風祭文庫・ヒーロー変身の館






「鮮血のアーシラ」
(最終話:アーシラ決戦!)

作・あむぁい

Vol.T-127





「全治一ヶ月。

 はぁ…大変な戦力ダウンだわ。

 あんだけわたしの足を引っ張らないで、
 
 って言ったのに」

「すんません」

僕は自分が改造されたあの壬生病院に入院していた。

ジーナス、いや土方先生には悪いけど人を殴ったり、

物を破壊せずに済んでほっとしている。

この間に遅れた勉強も取り戻したい。

「でも、あきらの有給はもう使い切っちゃったのよ」

「え?(有給ッスか?)」

てゆうか、僕は給料というものをもらってない…

「無駄な人員を抱える程、

 うちの組織は余裕は無いし、
 
 優しくも無いの。
 
 ねえ、あきら、
 
 走れなくなった馬はどうなるか知ってる?」

そう言いながら僕をじっと見つめる土方先生。

「え?」

「じゃぁ、お乳が出なくなった牛は?」

「え?

 え?」

ま、まさか…

「はっはっは。

 そんなに脅かすものでは無い」

フューラー様だ。

フュ−ラー様はこの病院の院長もやっているのだ。

本職は何だか良くわからないが。

「何、私の天才が動けぬ君を見てひらめいたのだ。

 新たな作戦をっ!」

「さすがは我らが局長です!」

「それでこそ、我らが指導者!」

すかさず、久方ぶりの登場となる誠太郎と忠次郎のお追従が入る。

何だかすごくすごく嫌な予感がしてきた。

今すぐにでもこの場からは逃げ出したかったが、

けど、足は折れてるし、

見てのとおり天井から釣られている。

ま、どっちにしろ逃げられる訳無いのだが。

「てな訳で、ジーナス。

 あきらのちんぽを舐めてやれ」

「えええええっ。

 嫌ですよ。
 
 フュ−ラー様以外のちんぽなんて。
 
 きったない。
 
 手こきさせりゃあいいじゃないですか、手こき」

「命令」

「くっ」

土方先生の顔が嫌悪に歪み、

僕のズボンを下ろす。

ぶるぶる震えながら、そっと口を開ける。

ああっ。

土方先生が、ジーナスが僕のおちんちんを!

それを見ているだけで、僕はもうイキそうになる。

「あきら、お前も20分は我慢しろ。

 命令」

はあああ。

フュ−ラー様の命令が僕を縛る。

が、がまんしなくちゃ…

ぱく。

ぺろっ、ぺろ。

嫌そうに土方先生が舐める。

その嫌そうな顔が実に…

ああああ。

が、我慢だ。

「ジーナス。

 真面目にやれ。
 
 20分以内にあきらをイかせられなかったら、今回の作戦はお前がやれ」

「ひっ」

露骨に土方先生の顔色が変わる。

こ、今回の作戦って?

