風祭文庫・ヒーロー変身の館






「超ムキムキマッチョマン」
(第2話:初めての罰ゲーム)



原作・@wolks(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-239





7月のある日…ここは某テレビ局の会議室。

このテレビ局には新館と旧館があり、

最先端の放送局として不夜城と化している新館に対し、

役目を終えた旧館はスタジオを改修して作られた大ホールや展示場など

このTV局が歩んでいた歴史を博物館のようにして展示していることで有名なところであった。

さて、話を戻して、

この会議室ではTV局の開局40周年イベントの担当者達が集まり、

この旧館を使ったイベント番組について頭を悩ませていた。

「やっぱりなにか面白い見せ物とかないとならないな…」

「局が放映しているアニメや番組マスコットとかの

 ショーはどうでしょうか?」

「それはマンネリではないでしょうか」

「新しいアニメのキャラクターを持ってくるだけでは

 みんな飽き飽きしてしまいます」

「最近では新しいものよりも、

 今までに出てきたけどあまり注目されていなかったものに

 スポットを当ててみると面白いかもしれません」

「見落としていたもの、ねえ…」 

場を仕切っていた責任者は唸りながら頭を抱え込むと、

「もう一つ…問題があるんだ」

と呟いてみせる。

「問題?」

彼のこの一言に皆の注目が集まると、

「…実はこのイベントに皿知さんが視察に来るらしいんだ。

 しかも、当主がわざわざくるまでもないとか行って、

 そこの令嬢がヒマだから来るって…」

ザワッ

それを聞いた途端、

会議室は一斉にざわめき立ち、

「皿知のお嬢様といったら…」

「それなりのもてなしをしないと…」

「まずいよなぁ」

と言う声が響いた。



皿知財閥といえばこの国のいろいろな産業に多大な影響を及ぼしており、

テレビ業界もその一つである。

皿知財閥の人間の機嫌を損ねるような真似があれば

最悪その業界は廃れてしまうことだってある。

とくに令嬢である皿知絵美香。

彼女は容姿端麗で成績優秀だが、

同時に我侭で高飛車な性格であり

一族の人間の中でも一番扱いにくい人間だったのだ。

「なんでこんなときにうちの視察にくるんだよ!

 どうせだめでも…

 せめてぎゃふんと言わせて見たい!」

責任者はそう叫ぶと、

そのうちの一人プロデューサー・Uが声を上げた

「それならば、

 それにふさわしいキャラクターがいます!」

彼に向かって一斉に視線が注がれると、

「でも、そんな人材はいるのか…?」

と言う声が飛ぶ、

すると、

「それは大丈夫です」

と言い切るUプロデューサーは余裕の表情であった。 



舞台は変わって都内のあるアパートの一室

「ああ〜試験終わった。

 肩の荷がおりた…」

部屋の中で横になっているのは

そのアパートの主で近所にある高校に通っている少女・町田友紀である。

1学期の期末試験が終わり、

今日から試験休みの最中なのだ。 

「ギリギリだけど全部受かったから追試もないし、

 この休みの間、本当にヒマね…

 旅行にいこうにもあんまりお金もないし…」

友紀はこの間の仕事の報酬でお金を手に入れ、

生活には困らないがあまり無駄遣いは出来ない状態なのだ。

「やっぱり、

 ああいう仕事じゃないとだめなのかな?

 またなんか連絡でもくれないかしら…」

稼ぎが良くて、かつ身分もばれないような仕事…

この間の仕事以外にそうないだろう。

とりあえずこの退屈な時間をどうすごすか考えているうちに、

パソコンに一通のメールが着ていた。

「町田様

 この間はどうもありがとうございました。

 おかげで先月の企画展も無事終わりました。

 折り入ってお願いがあります。

 また、うちの企画展で仕事していただけないでしょうか?

