風祭文庫・ヒーロー変身の館






「バニーエンジェル」
−クモ女の企み−
(前編)



作・ボール(加筆編集・風祭玲)


Vol.T-195





住宅街の中にある小さな公園。

その公園に置かれたベンチに学生服姿の少年が一人座り、

ジッと沈む夕日を見つめていた。

彼の名は赤沢隼人。

何の因果か、

不埒な悪の組織から帝都を守る美少女戦隊・バニーエンジェルの

バニーレッドに選ばれた少年であり、

そして、この公園はかつて蟻地獄女と死闘を繰り広げた公園でもあった。

『どうしたの隼人くん?』

他に人影の無い公園で隼人に話しかける声が響く。

「あぁ。

 何だラビか。

 別に」

隼人にそういわれて姿を現す、

まるで生きたぬいぐるみと言っていいような黒ウサギ。

ラビといわれたそのウサギは

隼人の横にチョコンと座ると顔を覗き込み、

『おなかでも減ったの?』

と尋ねた。

ズルッ!

一瞬、隼人はベンチからずり落ちそうになるが、

直ぐに体勢を元に戻すなり、

ラビをつかみあげ、

「あのな、

 年がら年中、おなか減らしてるわけじゃないし、

 俺だって人並みに考えたり、

 悩んだりするんだよ」

自分の鼻をラビの鼻をくつけながら怒鳴りとばすと、

ラビをベンチの裏に放り投げた。

『アイタッ!

 もぅ、動物虐待しないでよ。

 場を和ませようとしたちょっとした冗談よ、

 スキンシップよ、

 ネタなのよ、

 ネタにマジレスしないで欲しいわ』

地面に落ちたときに打ってしまったのか

お尻をさすりながらラビは文句を言うと、

「空気を嫁!」

すかさず隼人は怒鳴るが、

だが、既にラビの姿は無く、

「あっあれ?」

姿を消したラビの姿を慌てて探し始めた途端、

『まったく、

 最近の若者は短気でいけないわ…』

隼人のスグ横でノンビリと茶を啜りながらラビがため息をついていた。

「いっいつの間に!」

『で、なに悩んでいるわけ?

 まっ

 大体想像はつくけど』

「え?

 あ、うっうん」

ラビに先手を取られてしまった隼人は素直に頷くと、

『やっぱりショックだった?

 この前のこと?

 恋人がいたくらいなら何とかなるけど

 いきなり婚約じゃね

 アタック前に玉砕だものね』

ラビにそう言われた途端、

隼人は無言で立ち上がると、

ムンズ!

口をモゴモゴさせるラビの首筋を掴むなり、

華麗な投球フォーメーションを見せながら、

全力で放り投げた。

そして、勢い良く離陸していったラビは

飛行機雲を棚引かせながら、

夕日の中に吸い込まれるように飛んでゆき、

キラーン☆!

と言う効果音が聞こえるかのように光って消えていった。

「はぁはぁ」

肩で息をしながら隼人は消えていったラビを見送っていると、

『やだ、

 お茶目な冗談じゃない』

いつの間に戻ったのか、

背後のベンチの上からラビが話しかけてきた。

『………やっぱり、

 知り合いが関係してくるとね、

 親しい人が関係してきて

 しかも自分の所為で

 命にかかわったかも知れないと思うとね

 どうしても考えちゃうわよね』

「(気にするな、

  奴はラビじゃないっ、

  彼奴は…星になったんだ!!)」

強く自分の心に言い聞かせながら、

隼人はほとんど沈みきっている夕日を見つめ続けていると、

『ちょっとぉ!

