風祭文庫・ヒーロー変身の館






「バニーエンジェル」
−ナメクジ男の誘惑−



作・風祭玲


Vol.370





ザー…

「ふわっ…

 こりゃぁ今日一日雨か…」

空手部の朝稽古を終え、

教室に戻った俺・赤沢隼人は生あくびをしながら雨に煙る外を眺めていると、

「おーすっ」

と言う声と共に八王寺がウキウキしながら教室に飛び込んできた。

「なにそんなに嬉しそうな顔をしているんだよ、

 気味が悪いなぁ」

額に皺を寄せて俺が訳を尋ねると、

「ハハハハハ!!

 なにって?

 ついにチョコ卵でムキムキ・メモリアルをコンプリートしたんだ、

 しかも最後は超レア・アイテムの香織!!
 
 いやぁもぅ天に上る気持ちだよ」

八王寺はそう答えながら自分自身を抱きしめる。

「危ない奴だなぁ…

 ところでそのムキムキメモリアルってなんだ?」

と俺は八王寺に素朴な質問をぶつけると、

「なになに?

 八王寺君ってチョコ卵集めて居るの?

 見せてよ」

と言う声と共に八王寺の横に黄土圭子が立つ。

「なんだ、圭子か?」

鬱陶しそうに俺はそう尋ねると、

「なんだとは、ご挨拶ねぇ」

腰に両手を当てながら圭子はそう文句を言うと睨み付けるようにして俺を見る。

「うるせーな」

挑戦的な圭子の態度に俺が見上げると、

「あぁ、これだよ」

俺達の間を割ってはいるかのようにと八王寺は圭子にそれを見せた。

それは手のひらに収まるほどの小さな女の子の人形だった。

「うわっ本当だ…これって超レアものなんでしょう?

 この間テレビで言っていたよ

 すごいねぇ」

女の子人形を指さしながら圭子はそう感想を言うと、

「うっ」

俺の脳裏にあのダンゴムシ男の部屋に飾られていた無数のフィギアの光景がよみがえってきた。

そして、フィギアを背にして迫ってくるダンゴムシ男の姿が浮かんでくると、

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

突然、俺はそう叫びながら八王寺のが持っている人形を取り上げ、

思いっきり放り投げてしまった。

「わっ何をするんだ!!」

それを見た八王寺は慌てて飛んでいく人形を追いかけて回収に走ると、

そんな彼の背中に向かって、

「八王寺っ

 貴様っ

 まさか、自分の部屋に女の子を監禁しているわけじゃないだろうな!!」

と俺は怒鳴り声をあげたのであった。

「はぁ?

 何を言っているんだ、赤沢?

 俺がそんなことをする訳ないだろうが?」

人形を無事回収した八王寺があきれた口調で聞き返してくると、

「もぅやめなよっ

 今日の隼人はどこかおかしいわよ」

俺の体を押さえるようにして圭子が声を上げた。

「やかましいっ

 俺はそーゆー奴が大っ嫌いなんだ。

 えぇいっ放せ、

 修正してやる!!」

なおも俺がそう怒鳴ると、

パァァァン!!