あ。

ああああああ。

「あきら、我慢しろ。

 命令」

あうううう。

が、我慢。

先生の動きが明らかに変わる。

積極的だ。

口だけじゃなく、頭全体でのどまで使って僕をイかせようとする。

ふわ。

くうう。

はあ。

あああ。

あああああ。

駄目。

あ。

カチッ。

イっちゃった。

ああ。

「はあ。

 はあ。
 
 や、やった。
 
 良かった。
 
 良かったよう」

そう言いながら土方先生が泣いている。

ガッツポーズまでしている。

変な奴。

すると、今度はあたしのおちんちんが変化をはじめる。

ぱかっと二つに分かれ。

反り繰り返り。

丸まって。

おまんこを形成する。

そして、お尻が膨らみ。

胸が膨らみ。

筋肉が盛り上がる。

アーシラ変心完了。

足はギプスで固められて吊られている。

戦士にとってこれほどの屈辱は無い。

「さてと、アーシラよ。

 あきらの負けはお前が償わなければいかん」

「はい。致し方ありません」

あたしは観念する。

なんか、明らかにあたしに不利だったけど。

「と、言うわけでお前を抱く」

「え?」

言うが、フュ−ラー様は服を脱ぐ。

あたしのズボンとパンツはハサミで着られてしまう。

男物のパジャマだし。

足を吊られたままで、始まってしまった。

ギッ。

ギッ。

ギッ。

ベッドがきしむ。

足が痛む。

ああ。

でも。

フュ−ラー様に乗られてイかせてもらうのって随分久しぶり。

ギッ。

ギッ。

ギッ。

いっつもあたしが上だから。

ギッ。

ギッ。

ギッ。

ああん。

はあ。

はああ。

なんで、ジーナスはこれを嫌がったんだろう。

ギッ。

ギッ。

ギッ。

うん、うううん。

あはあ。

あっ。

あっ。

イく。

もう、いっちゃう。

うそ。

うそうそ。

あ。

ああん。

カチッ。

はあ。

ああ。

フュ−ラー様。

僕を抱きたかった…だけ?

フュ−ラー様は満足そうににやりと笑うと僕の上からのく。

入れ替わりにジーナスが、僕の目の前に現れる。

手にはぶっとい注射器。

針は付いていない。

白い液がたっぷり入っている。

一リットルぐらいか。

「力を抜いて。

 動いちゃ駄目よ。
 
 命令」

そんな命令なくても僕の全身は弛緩している。

な、何をするの?怖い…

ひんやりとした感触が僕のあついおまんこに触れると、

ずぶり。

いとも容易く挿入される。

そして、ゆっくりと液が僕の子宮に注入される。

ふ、ふわああ。へ、変な気分。

液を手早く入れ終えたジーナスは、注射を引き抜く。

「もう一本、入れるわよ」

楽しそうに、ジーナスは宣告すると。

ずぶり。

くう。

も、もう入らない…、

「息を吐きなさい。

 命令」

はぁ〜。

僕は息を吐く。

ぐぐぐぐぐ。

液がどんどん入ってくる。

「はい。

 吸って良いわよ」

「ぷはあ」

2、2本も入れられちゃった。

ああ。

びくんと体が震える。

始まった。

僕の膣口のびらびらがのびて。

筒を形作るように変形する。

注射器を取り囲んで。

僕のおちんちんが形成される。

すぽん。

ジーナスは注射器を外す。

そしてテグスで僕のおちんちんを蝶ちょ結びに結ぶ。

「あ、あの?」

「しばらくすると、安定すると思うから。

 その後、取ってあげるね。
 
 勝手に取っちゃ駄目よ」

「い、今の液は何?

 僕は一体どうなるの?」

「一ヶ月、入院するんだ。

 それだけ有れば、沢山のTシードが産めるだろう」

Tシードは人間に寄生して、

我々の尖兵Tソルジャーに変えてしまう恐ろしい生物だ。

「良い子を産んでね☆」

ジーナスは僕のお腹をぽんと叩くと、フュ−ラー様と二人で出て行った。

ちょ、ちょっと待ってえ!



