風祭文庫・ヒーロー変身の館






「ウルトラウーマン・フロス」
(第4話:デオキシスの故郷)



原作・匿名希望(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-172





時は西暦20XX年、地球では怪獣や宇宙人の襲撃が多発していた。

それらの事態は国連の外部機関たる地球防衛軍では対処しきれないと判断した人類は

専任の特殊科学戦隊TSFを結成し、迫り来る脅威に立ち向かっていた。



ホウエン地方、トクサネシティ。

「あれ?

 博士、どうしたんですか?

 こんな所で」

「夜食用のカップ麺を買いに来たんだ。

 そういうお前こそ何してるんだ?」

「いや、ナルシーのレベルアップですよ。

 技は使えるんですが少々弱くて…。

 あれ?でも博士が出発したのって、

 一週間前じゃ…」

「それがな、

 ある理由で調査が長引いてるんだ」

「ある理由?」

「ああ、他の研究所の博士が皆都合が悪くて欠席してな、

 調査に当たるのが私と宇宙科学センターのヤナギサワ所長の2人だけなんだ」

「そ、そりゃきついですね」

「どうでもいいが、

 こんな道端で会話するなよ。

 通行人の邪魔になる。

 後で宇宙センターに来い」

「はあ、じゃあ後で行ってみます」
 


TSF日本支部。

「というわけで、

 本部のナリタ博士開発の新兵器、

 ディメンションシップの試運転を我々が行うことになった」

「げ、それ本当ですか?」

「冗談じゃないですよ。

 明らかにやばいですよ、それ!」

「私も命は惜しいです」

ゴウダ隊長の報告に、

ガクラ、サイゴウ、フルカワは文句ばっかりだった。

文句を言わなかったのはチシブキだけである。

「あの、何で先輩方は試運転を嫌がるんですか?」

「お前は入ったばかりだから

 ナリタ博士の恐ろしさを知らないんだ…」

「ナリタ博士といったらTSF一のマッドサイエンティストで、

 毎年出るTSFの死傷者の半数は博士の開発した新兵器の産物なんだぞ。

 将門の首塚という異名を持っている博士だ…」

「私前に博士の開発した1人乗りの地底戦車に無理矢理乗せられたんだけど、

 途中でエンジンが止まって本当にえらい目にあったんだから…」

「誰のことだね?」

いきなり、いかにもマッドサイエンティスト風の男が現れた。

「ナ、ナリタ博士!」

「え、えーっと。その…」

思いっきり動揺しているのがバレバレである。

すると、3人の男女が突然入ってきた。

シラガミ長官、ユキムラ博士、

そしてナリタ博士の助手タカマツである。

「怖がらなくても大丈夫だ。

 今回の新兵器はユキムラ君も開発に参加しているからな」

(まともな奴を1人は入れとかないと…)

「はい、私も参加しました」

(放っといたら行方不明者が出そうだし)

「だから安心してください」

「タカマツ君、

 どういう意味だね?」

「は、博士!

 いや、天才博士が2人も参加したんだから、

 安心して乗ってくださいという意味で…」

「何だそういう意味か。

 私を馬鹿にしたのかと思ったぞ」

「はははは…」

「あの、何2人で盛り上がってんですか?」

「大体ディメンションシップって何なんですか?」

「うむ、いい質問だ!

 ディメンションシップとは、

 次元の壁を越えて異世界に行くことが出来る次元巡航艦のことだ!」

(危険だ!)

ゴウダ、フルカワ、ガクラ、サイゴウ、チシブキは同時に同じ感想を抱いた。

「すでに日本支部に運んびこんで13番格納庫に保管してある。

 操縦方法はこのディスクに記録してあるから、

 安心して乗りたまえ!」

「そういう問題では無いと思いますが…」

(なんか番号が不吉だ…)

「なんか文句があるか?」

「いえ、ありません!」

「そうか、ならいい」

そういうとナリタ博士はタカマツを連れて部屋を出て行った。

「…だ、そうだ」

「何だったんだ?」

「書置き残しておいた方が良さそうだな…」

「いや、遺書では…」

「言えてますね…」

「同感です、博士…」

しばらくすると全員諦めたのか、

ディメンションシップの置いてある13番格納庫へと向かった。
 


13番格納庫。

「帽振れ〜…」

「長官、縁起悪いからやめてください」

「ははははは。

 何も心配は要らない」

(その自信は何処から?)