 人の話聞いている?』

痺れを切らすかのようにラビは声を上げた。

「うっうるさいっ

 お前は誰だ」

振り返らずに隼人はそう言いきると、

『いやだぁ、

 いきなり何を言い出すのよっ

 あ・た・し・よっ
 
 隼人の恋人のラビよっ』

とラビは甘えるような声を上げた。

「だっ誰がぁ

 妖怪ウサギの恋人だってぇ!!」

その声に隼人は激怒すると、

『じゃぁ、隼人君の恋人って誰なの?』

ラビはシレッと聞き返した。

「うっ」

ラビのその質問に隼人は声を詰まらせると、

『まぁいいわ、

 これ以上ツッコんでも隼人君を追いつめるだけだし、

 窮鼠、兎を噛む。と言う諺もあるから、

 この辺で許してあげる。

 そうねぇ、

 あたし達って日々危険にさらされているから、

 色々考え事もしたくなるわよねぇ』

冷や汗を流す隼人に同情してかラビは話を変えた。

「(それを言うなら

  窮鼠猫を噛むだろ…)

 いや、そーじゃなくて、

 このままでいのかなーって思ってたんだよ」

ラビの言葉にツッコミながら隼人は否定をすると、

『なに?

 またエンジェル辞めたいって話?

 それはもうあきらめたと思ってたけど』

「誰がっ

 俺はたださっさとゴーストバグの変態どもと決着つけて、

 こんな馬鹿馬鹿しい闘いは終わらせたいんだ…」

ラビに向かってバニーエンジェルとしての闘いを

円満的に終わらせることを説くが、

話の途中で気が萎えてくると、

そっぽを向きながらベンチに腰を下ろし、

そして、

「そうじゃなくてさ。

 ゴーストバグの怪人、最近強くなってないか?」

最近のゴーストバグの会員怪人について呟いた。

『うーん、強くなったのなかぁ〜』

隼人の質問にラビは首をかしげ、

『でもさ、一応倒してきてるじゃない』

元気つけるかのように隼人をひざを叩くが、

だが、

「でも…

 この間の…

 あのヤマイヌ女は、結構やばかった…」

と先日闘ったヤマイヌ女のことを隼人が指摘した途端、

ガサッ。

物音とともに人の気配が急速に接近し、

そして、

「あれ、

 隼人?

 そんなとこでなにしてんの?

 何、おなかでも減った?」

その声とともに現れたのは、

隼人の幼馴染である黄土圭子だった。

「いったいお前は俺はどんな風に見えてるんだよ」

啓子に向かって隼人は小声で愚痴をこぼすと、

「あれ?、

 話し声がしたんだけど一人?

 なに、独り言。

 どこか具合でも悪いの

 あ、あれだ。

 やっぱり婚約がショックだったんだ」

圭子は、ためらいも無く

ベンチの隣(なぜかラビはすでに姿を消していた)に座ると、

「なんだ、おまえもかよ」

隼人は再びため息をつき頭を抱えた。

「はは、冗談よ」

頭を抱える隼人を笑い飛ばすかのように圭子は笑い、

そして、

「はい」

と言いながら肉まんを差し出すと、

自分もかぶりついた。

「(パク!)どうしたの(もぐもぐ)

 (パク!)食べないの(もぐもぐ)

 (パク!)食べないなら返してよね(もぐもぐ)

 (ゴク!!)」

「おまえ元気だな。

 悩みとか無いのか」

隼人は肉まんをとり返そうとする

圭子の手から肉まんを守りながら聞き返すと、

「悩み?、

 そりゃ有るわよ」

隼人の肉まんをとりかえすのをあきらめた

圭子は残りの一つに齧り付く。

「(パク!)けどね(もぐもぐ)

 (パク!)いつまでも(もぐもぐ)

 (パク!)悩んでたって(もぐもぐ)

 (パク!)意味ないじゃない(もぐもぐ)

