風祭文庫・ヒーロー変身の館






「魔法少?・マイティーテリー」



原作・カギヤッコ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-151





ある所に魔法少女に憧れる一人の少女がいた。

そして、その願いは聞き届けられた…。

「望、またそんなの買ってるの?」

「きゃっ!」

放課後、とあるコンビニの食玩売り場で

「魔法少女コレクション」の箱を手に取っていた宮島望は

背後からの声に思わず体を振るわせる。

「明菜…おどかさないでよ〜」

振り向いた視線の先にいた上坂明菜の笑顔に安堵半分、

しかし、わずかながらの怒り半分の顔を向ける。

「…でも、やっぱりあんたの夢って変わらないんだね。

 『魔法少女になりたい』って。
 
 この年で…って言うよりも今時お子ちゃまでもそんな事言わないよ」

コンビニを出たあと、

そう言いながらカバンを手にくるりと一回転させる明菜を

望は見つめながらそっと、「わかっているわよ」とつぶやく。

「魔法少女と言っても、

 魔法の力だけで何でもできるなんて思っていないし、
 
 むしろ「魔法に頼らないで云々」とか言う事が多いでしょ?
 
 でも、やっぱりそう言う“気持ち”が“魔法”なのかな、
 
 って思うの。だからわたしは…」

「はいはい。絵本作家志望の上、

 時々ボランティアで色々な施設の手伝いに行ったりと、
 
 間接的な意味で「魔法少女」になろうとしているんでしょ?
 
 まったくあんた、人間できすぎてるわよ」

やれやれ、と言う感じでカバンを持った手を後頭部に回してため息をつく明菜。

「でも、魔法少女たって余り人の世話ばかり焼いてばかりだと、

 そのうち心の闇を突かれて「悪い魔法少女」にされちゃうわよ〜」

望は親友の軽いツッコミに対して少しムッとなりながらも、

「大丈夫だって。

 だからこうして明菜とおしゃべりしてるんじゃない。
 
 言いたい事言い合って、
 
 色々な思いをぶつけて、
 
 そして、そんな気持ちをいい方に持っていく。
 
 それでこそわたしが大好きだった「魔法少女」だと思うな」

と返す。

その言葉に明菜もため息をつきながらも笑みを返すと、

「あんた達、甘すぎるわ」

と高めの声をワザとドスを効かせた声が響いた。

「ひっ!」

「きゃっ!」

二人がおののいた先には長めの髪を三つ編みにし、

黒いフレームの眼鏡をかけた少女が立っていた。

「長河さん…」

「なんだ、久美か…」

二人は驚きながらも今ひとつクラスで目立たない分類に当たる級友の名を呼ぶ。

「魔法少女になりたいだなんて言ったって、

 今時そんな夢みたいな事を言うものじゃないわ。
 
 魔法なんてもの、手にしたら最後迫害されるか見せ物にされるか。
 
 いかに理解的な環境の元良心的に使おうとしても
 
 結局は人間の愚かさに失望して自滅するのがオチよ」

二人の夢想に釘を刺そうとしているのか、

はたまたただ一人グチをこぼしているのか。

久美は延々と毒舌を吐き続ける。

「魔法少女なんて夢みたいな事を言っている暇があったら

 一流大学でも出てキャリアを目指すか、
 
 どこかの銀行の横領帳簿を手に入れて
 
 それを元手にドカンと「夜の女王」でも目指した方がよほどマシよ!
 
