風祭文庫・ヒーロー変身の館






「こちら特務部・特殊部署」



原作・inspire(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-349





沼ノ端高校には校長直々の特命を帯びた

”ぷりきゅあふぁい部”

により学園内の平和が守られていた。

活動内容は非公開ではあるため、

”ぷりきゅあふぁい部”

に関する情報のほとんどはあくまで噂であり、

それらの正当性を確認することは出来ないが、

その後継者になることが

この学園の女生徒達のひそかな憧れとなっていた。

そして近年では

”ぷりきゅあふぁい部”

以外にも学園の平和を守る集団が

生徒たちの間で作られるようになっていた。



「あーあ、

 ぷりきゅあふぁい部、

 入りたいなあ」

校庭のベンチででため息をつく一人の女生徒の姿があった。

この女生徒の名前は黄瀬ひよりといい、

この学校の1年生に弟が居る。

運動や学業などは決して他者よりも劣っているわけではないが、

優秀であるとはいえなかった。

「さぁどうだかねぇ。

 大体、本当にあるのかわからないし、

 仮にあったとしても成績優秀じゃなきゃ入れないのよ」

と別の女生徒が突っ込みを入れる。

「でも、あの部に入ったら、

 学園の平和を守るために活躍するヒロインに…

 そう、太陽マンのように、

 とぅ!」

ひよりは自分の能力よりも、

そのようなイメージにこだわっているようだ。

「まったく、

 あんたのヒーロー・オタクは今に始まったことじゃないけど、

 そういえば、

 この間並んで買ったロボッターの超合金のオモチャはどうしたの」

彼女の友人である女生徒は半ばあきれたような顔をしていた。

しばらくして昼休みも終わろうとしていた。

二人は違うクラスであり、

また次の授業の教室も異なるため、

二人は別々に歩いていた。

「はああ、あたしの能力じゃ、

 ヒーローなんて駄目なのかな?」

ひよりはやはり昼休みのことを気にしているようだ。

ぷりきゅあふぁい部はなろうと思ってなれるものではない、

そのためには優秀な能力が求められる、

だからあきらめるしかない。

そう自分に言い聞かせていた。



『その願いは君の人生を賭することと等価値ですかな?』

その声がひよりの頭に響くと

「誰?」

ひよりは立ち止まり周囲を見る、

そして、

「良くわからないけど、

 でも、ヒーローになれるのなら…

 あたしは…構わないわ」

とひよりは声を張り上げると、

『君の決意は運命を凌駕しました。

 さか、彼女と共に行くがいいです』

再び声が響くと、

ひよりの前に一人の背の高い女性が立っていて、

「あなた、

 ヒーローになりたいんですの?」

とたずねてきた。

「あ…あなたは確か…南野先輩?」

ひよりの前に立っていたのは南野あずさ。

沼ノ端高校に通う女生徒であり、

スィーツ部に所属している、

美人でプロポーションもよく、

さらには成績優秀で男子生徒からも人気はあるのだが、

なぜかぷりきゅあふぁい部には選ばれていないのだ。

「実は私もヒーローというか、

 それに近い活動をしていまして、

 パートナーがほしいと思っていたところですの」

あずさはにっこりとしながら答える。

「え…こんな私でもいいんですか?」

ひよりはうれしそうに答えた。

「授業が始まってしまいますからね、

 今日の放課後、

 プールの倉庫に来てください」

「わかりました」

ひよりはうれしそうに答えた。

そして放課後。

約束された場所に来たひよりだった。

だが、ここは所詮プールの倉庫。

無愛想な用具以外には何もおかれていない。

「本当にここなのかなあ?」

不安に思ったひよりは倉庫から立ち去ろうとしたとき、