「タカマツ、何か言いたそうだな?」

「いえ、何でもありません」

こんな平和な(何処が!)会話に見送られて、

ディメンションシップは空中に浮かび光を放って消えた。

 

異世界、ホウエン地方、トクサネシティ、宇宙センター。

そこには初老の男と若い男の2人がいた。

初老の男の名前はヤナギサワ・リクオ、

若い男の名前はミゾロギ・ユウサク。

ヤナギサワはこの宇宙センターの所長で、

最近地球に落ちてきた謎の隕石の解析のために、

ポケモン研究所の所長であったミゾロギを呼んだのである。

「しかし、妙な隕石だな。

 何をしてもうんともすんとも言わん」

「そりゃあ、隕石が言葉をしゃべったら不気味でしょう」

「例えだよ例え。

 その突っ込み癖何とかならんかね」

「なりませんね」

「おいおい、断言するなよ。

 ん?誰か来たぞ」

突然宇宙センターを訪ねてきたのは赤い服を着た1人の少年であった。

「あ、お前。

 何しにきたんだ?」

「呼んだのは博士でしょ。

 それと、前から思ってんだけどお前ってのはやめてください。

 僕にはアカイ・アツヤっていう立派な名前があるんですから」

「わかった、今度からそうしよう。

 それよりお前…」

「早速!?」

「誰が真夜中に来いって言った?

 私は後で来いと言ったんだぞ」

「えっ!そうだったんですか!?」

「馬鹿かお前」

「馬鹿じゃないですよ」

「じゃあ阿呆か」

「同じですよ」

「漫才やっとらんで手伝ってくれんかね。

 手が足りないんだから」

「あ、ならジャックとナルシーも手伝わせましょうか?」

「いらんわ!」

その時、センターのすぐ外で眩い光が輝いた。

「な、何だ!?」

「まさか、UFO!?」

「何でだよ!」

なんとなく予想はついてるとは思うが、

外に現れた光の正体はディメンションシップである。

「な、何が起こったんですか…?」

「一応成功か…?」

「乗り心地最悪ですね、

 う、気持ち悪い…」

「隊長、何でチシブキに操縦させたんですか?」

「いや、こんな事になるとは…、ううっ!」

中からTSF隊員が降りてきた。

なんか気分が悪そうだ。

「…何ですか?あんたら」

「わ、我々はTSFだ」

「何ですか?それ」

「まあ、異世界の防衛軍だ。

 新兵器のディメンションシップの試運転をしたのだが…、

 うげっ!」

「どわあっ!汚ねえ!吐くな!」

何だかよくわからない状況だった…。

 