 あんた達、わかってるの?」

そう言って顔を上げた時、

望と明菜は知らぬ顔で―

と言うより明菜がムリヤリ望を引っ張る形で―

はるか遠くに足を運んでいた。

「あ、あんた達…」

無視された怒りで肩を振るわせる久美。

しかし、その怒りをどこかにぶつける事無くそのまま自宅に帰る。

「ただいま…」

両親が共に働きに出ているのでまだ無人の家に戻るとドスドスと自室に入る。

ガサガサッ。

夕闇の中、カバンを置いたあと、彼女の足はクローゼットに向かう。

バッ、ガサガサ…。

伊達眼鏡を外し、制服を脱ぎ捨てると、

クローゼットの奥にあった“私服”を手に取りおもむろに身に付け、

ヘアウィッグをかぶる。

そして、

カチッ。

部屋のスイッチ、そして彼女自身の“スイッチ”を入れる。

「ヤッホー♪

 キュートでラブリーな萌え萌え魔女っ子・モエピーチャミ・さっんじょ〜(はぁと)」

自作のフリフリ衣装に身を包み、

これまた自作の怪しげなステッキを手にポーズを取る久美。

そして、そのまま机の上のパソコンを立ち上げ、

自作のホームページを立ち上げる。

その画面には、

「モエピーチャミの萌え萌え魔法ワ〜ルド」

とファンシー度全開のロゴが記されたもろ少女趣味全開のトップ画像が映し出されていた。

よく見ると、部屋の戸棚には「魔法少女コレクション」の全シリーズが並んでいる。

もちろんシークレットも漏らす事無く揃えている。

そんな中、

「はぁ〜い、みんな元気〜?

 チャミは今日も元気で〜す♪
 
 今日もみんなにステキな魔法をかけちゃおうっかな〜」

とノリノリで久美はチャットと日記の更新を打ち込む。

一見地味な現実主義者、

その実は完全妄想気味の隠れ魔法少女オタクのネットアイドル、

それが長川久美と言う女だった…。



熱狂的ファン達との愉悦に満ちたチャットタイムに一区切りをつけた久美は

一度普通の私服に着替えると近くのコンビニに足を運ぼうとしていた。

「あ〜あ、

 魔女っ子キャラのネットアイドルと言うのも良いけど、

 やっぱなるなら本物の魔法少女よね〜」

そう言いながら思わず魔法をかける仕草を取った所で我に返ると

慌てながら回りを見渡す。

幸い誰もいない。

「…誰にも見られていないわね

 …魔法少女は極秘が肝心…」

内心つぶやきながら歩を進める。

そんな時、

チー…ザザザ…

曲がり角に出くわした所で怪しげな音が耳に入る。

「なっ?」

思わず角に身を隠し、角の向こうに目を向ける。

その先では、怪しげな音と共に何やら奇妙な光が集まり始める。

そして、

ピカッ!

ドスン!

『イテテテテ…』

閃光と共に何かが地面に落ちた。

「む、ムササビ…」

久美の目が大きく開く。

『…いやはや、参った、参った…

 ってこうしちゃいられないや。
 
 さっそく適応者を探さなきゃ…。』

ムササビはそうつぶやくと引力に逆らうかのように夜空に飛んで行った。

「…き、来た、

 来た来た来たーっ!」

久美はその背中を見つめるように全身を震わせ、

顔を興奮させていた。

「瞬間移動的な実体化、しゃべるムササビ、

 そして「適格者」…間違い無い、
 
 あれこそ魔法少女のパートナー小動物よ!」

その目は爛々と見開き、鼻からは大きく息が漏れる。

「あのムササビをゲットすればわたしも晴れて魔法少女!

 夢にまで見た本物の魔法少女よーっ!」

そう叫ぶや久美は勢い勇んで駆け出して行った。

何事かと外に出た近所の人々の冷たい視線に気づく事無く…。



「…え?」

コンビニで買いそびれの文具を買う帰りだった望の目に白い物体が入った。

暗がりの中、灯りに照らされたそれは息苦しそうに体を振るわせている。

「だ、大丈夫?」

反射的にその白い物体の元に走ろうとする望。そこへ、

「おっと、ここはわたしに任せて」

ひょいとその白い物体をつまみ上げる人影がいた。

「長川さん、どうしたの?」

意外な出会いに目を見開く望。

「い、いや、偶然偶然。

 それよりも、わたしの行きつけの獣医さんがあるから
 
 この子はそこで見てもらう事にするわ。
 
 大丈夫、わたし一人で十分だから」

望に一言も言わせぬまま久美は物体を抱きかかえると

猛然とした勢いで走り去って行った。

“きょうび魔法少女もその名を得る為に騙し合い潰し合う時代。

宮島みたいなお人よしが魔法少女になってたまりますかって。”

