風祭文庫・ヒーロー変身の館






「超ムキムキマッチョマン」
(第9話:噂の真相)



原作・@wolks(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-269





友紀が元の姿に戻って約1週間後、

2週間近く休んでいた学校に再び通い始めると、

「おはよー」

友紀は何事も何様に元気に挨拶を済ました。

「久しぶりー。

 親戚の仕事で3週間ほど外国に行ってたけど、

 どうだった?」

「え…凄く楽しかったわ…

 (さすがね。ちゃんとアリバイも作っとくなんて)」

何事も無かったかのような日常が彼女を待ちかまえていたのであった。

ただ一点、彼女が自在に変身できるようになった点を除いては…

ところが、

「ねえ、最近またあいつが現れたのよ…

 なんでも商店の近くのゴミ箱あさってたとか…?」

「えー?、

 また現れたの?

 この間はなんか勢いよく走ってることもあったけど…」

女子生徒たちは口をそろえてある噂を始め出す。

「何の話?」

それを聞いた友紀はその話に首を傾けようとすると、

「ああ…あんたは3週間ぐらいいなかったから知らないけど、

 違う町で全裸の黒人筋肉男が夜な夜な現れるんだって…」

「へえ…そうなんだ…」

(なんで?

 あたしはずっと地下室にいたのよ。

 それにちゃんとパンツはいてるし…)

思いがけない情報に友紀は一瞬とまどいながらも平然を装っていた。

(これは確かめてみないと…)

その噂話を確かめるべく友紀は女子生徒から詳しく話を聞くと、

町の地図にその黒人男の出没地域にしるしをつけた。

「えーと、

 まず1回目に出たのが中平市の中平公園の近く…

 2回目には…

 全部中平市の限られたエリアに多いようね…」

地図上で出没地点を確かめた友紀はさっそくその場所へと足を向ける。



さて場面はかわって、

ここはある大通りの中。

そこでアクセサリーを売る男がいた。

「いらっしゃ…」

男が声をかけるよりも先に友紀は弐千円札を1枚チラつかせた。

「あんた、情報がほしいのか」

男の正体は業界でも名高い情報屋である。

「ええ…ここ最近で中平市で起こった事件について知りたいの」

男は声を潜めるように話を始めた

「実は中平公園の裏で、

 一人の暴漢5人が女子中学生を襲ったらしいんだが…

 なぜか逆にその5人がぶちのめされた状態で倒れていた。

 しかし女子中学生は行方がわからないらしい。

 それからなんだよ。

 例の黒人変態男が目撃されるようになったのは…」

「ふーん、

 そう言うことがあったのね、

 ありがとう」

友紀はそう言い残し、その場を去っていく。

そひてその日の夜。

中平市内のマンホールの中では

超ムキムキマッチョマンに変身した友紀が身を潜め

人目につかないようにして時々頭で蓋を開けつつ周囲を見回した。

(これで見つかったら疑われかねないわね…)

何べんも何べんも確かめるが、不審者という不審者はいない…

一旦頭を下げようとしたそのとき、

頭上から勢いよく巨大な黒い塊が落ちてきたのがわかった。

(やっぱりこいつね…)

巨大な黒い塊は黒人の大男だ。

縮れた髪と十分に鍛え上げられた引き締まった肉体、

そして自分のペニスよりも一回りも大きな漆黒のペニス…

まるでアフリカにいる部族を思わせるようだ。

しかし純粋なアフリカの部族なのだろうか…?

