風祭文庫・ヒーロー変身の館






「超ムキムキマッチョマン」
(第3話:お仕置き大作戦)



原作・@wolks(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-241





その日に行われたボクシングのタイトルマッチは相当な物議をかもしたことで有名であった。

対戦カードは稲戸光vs団子長男(だんご・ながお)というものだった。

実力からすれば稲戸選手は女性のような顔つきで華奢な体つきながらも

メキメキと実力をつけきたいわば期待の新人であった。

一方の団子選手は某TV局の全面的なバックアップを受け、

団子三兄弟として徹底した英才教育を受けたものの、

しかし、外国の…しかも見知らぬ階級の選手を相手に勝ち星を挙るやり方に

次第に批判が集まるようになっていた。

そして、そんな批判をかわすために某TV局が仕組んだのが稲戸との試合であった。



稲戸と団子の試合を迎えた当日、

事態は思わぬ結果を生むこととなった。

なんと稲戸はいつもの様子とは違って動きも十分でなく、

パンチの切れも格段に劣っていた。

団子はそこへ容赦なくパンチを何発も打ち込んだのであった。

瞬く間に稲戸は床に倒れ込みカウントが始まるが、

たがまったく起きる様子もなくそのままカウント終了、

1ラウンド目は団子のKO勝ちとなってしまった。

この様子にはみんな驚いていた。

さらに意外なことに2ラウンド目も稲戸の調子は悪く、

その反面、

団子は余裕の表情で軽々しく相手の攻撃をかわしていた。

相手を十分に追い詰めたと思ったところで容赦なくパンチを決め、

宙に高く舞ったのち稲戸の体はリングに叩きつけられる。

かくしてその試合は団子の圧勝で終わった。

だが、試合終了後も稲戸はなかなか起き上がろうとしなかった。

不安になったレフェリーが脈を図ったが、

脈は振れていなかった。

あわてて心臓マッサージとAEDによる治療が行われ、

幸い一命は取り留めた。

だが、

病院の検査で彼の体から大量のアルコールが検出されたのだ…

今回の事件はここから始まる。



―――――――舞台は変わり、

ここは1学期の終業式を迎えたある高校。

鬼封じの祠を仰ぎ見る学び舎には

明日から始まる夏休みの予定について生徒達が楽しく話していたが、

一人の男子生徒だけは違っていた。

「どうしたの?

 稲戸くん、

 なんか元気ないみたいだけど」

男子生徒・稲戸明の存在に気付いた女子生徒・町田友紀が彼に声をかけると、

「ああ…町田か…」

明は元気なくつぶやき

「はぁ…」

とため息を付いてみせる。

「落ち込んじゃって…らしくないじゃない。

 どこか具合が悪いの?