 (ゴク!!)それよりも、

 しっかり食べていざって時に動けるようにしないとね」

「まあ、そうだな」

隼人はそう言って肉まんに齧り付いた。



日も沈みきり、

すっかり暗くなった公園には街灯が灯り始めた。

「すっかり暗くなったし帰るか。

 肉まんのお礼代わりに一応、

 送ってくよ」

と隼人が言うと、

「なに馬鹿なこと言ってるのよ。

 何が『送ってく』よ。

 あたしの家は隼人の家の真ん前なんだから

 帰る方向一緒じゃない。

 それに、肉まんのお礼だったら、

 後でラーメンでもおごってもらうわ」

そう言いながら圭子は先に歩き出す。

「ちっ、

 なんで肉まんのお礼がラーメンなんだよ…」

圭子の言葉に隼人は文句を言いながらもその後に続き、

そして、二人が公園を出ようとした時、

茂みの向こうからかすかな悲鳴が

響いたのを聞きつけた。

「悲鳴?」

「悲鳴…か?」

立ち止まってあたりを見回した後、

「行ってみよ」

いきなり圭子は悲鳴の響いた方へと走り出そうとするが、

「まてよ。

 危ないから俺が見てくる」

隼人は圭子の肩を抑えて引き止め、

自分一人で茂みのほうへ向かって行った。

そのとき、

「危ない!!

 足もと!」

と圭子からの警告の声が響き、

「え?」

慌てて足もとを見ると、

白いロープのようなものが自分の脚に絡み付こうとしていた。

「うわっ」

それを見た隼人は跳びぬけようとするが、

一瞬早く、ロープに絡み疲れてしまうと、

さらに、茂みから現れたもう一本のロープが

隼人の体に絡みつき自由を奪ってしまった。

「ちっ、

 しまったぁ」

体に絡みつくロープを振り解こうと隼人はもがいていると、

「待って!

 いま助けるから」

の声とともに圭子が隼人に飛びつき、

隼人を拘束するロープを解こうとする。

「馬鹿、

 危ないだろう。

 早く逃げろ」

そんな圭子に向かって隼人は怒鳴りとばすが、

その声に耳を貸す圭子ではなかった。

そして隼人の体を絡めとったロープが

隼人を茂みの中に引きずり込もうとしたとき、

「!!っ

 いっいま、助けを呼んでくる」

なにかを決意したような表情をしながら

圭子はそう言って、

急いでその場を離れようとするが、

三度現れたロープが

今度は圭子の体に絡みつき自由を奪ってしまった。

「だから危ないっていったろ」

「もともとあんたの注意力が散漫なのが原因でしょ」

二人とも謎のロープに絡み取られ、

その原因を巡って口げんかを始めるが、

だが、勢い良く藪の中へと引き込まれてしまうと、

そのまま二人は気を失ってしまったのであった。



隼人が気が付くと

どこかの洞窟だろうか、

広大な空間の真ん中に吊り下げられていることに気づいた。

「うわっ!!

 なになになに?

 なんで、

 どうして、

 こうなったのっ」

何やら強力な糸で拘束され

宙ぶらりんの姿のまま隼人は混乱しかけたところで、

「あ。

 やっと気がついたんだ。

 この寝ボスケ!」

と圭子の声が響いた。

「なに!?」

圭子の声のした方を向くと

そこには圭子が寸分たがわぬ格好で吊り下げられていた。

「よっ、圭子、

 無事だったか。

 助けにきてやったぞ」

と圭子を気遣ってか隼人はそう言うが、

だが、圭子はクスリとも笑わなかった。

そして、

「笑えないわよ、

 その冗談。

 助けにきて捕まったんなら笑ってあげてもよかったけど、

 実際は逆じゃない。

 全然、おかしくない」

「ご、ゴメン」

圭子からの冷たい返事に隼人の表情が曇ってしまうと、

それを見た圭子は少し表情を緩めつつ再び真剣な顔になると、

「それよりもさ、

 あっち見てよ」

と声を上げた。

「え?」

圭子が顔で示したほうを隼人が向くと、

なにやら網状のものが張り巡らしてあり、

その所々に繭状のものが張り付いていた。

その数は見えるところだけでも数百の収まらず、

一体全体でどれ程のものがあるか見当も付かない。

「何だ?