「…つまり、

 この世界はポケモンと呼ばれる小型の怪物と人間が共存している世界で、

 ここは宇宙関連の研究をしている宇宙センターで、

 今、謎の隕石の解析をしているわけか」

「理解できてます?」

「いや、全然。

 それにしても、アカイ・アツヤって長官の息子の友達と同姓同名だよな」

「長官?」

「ああ、シラガミ・クロキチ長官だよ」

「それ、僕の昔の友人の父親と同じ名前ですね」

「そうなのか?」

「はい」

「単なる異世界じゃなくて、

 パラレルワールドというわけか」

「博士、何ですか?パラソルワールドって」

「パラレルワールドだ。

 住人とかに変化は無いが、

 歴史や文化のような細かい部分が違う世界のことだよ。

 この場合はポケモンの存在の有無の違いだな」

「なるほど。

 じゃあ、その世界には博士そっくりの人もいるんですかね?」

「少なくとも私は知らん」

「なんか話がそれてますが…。

 とにかく、この妙な隕石はいったいなんだと思いますか?」

「フルカワ、どう思う」

「ディメンションシップのコンピュータで解析してみたのですが、

 何やら生態反応が見られます」

「じゃあ生き物なのか?」

「博士、何か知ってます?」

「隕石として落ちてくるポケモンなんてピィぐらいしか知りませんよ」

「お前には聞いてない。

 大体あれは隕石その物じゃなくて隕石に乗ってくるんだ、

 しかもただの言い伝えだぞ。

 ちなみに私も知らない」

「本当にさっぱりわけがわかりませんね、隊長」

「電気流して見るか?

 生き物だったら何か反応があるだろ」

「なるほどな。

 確かに反応があるはずだ」

というわけで電流を流すことになった。

「よし、電圧を上げろ」

「はい、2GV突入です」

「何か変化は?」

「少し振動しているようです、

 ってうわっ!」

その時、突然隕石が爆発した。

「な、何だったんだ?今のは…」

「あ!何ですか!?あれは!」

そこには赤と緑が入り混じった謎の生命体が浮かんでいた。

「こ、これは…」

「ポケモン?」

(フフフ、久しぶりだな。

 ヤナギサワ・リクオ!)

「な、何故お前が私の名前を知っている!」

「いや、それよりもテレパシーに驚くべきじゃないのか!?」

「テレパシーなんて珍しいもんじゃない、

 そこらのエスパーポケモンにだって使える!」

(こら、無視するな。

 私はデオキシス、

 この名前に聞き覚えがあるだろ?)

「デ、デオキシス!

 本当にデオキシスなのか!?」

「誰だ?」

「1年前のロケット事故で行方不明になっていた乗組員の1人だ!

 不時着したらしい星の環境が恐ろしく厳しいので全滅したと思われていたのだが…」

(その時我々は何故かこの姿に変化していた。

 そのため、その星でも生き残ることが出来たのだ。

 よくも私達を欠陥ロケットに乗せたな…。

 他の奴らは腑抜けだが私は違う!

 復讐として、この星を滅ぼす!)

「何だと!そうはさせない!」

(お前らは誰だ?)

「次元の壁を越えてやってきた正義の味方TSFだ!」

(恥ずかしくないか?

 その肩書き…)

「やかましい!

 戦闘開始!

 目標、デオキシス!」

「了解!」

「僕も戦います!

 ジャック、ナルシー行け!」

アカイの出したポケモンは2体だけだった。

「他にいないのかよ!」

「後は全部パソコン行きですよ!

 ナルシーのレベルアップだけが目的だったんですから!」

「引き出してくればいいだろ!」

「そんな時間あるんですか!?」

「漫才してる場合かい!

 とりあえず、

 サイゴウとフルカワは住民を避難させろ。

 私、ガクラ、チシブキはここで奴を迎え撃つ」

「どうやってですか?」

「ディメンションシップだ。

 あれは空中戦艦も兼ねているらしい」

「らしいって何ですか!?

 らしいって!」

「とにかく行って来い!」

「は、はい!」

「何か良くわかんないけど…

 行け!ジャック、ナルシー!」

どかっ!

ナルシーは一撃でKOされた。

「…弱いな」

「まあ、レベル低いし…」

「そういう問題じゃ無いでしょ!

 ナルシー、戻れ!」

結局、ナルシーは出ただけだった…。

 

「サイゴウ隊員、

 これで全部のはずよ」

「ええ、

 副隊長はディメンションシップで先に皆を避難させてください。

 俺は他に人が残っていないか確認します!」

「わかったわ」

ディメンションシップはミナモシティに向かって飛んでいった。

 

「くそ、テリブルシューターが効かない!」

「他に武器は無いのか!」

「全部もとの世界に置いて来ちゃいましたよ!」

「おい、お前!」

「こんな所でまでお前は無いでしょ!」

「関係ないだろ!