部屋に流れるゆるやかな音楽。

「モーツアルトが良いのです」

うるさいよ、忠太郎。

「ほ〜ら、お腹の中で元気に動いているわ。

 可愛いわね〜」

モニターを見ながらジーナスはつぶやく。

「う、うえっ」

僕は吐き気を抑えるのに必死だ。

お腹の中に、あんな虫がうじゃうじゃいるなんて…あうううう。

一個だけでも気持ち悪いと思っていたのに。

「駄目よ〜、愛情を持って育てないと、良い子に育たないわよ」

ジーナスがお気楽に言う。

「ごめん。

 そんな気分には…」

「母性ホルモンを注射してはどうかな?」

「ナイスな考えです、フュ−ラー様」

「さすがは我らが局長です!」

「それでこそ、我らが指導者!」

とんでもない提案が、いとも簡単に通る。

お、お前らなあ…

「や、駄目です。

 フュ−ラー様、ジーナス…」

注射は駄目なのだ。

改造されたトラウマで、注射はすごく苦手になってしまった。

身動きできないまま、なんとか身をよじって避けようとする僕。

無論、いつもの如く、僕の意見が通るわけも無く…

ちくり。

母性ホルモンを打たれてしまう。

ううっ。

入院している方が、ジーナスやフュ−ラー様との接触時間が長く。

僕が不幸になる確率も高い。

そんな気もして来た。



「ああっ、胸が、胸がっ!」

「はいはい。

 騒がない。初心者じゃあるまいし」

「(ぱくぱく)!」

「アーシラの時はDカップ楽勝でしょ。

 何が珍しいんだか」

ジーナスの呆れ顔。

くすんくすん。

アーシラの時は違うんだもん。

僕の胸が膨らんじゃってるんだもん。

あ。ぴくっ。

今、動いた。

お。

蹴ってる。

お腹を蹴ってる。

「ねえねえ、ジーナス。

 聞いてごらん。
 
 動いているよ」

「は、はあ」

ジーナスは僕の胸に耳をあてる。

シャカシャカ

シャカシャカシャカ

「…、えと」

「ねー可愛いでしょ。

 早く大きくならないかなあ」

「そ、そうねぇ」

「僕の赤ちゃん。

 ねえ、ジーナスも一緒に名前考えてくれる?」

「え、ええ…」

「何人くらい生まれるのかな」

「1万匹ぐらい生まれる予定なんだけどね」

「へえ」

僕は目を細めてお腹をさする。

沢山、名前を考えなきゃ。



「それでは、作戦を説明しろ」

「はい。

 今回の作戦は貯水池に大量のTシード(ミニタイプ)をばらまき、
 
 都民1万人をTソルジャーに変え、
 
 一気に各地の厚生労働省の施設を同時多発テロしようというものです。
 
 あきらは電車でM貯水池のあるM市へ移動。
 
 貯水池に向けて産卵します。
 
 その後はそこで待機し、成果を見守る。
 
 以上です」

忠太郎と誠次郎がハモる。

随分アバウトな作戦だ。

僕の赤ちゃん大丈夫かな。

「知っていますか?

 M貯水池は数々の組織が毒を投げ込もうとした貯水池作戦のメッカ。
 
 今までに23の組織が毒を投入しようとしたのです」

無駄知識を披露するジーナス。

成功率も聞きたい所だ。

僕はおずおずと質問する。

「あの、水道に入る前に濾過とかするから

 各家庭にほんとに僕の赤ちゃんがたどりつけるんでしょうか?」

「大丈夫です。

 少々のフィルターは食い破れます」

ジーナスが断言する。

僕は大きくなったお腹をさする。

ずっと子宮があったせいか、

胸ばかりか体も全体に丸みを帯びてしまっている。

おっぱいはこないだ冗談半分にジーナスに吸われて出るようになってしまった。

搾乳機でしぼらないと張って困る。

乳腺炎になっても困るし…



「よっこいしょ」

なんだか一動作ごとに掛け声がいるようになってしまった。

足は治っていたが、さすがにお腹が大きいと歩くのも大変だ。

アーシラに変心して動くと目立つからあきらのままで行けとジーナスは言うけど、

今のままでもすごくすごく

目立っていると思うのは気のせいか?