 あれ」

「さ、さあ。

 わかんない」

それを見た隼人の呟きに圭子が返す。

そのとき、

『なら、私が教えてあげましょうか』

と言う声がしたかと思うと、

ワシャワシャ

不気味な音共に目の前に巨大な物体が姿を現した。

「うわっ

 なんだこいつ!」

それを見た隼人が声を上げると、

ゆっくりとその物体は近づいてくる。

よく見ると、物体はクモのようなシルエットを持っていた。

ただし、普通のクモではない。

顔だけは、女性の顔をしており、

脚も前4本は人の腕と同じ姿だが、

後ろ4本は不気味な光沢を放つクモの脚で、

これら8本の手・脚で体を支えているらしい。

しかも、全長が5mは有りそうな大きさでは、

ただのクモというには無理がありすぎる。

『あれはね、ゆりかごよ。

 中には人が入っているのよ』

隼人たちに向かってクモ女はそういうと、

何処からか白いロープで括られた男性を取り出した。

そして、

『これをね、

 餌として私の子供と一緒に繭に入れとくの』

と言いながら、

他の先から細かい糸状のものを噴出し瞬く間に覆ってゆく。

そして、ラグビーボールほどの大きさのものを繭に埋め込むと、

『こうしておいておけば、

 10日もすると子供が生まれるのよ』

繭と貸した男性をクモ女の小型版みたいな奴が現れると、

それを抱えて網まで持っていき貼り付けた。

「すばらしいじゃない、

 これだけの子供がいっせいに孵るのよ」

クモ女は網の方を振り返りうっとりとした声で言う。

「御覧なさい。

 前に産んだ子供の最後の一人がいま誕生するわ。

 ほおら」

と、目の前に出されたのは

動かないようにロープで縛られたゴーストバグの戦闘員。

胸のところに、

先ほど繭に埋め込んだラグビーボールほどの大きさの卵があるが、

半分ほど胸にめり込んでいて、

鼓動を打つかのように明滅している。

そして、その明滅が早くなったかと思った途端、

わき腹の辺りから戒めを破って、

クモの脚が中から突き出し、

それと同時に縛られた脚がはじけ飛ぶと、

中から別のクモの脚がのぞく。

さらに肩口から生えてきた手が、

つるされていたロープをつかみの残りの手で

わずかに残された戒めを取り払うと、

お尻の辺りが膨らんで、

クモ女の小型版と同じ姿となるとロープを上り、

他の仲間たちと混じってしまった。

「うふふふふ。

 かわいい子でしょう。

 あと10日であの繭も全部同じように子供の変わるの。

 すばらしいと思わない」

振り向いたクモ女の顔は自らの言葉に陶酔しきっていた。

「こんなにたくさんの人を…いつの間に」

衝撃の光景を悲鳴を上げずに圭子がつぶやきを漏らすと、

『うふっ、

 うふふっ、

 うふふふふふふふふ。

 こんなにたくさん?

 いつの間に?

 あは!

 今までの人たちがお馬鹿さんだったの。

 気づかれないようにって、

 少しづつさらったって、

 年単位で時間を空けなきゃ

 必ずばれちゃうものなにね。

 それよりも短時間で大量にさらったほうが

 確かに派手で目立つけど、

 気付かれたときにはもう手遅れなのよ』

「なるほど、

 俺たちも繭に入れて子供に変えるわけか」

含み笑いをするクモ女に向かって隼人はそう指摘すると、

『あら?