 もちろん、報酬も高めに出す予定です。           

 大道具係」

メールの内容はこの間の広告と打って変わって、

きちんとした文体で書かれていた。

「仕事か…

 またあぁ言うのだったりして。

 でも、報酬出すって行ってるし…

 よし、OK出すか」

友紀はメールを送ると、

念のため以前に使った競泳パンツをたんすから取り出した。



翌朝、展示企画の控え室。

といっても会場のなかにうまくとめたトラックの中だったが…

「今回もあなたの力が必要というわけでして」

大道具係…

いや、Uプロデューサーは自分の前に立つ青ビキニの黒人マッチョに説明をする。

「またずっとポージングするの?」

黒人マッチョ…

超ムキムキマッチョマンに変身した友紀は

Uプロデューサーを見下ろしながら尋ねると、

「いいえ、違います。

 今回は実際に仕掛け人になっていただきまして、

 その相手に対して手を上げるようなまねさえしなければ何をしてもいいんです。

 詳しくは、その企画で司会の人が説明すると思いますので、

 それで判断してください。

 じゃあ、検討をお祈りしますよ」

そう告げるとUプロデューサーは部屋から去っていく。

程なくして超ムキムキマッチョマンはカーテンで閉め切られているショーケースの中へと移され、

その中に置かれている椅子に腰掛けると、

「超ムキムキマッチョマン様、

 今から1時間後に番組の撮影が始まりますので、

 その中のドッキリコーナーの時間になったらケースの鍵を開けます。

 ですので、そのときが来ましたらここから出てきてください。

 あと、今回ドッキリを仕掛けていただく人を企画が始まったときにお伝えしますので、

 よろしくお願いします」

とスタッフは告げケースには鍵がかけられ、

そのまま舞台の奥のほうへ移された。

ショーケースの中に閉じ込められた超ムキムキマッチョマンは溜息をつきながら

「…はあ

 …そういえば、

 あたしはまだ自分のもの見てないような…」

と呟き、

ふと左右を見回した後、

「ちょっとだけ…」

と呟きながら穿いていたパンツを下ろしてみた。

すると、たまに見かけるアダルトサイトなどに出てくるチ○ポよりも

はるかに大きいものが顔を出してしきたのであった。

(きゃああああ…すごくでかい。)

自分の股間を見る超ムキムキマッチョマンは自然と手をそこに押し込み、

よく男子がやるという方法でチ○ポを扱き出した。

(ああん、ああん…やっぱり気持ちいいわ…)

チ○ポを扱くうちにそれは何倍にも硬くなり、

膝の筋肉の一部に見えるような大きさになっていく。

そして、チ○ポの先から勢いよく白濁した液体が噴出した。

(あ…いけない…どうしよう)

今回は噴出したがすぐに意識を失うことがなかった。

やはり前回は空腹が原因なのだろう。

超ムキムキマッチョマンはあわててチ○ポをパンツにしまうと、

手であふれ出た精液を1箇所に集め、

その上に足を置きごまかしてみせる。

しかし、

(ふう…でも、やっぱりこっちもきもちいいわ…)

今度はパンツの上から布越しに自分の股間を触っていた。

直接触るのとはまた違った感じ…大きくなるときも、硬くなっているのも…

直接触ったときと布越しに触ったときの違いさえも

超ムキムキマッチョマンは楽しんでいた

そして…今度はパンツの中に白濁した液体を出したのが分かった。

(ああ…気持ちよかった)



一方、外ではすでに番組の撮影が始まっていた。

舞台の上には司会者、

数人のスタッフ、

それに本日のゲストである皿知絵美香の姿があった。

「本日のゲスト!

 日本を誇る皿知財閥の令嬢、皿知絵美香様です!」

司会者は絵美香を紹介した。

「わたくしが皿知絵美香ですわ。

 よろしくおねがいします。

 こんな下々が見に来るような企画なんて、

 まあ、わたくしがきているだけでもありがたいと思うことですわね」

そういった絵美香の一言に会場にはブーイングが飛び交い、

司会者も内心でカチンときていた。

番組ではまず絵美香の生い立ちや

簡単なアンケートなどを答える問答がかわされていたが、

不意に絵美香は途中で席を立ち、

「もう、なんでこんなくだらないことばっかり聞くんですの?