大きな音とともに、床に穴が開くと。

その中から巨大な男が現れた。

「爪弾くはたおやかな調べ、

 学校に事件が起きた時、

 海パン一つですべて解決!!」

男は大きな声を上げていた。

角刈りで眉は太く、

明らかに男くさい顔、

気持ち悪いぐらい隆起した全身の筋肉、

異様なふくらみを見せるビキニ型の黒い競泳パンツ…

「きゃあああああああああ」

それを見たひよりは大きな声で叫んだ。

「叫ぶことはないわ。

 あたしよ。

 あずさよ」

そういいながら男は顔に手をかける。

そして、男くさい覆面の下から美少女の顔をのぞかせたのであった。

しかも、よく見ると海パンには「あずさ」と名前が書いてある。

「ええええええええ」

首から上は美少女、

首から下はムキムキ男というのギャップは萌えざるを得ないのだが、

それよりもひよりは驚きのほうが隠せないようだ。

「先輩…なんでそんな格好に…」

「美人で頭もいいからってあたしは調子に乗っていたの。

 でも、それを罰するかのように

 ほかの生徒たちはあたしの首から下をこんなにしたわ。

 だけど、学校のために体を張って戦ったことがあって、

 学校のために活躍することを条件に女性の体に戻れる皮をもらったの」

あずさは半分うれしそうに身の上話を語った。

「それに、海パン1枚のほうがすごく動けるし、

 悪いやつとも腹を割って話しやすいのよ」

「そ…そうなんですか?」

ひよりは半分冷や汗をかいている。

「そうそう、ひよりさん。

 あなたも服を脱いだほうがいいわ。

 服を脱いだら、ここにある液体を飲んで」

「へ?」

「いいから飲みなさい」

「いやでも」

「わたしの頼みを聞けないの?」

あずさに迫られたひよりは仕方が無く服を脱ぎ、

白い液体を飲み干してみせる。

すると、

「きゃあああああああああああ」

ひよりの体が熱くなり、

高鳴る鼓動を感じるようになると、

ひよりの人並みにもあった胸や尻は平らになり、

代わりに全身を筋肉が多い尽くしてゆく、

そして股間には巨大なペニスが生えると、

精巣も飛び出してしまった。

ひよりの首から下はあずさと同じような

筋肉ムキムキ男になってしまったのであった。

「さあ、ここにある私とおそろいの海パンをはいて。

 それに、尻を引き締めなさい」

「こうですか?」

言われるままひよりは尻に力を入れる。

「そうよ。

 活動するときはこれにきをつけておきなさい。

 あっ、もうこんな時間ね」

あずさは時計にふと目をやるとそう呟く、



「きゃああああ」

その途端、ひよりは大声を上げた。

なぜなら、あずさはひよりの目の前でパンツの中に手を入れたのだ。

だが、パンツの中から取り出したのは数本のバナナだった。

「なに驚いているのおやつの時間よ。

 結構ハードな仕事多いから。

 あなたもどう」

「いえ、結構です」

「そういわないで、

 それなら

 お茶とケーキも出しましょうか」

「それってもしかして…」

ひよりは断ろうと思ったが、

それを断った場合に次に見せられるものを想像した途端、

「いっいただきます」

差し出されたバナナをもらうことにした。

「どう?

 美味しいかしら?」

あずさはひよりにたずねる。

首から上が美少女のマッチョ男が二人並んでバナナを食べる。

こんな異様な光景はめったにお目にかかれない。

「…は…はい…」

ひよりは顔を赤らめていた。

「無理もないわね、

 そのうちこの体の快感がわかるわ」

あずさはにっこりと笑っていた。

そのとき、どこからともなく電話の着信音が響いた。

「あたしの電話よ」

そういうとあずさはふたたびパンツの中に手をいれ、

いかにも女の子が持ちそうな趣味の携帯を取り出して見せる。

「もしもし?

 あら、九兵衛。

 え?、グラウンドになぞの怪物が出現?