 柵良先生の所に行って見る?」

彼のその態度を見たそう友紀は話しかけると

「別に…体に具合が悪いところはないよ」

と明はぶっきらぼうに返事をする。

「うーん、

 そうだ、

 ねぇ、終業式も終わったことだし、

 あたし達これからみんなで遊びに行こうっていってるんだけど、
 
 稲戸くんもどう?」

友紀は明を励ますように言う。

ところが、

「誘ってくれるのはありがたいんだけど…俺、

 これから兄貴の見舞いに行かなきゃ行けないんだ…」

と返事をしたのであった。

「そっか、

 稲戸くんのお兄さんって…あの…」

そう稲戸明の兄は先日のボクシングで団子長男に完璧に打ちのめされた選手である。

しかも体内からアルコールが検出されたことにより、

一部スポーツ紙の報道ではボクシング界からの追放の危機まであるのだという。

「…そうなんだ、

 団子のやつが兄貴をぶん殴った上に…

 しかも兄貴は酒飲んだりとか、

 そんなことは絶対にしないのに…」

明の口調は徐々に激しいものになって行く。

「…団子のやつがいけないんだ

 …あいつら

 …やりたい放題…しやがって…

 …くそっ」

と言ったところで彼は机を大きく叩き、

「…こんな話、

 君にしたって意味ないよね。

 楽しんでいるところを邪魔したみたいで…

 ごめん…」

そういうと明は再び机の上に頭を垂れてみせる。

友紀は明のその様子にかける言葉を失っていた。



その日の夜、

友紀は自分の部屋で競泳パンツ1枚になっていた。

「…・はあ、

 ああ…ああ…稲戸くん

 …やっぱり…カッコいい…」

実は友紀が通う学校はかつては女子高であった。

しかし、近年進行している少子化の他、

公立学校運営のスリム化を公約にした知事の当選もあって、

隣に建っていた男子校と統合・共学化をしたのである。

その影響もあってか男子生徒には…いわゆるイケメンの生徒が数多く、

女子の間ではしばしば彼らを密かにオカズにしており、

もちろん友紀もその中の一人であった。

いま彼女が穿いているのは

自分が超ムキムキマッチョマンに変身したときに穿いていたものだが、

以外に履き心地がいいためか、

変身しないときも着用するようになっていたのである。

「あぁん…

 はぁぁん…

 んくぅぅ…

 いっいっいくぅ」

町外れで広大な牧場を経営し、実家の縛りの弱い次男。

しかもルックスは上の中という良さの明は友紀の格好のオカズであった。

そして、喘ぎ声を上げながら彼女が絶頂に達しようとしたとき、

「ぴっぴろっぴんぴん!!」

ケータイにメールが着信したことを知らせる軽快な音楽が部屋に響き渡ったのであった。

「んもう、

 折角いいところだったのに…」

蛇の生殺し状態のまま醒めてしまった友紀は

機嫌悪そうにメールをチェックすると、

『町田様。

 緊急で申し訳ありませんが、

 依頼があります…』

ケータイの画面にその文面が浮かび上がる。

「何よ、

 緊急の依頼って」

文句を言いながらスクロールしていくと、

『実は本日、

 うちのテレビ局で団子三兄弟の会見をセッティングしたのですが…

 三兄弟はなぜかかたくなに会見を拒んでいたんです。

 彼らは支援してくれる某テレビ局の取材なら受けるのですが、

 そのような局のテレビ取材しか受けないのは

 きっと彼らには何か後ろめたいことがあると考えられるからです。

 そこで急遽思いついたのが、

 街頭にいる彼らにバラエティのごとくドッキリを仕掛けるというものでした。

 あなたの力で彼らをうちの会見で話させてほしいのです」

友紀はページを読み終えると、

「団子って…あの団子三兄弟よね…

 許せないわね…

 私も彼の力になってあげようと思ってたところなのよ」

明のことを思い出した友紀は即座にOKの返事を出す。

するとまもなく、

ドアのチャイムの音が鳴り響いたのであった。

「!!っ」

それを聞いた友紀は急いで服を着た後、

玄関のドアスコープをのぞくと、

そこにいたのは、

宅配屋・ミズシタ運輸の作業服を着たUプロデューサーであった。

「すいません、

 町田さんだったら快く引き受けてくださると思って近くまで来ていました」

「…対応、早っ…

 っていうか、

 なんですその格好は…」

友紀は驚いた表情を見せながらも、

Uプロデューサーの服装について指摘すると、

「え?