逆に“適性”を疑われそうなセリフを心の中でつぶやきながら

久美はひたすら家路を急いだ。

バタン。

自室に戻るや久美は白い物体―先程のムササビをベッドに置くと、

目を見開かせながらそれを見つめる。

『う、うう…。』

「気がついたのねー?」

うっすらと目を開いたムササビに対し、

久美は半分棒読みなセリフをぶつける。

「よかったー、元気そうで…

 と言う訳でお礼に魔法少女にしてちょうだい。わかっているのよ、
 
 あなたが人語を話せるムササビだって事…」

いきなり露骨なセリフを言った所でムササビの目が凍りつく。

「な、なによ、わたしがあなたを助けたのよ。

 わたしには魔法少女になる権利があるわ」

それに対し、ムササビはフウッと息をつくと、

『あのなぁ、魔法少女になるったって色々相性と言うものがあるんだよ。

 そうでないと魔法を使えないどころか
 
 メチャクチャな事になるってのがわからねーのか?』

とケンカごしに言い放つ。久美も負けじと、

「だからあの子を選んだって言うの…

 いいわよいいわよ、わたしにはねぇ、
 
 あの子には無い意志の強さがあるわ!
 
 適性不良の一つや二つ、度胸で乗り越えてやる!」

と胸を張る。

「さぁ、早くアイテムを頂戴な。さもないと…」

そのままムササビの首をしめる。

『ぐ、ぐえっ、苦しい…。』

強烈に首をしめられ悶絶するムササビ。

コトン。

遂にムササビの毛皮の中から小さな杖が転がり落ちる。

バッ!

その音が耳に入った瞬間、

久美は反射的にムササビを放し、

杖を拾った。

『ぐぐぐ…そ、それは…。』

「これが魔法のステッキ…これでわたしも魔法少女よ…」

舌なめずりならぬ目なめずりしながら杖を見回す久美。

そして…。

「魔法の杖よ、わたしに魔法の力を授けたまえ!」

と高らかに杖を掲げる。

キラッ!パアァァァァァ…。

次の瞬間、杖から伸びた光が久美とムササビを包み、繭を形成する。

「ふうん、ここまでは定番通りね」

繭の中、一糸まとわぬ姿になった事に驚きもせず

むしろパターン通りと納得する久美。

「ねえ、この後はどうするの?」

ムササビに向かってそう尋ねようとした瞬間、

ヒュッ、バシン!

「きゃっ!」

突然ムササビが背中から久美の顔面にぶつかってくる。

グニュ、グニュ、グニュ…。

ムササビは久美の顔を被うように変形し、

ついには彼女の頭をすっぽり被ってしまう。

「な、何、何なの?」

慌てながらも必死でムササビを引き剥がそうとする久美。

その時、

パァァァァ…。

「あっ…」

体中を何かが駆け抜ける。

「もしかして、これが…魔法の力…」

全身を駆け抜ける力に思わず恍惚となる。

ビクン!

「あっ!」

全身が大きく震える。

そして、彼女の体に蓄積された魔法エネルギーが一気に弾ける。

「く、来る…魔法の力…これでわたしも…魔法…少女に…」

全身に力がみなぎる感覚に酔いながら彼女の意識は薄れて行く。

ピクピクッ!

キュルン!

ググググ…。

それと同時に彼女の体は少しずつ変形を始める。

少し広めの肩幅が軽く震えると

その回りの筋肉が一回りも二周りも大きくなり、

それを支えるかのように肩幅が広く、

たくましくなる。

細めの両手足首が大きめに膨れ上がると同時に長く、

たくましい形に伸びて行く。

柔らかめの腹筋も軽く震えながら筋肉に覆われると、

たくましい腹筋を描く。

年の割には大きめの乳房もまるで筋肉に包まれるように姿を消してゆき、

その後にはたくましい胸板が刻まれる。

「うう…ああ…ああ…」

久美の体は怪しげな覆面を被った怪しげなボディビル男になっていた。

しかし、全身を包む魔法エネルギーにより久美はただ激しい高揚感しか感じていなかった。

「うあっ!」

そして、その高揚がピークに達した瞬間、久美の全身を黒いものが被う。

それはあたかもラバースーツの様であった。

「いやっ!」

思わず背をそらす。

同時に両胸からへそにかけて、

虹色のラインがちょうどVサインを描くように彩られる。

ブァサッ!