さっきからジロジロと見られている。

ジーナスたちは一緒に行動するのがヤダとの事で別の車両から見守るらしい。

電車が来たので乗り込む。

結構込んでる。

つり革につかまるがつらい。

座りたい。

目の前の学生さんが見かねて席を譲ってくれる。

ラッキ。

僕は会釈をして席に座ろうとすると。

ドン。

押されて尻餅をついてしまう。

激痛が走る。

はう。

く、くくくくく。

涙目で押された方を見ると、

妊婦さんが空いた席に無理やり割り込んでいる。

本物がいたのか。

綺麗なお姉さんだ。

「すいません。

 でも、あなた男の方…ですよね?」

「…」

僕は何も言い返せない。ちょっと自信が無いけど。

男のはずだ。

僕はのろのろ立ち上がるとつり革につかまる。



もうすぐ、生まれる。

お腹の中のものを全部吐き出して良い。

そう考えると、僕のおちんちんははちきれんばかりになっている。

出かけるときに、またジーナスに蝶ちょ結びにされてしまったから暴発の心配は無い。

後は、ダムに着いて、卵を産むだけだ。

高いところから下へ向かってするオナニーは最高よぉ。

とかもっともらしい事を言いながら、

ジーナスは予定ポイントを教えてくれた。

そこに行けば…はふぅ。

「あきらじゃないか?」

「へ?た、武…お前…」

斉藤武は僕が改造されるきっかけを作った後、

最近あまり学校に来ていないとの事だった。

何でこんなとこに…

「どうしたんだ、そのお腹。

 それにちんぽもそんなおったてて」

武はいきなり僕の股間に腕をつっこむとしごきはじめる。

え、ちょっと。

僕は吊革につかまって耐える事しかできない。

あ。

ああ。

あああ。

なんで。

武が。

うわ。

やばっ。

あ、溜まってるから。

カチッ。

ああ。

い、痛い。痛い痛い。

精管から流れる激流が蝶ちょ結びによってせき止められる。

あたしは激痛に思わず涙を流す。

な、何。

一体何がどうなって。

「あきら、お前ちょっと変わったか?」

「え?い、いや…」

やばい。変心がこんな所で始まってはみんなにあたしの正体がばれてしまう。

あたしは人の少ない所に行こうと連結器を目指す。

「どこへ行くんだ?」

武もついてくる。

ついてくるなっ。

く。

ペニスに痛みが走る。

変形しようとするが…蝶ちょ結びによって変形できない。

ああ。

ああああん。

ああ。

あああああ。



「どうした、あきら、変だぞ」

「はあはあ…、な、何でも。

あああ」

結局、連結器まで武は着いてきた。

あたしの変心は中途半端なまま中断された。

大きなお腹。

小ぶりな胸。

弱弱しい筋肉。

なんて事だ。

みっともない…

「あきら、お前大丈夫か?」

「な、何でも無い」

この上は早く貯水池に行ってさっさと作戦を遂行せねばっ。

武が助けおこしてくれる。

密着してると、何だか変な気分になってくる。

武がにぎってくれる手がとても暖かい。

密室で二人きりだ。

変だ。

フューラー様以外の男に…あたしが…ときめいてる?

「あきら、好きだ。

 前みたいに愛し合おう」

いきなり耳元で囁かれ、あたしは抱きつかれる。

く、こら。

駄目だ。

あきらの体力じゃ振りほどけない。

「どうした。

 前はお前の方から誘ってくれたじゃないか。
 
 俺が嫌いになったのか?」

え?

武と…あ

たしは混乱してきた。

武の右腕があたしの胸に回る。

左腕は股間に。

「な、何の…ああっ」

む、胸が…お乳が…出ちゃう。

な、なんでお乳が出ちゃうのよ。

ああ。

た、武と…

あたしは武と恋人…?

そんなはず…

そんな記憶は…

武の腕はあたしの胸を根元からしごいてお乳をしぼる。

たちまち、胸が乳首を中心にぬれる。

ああ。

恥ずかしい…

武の左腕はあたしのおちんちんを弄ぶ。

痛い。

痛いけど気持ち良い。

「なんだ。

 紐でしばってるのか?
 
 しばらく見ないうちに益々、変態になったな」

「ち、違う…」

「どれ、紐を取ってやろう」

「や、止めて…駄目」

あたしは必死で懇願する。

こ、こんな所で紐を外されたら。

ここで産卵が始まってしまう。

それだけは避けないと。

「どうして?

 紐を取ったらすぐイけるぜ」

「や、やめてください」

それが出来たらど、どんなに気持ち良いだろう。

で、でも…駄目。それだけは駄目。

「じゃあ、前みたいに俺のを口で慰めてもらおうか」

ま、前…前って?

「さあっ」

乱暴に手が胸と股間から引き抜かれると、

あたしの顔が武の股間に押し付けられる。

あ、あきらと武は普通の友達で。

恋人とかそんな関係じゃ無かった…はず。

でも、武はなんだか強引だし。

あ、ひょっとして。

あきらが武の奴隷だったとか。

その線ならある…かも。

ほら、あいつマゾだし。

ほら、あいつの体が勝手にチャックおろして。

勝手に武のおちんちんを引っ張り出して。

勝手に…

ぱくり。

「優しく、愛情を込めて、な」

「ふわぁい」

ちゅば。

ちゅばっ。

ちゅばっ。

ちゅばっ。

ちゅ。

じゅじゅっ。

や、やだ。

感じて来た?