 あぁ、これですかぁ…

 まぁ僕ほどの立場に立ちますと色々ありますので、

 ちょっとカムフラージュに…」

と局内で自分の立場が強くなったことを言葉巧みに隠しつつ

Uは近くに止めてあるトラックへと由紀を連れ急ぐ。

そして、トラックを運転しながら、

Uプロデューサーは友紀に今までにあった団子三兄弟の悪事について語っていた。

団子三兄弟について巷の評判はよろしくなく、

3人それぞれに八百長疑惑・試合レコードの偽造・審判の買収、

そして今回も実は稲戸選手に大量のアルコールを

飲ませていたのではないかということが疑われている。

しかも彼らの父親はトレーナであったが裏社会にも通じており、

それに加えて一部のメディアでは彼らに全面的に肩入れしているというものだ。

その話が終わると、

友紀は今日の仕事の内容について聞かされていた。

と、そのとき、

「!」

何かを思いついた友紀はUに向かってある提案をすると、

「なるほど、

 それは面白そうですね」

Uは悪戯っぽく笑い、

早速、運転中にもかかわらずケータイを開くとどこかに連絡をし始める。

そして人の手配をしているのであろうか、

そのような会話が終わると、

「君のプランを採用することにしました。

 とりあえず、

 この13番倉庫で堂々と構えていただければいいですから」

と言いつつUプロデューサーはトラックを目的地の近くに停め、

「わかりました。」

その声と共にすでに変身を終えた超ムキムキマッチョマンは

言われたとおりに13番倉庫の中へ入って行く。



さて、ここはあるカラオケボックス。

会見が予定されている時間まで残り数時間。

そこにはさも余裕の表情をしている団子三兄弟の姿があった。

彼らはモヒカンやスキンヘッドで、

いかにも柄の悪そうな面をしていた。

「ちょろいもんだな」

「とりあえず、

 あそこの局にだけ会見でときゃ、

 俺たちのやったことなんて明るみにはできねえよ」 

「今回もあそこの局の会見なんてぶちろうぜ」

「それに、

 俺たちが稲戸が気を失っている隙に

 ウォッカを飲ませたなんて分かるわけねえよな」

「あんなちょっとボクシングに似合わない優男に、

 いろいろ教育してやっただけだってのに。

 あそこの局のおやじも今頃喜んでたぜ」

「それもそうだな!」

ボックスでは1曲も歌うことなく

自分たちが行った悪事について話している3人だったが、

そこに一人の店員が白く濁る飲み物を持ってきていた。

「ご注文のスペシャルサワー3つです」

「あぁ?、

 カルピスサワーか?

 んなもん頼んでないけど…まあいいか」

そう言いながら3人は運んできたサワーに口を運ぶ。

しかし、

ブハッ!

3人はいきなり飲み物をこぼすと、

「な、なんだこりゃ!」

と言う声と共に即座に持っていたグラスを床にたたきつける。

そう3人が飲んだものはカルピスサワーなどではなく、

栗花の香りを放つ液体を薄めたものであった

「おいっ店員、

 なんだこれはよぉ!」

「俺達を誰だと思っているんだ!」

「てめーっ

 この落とし前はどうつけてくれるんじゃ」

店員を睨み付け三兄弟は代わる代わる脅し取れる文句を言うが、

店員は怯えるどころか、

「お客様、

 当店自慢のスペルマ・サワーに何か?
 
 あっお帰りでしたら今までの時間約30分、

 12万3400円頂きます」

と涼しい顔で言う。

「はあ、なんじゃそりゃぁ!

 そんな金が払えるかボケ!

 責任者呼んで来い!」

そう言いながら店員の胸倉を団子長男は掴みあげると、

「そ…それでは、

 いまから責任者のところへ案内します」

の声と共に店員は彼らを奥の部屋へと案内した。

「店長は…この中にいます」

そう言いながら店員は恐る恐るドアを指差すと、

ドカッ!

「おらぁ!」

団子三兄弟はドアを蹴破り、

ノッシノッシと部屋の中へと入って行く、

だがその直後、

「どわああああ」

ズドォォォォン!

3人は入り口に仕掛けてあった落とし穴に嵌ってしまうと、

キラーン☆

「ヒグッ!」

穴の奥底で突き立てられていた長さ1mにも及ぶ剣山の針先に

お尻を軽く刺して三人は踏ん張っていたのであった。

「痛て」

「痛ててて」

「おいっ、

 押すなっ」

「判っているよ」

「しかしこの体勢では」

鋭く光る剣山の針先で履いていたズボンを引き裂きつつ

三人は向きを変えて落とし穴をよじ登って行く。

そして、

「チクショー!

 おい、責任者!

