風祭文庫・ヒーロー変身の館






「ウルトラウーマン・フロス」
(第22話:黄昏の女神(前編))



原作・匿名希望(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-230





時は西暦20XX年、地球では怪獣や宇宙人の襲撃が多発していた。

それらの事態は国連軍では対処しきれないと判断した人類は

特殊科学戦隊TSFを結成し、迫り来る脅威に立ち向かっていた。



【クックックック…、

 ついに…、

 ついにあの女に復讐する日が来たぞ…】




「UFO?」

「そうだ。

 各地で謎の未確認飛行物体が目撃されている」

「謎だから未確認飛行物体なんじゃないですか?」

「言葉の揚げ足をとるな。

 念のために各基地は警戒態勢をとる事になった。

 我々も…」

そう言いかけた時突然基地内の緊急警報が鳴り始めた。

「っていきなりだなおい!」

「どうした!?」

「大変です!!

 TSF各基地が謎のロボットによって攻撃されています!!」

「何!?

 本当かハシマ!?」

「はい!

 この基地も既に完全に包囲されていて防衛システムが破られるのも時間の問題です!!

 ついでに私の名前はハシダです!!!」

「そんな事はこの際どうでもいい!!」

「どうでもよくないですよ!!」

その直後司令室にシラガミ長官が飛び込んできた。

「あ、長官!!」

「皆も知っている通りこの基地は攻撃されている!

 早く脱出するぞ!」

「脱出って…、

 どうやってですか?

 ここは完全に包囲されてるんでしょ?」

「チシブキにビームバズーカ持たせて大暴れさせるってのは?」

「何で僕なんですか!?」

「その作戦はリスクが大きいからやめとけ」

「そうですよ。

 僕なんかが行ったら返り討ちにされるのがオチです」

「(そっちのリスクじゃないんだが…)」

「今ナリタ博士が13番格納庫でディメンションシップの最終調整を行っている!」

「なるほど…、

 ディメンションシップなら次元を超えて脱出できる…」

「ひとまず安心だな、

 サイゴウ」

「ただここの所整備を忘れていたせいですぐには動かせないらしいが…」

「(いきなり不安要素出現!?)」

「既に職員の大部分は13番格納庫に集まっている。

 整備は後10分ほどで終わるらしい。

 とりあえずはその間君達には…、

 格納庫を死守してもらいたい!」

「了解!」





「なあサイゴウ」

「何だガクラ?」

「あそこで突っ込んでおくべきだったか?」

「言うな。

 俺も後悔してるんだ」

「でも…」

「過ぎた事は気にしない方がいい。

 それが世の中だ」

「…そうだな」

そういうと2人は無数に襲い掛かってくるロボット軍団に敢然と立ち向かっていった。





「あの〜、長官…」

「何だ?」

「何故僕の武器が鉄パイプなんですか?」

「(お前が暴走しないタイプの武器が)それしかないんだよ。

 それにお前の任務は格納庫にロボットが侵入してこないように見張るだけだ」

「もしも進入してきたら?」

「撃退してくれ」

「鉄パイプでどうやって?」

「気合だ」

「無理です」





「行くぞフルカワ!」

「はい!」

2人はスカイファイターに搭乗してロボット軍団に立ち向かっていた。

「流石にこれだけ多いと1割は当たりますね」

「五月蝿い!!」





「なあガクラ、

 脱出まで後どれくらいだ?」

「後3、4分ってところだけどどうかしたのか?」

「じゃあチシブキが心配だから先に格納庫の方に行っててくれ。

 俺は後から行く」

「…ああ、わかった」

ガクラが見えなくなったのを確認したサイゴウは両腕を胸の前でクロスさせた。

「(くそ!

  倒しても倒してもきりが無い…。

  よし…)フロス!!」




【来たか…】




出現したフロスは群れて襲ってくるロボットを片っ端から叩き潰し始めた。

だがそれでもロボットは湯水の如く現れ始めた。

『おかしいわね…。

 さっきからロボットの量が増えている…、

 …ってサイゴウさん!