そして、その背中からはラメ入りのマントが現れる。

それをひるがえした瞬間、

光の繭が消え、久美は外に出た。

「ふぅ…」

久美…だったものは大きく息を吐く。

変身にともなう興奮は醒め切ってはいないが、

それでも多少は落ち着きつつある。

ふと自分の姿を見ようとしたその時、誰かが呼んでいる様な気配がした。

「誰かが呼んでいる…魔法少女を呼ぶ声が!」

久美はマントをひるがえしてその場からかき消えた。



「よう姉ちゃん、おれ達と遊ぼうぜぇ」

「悪い様にはしないからさぁ」

どう考えても悪い様にしようとしているとしか見えない連中が

バイクに乗りながら一人の少女を取り囲んでいる。

「すみませんけど、わたし、急いでいるんです。

 あなた達と遊んでいる暇はありません!」

そう気丈に返しているのは望である。

たった一人で怪しい連中に囲まれながらも

凛とした姿を保とうとしているのは彼女の信念ゆえだろうか。

しかし、その態度は逆に男達の感情をあおる。

「ならおれ達が手伝ってやるよ。それから遊ぼうぜ」

そう言いながらリーダー格が望の顔をなでようとする。

パシン。

乾いた音が響く。

渾身の力を込めて望がリーダー格の手をひっぱたいたのだ。

「て、てめえ…おとなしくしてりゃいい気になりやがって…」

痛い目を見せてやるとばかりに声を上げようとした瞬間、

ビューッ!

突風が吹いた。

「きゃっ!」

「な、なんだなんだ?」

望も、男達も思わず顔を被う。

そして、風が止んだ時、そこには一人の超人が立っていた。

口元以外は頭全体を被った黒いマスク。

黒地に虹色のVサインの入ったマッチョなボディスーツ。

そして、ラメ入り極彩色のマント。

呆然とする一同の前で超人はポーズを取る。

「萌え萌え魔女っ子・モエピーチャミ・さんじょ〜(はぁと)」

ビシッ!

本人は可愛らしいポーズを取ったつもりだが、

その声はしぶい男声、

その姿はファイティングポーズそのものだった。

「たった一人のか弱い女の子を

 よってたかっていじめちゃうなんてひどい事する人は…え〜い!」

手をかざし、魔法の力を発動させる。

次の瞬間、突風が男達を駆け抜ける。

ヒヒーン!