 この落とし前はどうつけてくれるんじゃい!」

穴から顔を出して姿が見えない店長に向かって文句を言うが

だが、彼が見たものは

人間ではなくフサフサの尻尾を振る真っ白な牧羊犬であった。

「なっ」

「いっ犬だとぉ」

「ふざけとんのか!」

犬に向かって怒鳴り声を上げるものの、

ハッハッハッ

舌を垂らし荒い吐息を吐きかける牧羊犬は三兄弟に怯えることは無く、

穴の淵から顔を出す三兄弟の顔をペロペロと舐め始めた。

「ぶわっ!」

「うわっ、手を離すな!」

「落ちる!」

「ヤメロ!

 串刺しにさせる気か!」

思わぬ犬の攻撃に三兄弟はたちまち混乱するが、

「んなろぉ!」

ようやく落とし穴から這い出るや否や、

「このぉ、糞犬めぇ!」

「ぶっ殺す!」

の声と共に三兄弟は牧羊犬を追いかけ始めたのであった。

だが、

日頃、羊の群れを追いかけて体を鍛えている牧羊犬は極めてすばしっこく、

三兄弟はものの見事に翻弄されてしまうと、

ゼェゼェゼェ

たちまち息が上がってしまったのであった。

「畜生!!」

「こうもすばしっこいと…」

息が上がりながらもなおも三兄弟は牧羊犬を追いかけて隣の部屋に入って行くと、

コケーコッコッコッ!!!

部屋に居た大量のニワトリが声をあげて騒ぎ始めたのであった。

「ニワトリ!!」

「えーぃ、

 さっさととっ捕まえて絞めろ!」

ニワトリの中を巧みに逃げて行く牧羊犬を逃すまいと、

三兄弟は逃げ惑うニワトリを一羽一羽捕まえては窓の外へと放り投げて行く、

そして、全てのニワトリを放り投げ終わると、

タッ!

牧羊犬はドアの隙間から飛び出し、

「待てぇぇ!」

犬を追いかけ三兄弟は廊下に出た。

ところが、

フゴォォォォ!!

ドドドドドド…

その三兄弟を待っていたのは怒涛の如く迫るブタの群れであった。

「なんだぁ?」

「ブタの大群だとぉ!」

押し寄せるブタの群れに長男・次男(つぐお)は縮み上がるが、

「ふっ、

 待っていたぜ!

 こういう展開を!」

三兄弟・末の三男(みつお)が前に飛び出すや否や、

某ボクシング漫画に登場するフェザー級の好敵手のごとく

ブタにめがけてパンチを浴びさせた。

だが、

「うぎゃぁぁ!」

漫画の場面とは違い、

狭い通路ではブタとブタの間に空間が無く、

さらにブタに向かって放たれた拳が空しく宙を切ってしまうと、

三男は瞬く間にブタの波の飲み込まれてしまい、

無残な姿を晒してしまったのであった。

「三男!」

「大丈夫か?」

白目を剥く三男を長男・次男は慌てて抱き起こして介抱をしてみせる。

すると、

タッ!

遠くから惨状を見ていた牧羊犬は外へ逃げ出した。

「まて、この!」

すぐに三兄弟は逃げた牧羊犬を追いかけるが、

牧羊犬の逃げ足はなおも早く、

息が上がってる三兄弟はなかなか追いつけない。

そして数百メートル程走ったところで、

「暴れウシだぁぁぁ!」

の声が響き渡ると、

ンモォォォォォ!

の啼き声と共に巨大な乳房を左右に揺らし、

三兄弟に向かって突進してくるホルスタインの群れが目に入ったのであった。

「ウシぃぃ!」

迫るウシの群れを見るなり、

「俺に任せろ!」

と次男が飛び出し、

かつてウシ殺しの異名を誇った某空手家を尊敬する彼は、

その空手家になりきったともりで拳を構えてみせる。

だが、

ンモォォォォォ!!!!

ドドドドドォォォ!!!

こともあろうかウシの群れは次男に照準を合わせるや否や

突然加速を始め一気に迫ってきた。

「え?

 あれ?