 あそこ!!』

基地の上空に複数の円盤が浮かんでいた。

フロスは咄嗟にその円盤を片っ端からティエシウム光線で撃ち落し始めた。

そして全ての円盤を撃ち落とした時、

ロボット達の動きは完全に停止していた。

めでたしめでたし。



ウルトラウーマンフロス 完



出演
隊長 ゴウダ・テツタロウ
副隊長 フルカワ・トモミ
隊員 ガクラ・アキラ
隊員 サイゴウ・ツヨシ
新入隊員 チシブキ・モンザエモン
オペレーター ハシダ・ミカコ
長官 シラガミ・クロキチ…………




【おいっ、

 おいっ!

 ゴルア!!

 まだ、この話は終わっていないぞ…】

【あっそなのっ、じゃぁ再開】

その時宇宙から謎の光弾が降って来た。



「隊長!!

 空から何か降ってきます」

「な、何だあれは!?」



空から降ってきた物体はそのまま地面に直撃して爆発した。

爆風が晴れた時、そこには巨大な宇宙人が立っていた。

『まんまと罠にはまったな…、

 会いたかったぞ…、

 ウルトラウーマンフロス…』

『あ、あなたは…!!』

(フロス、あいつを知ってるのか!?)

『誰?』

(おい!!)

『まあ、お前が…』

(さっきの台詞思いっきり面識ありそうだったぞ!!)

『だって本当に知らないんですよ!!』

『私の事を…』

(うっかり度忘れでもしたんじゃないのか?)

『そんなわけありませんよ!!』

『知らなくても…』

『第一あんな目立つ変な奴一度見たら忘れたくても忘れられませんよ!!』

(いや、それは言い過ぎだろ…)

『無理は…』

『言い過ぎてませんよ!!

 あんなド派手でサイケな不細工野郎なんて忘れるわけが…』

(ド派手でサイケはわかるけど不細工は関係ないと思うが…)

『人の話を聞け!!!!!!!!

 何訳のわからん独り言をほざいてんだ!!!!!!!!』

(そういえば俺の声は聞こえてないんだっけ…)

『いいかよく聞け!!!!

 私はモビル星人スウツ!!!!

 ジャッドンの元幹部だ!!!!』

『ジャッドンって何でしたっけ?』

『忘れるな!!

 お前が潰した組織だろうが!!』

『それでお礼参りに来たって訳ですか?』

『そうだ!』

(潰したって…、

 お前何やったんだ?)

『話すと長くなるのでその話は後でします』

(おいおい…)



フロスはすぐさま立ち上がって身構えようとした。

しかしすぐに倒れてしまった。

『無駄だ…。

 お前は既に必殺光線を発射している…。

 そのうえ私の光弾を撃ち込まれたのだ…。

 もう戦う力は残っていないだろう…』

その声が響くと同時にカラータイマーが鳴り出した。

『今度はこちらの番だ…』

そう言うとスウツは左手の指を鳴らした。

その瞬間機能停止していたロボット達が再び動き出し始めた。



「隊長!

 そろそろ脱出の時間ですよ!!」

「わかっている…。

 しかし…」

「隊長が支援しないほうがフロスのためなんですよ!!!

 どうでもいいから早く戻ってください!!!!」



「サイゴウの奴、

 随分と遅いな」

「まあ先輩の事だから大丈夫だと思いますよ」

「でも時間が無い。

 探しに行くぞ」



『お次は…』

再びスウツが左手の指を鳴らした途端、

突然空中に巨大なモニターが現れた。

『それでは、

 お前が倒される所を全世界に放映してやろう…。

 私の復讐が為し遂げられる所をな…』

(暗い奴…)



一方都内某住宅街、

「あれは…、

 たしかモビル星系の技術…」

それを見ていた1人の主婦はそう呟いた。

そしてそのモニターに映し出された光景は…。



『そこまでだ!!』

その時突然空から巨大な人影が降ってきた。

『…今度は何?』

フロスは物体が降ってきた方向を見た。

そこには足を押さえているウルトラマンクレスがいた。

どうも着地に失敗したらしい

『せ、先輩…、

 とりあえず逃げてください…、

 ここは僕が引き受けます…』

『大丈夫?』

『はい…、

 なんとか立てます…』

(思いっきり役に立たなさそうだが…)

『でも…、やはりここはクレスの言うとおりにした方がいいと思います』

『大丈夫ですよ!

