

竹下通りをしこを踏んで歩いたりとまさにやりたい放題であった。

さらには勝手に相撲ライダーのテーマその2まで作って大音量で闊歩するなど、

まさに開き直りもいいところであった。、

♪:相撲ライダーのテーマ

その2:ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm2663708

 ラララララララッラララララッララーン

 ラッキーチャーム

 ラリルレラリルレラリルレロリララーンライチジュース

 ララララッラリラタラリラ

 ララッリララリラガタン、

 ガタン、

 ガタンフォース

 相撲ライダー、ライダーレモン

 相撲ライダーライダーミント

 相撲ライダーライダールージュ

 相撲ライダーライダーフレッシュ

 ビッグライダーリトル神様〜



謎のテーマソング第2弾も受けたのか、

初音は力士軍団から一目置かれる存在となっていた。

「おめでとう、

 マワシファイター改め

 相撲ライダーよ。

 今日から我々と同じ土俵で戦うのだ」

一人の力士は初音にこう語りかけた。



一方、その頃、

初音が上がる土俵では数人の生贄が上がっていた。

初代ぶっこみ総長・ショウ、

子連れの狂犬・ケン、

三度目の留年・マサル、

地味な巨人・ジミー、

伊集院家の★・ヒカル、

孤高の美男子・じょにー、

本名は幹サトシ・みっきー、

そして事情がよくわかっていないベテラン俳優だった。

ぶんぶん…

「一反木綿→…」

訳のわからないお題を出されて答えられなかったヒカルは、

たちまちファンファーレとともに力士軍団に囲まれ、

「どすこーい!どすこーい!

 こんな簡単な単位も答えられないとはー!」

初音によるきついしこ踏みや突っ張りを受けていた。

その後も

「インターネット→5台(正しくは回線またはアクセス)」、

「ラスク→?」、

「ニコチン→3ミミグラグラ(3mgを噛んだ。)」

「マサチューセツ工だだぎゃぐ

 (マサチューセッツ工科大学、噛んでしまった)」

「…」

などなど、初音の出番は次々と回ってきた。

なかでも…

「ラムズフェルドバクチョーチョーカン→?、

 ラスク→ラスク」

など、間違いを連発するヒカルには、

初音も気に入ってしまったようだ

「ヒエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」

「こんないい体格してるのに間違えてくれるし、

 そのうえ簡単にやられるなんて…」

初音はヒカルをここぞとばかりに責め続けた。

もちろん、ヒカルだけでなく

他のメンバーも初音の餌食となったのは言うまでもなかったが



「いろいろみしてもらって、

 業も減ってきたようだが、

 元に戻すのがいささか恐ろしくなってきてもうたなあ」

これには神様も半分呆れ、

半分笑うしかないようだった。



おわり



この作品はに@wolksさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。