 そこ危ないぞ!」

「何故ですか!?

 ってうわああ!」

「アカイ!」

突然、アカイの背後に立っていた巨大ロケットの模型が倒れてきた。

「うわああああああっ…!」

 

サイゴウは周辺に誰もいないのを確認すると、

腕をクロスさせて叫んだ。

「フロス!」

 

「おい、大丈夫か!?アカイ!」

「…あれ?何が起こったんですか?」

「いや、その…。

 こいつが助けてくれたんだよ…」

「何で歯切れが悪くなるんですか?」

「見りゃ解る…」

「はい?

 って…」

「何だ?

 何か文句があるのか?」

そこに立っていたのはどう見てもミュウツーだった。

「ミ、ミュウツー?

 何でミュウツーが僕を助けたんですか…?」

「単に平和を乱そうとしている奴がいるので倒しに来たついでだ」

「ついでですか…」

「落ち込むなよな」

「そういえば、
 お前はミュウツーに前に会ったって言っていたよな」

「え、そうでしたっけ?」

「忘れるなよ!」

「お〜い!

 デオキシスはいいのか!」

「あ、忘れてた…」

(忘れるなよ!)

「人のこと言えないでしょ!」

「お前も同じだろうが!」

「いい加減にせい!!

 逃げるなら逃げろ!

 戦うなら戦え!」

「は、はい!」

(まったく…

 ってぐわっ!)

デオキシスに謎のエネルギー弾が撃ち込まれた。

「あ、あれは!」

「あそこだ!」

TSF隊員達が向いた方向には銀色の女戦士、

ウルトラウーマンフロスが立っていた。

ちなみに、等身大である。

「あれは、フロス!?」

「こっちのフロスって等身大なのか…」

単に身長が自由自在に変化させられるだけである。

 

ウルトラウーマンフロスとザングースとミュウツーがデオキシスに挑む、

ある意味不気味な光景である。

しかしデオキシスはフロスのエネルギー弾を受けても無傷であった。

「強いな…」

「ええ、このままでは負けるかもしれませんね」

「しかし、負けるわけにはいかない!

 TSFの底力を見せてやる!」

「武器が無いのにどうやって!?」

「チシブキ!

 これを持て!」

「何でですか!?」

「いいから持て!」

「りょ、了解。

 …しゃらくせー!

 あんなグニャグニャ野郎なんざ俺様がやっつけてやらあー!」

「何だー!?」

「チシブキは銃を持つと性格が変わるんだ」

「貴方の所の隊員は皆そうなんですか?」

「いや、あいつだけが特殊なんだ…」

「うおりゃあああーっ!

 往生せいやーっ!」

「違うタイプの変態なら何人かいるけどな…」

 

「へっくしょっ!」

「あれ?博士風邪ですか?」

「ああ、ここの所ディメンションシップの開発で寝てなかったからな」

「じゃあ、寝た方がいいですよ」

「うむ、そうしよう」

あっちの世界は平和だった…。

 

その頃、TSF達は、

ミュウツーのサイケ光線もフロスのティエシウム光線も通用しないデオキシスに

かなりの苦戦を強いられていた。

チシブキはデオキシスに突撃して返り討ちに会い気絶していた。

ジャックはさっきから飛び掛っては殴り飛ばされ

殴り飛ばされては飛び掛るをひたすら繰り返していた。

「おい!あのジャックとかいう奴、

 はっきり言って邪魔だから早くボールに戻して逃げろ!」

「そんなこと言われても…、

 あいつ意地っ張りだから…」

「おいおい…、そういえば紅もそんな性格だったな。

 あれ?おい、お前のジャックがデオキシスと何か話してるぞ」

「あ、本当だ。

 何話してるんだろう?」

ここから先、ポケモン語を日本語に吹き替えます。

「まったく、何故そこまでやるんだ?」

「まあ、あいつは昔からの親友だし」

「親友だと?