俺の頬に圭子の平手打ちが決まった。

そして、堰を切るように、

「何に不満があるのか判らないけど

 八王寺君に八つ当たりするのは止めてよねっ

 少し頭を冷やしたらどぅ?」

とまるで鉄砲玉のように俺に向かってそう言うと、

「もしも、隼人が悪いやつに襲われても助けてあげないから」

と言い残すとそのまま自分の席へと向かっていってしまった。

「なんだよっ

 恩着せがましいことを言いやがって」

頬を押させながら俺は一人で文句を言う、



ザー…

夕方になっても雨は降り続いていた。

「で、こんな所にゴーストバグの会員怪人が出るって言うのか?」

放課後、バニーエンジェル・バニーレッドに変身した俺は降りしきる雨の中、

県立公園・植物園の前に来ていた。

『そうよっ

 タラッタがここでゴーストバグの戦闘員を見かけたようよ』

と俺の質問に答えるようにラビが俺達に向かってそう告げた。

「なぁ…タラッタってなんだ?」

「あっそうか、

 タラッタってラビの相棒の白ウサギのことよ、

 なんでも、その昔、鰐を騙して丸裸にされたとか言っていたわね」

隣に立っていたバニーグリーンにラビの口から出てきたタラッタについてたずねると、

そう言う答えが返ってきた。

「大黒様の話か?それ?」

バニーグリーンの説明に俺は思わずそう返事をすると、

ヌト

ヌト

と言う何かが歩くような音が雨の植物園に響き始めた。

それて、それに合わせるように、

『しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん

 しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん

 ぐふふふふふ…
 
 臭うぞ臭うぞ、

 お仲間の匂いが』

という声が周囲に響き渡ってきた。

ザッ

俺達バニーエンジェル達は無言で頷くと、一斉に散り周囲を警戒した。

ヌト

ヌト

足音はゆっくりと近づいてくる。

「近いっ」

俺がそう判断をしたとき、

ガサガサガサ!!

突如、バニーブルーが立つ横の葉が大きく揺れると、

ヌッ

っと巨大なナメクジの化け物が顔を出してきた。

「きゃぁぁぁぁぁ!!」

その光景にバニーエンジェル達が一斉に悲鳴を上げるが、

しかし、それはあくまで一時的な物で

直ぐにシゲシゲと見つめると、

「なっなによぉ〜っ」

「ナメクジ?」

「薄気味悪いわねぇ〜っ」

と口々に言い始めた。

だが、

『初めまして、バニーエンジェルのみなさん。

 あたしはゴーストバグ会員ナンバー181のナメクジ男…いや、女かな?』

ナメクジの化け物はそこまで言うと考え込んでしまった。

すると、考え込むナメクジ男に向かって

「ちょっと、男か女かはっきりしなさいよっ」

とバニーグリーンが怒鳴ると、

チラッ

ナメクジ男はこっちに視線を送りながら、

『はっきりしろって言われてもねぇ…

 だって、あたし、

 男でもあれば女でもあるんですもの』

と囁いた。

「ひょっとして、

 ブンブンってニューハーフを入会させたのかしら」

ナメクジ男のその話を聞いた俺達はそう囁きあうと、

『あら失礼ねぇ…

 いいわっ

 あたしが男でもあり、女でもあることを見せてあ・げ・る』

俺達の話を聞いていたナメクジ男はそう反論をすると、

ヌルリ!!

っと体の左右から腕を伸ばし、

そして、自分の体の正面を左右に分けるように盛り上がっている閉じ口をこじ開け始めた。

グググググ

ナメクジ男のから体がゆっくりと開いていくと、

突如、

グボッ

と言う音共にナメクジ男の頭の下が大きく開き、

その中から俺にとって見慣れた突起物と、

そしてその下には一本の縦の筋が顔を出した。

「ほらっ、

 よくみなさいっ

 これが男の○●○で、これが女の●○●○よ、

 ちゃぁんと、両方ともあるでしょう?』

身体を開いたナメクジ男が一つ一つ指さしながら解説を始めだしたとき、

イエローボンバー!!

突然、バニーイエローの叫び声が響くと、

ビュォォォォォォン!!!

黄色の光弾が地を這うようにナメクジ男へと飛んでくるなり、

ドゴォォン

とアッパーカットを食らわせるかのようにナメクジ男の顎下から突き上げてしまった。

『うげぇぇぇぇ』

左右に体を開いていたナメクジ男は降りしきる雨の中を空高く舞い上がると、

そしてそのまま地面に向かって垂直落下をはじめ、

程なくして、

ベチョッ!!

っとまるでつきたての餅を落としたようにつぶれてしまった。

「不気味なモノを見せるな!!」

ゼハァーゼハァー

そんなナメクジ男に向かって、

肩で息をしながらバニーイエローが怒鳴ると、

『ひっどーぃ!!

