風祭文庫・ヒーロー変身の館






「超ムキムキマッチョマン」
(第12話:意外な標的)



原作・@wolks(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-352





どうも皆さんこんばんわ。

編成部長のUです。

さて、皆さんは年末の番組といえば何を想像しますでしょうか?

某国営放送の歌合戦?

自称芸能人のひな壇クイズでしょうか?

それともCMだらけでスッカスカの格闘技の試合?

いや、最近では24時間の拷問に近い仕掛けがあることはご存知だろうか?

今回はその仕掛け人となった超ムキムキマッチョマンの物語です。



「(まだこないのかしら…?)」

超ムキムキマッチョマンは箱の中に入りながらターゲットを待ち構えていた

果たしてどうなのか?

一方、今回の耐久挑戦者である番組MCの下町組、雛罌粟、

そしてY崎の3組は過酷な仕掛けに噴出しそうになり、

そのたびに尻に打撃を加えられていた。

過酷な仕掛けとは、

本来の番組プロデューサーに変わって

U部長が用意させたものであるが、

いま話題の人間が以外なシチュエーションで驚かせたり、

また金だらいや肝試しに近いものもあった。


さて、今回のシチュエーションは

とある銀行…銀行のセットはUがうまくまとめこんだものである。

銀行員に扮した3組がさまざまな仕掛けに噴出しそうになる…

しかし決して笑ってはいけないというものである。

超ムキムキマッチョマンは銀行の地下、

ドッキリの仕掛けのための隧道の中にいた…

「(こんなところに地下室があったなんて…

  さすがは部長ね。

  でも、今回の標的ってだれなのかしら)」

マッチョマンの出番は夜中で、

しかもどういう風に驚かせたらいいかも聞いていた。



一組目…

まずはうるさいY崎と言う男が出現した。

Y崎の指令は地下室を通るものだった。

超ムキムキマッチョマンはY崎が彼の前を通ったと確信すると、

いきなりドアをあけ、

『うががああああー!』

と大きな声を上げていた。

「キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエー!!」

それ見たY崎は大声を上げて帰って行く。



二組目…

今度は二人組の雛罌粟というコンビだ。

雛罌粟も同じく超ムキムキマッチョマンがいる地下室を通るものだった。

雛罌粟はY崎とは違った仕掛けをとおり、

少しびくついているようだ。

「このあたりって、

 Y崎さんが大声出していたあたりやん」

「ちょっと警戒しよ…」

小声で二人は話していたが、

そんな声も聞くことができる超ムキムキマッチョマンは

雛罌粟の前でさらに勢いよく声を上げた。

雛罌粟はさらに驚いているようだ。

「(うふふふふふふ…

  驚いてる驚いてる。

  U部長の話だと、

  3組目を派手に驚かせって…

  3組目が標的ね!)」

だが、超ムキムキマッチョマンは

順番がまったくもって決められていないことを知らなかった。



三組目…

ついにきた。番組MCの下町組だ。

いかにも毒舌を連発しそうな男と、

柄の悪そうな坊主頭の男。

役作りとはいえ、

二人のスーツ姿がそれを引き立てるものだ。

二人はここに来るまでにさらに大きなトラップにかかっていた。

「この辺来るんちゃうか…?」

毒舌男が恐る恐る声を上げる。

「ほんまやな…?」

正露丸坊主も同じように恐れていた。

そして…

「うがっがががっがががが!」

どん!

どん!

ドン!

ドン!

突然ドアを蹴破られ、

さらに一部の壁を破壊しながら、

巨大な黒人筋肉男…超ムキムキマッチョマンが現れたのだ。

「(おらおらー!

  これをくらいなさいよー!)」

ムキムキマッチョマンは二人を威嚇しながら、

壁の中から出てきた神を投げつけた

「うわあああああああああああああああああ!」

二人はさらに驚き、

正露丸坊主はしりもちをついてしまった。

「な…なんで偽札?

 外国のドル札?…」

「こっちは所得隠しの債権に、

 それにコカインやら麻薬やら…

 なんだここはああああー!」

毒舌男や正露丸坊主はさらにあわてだす。

「(え…?

  そんなのあたし聞いてないわ…

  どういうことなの?)」

リリリイ

リリリリリリリリイ

リリリリリリリッリリイr…

非常ベルが大きな音を鳴らした。

どうやら正露丸坊主が躓いたときに鳴らしたものらしい。

そして、さらに一発の銃弾が…

「まったく…アンたたちさえ気がつかなければ…」

そこにいたのは本来の銀行の支店長の男だった。

しかし、それに気がついていない二人は、

さらに大声を上げるばかりだ…

「おとなしくしろ!」

銃を手に支店長が威嚇する。

「こんなドッキリ、

 初めてやで…」

そのときだった。

超ムキムキマッチョマンは自分の標的は何だったのかを。

「お前たち、安心しろ。

 俺がなんとかする」

超ムキムキマッチョマンは二人を振り返った。

二人は声も出ないようだ。

超ムキムキマッチョマンは支店長のところに歩み寄ると、

無言で銃を奪い、

彼の目の前で銃を溢れるパワーで引き伸ばし、

飴細工のように見事な縁起結びにしてみせる。

そして、次の瞬間、

支店長の目の前にとび蹴りを食らわし、

支店長をその場に倒したのであった。

してしまうと、

「熨斗だ」

といってマッチョマンは熨斗と化した元銃を、

支店長の顔に押し当てる。

「なあ、俺たち助かったのか…?」

「とにかく助けてくださって、

 あ…ありがとうござい…ました」

そう礼いいながら、

下町組はコースへ戻ってゆく。



実はこの銀行の支店は支店ぐるみで贋金作り、

密輸などのさまざまな犯罪に手を染めていたのだ。

そこでU部長は銀行そのものをターゲットにするために

回りくどいことをしたのだ。

もちろん、あやしまれないように…

そしてその銀行は

『鍵屋』

が封印対象にするべきものまで扱っていたのであった…



おわり



この作品はに@wolksさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。