 信じてください!!』

(だが…)

その時フロスの身体が光に包まれ始めた。

(な、何だ!?)

『もう…、限界みたいです…。

 早くもとに戻らないと…』

その言葉が発せられるのとフロスの体が完全に光に包まれて消え始めたのはほぼ同時だった。

『ほう…、

 我が身を捨てて逃がすとは…。

 意外と慕われていたのだな…』

『だからどうした!』

『まあいい。

 どうしてもと言うのなら、

 あの女を倒すのは貴様を倒してからにしよう…』

『負けるか!!』

こうしてクレスとスウツの激戦が始まった…。



「先輩!

 見つけました!!」

「よくやった!

 今行く!」

ガクラはチシブキの所に駆け寄った。

そこには瓦礫の下敷きになっているサイゴウの姿があった。

「サイゴウ!

 大丈夫か?」

「…あ、ああ」

「チシブキ、早く瓦礫をどけるぞ」

「はい!」

チシブキとガクラはサイゴウの上に崩れ落ちている瓦礫をどけ始めた。

「何があったんだ?」

「後で話す…。

 早くどけてくれ…」

そして瓦礫を完全にどけおえたガクラとチシブキは

サイゴウを連れてディメンションシップの方に走って行った…。



「遅かったじゃないか!」

「色々あって…」

「話は後だ!

 早く乗り込むぞ!

 これ以上攻撃を防ぐのは難しいんだ!」

「あ!

 はい!」

ゴウダに急かされたガクラは

サイゴウを抱えたチシブキを引き連れてディメンションシップに乗り込んだ。

それからゴウダが迫りくるロボット軍団をテリブルシューターで狙い撃ちしながら駆け込んだ。

その直後ディメンションシップは光を放って消滅した…。



『もう終わりか…?』

『くそ…』

丁度その頃クレスは完全に敗北していた。

もう気持ちのいい程一方的な敗北だった。

『それでは、行くか…。

 あの女に伝えておけ。

 「おとなしく出て来なければこの星を壊滅させる」とな…』

そういい残すとスウツはほぼ西の方角に飛び去った。

そしてクレスは光に包まれて始めた…。



丁度その頃、ディメンションシップの中では…。

「くそ!」

「どうしたんですか隊長?

 モニターなんか覗き込んで…」

「日本支部基地近辺の様子を見ていたんだよ。

 クレスがやられた…」

「何ですって!」

「フロスに続いてクレスまで…。

 どうすれば…」

「おまけに日本支部実働部隊隊員は1人戦闘不能ですからね…。

 やっぱり本部特選隊の活躍を期待するしか…」

「そういえばフルカワ、

 サイゴウの容態はどうだ?」

「一命は取り留めましたが暫くは絶対安静だそうです。

 何でも瓦礫の下敷きなった時の傷以外に

 何かに引きずられたような擦り傷があってそこが化膿してるらしくて…」

その時、その何かが話しかけてきた

「しかし、そんな状態で生きていられただけでも奇跡ですよ」

「(チシブキ…、

  お前に言われたくないぞ)。

 俺はダンプカーに轢かれて足骨折しただけの奴思い出すけどな」

「それって誰…?」

「決まってるだろ?

 何故か何処にでも現れる最強凶暴極道女…」

「ふ〜ん…。

 思い出してどうしたの?」

「出たーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 何で此処に居るんだーーーーーーーー!?」

「人をお化けみたいに言わないでよ。

 暇つぶしに来てみたら何か面白そうだったらちょっと潜り込んだのよ」

「(お化けの方がまだましだよ…)

 ちょっとって…、

 ロボットは?」

「ああ、あの雑魚集団?

 うっとおしかったから2、3体ぶっ壊しといたら何故か寄って来なくなったわよ」

「(道理でスクラップが廊下に散らばってたわけだ…)」

「(恐るべし最強凶暴極道女……)」

「(登場する度に人外化してるような気が…)」

ドガ!!

ボグ!!

「な、何で僕達の考えてる事が…」

「表情でわかるわよ」

「…成る程。

 流石は元レナ…」

ズゴ!!