 いきなり攻撃をするだなんて卑怯よ!!』

と叫びながら、ナメクジ男がムクリと起きあがった。



「そんな、イエローボンバーをまともに受けたのに」

「丈夫ねぇ」

そんなナメクジ男を見ながらバニーパープルとバニーグリーンが囁きあう中、

「なにをー、また食らいたいかっ!!」

気丈にバニーイエローはそう怒鳴ると再びイエローボンバーの構えをした。

とそのとき、

バニーイエローのを見ていた俺の脳裏に昼間の圭子の姿がだぶった。

「…なんか、圭子の行動パターンに似ているなぁ…」

バニーイエローの姿を見ながら俺がそう思っていると、

「ねぇねぇ…」

とバニーグリーンが俺に声をかけてきた。

「なに?」

バニーグリーンの声に俺が振り向くと、

「今日のイエローちゃん随分と燃えているみたいだけど、

 学校で何かあったの?」

とバニーグリーンが尋ねる。

「学校で?」

「あれ?

 だって、バニーレッドとバニーイエローって同じ学校なんでしょう?

 話か何かしていないの?」

俺の返事にバニーグリーンは意外そうな声で聞き返してくると、

「あっ

 いっいやぁ…
 
 考えてみたら俺…じゃなかった、あたし…

 素ではまだバニーイエローとは話をした事がないのよ」

と俺は頭を掻きながらそう返事をした。

「へぇぇ…そうなの?」

俺の返事にバニーグリーンの口が驚いた形になると、

「うん、

 何かとすれ違いが多くてね…」

とそんな言い訳をする。

すると、

「そうね…

 確かに、バニーイエローとバニーレッドが変身を解いたときって

 必ずどっちかが居なくって一緒にいることはなかったよね」

とバニーパープルが話に割って入ってきた。



その途端、

「ちょっとぉ!!

 あたしが戦っている最中に横でなに話をしているのよっ」

俺達の話が耳に入ったのか、

一方的にナメクジ男を攻撃をしていたバニーイエローが文句を言ってきた。

「あぁごめんごめん」

俺やバニーグリーン・バニーパープルはそう謝りながら戦列に戻ると、

「なに話していたの?」

とバニーブルーが尋ねて来た。

「うん、ちょっとね…」

バニーブルーの質問に俺は曖昧な返事をすると、

「で、あのナメクジ男はどんな状況?」

と戦いの状況を尋ねた。

「うん、イエローちゃんの攻撃がだいぶ利いてきたみたいよっ」

「じゃぁ、さっさと決めちゃってよ、バニーブルー」

弱っている様に見えるナメクジ男を一目見て俺がそう言うと、

「おっけー」

バニーブルーはそう返事をすると、

ザッ

バニーブルーはナメクジ男と十分に間合いを取った位置に立ち、

両手をの親指と人差し指で三角形を作りながら自分の額に当てると、

「バニーフラーッシュッ!!」

っと必殺技の叫び声をあげた。

その途端、

シュパァァァァァァァン!!

バニーブルーの叫び声と同時にバニーブルーの仮面が黄金色に輝くと、

手で作った三角形の中から金色のウサギが飛び出し、

ナメクジ男に向かって駆けだしていった。

「きまったな…」

一直線に向かっていくウサギの光跡を見ながら俺がそう呟いたとき、

『おっと!!』

突如ナメクジ男の上体がゴムのように反り返ると、

その上をウサギが空を切るように通り過ぎてしまった。

「なにっ?!」

「外された!!」

「そんなっ」

予想外の出来事に俺達バニーエンジェルは衝撃を受けた。

『ほほほほほほ…

 いきなり必殺技だなんて、気が早いわよお嬢ちゃん達。

 さぁ今度はこっちの番ね

 ブンブン総帥から頂いたこの体のすごさをとくと見せてあげるわ』

グニッ

体を元に戻したナメクジ男は俺達に向かってそう言うと、

シュッン

その容姿からはとても想像ができないくらいに素早く走り始め、

シュッ!!