ば、馬鹿っ。

ホントにあきらの体は…

ほんとに…、

あたしはあきらのおちんちんに手を伸ばす。

馬鹿っ。

馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿っ。

あんたの体はっ、感じやすすぎんのよっ!

お口の中で武のおちんちんも大きくなり、

びくびくと脈動する。

馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿っ。

あ、ああっ?

これが男の子の…、

カチッ。

ああっ。

あうあう。

逃げようとするが、武にがっちり頭を押さえられる。

や、やめて…

うえっ、ぐえっ、げほっ。

げほっ。

ようやく、武は僕を解放してくれる。

僕は肩で息をする。

「武…なんで…」

僕は涙目で武を見上げる。

「相変わらず、甘いなあきら。

 俺が敵だったらお前の命は無くなっていた」

渋く決める武。

敵って、お前まさか…

「斉藤さん、その辺にしてあげて下さい。

 あきらはそろそろ作戦に掛からねばなりません」

忠太郎の声。

お前見ていたんなら止めろ。

ふと見上げると、連結器の車両側の窓に土方先生がすごい形相でこっちを睨んでいた。

げっ。

なんで?

ガラッ。

ドアが開かれる。

僕は慌てて服を整える。

「斉藤さん、今回の作戦はあなたには出撃命令は出てない筈です。

 一体何しに…」

土方先生の剣幕にも斉藤は涼しい顔だ。

「桂事務次官が妙な動きを見せている」

「はぁ?

 桂はずっと動きは無いわよ。
 
 今日も異常ないってハルナから定時連絡が…」

「そんなはずは無い」

ジーナスがハルナに確認の電話を入れる。

「えー、桂さんならずっと、動きはありませんよ」

「兎に角、もう一度確認しなさい」

ジーナスが電話を切る。

駅に到着したので僕達は兎に角降りる事にする。

は、早く産卵したい…陣痛が激しくなってきた。

ジーナスと斉藤が話し続けるので、

僕はベンチに腰掛ける。

「今回の作戦はわたし達で遂行します。

 別働隊の助けは不要です」

「だから、桂の動きがだなあ…」

「あ、あの…斉藤はネオ新撰組だったの?」

「…まだ、気づいてなかったの?」

「…名前で気づくよな、普通」

二人は頷き合う。

「お前が選ばれたのだって、

 沖田って名前がフューラー様の気にいってだな…」

うわーん。

そうだったのかぁ…

くそう、僕の人生計画を無茶苦茶にしやがって…

僕は斉藤をギリギリ睨み…はぅ。

お腹が…、もう、限界が…

ぷるるるる。

「あ、ハルナ?

 何ィ?
 
 桂が出張でこっちに来てる?
 
 あんた何チェックしてんのよ!」

ぶるぶる震える先生の腕。

勝ち誇る斉藤の顔。

「あきらっ、あんたの作ったスパイ!

 役に立たないっ!」

げしっ。

う、僕のせい…ですか?

「事によってはこちらの計画が漏れてるのかもしれん」

「ぬわんですってえ!?

 あきら、あんたまさか裏切って無いでしょうね!?」

げしっ、げしっ。

う、僕は信用もされてなかったのか…

「大事を取るなら、

 引き返して再度作戦を練り直して…」

「んな訳無いでしょ!

 強行突破して悪即斬よ!」

「いやいやここは冷静に…」

「しかし、あきらが戦力にならない状況を鑑みると…」

忠太郎と誠次郎まで議論に加わる。

「うるさあああああいっ!」

僕は遂に切れた。

「もう我慢できないっ!

 産む!
 
 何が何でも産むからねっ!」

「…はい」

「おう」



ぞろぞろとネオ新撰組御一行がM貯水池を目指す。

Tソルジャー達もマッチョやらバニーやら猫耳娘やらに変身して戦闘態勢を取る。

土方先生もジーナスに変身し、斉藤も漆黒の戦士ファウストに変身する。

カッコいいし。

女にもなってないし。

でも、なんで僕だけ、

女に変心して戦わないといけなくって、

産卵までしなけりゃいけないんだ?