「元から人間よ!!」

「しかもそれで何故納得する?」



その頃、日本支部基地跡。

「はあはあ…」

カツラは重傷を負っていた。

先程スウツにボコボコにされた時の傷である。

「くそ…、あいつ…、強すぎる…。

 なんとかしないと…、地球は…」

その時近くの瓦礫の陰から誰かが話しかけてきた。

「あの〜、大丈夫でしょうか?」

「誰だ…?」

桂が向いた先にはいかにも主婦といった感じの1人の中年女性がいた。

「あ、私フジタ・ユキコっていいます。

 東京で主婦をしています。

 さっきの映像を見てここに来たんです」

「(どこかで聞いた名前だな…)

 映像…?

 そうか…、さっきの…。

 だけどこんな所に一般人が来たら危ないですよ…。

 早く逃げた方が…」

「でも、あいつは逃げたんでしょ?

 あのスウツとかいう敵…」

「…ああ、って何であいつの名前知ってるんですか?」

「会話が聞こえましたから…」

「(テレパシーは地球人には聞かせようとしないと聞こえないはずだけど…。

  どういう事だ?)」

「いやあ、実は私純粋な地球人じゃないんですよ」

「へ?」

するとユキコは何かカプセルのような物を取り出した。

「元ギャラクシーポリス特別捜査官、ウルトラナインなんです」



そして、場面はアメリカ合衆国の郊外にあるTSF本部に移る。

「課長、ここにいたんですか」

「ああ、トリツか。

 ひょっとして私を探していたのか?」

「ええ、隊長命令で特選部隊全員で手分けして探してたんです。

 早くシェルターに戻らないといつ攻撃が再開するかわかりませんよ」

「やっぱりカサマツか…、真面目なあいつらしいな。

 大丈夫だ、今行く。

 それよりもシェルターの方は大丈夫なのか?

 特選部隊が出払ってるんだろ?」

「副隊長とアマイ隊員が残ってるから大丈夫ですよ」

「確かにな…。

 どうも、我々がシェルターに戻る時間は無さそうだ…」

「え!?」

本部課長、フジタの視線の先には本部に向かってくる無数のロボットが居た…。



ディメンションシップ、仮眠室。

ここには先程の脱出劇の中怪我をした関係者達が収容されていた。

「ヤブウチ先生、サイゴウの容態は…?」

「暫くは絶対安静だな。

 傷口が化膿し始めている。

 今下手に動かすのは危険だ」

「そうですか…」

「それにしてもどうしたんだ?

 何故隊長とチシブキが頭に怪我してくるんだ?

 さっきは無事だったんだろ?」

「はあ…、空想は怪我の元といいますか…」

「何だそりゃ」

「気にしないでください」



日本支部基地跡。

「そうだったんですか…」

その時ユキコの携帯が鳴った。

「…ええ。

 わかりました。

 すぐ行きます…。

 えっと…、モビル星人の対処法は…」

ユキコは何処からか出した銀河怪獣・宇宙人百科を読み始めた。

「なるほど…。

 こうすれば…」

「どうしたんですか?」

「私はこれからTSF本部に向かいます。

 あいつらの次の標的はTSF本部みたいです」

「どうしてわかるんですか?」

「夫が本部に勤めているんです。

 その夫から連絡があったんですよ。

 『ロボット軍団が行動を再開した』と…」

「なるほど…。

 じゃあ早く行かないと!」

「わかってます。

 でも貴方は来ないでください」

「何故!?」

「貴方はまだダメージが回復しきってない。

 今行っても返り討ちにあうだけ」

「でも…」

「私にまかせて」

そう言うとユキコはカプセルを握り締めると空に向けて突き出した

次の瞬間付近は強烈な光に包まれた。

そして、その光の中からウルトラナインがゆっくりと立ち上がった。

『まってて、あなた』

ウルトラナインはアメリカに向けて飛び立った。

「ユキコさん…、貴女だけにまかせるわけにはいきません…。

 僕も行きます」

そう呟くとカツラは手に持っていたスティックを勢いよく空に掲げながら叫んだ。

「クレス!!」



そして舞台はディメンションシップに移る(ころころ変わるなおい…)。

「隊長!」

「ハカタ、どうした!?」

「私はハシダです!