っと右腕を長く伸ばし鞭のように撓らせながら俺達を攻撃してきた。

ビシッ

「うわっ」

パシッ

「きゃっ」

『ほーほほほほほ

 どう?
 
 あたしの鞭の味は?』

鞭となった右腕でナメクジ男は間髪入れず俺たちに攻撃を仕掛け続ける。

「くっそう!!

 鞭なら俺も…レッドウィップ!!」

一方的な攻撃に俺は歯を食いしばりながらそう叫んで手首のリストから鞭を飛び出させると、

「うりゃぁぁぁぁ」

と怒鳴りながら鞭をナメクジ男の右腕に絡ませた。

『あらっ

 ふふふふふふ…

 バニーエンジェルの中に鞭の使いが居ると聞いていたけどあなただったのね』

嘗めるような視線で俺を見ながらナメクジ男がそう言うと、

ぐぃっ

っと手繰るように手を引いた。

「くっ」

引っ張られた俺も負けじと鞭を引く、

「バニーレッド、がんばって!!」」

そんな俺に他のバニーエンジェル達が声援を掛けてくると、

「任せろっ」

声援に向かって俺はそう答えるとさらに強く引いた。

『ふふふふ…

 なかなかやるわねっ

 でもねっ

 あたしにはもう一本の手があるのよっ』

鞭の綱引きにしびれを切らせたナメクジ男はそう言うと、

空いていた左手を鞭にすると

ピシッ!!

っと鞭を封じられている俺を攻撃を始めた。

「あぁ、卑怯よっ!!」

「ずるい!!」

その様子にバニーエンジェル達から批判の声が挙がるが、

『ほほほほほ

 何を言っても聞こえないわ、
 
 だってこれが私の攻撃方法ですもの』

ナメクジ男はそう言い切ると、

『それぇぇぇぇ!!』

と叫ぶと左腕を俺の首に巻きつけた。

「バニーレッド!!」

「なっ

 くそっ」

首に巻き付いたナメクジ男左腕を引き剥がそうとして俺がもがき始めると、

『ふふふふ…

 あたしの腕にはねぇ
 
 小さな針が仕込んであってね。
 
 あたしの体液がじわじわと染みこんでいくのよっ

 そうなるどうなるか判る?

 あなたのその大切なオマタに男のオ●ンチ●が生えてきて、

 そして、最後にはあたしと同じナメクジになっちゃうのよ』

と俺に告げた。

「なにっ?」

「そんな、レッドちゃんが男になっちゃうの?」

ナメクジ男のその言葉に俺やバニーエンジェル達に衝撃が走る。

「くっそー」

ジワジワと染みこんでくるナメクジ男の体液を感じながら俺がさらに藻掻くと、

『ほーほほほほほ

 藻掻きなさいっ
 
 苦しみなさいっ
 
 そうやって、変身していくのよっ
 
 さぁ、もぅすぐそのオマタに…ん?』

そう言ったところでナメクジ男が何かに気が付くと、

『ふーん、そうなの?

 そうなんだ…』

そう呟きながら、

グニュリ…

と自分の体を縦に開いて見せた。

「うわっ、キモイ!!」

「いやぁぁぁ」

そんな声を背景に体を開いたナメクジ男は俺に近づいてくると、

『ふふふ…

 みぃーつけたっ

 女のフリをしている男の子っ

 ミミズ男が言っていたのはあなただったのね』

と俺の正面に立ったナメクジ男は俺に向かってそう告げた。

「なっ(何で判った?)」

ナメクジ男のその言葉に俺の体が思わず固まると、

『うふふふ…

 図星ね、

 ねぇあなたって要するにあたしとお仲間じゃないの、

 うふっいいわ

 あなただけ特別にあたしの体の中で変身させてあげる』

ナメクジ男は俺に向かってそう言うと、

シュルリ

鞭に絡ませていた右腕を外すとその右手を俺の体に絡ませ、

そして俺の体を軽々と持ち上げると、

大きく開いた自分の体内へ飲み込んでしまった。

「うわぁぁぁぁぁ」

瞬く間に俺がナメクジ男の体内の取り込まれてしまうと、

グニュグニュ

俺の体をナメクジ男が出す粘液が覆ってきた。

「だっ誰がお前なんかのお仲間だ!!