 あれ?

 あれ?」

加速するウシの群れにタイミングをはずされた次男は

一発も拳を放たないまま群れに飲み込まれ、

三男に続いて無残な姿を晒したのであった。

「次男!!」

ウシに踏みにじられ白目を剥く次男を長男は抱き起こすと、

「いたい何がどうなって…」

カラオケボックスの中で始まった異常な事態について考えるが、

その目にあの白い牧羊犬が映った途端、

「あっ、

 全てはお前のせいだ!」

と犬を指差し声をあげた。

すると、牧羊犬はドアの開いている倉庫へと入って行き、

犬を追って長男に担がれた三兄弟もそこに入っていくが、

だが、そこは超ムキムキマッチョマンが控えている13番倉庫であった。



倉庫に入った三兄弟が見たもの…それは巨大な黒人マッチョだった。

マッチョ男は表情こそ変えないが、

威圧するようなポーズで立っているのである。

「なんだあ…こいつは…」

3人は驚きつつもマッチョ男を睨みつけると、

『生徒をつれて来た。

 後は任せたぞ』

とあの牧羊犬がマッチョ男に向かって話しかける。

「いっ犬がしゃべった!」

それを聞いた団子長男が驚くと、

『犬ではないっ、

 先生。と呼びなさい!』

と牧羊犬は注意をする。

だが、

(やばい…やっぱりこいつら、柄悪すぎるわ…)

超ムキムキマッチョマンの足は少し震えていたのであった。

すると、

「んあ?

 こいつ、よくよく見りゃ女みてえなツラしてんじゃねえか」

マッチョマンが自分達の気迫に飲み込まれていることに気付いた

長男は持ってきた自分のグローブを手に填めるや否や、

ドスッ!

ムキムキマッチョマンのみぞおちの辺りにパンチを食らわせた。

だが、マッチョマンに変身をしている友紀の厚い胸板は少しへこむ程度であったが、

「きゃっ!」

その衝撃につい声に出してしまったのであった。

そして、

(うひゃぁぁ、

 これで普通の人間だったら間違いなく骨は折れていたわ。

 さすがボクシングやってるだけのことはある…

 でも、なんかもっと硬いもので叩かれた感じがしたわ)

と彼のクローブに何か仕掛けがされていることに気付いた。

そう、実は団子三兄弟はさらに不正を重ね、

パンチグローブの中に金属のリングを忍ばせていたのだ。

しかし、不正の証拠をいまここで見つけても、

こちらがやられてしまえは何の意味を成さない。

「…いま叫び声揚げたよな。

 やっぱりな…

 所詮見掛け倒しの筋肉バカ持ってきたって、

 どうせまたどっかの

 ドッキリ企画なんじゃねーの」

団子長男は少しずつ超ムキムキマッチョマンの腹や胸にパンチを打ち込んでいき、

ついに超ムキムキマッチョマンを壁の近くにまで追い詰める。

(どうしよう…このままじゃやられる…)

超ムキムキマッチョマンとはいえ、

やっぱり中身は女の子だ。

柄の悪くて力の強い男に追い詰められ、

あまりの恐怖に足が震え、

全身に冷や汗をかいているのである。

そして、自分のパンツが暖かい液体でぬれていくのを感じると、

(…おしっこちびっちゃった…そうだ…)

と心の中で呟いてみせる。

「なんだこいつ、

 ちびってんじゃねえか。

 さあ追い詰めたしこいつをタコ殴りにして帰るか」

体力を回復した団子三男がパンチを出そうとした瞬間、

三男の顔にパンツがかかり、

こぶしを出したまま横に倒れて行く、

「な・・なんだ…

 前が見えねえ…

 それに…この…におい…」

パンツが頭に覆いかぶさることで視力が奪われ、

少なくとも超ムキムキマッチョマンの精液と町田友紀の愛液、

さらに冷や汗と尿が大量にしみこんだ匂いをかがされてはたまったものではない。

「なんだてめえ!