 TSF本部を例のロボット軍団が襲撃しているそうです」

「何!?

 わかった!

 ディメンションシップの進路を本部方面に向けろ!

 サイゴウの弔い合戦だ!」

まだ死んでない。

「了解!」

「フルカワ、スカイファイターのスタンバイは?」

「大丈夫です。

 今すぐにでも発進できます」

「そうか!

 よし、すぐに乗り込むぞ!」

見事なまでに綺麗さっぱり忘れられているガクラはこの時、

チシブキと一緒にサイゴウの見舞いに行っていた。

「サイゴウ、お前は休んでいろ。

 お前は暫くの間絶対安静らしい」

「…」

「じゃあ行ってくる」

そう言うとガクラは仮眠室を出て行った。

「ガクラ先輩相当ショックだったみたいですね…。

 いつもよりシリアスだ…。

 先輩らしくない…」

最後のは余計である(その通りだが…)。

「それじゃあ僕も行きます…。

 先輩、お大事に…」

「…」

そう言うとチシブキも出て行った。

「…」

そしてサイゴウは…、

「…ZZZZ」

寝ていた。



『サイゴウさん…』

(…フロスか?)

『すいませんでした。

 私が至らないばっかりに…』

(いや、フロスのせいじゃない。

 相手の挑発に乗った俺の失敗でもある。

 気にするなよ)

『…こうなったら最後の手段しか無いかもしれませんね』

(最後の…、手段?)

『はい。

 非常に危険な賭けなんですけどね…』

(どんな手段だ?)

『それは…』

(それは?)

『クレスさんの活躍に期待しましょう』

(…確かにこの上なく危険な賭けだな)

あんまりである(正論だけど)。

『まあ冗談は置いといて…』

(冗談かよ)

『ある程度ダメージが自然治癒されているので戦える事は戦えるんですが…、

 多めに見積もって1分が限界でしょうね。

 これ以上長く戦ったら命の保障はできません』

(短期決着か…)

『無論ティエシウム光線を撃つ事は不可能です。

 この状況を打破できる可能性のある作戦はただ1つ』

(何だ?)

『…TSFの活躍に期待しましょう』

(結局それかよ…。

 まあ、本当にそれ以外に無いのかもしれないな。

 可能性は低いけど…)

クレスの扱いとは雲泥の差である。



その頃TSF本部ではTSF特選部隊とロボット軍団の熾烈な戦いが始まろうとしていた。

『TSF特選部隊全隊員に告ぐ!

 カギヤとアマイはシェルターを死守しろ!

 他の隊員はスカイソルジャーに乗り込んでロボット軍団を迎え撃て!

 絶対にロボットをシェルターに近づけるな!!』

『『了解!!!』』

『それからトリツ!

 フジタ課長は頼んだぞ!』

「え!?

 は、はい…」

ガチャッ…。

「…何故?」

「何してるんだ?

 早く行くぞ」

「あ、課長。

 わかってます…」

「カギヤとアマイはシェルターの警護。

 他の隊員は全員出動。

 厳しいかもしれんが君しかいないんだ」

「はあ…」

「まあ、我々が今出来る事は此処でロボットをやり過ごすだけだ。

 君の仕事が来るのは見つかった時だけだからな」

「でもちょっと臭くて狭いですね…」

「清掃日明日だったからな…。

 それに狭いのは仕方が無い…」

此処は女子トイレの個室だった。



『フロス…、何故来ない?

 逃げたか?』

来れるわけが無い。

『まあいい。

 それはそれで…、ん?』

その時TSF本部の上空が光輝いた。

『来たか…?』

だが光の中から出てきたのはディメンションシップだった。

『何だあれは?

 宇宙船では無い様だが…』

「スカイファイター出撃!!」

「了解!!」

ディメンションシップから1機のスカイファイターが発進した。

ゴウダとフルカワが乗った機体である(その時点でガクラは忘れられていた)。

『なんだTSFか…。

 あいつらごときロボット軍団で十分だな…』



つづく



この作品は匿名希望さんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。