 やはり、下々の番組になんてつきあってられませんわ。

 帰らせていただきます」

そう言うなり、長い髪を靡かせつつ立ち去ろうとした。

とそのとき、

「では、急遽本日のメインイベント、

 『ケースの中身は何でしょう?』

 に移らせていただきます」

司会者がそう宣言すると、

舞台の上には中からカーテンが敷かれた3つのケースが登場した。

「ケースの中身は何でしょう?」

という企画は現在でも多くのバラエティでも行われているゲームで、

ランダムに選んだケースに一部につけられた穴から中身を当てること、

当てればそれでゲームが終わるが、

あたらなかった場合、

その実物には宝が取り付けられており、

その宝を制限時間以内にとらなければならないのである。

一方、ケースの中で待機していた超ムキムキマッチョマンに、

行うイベントとターゲットに関する説明、

それにイベントでつかうお宝が渡されていた。

超ムキムキマッチョマンはその名前と、

その姿をカーテンが覆っていない箇所からのぞいていた。

(あいつ…なんで絵美香があんなところにいるのよ!)

実は絵美香は友紀のクラスメイトで、

いつも絵美香は自分の出身や容姿のことを言っては、

人を見下すようなことしかいわず、

とくに一人暮らしで生活も貧しい友紀にとっては

天敵といっても過言ではなかった。

友紀は自分が絵美香にいれてきたことを考えていた。

(絵美香…覚悟しなさいよ。

 こっちがたっぷり仕返ししてあげるんだから)

無意識のうちに彼女の股間にはテントが作られていた。



会場では説明を受けた絵美香が

自分が手を入れるべきケースを司会者のカードの中から引いた

「Cですわ」

カードを見ながら彼女がそういうと、

Cという札が張ってあるケースが彼女の前に現れる。

このとき、司会者が持っていたカードには

すべてCとか書かれていたことに気がついていなかった。

彼女はCのケースの下の方にある穴から手を入れる。

すると、ぬめっとした液体がてについたのがわかった。

そしてその周囲にはかなり太いものがあることが分かった。

さらにその周囲を少し触ってみると、

やや硬いようなものが前後に振れているのが分かった。

「それでは絵美香様、答えをどうぞ」

「簡単ですわ、

 答えは深海の新種の生物ですわ!」

彼女は内心自信はなかったがはったりもこめて答えたのであった。

「さあ、正解は…」

約40秒の沈黙が続いた後、

司会者がにんまりとしながら、

「残念!

 中身に登場していただきましょう!

 中身はこれでした…」

と言う声とともに中から出てきたのは、

身長190cmもある、

全身の筋肉が隆起した、青いパンツ1枚のスキンヘッドの黒人男だった。

「正解は超ムキムキマッチョマンでした!

 さて、第2ステージです!

 今から絵美香様は彼が持っているこのお宝、

 バナナ型ストラップを探していただきます」

「ちょっと待ってください。

 そんな…こんな暑苦しくて気持ち悪いものになんて、

 触れませんわ!」

絵美香は怒りながら司会者を睨み付けるが、

しかし、司会者は眉を一つも動かさずに

「でも、これに触れなかったっていいますと、

 絵美香様の評判も傷ついてしまいますよ」

と指摘する。

すると絵美香のコメカミがピクリと動き、

「触ればいいんでしょ!

 こんなもの、

 いくらでも触ってやりますわ!」

と言う。

まさに売り言葉に買い言葉、

引くに引けなくなった絵美香が超ムキムキマッチョマンの前に立つと、

「さあ、制限時間は5分です!

 スタート!」

と司会者は宣言し、
 
(さあ…お楽しみの時間よ)

その一方で

実は絵美香はお嬢様育ちのためか、

男の筋肉、

とくに力が入って盛り上がっているのを見るのが非常に苦手なのであった。

少なくとも超ムキムキマッチョマン…友紀はそのことを知っていたのだ。

「こんなもの一体どこにあるのか、

 見つけてやりますわ」

絵美香はそう自分に言い聞かせて目の前の男の体に手を伸ばそうとする。

しかし、そのたびに男はポージングの姿勢を変え

隆起したさまざまな筋肉を至近距離で見せ付けるのだった

(オラオラ〜!