 俺は好きでバニーエンジェルをやっているわけじゃないぞ

 無理矢理やらされたんだ!!」

俺はその中でもがきながら怒鳴り返すと、

『うふふふ…

 でも、女のフリをして居るじゃない。

 こんな際どい格好をして…

 あなただって内心は喜んで居るんでしょう?

 女の姿になることに…
 
 判るわぁ〜
 
 あたしもそうだったから』

「うるさいっ

 そんなことよりも俺を放せっ」

なおも話しかけてくるナメクジ男に向かって俺はそう言い返すが、

しかし、強い力で押さえつけられているために俺は藻掻くことしかできなかった。

『ほほほほほ…

 無駄よっ
 
 あたしの肉の檻からはそう簡単には逃れられないわ、
 
 さぁ、あたしに抱かれてあなたもナメクジになりなさい…』

ナメクジ男は俺に向かってそう言うと、

ドクッ

粘液をさらにあふれさせ始めた。

「うぐぐぐぐ」

次第に満ちてくる体液に俺が臍を噛んでいると、

突然!!

ドゴォォォォッ!!

強烈なショックが襲ってきた。

と同時に

『何をするのっ

 痛いじゃないの!!』

ナメクジ男が悲鳴を上げると、

ユルッ

俺を束縛していた力が微かに揺るんだ。

「しめた!!」

そのときチャンスと思った俺はリストから伸びていた鞭を一度仕舞ったのち、

「レッドウィップ!!」

っと力を振り絞るようにして叫び声をあげた。

その途端、

ドォッ!!

手首のリストから鞭が勢いよく突き出すと、

ナメクジ男の体を内側から思いっきり突いた。

『うごぇぇぇぇぇ』

体内の弱い部分を突かれたナメクジ男は直ぐに俺を吐き出すと、

苦しさから逃れるかのように道路上の転がりまわりはじめた。

そんなナメクジ男の姿を見た俺は、

「バニーブルーっ

 いまよ!!」

と声を張り上げると、

「バニーフラッシュッ!!」

すかさずバニーブルーがかけ声を上げると、

シュパァァァァァ!!

黄金のウサギが一直線にナメクジ男へと突き進んでいった。



『うわぁぁぁぁぁ

 ブンブン総帥っ

 申し訳ありませーん』

その声を残してナメクジ男が消え去ると、

「大丈夫?」

と言う声と共にバニーエンジェル達が俺を囲む。

「うんっ

 みんなが助けてくれたんだね、
 
 ありがとう」

グチャグチャになった髪をかき分けながら俺はそう返事をすると、

「イエローちゃんが放ったイエローボンバーが決まったんだよ」

とバニーブルーが俺がナメクジ男の体内から脱出ができたあの衝撃の正体を教えてくれた。

「そう、あなたに助けられたのね、

 ありがとう、バニーイエロー」

俺はそう言いながら手を差し出すと、

「あっあのっ」

バニーイエローは恥ずかしそうなポーズをしながら俺の股間を指さした。

「え?」

彼女のその態度に俺が驚くと、

「いやだぁ…」

「きゃっ」

他のバニーエンジェル達も続いて同じような反応を見せた。

「まっまさかっ!!」

そのとき、俺の脳裏にナメクジ男の台詞がよみがえると慌てて股間を見たが、

しかし、俺の股間には男のシンボルの陰や盛り上がりはなかった。

「ほっ良かった…」

股間を眺めながら俺はそう呟くと、

「あはははははは!!

 引っかかった
 
 引っかかった」

そんな俺を指さしながらバニーイエローが声を上げると、

「レッドちゃんって素直なのね」

とバニーブルーが俺の肩に手を置きながらそう言った。

「あぁ!!

 騙したな!!」

みんなに騙されたことに気づいた俺が声を上げると、

「あははははは」

雨が上がった夜空に少女達の笑い声が響き渡った。



おわり