全然納得いかない。

まあ、それはそれとして。

例え長州一派の待ち伏せがあるとしても、

これだけの戦力が有れば強行突破も可能だ。

僕が変心できれば手っ取り早いんだけど…

ああっ、兎に角早くこのお腹の卵を全部ぶちまけたい。

僕はいつもになく、好戦的になっていた。

案の上、ダムのてっぺん。

産卵予定ポイントには既に長州一派が陣取っていた。

あろう事か、既に女の人が陣取ってオナニーが始まってる。

あれは…電車の中にいた妊婦さん…?

同じ電車に乗ってたのか??

「ああん。

 あはん。
 
 あああんっ」

妊婦さんの声があたりに響き渡る。

一方、桂事務次官もこちらに気づいたか、

何人かの部下を引き連れこちらにつかつかと向かって来る。

ジーナスと桂が同時に話し始める。

「わたし達の作戦に気づくとは流石は厚生労働省一の切れものといったところかしら!」

「よくぞ、我らの作戦に気づいたな、ネオ新撰組の諸君!」

「ですが、東京都民1万人をTソルジャーに変えて、

 厚生労働省施設に同時多発テロをかけるこの作戦は
 
 我がネオ新撰組の総力を賭けたもの、
 
 邪魔するものは排除します!」

「厚生労働省社会保険庁統計情報部人口動態保険統計課長村田礼司が

 体を張った今回の作戦を邪魔させる訳にはいかん!
 
 出生率の秘密が国民にばれてしまった今、
 
 年金制度への不信感が生まれかねん。
 
 だが、しかし、
 
 村田礼司が体から放つ愛液はダムの水と混じりあうことで強力な催淫薬兼排卵促進剤となり、
 
 その水を飲んだ人間は誰彼構わずやり続け、
 
 出生率を押し上げるのだ。
 
 しかも全員が4つ子以上確定。
 
 今回の作戦で年金制度はさらに磐石なものとなる!
 
 年金も、長州も不滅だ!」

「ああん。

 あっはん。
 
 あふん」

村田礼司…って男なのか?

は、派手に潮吹きを繰り返し、

下流に物騒な愛液を流し続ける。

…なんて、恐ろしい作戦だ!

「くっ、スケールで負けた」

がくりと膝を付くジーナス。

「ジーナス、ファウスト、奴らを止めなさい!」

と誠次郎。

「あきらは早く出産しなさい!」

こちらは忠太郎。

「ここに集う御霊よ、

 我の進む道を邪魔するものに、正義の鉄槌を下さん!!
 
 出でよ我が下僕、萩の星改RX!
 
 お前のドリルでこいつらを滅茶苦茶にしてやれ!」

ズシーン、ズシーン。

奥に配備されていた萩の星が桂の指示で動き出す。

「厚生労働省社会保険庁統計情報部企画課情報企画室長北村だ!

 ここがお前達の墓場になるのだ!」

北村と名乗る男が前に出て、

ドリンク剤を飲み干すとみるまに体が膨れ上がり3m超の巨人に変身する。

「Dr.高杉の作り出した厄人強化薬だ!

 この北村は今までのようにはいかんぞ!」

斉藤…ネオ新撰組別働隊隊長ファウストが無言で動く。

「やああああっておしまい!」

ジーナスの指示でTソルジャー達が突撃する!

大乱戦だ。



一方、僕はとりあえず卵を産まないとバトルも何もあったものではない。

手近な防壁に登ると、僕も負けずにオナニーを始める。

ちょっと離れた所から、長州の女…男だっけ?