 弟に何をしやがった!」

今度は団子次男が襲い掛かろうとする。

しかし、

シュシュシュシュシュ…・という音が聞こえてくると、

「な…なに!」

今度はムキムキマッチョマンは自分のペニスを凄い速さでしごいていたのだ。

たちまち超ムキムキマッチョマンのペニスの先から白濁した液体が勢いよく噴出すると、

「うぎゃぁぁぁ」

噴出した白濁した液体は次男の顔を直撃し、

次男は顔中にドロドロにされ膝を崩して倒れこんでしまったのであった。

「こいつ、

 ただものじゃねえ…」

豪騎はその場から逃げ出そうとするが、

しかし、気が動転していたのかすぐに壁にぶつかってしまい、

「痛ぇぇl」

と声をあげるが、

すぐに背後から人の気配が迫てくるのを感じると、

次の瞬間、

「ぎゃあああああああああああああああああ!

 さ…さすがの…俺も…そこだけは…」

長男は大きな声を上げる。

そして数分後…

豪騎は全身の力が抜け恍惚状態となり、

最後には気を失ってしまったのであった。

(ふぅ効いたようね…

 見よう見まねだったけど

 やっぱり、団子は串で刺さないとね)

と心のなかで呟く超ムキムキマッチョマンは

むき出しになっていた長男の尻の穴に自分のペニスをねじ込んでいたのであった。

その後、超ムキムキマッチョマンは自分のパンツを回収し、

精液の白アンが掛けられた団子三兄弟を見届けると、

時間が着たのか元の女の子の姿になっていた。

そして、

「まったく…

 こんなことまでして勝って何が楽しいのよ。

 あんた達本当にバカね。

 バカって思われたくなかったら

 本当に反省しなさい。

 さもないとまたこういう目に合わすわよ」 

友紀は長男の持っていたリング入りのグローブをとりあげてこうつぶやいた。



―――――――――――その後、

予定されていた会見に彼らは出席すると、

団子三兄弟は今までの悪事を全て吐き、

テレビ局側で見つけたという証拠についても全面的に認めていたという。

会見が終わった彼らに、

Uプロデューサーは一言声をかけ

「ちなみにどうしてここまで反省したんですか?」

と尋ねたが、

「ノーコメントで」

と言う答えしか三兄弟から返ってこなかった。

だが、

そそくさと会見場から去って行く三兄弟の脳裏には

(まさか男に犯されたからなんていえねえよ…

 それに、夢の中で変な女が反省しろとか言ってきやがったし…)

と言う言葉が響いていたのであった。

一方、団子三兄弟の不正が明らかとなったため、

試合は一転して稲戸光は全面勝利となり、

彼の選手生命は保たれることとなった。

会見が終わってから約1週間後…

「お兄さん、

 元気になってよかったね」

「うん。

 でも、

 復帰はもうしばらく先かな?」

学校の図書館で楽しそうに話している数人の女子生徒と明の姿があった。

そして、

「そうだ、

 来月兄貴の復帰第1戦のチケットがあるんだけど、

 よかったらみんなでどうかな」

と明はチケットを出して見せると、

「え、

 いいの?

 ありがとう!」

それを聞きつけた生徒達はみんな喜び

(稲戸君…お兄さんも。

 それに君も元気になって、

 本当に良かったわ)

友紀は自分に配られたチケットを眺めつつ安心した顔で明を見るが、

(でも、あの時、

 あたしは牧場の動物を使って三兄弟を苛めてみては?

 て提案をしたけど、

 随分とボロボロになっていたわね。

 それに、しゃべる犬だなんて…

 TV局って面白い動物がいっぱいいるんだね)

と倉庫の中で話をする白い犬のことを思い出していた。



『もしもし?

 あぁ、業屋さん?

 プロデューサーのUです。

 獣変身スーツ・犬・鶏・豚・牛を用立てていただき、

 ありがとうございます。

 いぇいぇ、

 こちらこそ、お陰で全て上手くいきました。

 またよろしくお願いします』



おわり



この作品はに@wolksさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。