「わっ、なんだ?」

「どうしてバイクが…馬になるんだよーっ!」

突然暴れ馬になったバイクを押さえられず、

男達はロデオ状態で町中に散らばって行った…。

「あ…あの…」

目の前で起きた事態をさすがに飲み込めず呆然となる望。

そんな彼女の前に静かに歩みよるチャミ。

そして、

「礼には及ばない。あと…」

「あと…?」

思わず首をかしげる望。

「悪いわね。あなたの代わりにわたしが魔法少女にさせてもらったわよ。

 せいぜいわたしの活躍に嫉妬していなさい」

そう言うとチャミはどこからか取り出したハリセンに乗るとそのまま飛び去ってしまった。

「…」

望はしばし呆然としてチャミの消えた方向を見つめるしかできなかった…。



そのあとのチャミの活躍は見事だった。

脱輪事故を起こした車を電車が通過する寸前に救ったり、

火事を起こしたマンションから逃げ遅れた人を助けたり、

さらにはエンジントラブルで住宅街に墜落しかけたヘリコプターを助けたり。

まさに“魔法少女”の本領そのものであった。

愉悦感に浸りながらチャミは自室に姿を表す。

「ふう…一杯活躍しちゃったわね

 …まさに心地よい疲れってやつかしら…」

そして、そんな活躍をした勇姿を堪能する為姿見の前に立つ。

そこで始めて彼女は自分の姿を思い知る事になる。

夢にまで見たフリフリの魔法少女…

とは似ても似つかない趣味の悪すぎるデザインのスーツと

マスクを身に付けたマッチョ怪人の姿を…

「こ、これって…そんな…いやーっ!」

絶叫と共にチャミのスーツがマスクの中に吸い込まれ、

そのあとには呆然とした顔の久美とその頭の上でのんきに眠るムササビの姿があった。

既に帰っていた両親が心配さと不機嫌さをむき出しにしながら

部屋に入ろうとしたのを何とかとどめたあと、

久美はムササビをベッドに叩きつける。

「ちょっと、何なのよあのカッコ!

 わたしは魔法少女になりたいって言ったのよ!
 
 誰もあんな筋肉仮装キャラになりたいなんて言ってない!」

それに対してムササビは呆れたように、

『だから言ったろ?

 適応者以外の人間が力を使うととんでもない事になるって。
 
 そうやって元に戻れただけありがたいと思いな。』

とそ知らぬ顔をする。

『それとな、あの時点でお前とおれの契約は果たされてしまったからな。

 しかもあんたが勝手に契約したんだからクーリングオフはなし。
 
 期限切れまでお前さんはあの姿に変身して活躍しないといけない訳だ。
 
 もっとも、期限がいつかはわからないぜ』

トドメを刺す一言にいきり立つ久美。

「なによ、それ位のサービスしなさいよ…

 ってそうだ、魔法が使えるのなら…」

何か言いかけた久美にムササビは追い討ちをかける。

『変身魔法は使えるけど、

 少なくともあの姿にならないと魔法は使えないぜ。
 
 それ以外では魔法のマの字も出ないって事を覚えておけよ。
 
 それと、おれを死なせた場合、
 
 強制的にあの姿に不可逆変身と言う事も…どうした?』

ムササビの声をよそに久美は呆然としたままパソコンを立ち上げ、

ネットニュースを開く。

“謎の超人現る!

その名は…燃え燃え魔法超人・マイティーテリー!”

「な、な、何よこれ…!」

ネットニュースの写真画像に映し出されるマッチョ怪人、

そして名乗った事もない名前を出され驚きの色を隠せない。

『変身していた間は気づかなかったみたいだけど、

 ゴツイ男の声でムリヤリおかしな名乗りを上げたみたいだから
 
 みんな誤解したんじゃないの?
 
 「モエピーチャミ」よか「マイティーテリー」の方がお似合いだぜ。』

ムササビの嘲笑をあえて無視してさらにニュースを見る。

“マイティーテリー、列車をむりやり車両庫に押し込み―負傷者ゼロ、ただしダイヤに大影響”

“マイティーテリー、火災マンションを水芸タワー化―住民全員救出、ただし周辺数キロ水浸し”

“マイティーテリー、落下ヘリをクモ糸でキャッチ―乗員、付近の住民の被害なし、

 ただし宙吊りのヘリ乗員救出に難航、住宅街もクモ糸害に苦しむ”

“住宅街・商店街を荒れ狂ったロデオ暴走・マイティーテリーと関係か?”

確かに魔法を使って人助けはした。

しかし、どう言う訳か結果として人的こそないが妙な被害をもたらす事になっていた。

『ま、これも副作用だな。

 あきらめて受け入れろや、マイティーテリー?』

そう言いながらどこからか取り出した禁煙パイポをくゆらせるムササビ。

その背後に自作のステッキを強く握り締めた久美が

怒りのオーラをみなぎらせながら迫っていた。



こうして魔法少女に憧れていた一人の少女は見事“魔法超人”としてデビューする事ができた。

しかし、その行く手には数々の障害が立ちはだかる。

負けるな久美、戦えマイティーテリー!

君の未来は…明るいか?



おわり



この作品はカギヤッコさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。