の声も聞こえる。

「あふん。

 あはっ。
 
 すごいっ。
 
 出る、出るっ」

僕はおちんちんの蝶々結びをするりと解く。

跡が赤くなって痛い。

とっくにいきり立っているそれをしごくと

僕はものの数秒で最初の産卵を終える。

どぴゅっ。

カチッ。

え、あたし…

どぴゅっ。

カチッ。

ふわっ。

どぴゅっ。

カチッ。

はあ、駄目、体の変形が追いつかない…はわっ。

どぴゅっ。

カチッ。

カチッ。

カチッ。

カチッ。

カチッ。

カチッ。

カチッ。

カチッ。

カチッ。

はあ。

はあっ。

なんとか。

終わった…あうっ。

カチッ。

げ、まずい…僕で終わったら駄目だ…僕はあわてて、

最後の力を振り絞り、

好い加減痛くて堪らないおちんちんを…

く、がんばれっ!もう少し!

カチッ。

ああっ。

よーし、アーシラ戦列復帰!

大体、こんな駆逐艦に荷物積んで輸送艦に使うような作戦、

誰が考えたのよ!

怒鳴りながらあたしはすっくと立ち上がり、後ろを振り返った。

ぼろぼろになってあたしを守ってたジーナスがいた。

「遅いぞ…アーシラ…」

「だ、大丈夫…?」

あたしはジーナスに駆け寄る。

もはや両軍の下っ端たちは相打ち上体で活発な戦闘はしていない。

疲れきって、散発的に戦闘をしているのみだ。

元気な敵の大物、萩の星改RXと

厄人北村に対してファウストが一人で戦っているがかなり苦戦中だ。

「はっはっはっ!

 食らえ、大人の為のドリル!」

萩の星の巨大ドリルがファウストを襲う。

「まだいける?

 ジーナス?」

「あたり前!ファウストなんかに美味しいトコ取らせないわよ!」

「どりゃあああああ!」

あたし達は、萩の星に突進を開始した。

「げげっ、アーシラもいたのか!?」

いたんだよ!ずっと隅っこにいたんだよ!

あたしの怒りのキックが萩の星の足をすくい、

もんどりうって倒れる萩の星。

「おのれええ!」

そこにジーナスが北村を放り投げる。

轟音と共に火花が飛び散る。

「日本に巣食う魑魅魍魎たちよっ」

「誠忠の志をもって退治する」

「あ、北村くん。

 私はちょっと急用を思い出したから、
 
 萩の星は君が操縦してくれ、頼んだよ」

「か、桂事務次官っ!」

桂は操縦器を北村に押し付けるとダッシュで逃げ出した。

「天誅!!!」

二人の掛け声と共にあたしとジーナスの腕から赤と青の閃光が渦巻きながら飛び出し、

起き上がった萩の星と北村に直撃する。

「うわひゃあああ」

パリパリパリ!!

ボンッボボンッ。

ドッカーン!

勝った。

萩の星が四散すると共に敵はほうほうの体で逃げ出した。

「あふん。

 あはん。
 
 あっふーん」

一人だけ残ってた。

どうしようかな、これ。

なんか、同じような立場で殺しちゃうのも可愛そうかも。

あたしは柄にも無くそう思って。

「捕まえて、解剖するなり洗脳するなりしましょう。

 アーシラ、捕まえて」

「へいへい」

人使いが荒いんだから。



その後、僕が催淫液をかけられるお約束のアクシデントはあったものの、

なんとか厄人村田の体液の分析を行い解毒薬を合成した。

しかし、なんてゆうか、催淫液とTシードの相性が良かったようで、

今でもダムの貯水場には異常成長して1mぐらいの大きさになったTシードが

繊毛を蠢かせてうじゃうじゃ繁殖している。

両軍の作戦は共に失敗。

でも、ま、僕の赤ちゃん達は元気そうだし。

とりあえず今回はめでたしめでたしかな。

「そんな訳ないでしょ!

 今回のご褒美はわたしがもらうつもりだったのに、
 
 斉藤なんかに…あー、もう、どうしてくれんのよ!」

ジーナスが僕をぐりぐりする。

でも、ジーナスが僕の事を好きなのもわかったし。

僕の事を必死で守ってくれたし。

僕はにっこりジーナスに微笑む。

「あー、何笑ってんの、もーむかつくー!」

ジーナスの首絞め。

もう、照れちゃって。あ、チョーク、チョーク!

カクッ。



おわり



この作品はあむぁいさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。