 あなた達は違うわよ。

 せっかくウサギちゃんたちを釣り上げる餌が手に入ったんだもの。

 餌として有効に活用させてもらうわ』

とクモ女は返答した。

「ウサギって、

 もしかして……」

それを聞いた圭子が恐る恐る尋ねると、

『決まっているでしょう、

 バニーエンジェルのことよ、

 知らないわけ無いでしょう』

「餌になる……かなー。

 だめなような気がするなー」

そのクモ女の返事に隼人は何か含んだような口調でいうと、

「そ、そうよねー。

 わ、私達がバニーエンジェルをおびき出す餌だなんてねー。

 そんなこと、あるわけ無いじゃないねー」

圭子も慌てた様子で同意する。

「そうだよ、無理無理」

クモ女はその様子をさめた目で見つめると、

『なんか、うるさい。

 ていうか、うざい』

そう言いながら二人に近づいてくる。

そして、

『人間てダメね。

 二つになるとすぐうるさくなるんだから。

 餌は一つで十分だから、

 残りはゆりかごにいれちゃいましょう』

と言うなり圭子をつかみあげた。

『こっちがゆりかご行きね』

「は、隼人」

圭子が叫ぶ。

「馬鹿やろう、

 圭子をはなせ」

しかし、その叫びも意に介せず、

クモ女は圭子を持ったまま網のほうに向かってゆく。

「くそー。

 肝心なときに変身できないじゃないかよ」

隼人は暴れまわるが

そのくらいでは戒めからは抜け出せそうに無い、

だが、何かに気が付いたのかその動きをやめると、

「ラビ!

 ラビ何処だ!

 いるんだろう」

と声を張り上げた。

すると、

『なに

 呼ぶんなら早くして

 このまま出番が無いかと思ったじゃない』

とラビの声が響くと、

ヒョン!

隼人の頭の上にラビが舞い降りた。

「悪かったよ。

 それより、あの”簡易型性なんとか”ってやつ。

 予備は有るのか」

『”簡易型性転換システム・かえるくん”のこと

 あるわよ

 なに、無くしたの?

 結構高いんだから大事にしてね』

「あるよ。

 って言うか、

 この非常時に寝言を言うんじゃねぇ!

 いま取り出せないから、

 ”あるか”って聞いてるんじゃないか」

と緊急時にもかかわらず、

いつものペースのラビに向かって怒鳴り声をあげた。

『もぅ煩いわねぇ、

 じゃあ

 はい』

そんな隼人を鬱陶しく見ながらラビは何処から取り出したのか

カチューシャを隼人の頭にはめる。

「サンキュウ」

この時ばかりはいつも不快に感じていた女の子への変身が

こんなに喜ばしく感じるとは思ってもみなかった。

シュパァァ!!

カチューシャの力によって隼人の身体が女の子へ変身すると、

一回り小さくなった体は楽々と戒めから抜け落ち、

真下へと落ちていくが、

だが、落下しながら

(もちろん、スカートがめくれないように抑えながら)

隼人は真っ赤なチョーカーを首に当てると、

「チェーンジ・バニー!!」

と(少し高くなった)声を上げ

それと同時にチョーカーが炎を放ち隼人の体を包み込んだ。

そして、炎の固まりは着地したかと思うと

クモ女に向かって大きく跳躍をする。

炎の固まりから姿を現したバニーレッドは大きな声で叫んだ。

「レッド・ウィップ」

バニーレッドはクモ女に対して一撃を加えた。

「ぐわぁぁぁぁっ!」

クモ女の絶叫が洞窟に響く。

「その娘を返せ。

 そして皆を解放しろ。

 そしてそのままゴーストバグの本部に帰れ。

 大人しく言うことを聞いてくれれば

 これ以上何もしない」

レッドの忠告にもクモ女は耳を貸さずなにか意味不明な事を叫んでいた。

「何よ。

 ウサギ同士、仲良くしちゃって

 私に対して忠告ですって。

 笑わせるわ」

その様子にレッドはもう一度鞭をふるう。

「レッド・ウィップ」

クモ女は再び盛大な悲鳴をあげた。

レッドはその隙に、

鞭を伸ばして繭に覆われそうになっていた圭子を救い出し、

地上へ通じる横穴に飛び込むと、

そのまま地上へと脱出していった。



つづく



この作品はボールさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。