 まさか、仲間を見捨てるほど腐りきった奴らを信じているのか?」

「人間は腐ってねーよ」

「仲間を見捨てるような奴らを腐りきったと言わずになんと言うんだ?」

「さっき理由を言ってただろ?

 そいつはただの逆恨みだ」

「どうせその場しのぎのでまかせだろう。

 ん?もしかしてお前…」

「何だよ!?」

「ちょっと記憶を見せてもらうぞ」

「そんな能力まであんのかよ!

 お前本当に元人間か?」

「ふうん、私の境遇に似ているな」

「話し聞いてんのか!?」

「境遇は似てるのに考え方が違うのは、

 その経緯の違いって所か…」

「お前な、言ってる意味が全然解らんぞ。

 それに人間は完全じゃない、

 だから人間のやることも完全じゃない。

 そんな人間の失敗にいちいち目くじら立ててたらきりがねーぞ」

「お前こそ自分で自分の言ってる意味解ってるのか?」

「いや、全然」

ここから日本語吹き替えから元に戻ります。

「何でだよ」

「博士、どうしたんですか?」

「いや、今突っ込み所が有ったような気が…」

「博士の第六感は良く当たりますよね。

 案外ジャックかデオキシスが何か言ってたりして…」

大当たりである。

「しかし、ジャックの奴説得する気か?

 無茶だぞ、人間時代会ったことがあるが、

 自分の考えは絶対に曲げない奴だったから…」

「うーむ、そうですか。

 TSFにもそういう奴が何人かいますよ」

「そうですか、私の部下にも何人かいますよ。

 お互い苦労しますな」

「いや、直接の部下じゃないんですけどね、

 同期だから…」

「へえ、そうですか」

デオキシスがジャックと話し込んでいるため、

なんか平和な雰囲気だった(おい!)。

「それにしても、こっちのフロスは行動時間が長いわね。

 さっきから10分も立ってるのに全然カラータイマーが鳴らないわ」

この世界では大気汚染が進んでいないので負担が軽いだけである。

ちなみに、チシブキはまだ気絶していた。

 

そして、ジャックの説得は決裂した。

ジャックがデオキシスに殴り飛ばされたのである。

「お〜い!

 大丈夫か!?」

どうやら大丈夫らしい。

「不死身か?あいつ」

「さあ…、

 それよりも隊長!

 デオキシスがこっちに向かってきます!」

「何!?」

「早く逃げないと我々も危ないですよ!」

「この世界の未来は我々の肩にかかっているんだ!

 フロスとミュウツーに戦わせておいて我々だけ逃げるわけにはいかない!」

「た、隊長…」

 

丁度その頃世界各地では…。

某国の某山、

3匹のメタモンの会話。

「暇ね〜」

「暇だね〜」

「暇だ〜」

某TV局、

番組撮影中のスタッフの会話。

「あのキレイハナ妙に踊りが上手いな」

「確かに。

 そういえば、

 あのキレイハナ世界で初めて見つかったキレイハナだそうだ」

「何でそんなのがTV番組で踊ってるんだ?」
「さあ」

某国山奥の集落、

住民の独白。

「暇だ…」

誰かのパソコン、

預けられているポリゴンの独白。

「ZZZZZZZZZ〜」

北半球上空、

ラティオスの独白。

「ラティアスは一体何処だ?」

南半球上空、

ラティアスの独白。

「お兄ちゃん、

 一体何処にいるのかしら…」

某所、

ルギア、ホウオウ、他3体の会話。

「兄さん久しぶり!」

「それはいいが、

 後ろの3匹は何だ?」

「ほら、例の3人(?)よ」

「始めまして。

 ホウオウさんにはいつもお世話になってます」

「どっちかというとホウオウの方が世話かけてんじゃないのか?」

南半球上空のオゾン層、

レックウザの独白。

「今日も異常無し!」

某国上空、

ジラーチの会話。

「お兄ちゃん、

 鬼ごっこしようよ」

「また?」

「かくれんぼの方がいい?」

「…いや、
 鬼ごっこでいい。

 隠れる所無いし…」

某所遺跡、

研究者達の会話。

「しかし、

 あいつら何なんだ?」

「さあ…」

「それと例の26人何処行ったんだろう」

「順番逆じゃないのか?」

某所祠、

セレビィの独白。

「暇ですね〜」

戦場になっているトクサネと、

突然謎の飛行物体が現れたミナモ以外は、

何処も絵に描いたような平和だった…。

 

なお、トクサネでは、

「皆がんばれ!