 現れたわね。

 わかったわ、すぐに行くわ」

「ひよりさん、出動よ。

 早くその覆面をかぶって」

ひよりに渡されたのは男くさい顔の覆面だった。

そして、あずさは男くさい顔の覆面をかぶり、

急いで倉庫から飛び出していく。



さて場面は変わってここは学園のグラウンド。

異様な妖気を放ちながらなぞの男が出現すると、

『ふむっ、

 妖気に導かれて来てみたが、

 なるほど、ここは素晴らしいところだ』

頷きながら呟き、

『わが主・嵯狐津姫さまに献上するのに相応しいところだ』

と言う。

すると、

「ちょっとぉ、

 すぐにそこから出てください」

そんな彼に向かって園芸部の部長が注意をする。

『なんだと?』

「あのねっ、

 どこのどなたなのか知りませんが、

 勝手に花壇の中に入らないでください」

凄む男に負けじと園芸部長は

彼が自分たちが整備している花壇に入っていることを指摘する。

『ふんっ、

 人間の分際で…』

プライドが傷つけられたのか、

男は苦虫をつぶしたような表情をすると、

『スイッチオーバー!』

そう声を張り上げると、

ブンッ

変身を解きその本性を現した。

そして、一冊の本を取り出すと、

『世界よっ、

 最悪の結末・バッドエンドに染まれ!

 白紙の未来を黒く塗りつぶすのだ!』

と声を上げると、

ベチャッ

広げた本の白紙ページを黒絵の具で塗りつぶしてみせる。

その途端。

その場に居合わせて生徒達はみな鬱状態になってしまったのだ。

『あはは、

 人間共が発したバッドエナジーが、

 わが主・嵯狐津姫さまを癒しとなるのだ』

エナジーを奪われ生徒達が元気をなくしている中、

謎の男は本を掲げ声を張り上げていると、

「お待ちなさいっ!」

の声と共に2人のムキムキ男が二人飛び出してきた。

『何だお前達は、

 嵯狐津姫さま配下、

 暗黒組織アンギーナの幹部・スッマー様に逆らう気か』

グラウンドに現れたのはぷりきゅあふぁい部が

相手にしていたのとは違う組織の怪人らしい。

「なにごちゃごちゃ言っているの、

 あたし達が相手よ」

『ほお、

 ならば俺を止めて見せろ、

 この白っ鼻で相手をしてやる。

 さぁ、この学園をアンギーナの支配下にするのだ。

 いでよ、怪人エンボルス!』

スッマーは手にした白いボールの様なもを掲げると、

どくんっ!

そばに置いてあった削岩機に魂が宿り、

『ぬぉぉぉぉぉ!』

怪人エンボルスとなって

沼ノ端高校の木や花壇を攻撃するためドリルを振りかざした。



『おらー、木を刈ってやる。

 殺風景にしてやるー

 やれ、エンボス!』

スッマーの指示通りにエンボルスは学園内を暴れまわる。

「そんなぁ」

「くっ…このままでは…」

「あぁ私たちの校庭が…

 私たちの花壇が…」

欝になりながらもそれを見た園芸部員達が嘆くと、

「あきらめないで」

その園芸部員たちに

スッマーと対峙する二人が声を張り上げる。

「ああ、特殊部署の方…

 来てくださっていたのですね」

「ちょっと…なんですか?

 あの筋肉ムキムキ変態男二人は?」

その質問に園芸部の部長は答えた。

「あら、あなたご存じないの?