 さわれるもんなら触ってみなさいよ!)

超ムキムキマッチョマンは余裕の表情を浮かべていた。

5分と言う時間が刻一刻過ぎていく。

「キー!

 もう!

 お宝がどこにあるのかなんてもうわかっていますわ!

 そこになんでも触ってやるわ!」

彼女はあせりと怒りで顔は真っ赤になり、

息も荒くなると、

周りも見えなくなっていた。

彼女の眼の先にあるものは超ムキムキマッチョマンの股間、

そしてその中にあるバナナの親玉とも言うものであった。

「意地でもさわってやりますわ!」

そのとき、彼女は自分が何を触ろうとしているのか、

またなにをしようとしているのかまったく考えていなかった。

そして、気がつくと手はパンツの中に入っていた

「おかしい…絶対ここにあると思ったのに…は…

 ヌメヌメで太くてぶらぶら…
 ヌメヌメ…太い…

 ぶらぶら…ヌメヌメ…ふとい…

 ブラ…ぬめふとぶら…ぬめ・・・」

彼女はすでに頭の中が真っ白になっていた…

自分はあの時何を触っていたのか…

そして、今何を触っていたのか…

彼女が最初に触ったもの…

それは超ムキムキマッチョマンの巨大なイチモツとその先に出ていた精液、

そして睾丸だったのだ。

彼女はいま股間に手を入れてそれを触っている。

さらに目の前には超ムキムキマッチョマンの隆起した全身の筋肉があった。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

そう彼女は大声を上げると、

ふらふらと後退する。

「はい、時間切れです」

司会者の無常な発言が聞こえた。

ふらふらと後退してボーっとしている絵美香を見て、

観客も歓声を上げた

「やったぞ!

 超ムキムキマッチョマン」

「超ムキムキマッチョマンが悪の女王様をやっつけたぞ〜!」

(フフフ…ざまあみろね。

 お宝もまさかこんなところにあったなんて思わないでしょう。

 なんでバナナってだけでチ○ポ見ちゃうのかしら。)

超ムキムキマッチョマンは自分のひじの上にあったストラップをはずした。

「ハイ、お宝はひじの上にありました。

 まさに灯台下暗しって奴ですね!」

改めて起こる歓声の前に、

超ムキムキマッチョマンはさまざまなポージングをとっていた。



「こ・・・今回は…満足しましたわ…」

絵美香はふらふらになった状態でUプロデューサーに言うと、

迎えに来ていた超高級車までとぼとぼと歩いて行く。

「この調子だと、

 当分こっちになんかしようなんて気力もありませんな」

Uプロデューサーは全てがうまくいったと言う表情を残した。



話は変わって1学期の終業式。

「おはよう!」

元気に登校した友紀はクラスメイトに挨拶をしてみせる。

「凄い元気じゃん。

 どうかしたの?

 ははーん、追試なかったから?

 でも、それにしてもすがすがしい顔しちゃってるわね」

「ちょっとねー!」

「あれ、絵美香

 今日お休み?」

絵美香の姿が見えないことに気づいたクラスメイトはそう尋ねると、

「でも、絵美香が休むのって珍しいよね」

「そうなんだ…?

 風邪でも引いたのかな?」

友紀は少し罪悪感を感じていた。

一方その頃、絵美香の家では 

「お嬢様、今日は学校ですよ!

 部屋にこもって何をしてるんですか?」

「うるさいですわ…?

 いま調べ物してますのよ!」

絵美香はそういうと部屋の前から使用人を追っ払う。

「超ムキムキマッチョマン…一体何者なんですの!

 この絵美香様を負かすなんて!

 次こそ勝ってやりますわ!」

絵美香の孤独な戦いはひそかに行われていたのであった。



おわり



この作品はに@wolksさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。