超ムキムキマッチョマンはこの男の正体について直感するところがあり、

咄嗟にマンホールの蓋を取ると外に出た。

それに気がついたのか変態男もそこに立ち止まった

「お前は誰だ…」

厳かに問い詰める超ムキムキマッチョマンの前に、

変態男は言った

「オレはヌバの勇者・ンゴリだ」

ヌバとはアフリカの奥地で暮らす裸族である。

そんなことは知ってるのか知らないのか、

「誰であろうと、こんなところを裸ではいかいするとは…」

超ムキムキマッチョマンはさらに問い詰めるような気分だった

それに大してンゴリは勢いよく走り、

ついには公園にある高い木に登った

「ここまでは追ってこないだろう…」

そう思ったンゴリであったが、

「うまく巻いたつもりか…あまいな」

超ムキムキマッチョマンは木の上まで上ってきていたのであった。

「待ちな…俺にはお前に危害を加えようとは思わない。

 お前…実は女だろ…しかも日本人の…」

その指摘にンゴリはびくつくと、

ニヤ

それを見たマッチョマンは

「だって俺…いやあたしと同じ匂いがするもの…」

急に口調を変えてみせる。

その指摘に

「…ええ、あなたの言ったとおり。

 あたしはもともとは女…」

ンゴリも口調を変えて話を続け、

「あたしは小学生のときに、

 ママの部屋にあった人形にキスをして一回だけヌバの勇者に変身した。

 だけどそのときは元に戻れた。

 ママにはなんかの弾みでヌバになってしまうことがあるっていわれていた。

 それからも変身しそうなときは急いでかえるようにしていたわ。

 だけど、あの日この近くで変な男達に夕方まで監禁されて…

 その日はあたしがいちばんヌバに変身しやすい日だったのに…

 もう絶体絶命ってときにあたしは変身してあいつらをやっつけたわ。

 けど…元に戻れなくて…このまま心もヌバになろうとしたけど…」

悲しそうに話すンゴリを前に、

超ムキムキマッチョマンはあきれたように話をした

「あんたここをどこだと思ってるの…

 日本の、しかも町の中よ。

 サバンナの奥地の草原ならどうかわからないけど、

 ここは都会…そうかんたんにそんな部族にはなりきれないわ。

 どんな姿でもここにいる以上はここで適応しないといけないのよ」

そういうと超ムキムキマッチョマンはパンツの中から黒いビルダーパンツを取り出し、

「いくらなんでも全裸であるくのはないわ。

 少なくともそれを穿きなさい」

と言いながらパンツを押しつける。

すると、ンゴリはビルダーパンツに足を通した。

それでも股間のふくらみはかなり目立つが。

「あんたの本当の名前は?」

「あたしは辰巳美香…中学2年生…」

「あたしは町田友紀…高校1年生…」

二人はお互いに名前を言い合った。

「ねえ、美香…あんたが一回変身したとき、

 どうやって元に戻してもらったの…」

「それは…」

ンゴリは恥ずかしそうに話をした

「わかったわ。

 やってみましょう。

 けどどこか人目につかないところで…」

そういうと二人は木を降りるとあのマンホールに無理矢理入り、

そのまま一度通ってきた下水道を通って友紀の家の前のマンホールに来た。

そして、こっそりと友紀の部屋へと入っていく。

そして鍵を掛けた後マッチョマンは自分のパンツを下ろし、

勃起する巨大なペニスを見せ付けた後、

それをンゴリの尻の中へと挿入する。

「ああん…ああん…」

散々あえぎ声を響かせた後、

超ムキムキマッチョマンの思った通り

自分の精気を注入することでンゴリは元の女子の体に戻ると、

超ムキムキマッチョマンも女子高生の姿へと戻っていく。

「…友紀さん…結構美人じゃない」

「あんたもかわいいじゃない」

友紀は自分の服を美香に着せると、

「じゃぁねっ」

「ばいばい」

の声を残して彼女は帰っていったのであった。

暴漢に監禁され、

行方不明になっていた女子中学生が無事保護されたというニュースが流れたのは翌日のことだった。



その翌日…

「ねえプロデューサー、

 この子にいろいろと手伝ってもらってもいいでしょう」

「しかしこうなると人件費が…」

「一応、『超ムキムキマッチョマン』の弟分ということなんだけど…」

 友紀はプロデューサーと美香の待遇について話し合っていたのである。



おわり



この作品はに@wolksさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。