 あの人は最近増設された特殊部署の方よ。

 学園の平和を守るヒーローというので、

 この方たち抜きには語れないわ」

そう、沼ノ端高校ではヱターナル以外にもさまざまな事件…

超常現象や例にかかわる事案、

さらには世俗的な窃盗や盗撮事件といったものまで

あらゆる事件に巻き込まれやすいのだ。

そのため校長直下のぷりきゅあふぁい部以外にも、

ヒーロー的な機関が作られるようになっていたのである。

今回の特殊部署もその1つである。



あずさはエンボルスの前に来るといきなりパンツを脱いで見せると、

怪物のような巨大なイチモツが顔を出す。

『うごぉ』

その巨大にエンボルスは圧倒されてしまうと、

「(ふっ、この戦い、勝った)」

あずさは勝利を確信し、

さらに、

「ほら、このように俺は無防備だぜ。

 腹を割って話さないか…」

股間のイチモツをユラユラと揺らせながら一歩ずつ歩み寄る。

すると、

『何をしているっ

 チンコがデカイからって気押されるんじゃねっ』

それを見たスッマーがいらだつように声を上げると、

『うごっ!』

エンボルスは頷き、

腕のドリルを大きく振り上げた。

すると、

「あなたはドリルの使い方を間違えているっ、

 男のドリルは振り下ろすのではなくて、

 突き上げるのです」

と怒鳴ると、

グンッ!

股間のイチモツが勢い良く勃ち上がり

黒く輝きながら太さと硬さを増していく。

そして、

「うぉぉぉぉぉぉ!」

雄叫びと共にそれを激しく扱くと、

ビクッ

「でるっ」

あずさの股間にあるものが装てんされると、

「うぉっ」

ズドンッ!

掛け声と共にイチモツから白い弾丸・精弾が発射され、

エンボルスの腕を直撃する。

『うごわぁぁぁ』

弾丸に腕を撃ち抜かれたエンボルスは腕を庇うが、

ズンッ!

体から外れてしまったドリルは地面に落ちてしまったのだ。

『なんだとぉ!』

攻撃のための装備を失ったエンボルスを見て、

スッマーは驚きの声を上げると、

「ふんっ!」

ドォン

ドォン

ドォン

あずさはイチモツから次弾、次々弾と次々と放ち、

エンボルスの自由を奪っていく、

そして、

『うごぉぉぉ!』

手足を失ってしまったエンボルスが地面に倒れてしまうと、

「とぉぉぉぉ!!」

あずさは高々と飛び上がり、

シュシュシュ

上空でイチモツをしごき始めた。

すると、

ムクムクムク!

扱かれるイチモツはあずさの体以上に巨大化し、

その鈴口の照準を地面でもがくエンボルスに合わせる。

そして、

「てぃろ、ふぃなぁぁぁれえぇぇ」

掛け声と共に、

ズバァァァァァァァ!!

エンボルスに向けて特大の精弾を撃つと、

『うがぁぁぁぁ!』

直撃されたエンボルスはイカ臭い臭いを漂わせながら、

シュワァァァァァ

元の削岩機へと姿を戻し、

園芸部の平和はこうして守られたのであった。

『ふん!

 次はないものと思え!』

形勢が不利となったことを悟ったスッマーは

いち早く退散していくと、

「あたしの存在意義ってあるのかしら…」

ひとり、状況に置いていかれていたひよりは

そう呟きながらこの様子を見ているだけだった。



その日、部室に戻り覆面を脱いだあずさとひよりだったが、

「どう?

 ひよりさん?

 なれたかしら?」

美味しそうにバナナをほおばるあずさの横で、

まだ信じられないような顔をしているひよりだった。

「いいえ…まだ…何がなんだか?」

「そう?

 慣れてきたらあなたもやってもらうわね」

「え…?」

ひよりはさらにドキッとしていた。

「それより…あなたの体見てたら、

 勃ってきちゃった。

 うふふふ…ねぇあたしとやらない?」

その言葉にひよりが驚くと、

今日の戦闘のときに見せた巨大なイチモツが大きくなっていく、

「大丈夫よ、痛くはしないわ。

 て言うよりもあなたのお尻の穴は十分広がるから大丈夫。

 さぁ、受け入れなさい」

「そんなの

 そんなの

 そんなのダメェ

 あっ

 あーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

イチモツに肛門を貫かれた少女の悲鳴が部室に響きわたると、

その外では

「きゅっぷぃ、

 やれやれ、

 ボクの存在などすっかりと忘れているみたいですな」

と業屋九兵衛はぼやいてみせたのであった。



おわり