 この世界を救うんだ!」

「了解!!」

なんか勝手に盛り上がっていた…。

「しかし、さっきまでくつろいでいたのに何なんだ?

 この変わり身の早さは…」

「博士もくつろいでた1人でしょ」

同感である。

ちなみにフロス、ミュウツー、デオキシスの戦いは

こいつらと関係なく進んでいた。
 
フロスとミュウツーはデオキシスにかなり押されていた。

「くそ、強いな…

 このままじゃ勝てない…。

 せめて、この星から追い出すことができれば…」

それを聞いたフロスはある作戦を思いついた。

フロスは何とか立ち上がると、

両手でエネルギー弾を作り出した。

しかし、いつものとは少し違うようだ…。

(な、何をする気だ?)

すると、フロスはそのエネルギー弾をデオキシスめがけて撃ち込んだ。

「お、おい…。

 その技は効かなかった筈だ…」

そしてエネルギー弾はデオキシスに直撃した。

しかし、爆発は起きなかった。

(な、何が起きた!?)

「こ、この技は…」

何故かデオキシスは巨大化したエネルギー弾の中に入り込んでいた。

これはフロスの技の1つでフロスボールという。

相手を球形のバリアで包み、

一定時間相手の動きを封じる技である。

ただし敵の行動を封じるが、

こちらからの攻撃もバリアに阻まれてしまうという欠陥技でもある。

そしてフロスはそのバリアを持ち上げると、

宇宙へと飛んでいった。

「一体、何をする気なんだ…?」

ちなみにTSF隊員、アカイ、ミゾロギ、ヤナギサワ達は見事なまでに忘れ去られていた。

 

宇宙。

フロスは持ち上げていたデオキシス入りのバリアを離した。

(何をする気だ!)

するとフロスはバリアめがけてティエシウム光線を撃ち込んだ。

その勢いでバリアの球は少しずつ地球から遠ざかり、

やがて見えなくなった。

それを見届けるとフロスは地球へと帰って行った…。

 

「これでお別れだな」

「ああ、向こうの私にもよろしくな…」

「出来るか!」

「まあまあ、

 じゃあ、TSFの皆さんさよなら〜っ!」

「さよなら〜っ!」

TSFの隊員を乗せたディメンションシップは空中に浮かび光を放って消えた。

なお、この戦いは報道規制がしかれ、

一般には報じられなかったと言う。

 

「無事に戻ってこれたようだな」

「はは、まあ色々ありましたけど」

「しかし、まだ改良の余地は有りそうだな…。

 タカマツ!さらに研究を続けるぞ!」

「いや、いいですいいです!

 これで十分です!」

(これ以上変更されたら取り返しがつかなくなりそうだ!)

「そうか、じゃあいい。

 タカマツ!

 すぐに次の研究を始めるぞ!」

「は、はい…」

「…将門の首塚伝説は続きそうだな」

「ええ…」



おわり



出演
隊長 ゴウダ・テツタロウ
副隊長 フルカワ・トモミ
隊員 ガクラ・アキラ
隊員 サイゴウ・ツヨシ
新入隊員 チシブキ・モンザエモン
長官 シラガミ・クロキチ
博士 ユキムラ・フユコ
TSF新兵器開発部門担当者 ナリタ・ユキスケ
助手 タカマツ・ヒデト
宇宙センター所長 ヤナギサワ・リクオ
ポケモン研究所所長 ミゾロギ・ユウサク
トレーナー アカイ・アツヤ



この作品は匿名希望さんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。