風祭文庫・ヒーロー変身の館






「バニーエンジェル」
−ダンゴムシ男の魔手−



作・風祭玲


Vol.367





「おはよ!!」

朝、

ここんところのゴーストバグとの戦いに疲れを見せることなく

いつも道理に登校した俺・赤沢隼人に黄土圭子が声をかけてきた。

「なんだ、圭子か、

 なんか用か?」

鞄を机の上に置きながら俺が聞き返すと、

じっ

圭子は俺の顔を見つめ始めた。

「なっなに?」

そんな圭子の様子に俺は聞き返すと、

「ううん…なんでもないっ

 ちょっと、あたしの知っている人に何となく雰囲気が似ていた様に見えからだけど、

 まぁ…隼人がそんなわけないもんね」

圭子はそう言うと俺に背を向けた。

「なんだよっ

 その言い方は」

圭子のその態度と言葉にカチンと来た俺がかみつくと、

「なによっ

 あたしの勘違いだったで良いじゃないっ」

「あのなっ

 朝っぱらから意味深なことを言われるとこっちが気になるんだよ」

「男の癖に細かいわよ、

 それとも何?
 
 隼人って女の子なの?」

次第にボルテージが上がっていく言い合いの末に圭子がそう言ってくると、

「うっ」

俺の胸の奥に圭子の言葉が深く突き刺さる。

「?」

一瞬、言い返せなくなった俺は言葉を詰まらせた後に、

「やかましい!!」

と怒鳴ると、

「なによっ

 いつもならサラリとかわすクセに

 今日の隼人、ちょっと変よ」

圭子はそう言うとさっさと自分の席に戻っていった。

「ったくぅ…

 俺のどこが女だ!!」

そう文句を言いながら俺はドカッと席に座ると、

横の窓ガラスに映る自分を見ると、

そこにはラビから貰ったカチューシャで女子生徒に変身した俺の姿が映っていた。

「え?」

その姿に思わずドキリとした俺は慌てて見直すと、

映っていたのは女子生徒の俺ではなく男の姿をした俺だった。

「なんだ、錯覚か…」

ホッと胸をなで下ろしていると、

「おーすっ、赤沢、

 今日も早いな」

と言う声と共に八王寺が教室に入ってきた。



放課後…

近々行われる空手部の練習試合の打ち合わせのために

俺は空手部の顧問をしている佐藤先生とともに相手の学校を訪問していた。

「では、よろしくお願いします」

「えぇ、楽しみにしていますよ」

打ち合わせを無事終え、

俺と向こうの主将が握手をしていると、

「あぁ、赤沢、

 俺はもぅ少し用事があるから、お前は先に帰れ」

と佐藤先生が俺にそう告げると、

「はいっ

 ではお先に失礼します」

佐藤先生の指示にそう返事をすると、

俺は鞄を片手に夕闇が迫る中、校舎から出ていった。

「はぁ…

 今日も何事もなく無事に終わったか…」

バニーエンジェルになってから何かと引っ張り回される日が続いていただけに、

こうして、男の姿でいるのは久方ぶりだった。

「それにしても、朝のあれは何だったんだ?」

朝、自分の姿を女の子と見間違えたことを思い出しながら

俺は駅への近道と教えられた道を進んでいく。

そして木立に囲まれた長い坂を降りきった時、

チカッ

これまで消えていた街灯に一斉に灯りが点ると、

山に沈む三日月を背景に異世界へ誘うような灯りのレールが延びて行った。

「ひゃぁぁぁ…

 雰囲気満点だなぁ

 この道で女の子がここでよく行方不明になっているって

 向こうの主将が言っていたけど…」

そう言いながら俺は打ち合わせの時に話題になった失踪事件のことを思い出すと、

「まぁ、男の俺には誘拐犯からのお呼びは掛からないから心配はないか…」

と小さく笑った。

そして、数分歩いたところで、

ピタッ

いきなり俺の足が止まると、

「そうだ」

と呟きながら鞄からカチューシャを取り出し、

「へへ、ちょっと悪戯をしてみるか」

と笑いながらカチューシャを自分の頭につけた。

その途端、

キーーーン!!

カチューシャは微かな音を立てた途端、

ブワッ!!

俺の頭から髪が吹き出すようにして伸び始めると、

それに続いて着ていた学生服が見る見るセーラー服へと姿を変えていく、

そしてさらにセーラー服の胸が盛り上がると、

俺の体はセーラー服姿の女子高生へと変身していった。

「よしっ」

長い髪を靡かせる女子生徒になったことを確認した俺は、

気合いを入れ直すと歩き始めた。

「へへへ…

 女の子だよぉ〜

 女子高生ですよぉ〜

 誘拐犯人さん…出てらっしゃ〜ぃ」

そんな言葉を呟きながら、

俺は誘拐犯を挑発するかのようにスカートを翻しながら道を歩いていく、

しかし、俺が期待したことは何も起こることはなく、

次第に正面に駅前の灯りが姿を見せると、徐々に大きくなってきていた。

「ちっ

 なにも無しか…

 期待させやがって」

舌打ちをしながら俺が頭につけたカチューシャをはずそうとしたとき、

ゴロン!!

俺の行く手を阻むかのように

道の真ん中に巨大なタイヤのような円筒形の物体が転がっている様子が目に入ってきた。

「ん?

 なんだ?

 あれは…」

誘拐犯を警戒していた俺にとって予想外の物体の登場に思わず目を疑うと、

「んー?

 タイヤか?」

謎の物体の正体を予想しながら恐る恐る近づいて行った。

それは直径約1mをちょっと越えた位、厚さは80cmほどのもので、

中心から伸びるスポークのような放射状の筋が入っていた。

「なんだこれは?」

首を捻りながら俺はその物体の周りを一回りした後、

「うらっ」

っと試しにけ飛ばしてみると、

『えへへへへ…

 掛かった掛かった!!』

と言う声とともに、

ズズズズズズズズ!!!

突如、円筒形の物体がほどけ始めると、

「なっなに?」

驚く俺の目の前で盛り上がるようにして姿を見せたのは巨大なダンゴムシだった。

「だっダンゴムシ?

 しかも、でかい!!」

ダンゴムシに圧倒されるように俺が驚くと、

『おっ女の子だぁ…

 えへへへへへへへ』

ダンゴムシはという声を上げながら俺に覆い被さろうとしてきた。

「うわっ」

すんでの所で俺がかわすと、

ズンッ

その巨体が俺のすぐ脇に落ちる。

『うへへへへへ

 僕の勘は大当たり!!

 セーラー服の女子高生…

 ねぇ僕と仲良くしようよ』

そう言いながらダンゴムシは這いずるようにして俺を追いかけ始てくると、

「おっお前っ

 ゴーストバグの会員怪人か!!」

俺は必死で逃げながら声を上げた。

ズザザザザザザ

すると、ダンゴムシは再び立ち上がると、

『えへへへへ

 よく知っているねっ

 そう、僕はゴーストバグ会員ナンバー128番のダンゴムシ男だよ、
 
 えへへへへへ
 
 きみ可愛いねぇ
 
 そのスカートの下、ブルマか何か履いているの?』

クワサクワサ

ダンゴムシ男は左右についている小さな足を動かしながらそう尋ねてくると、

(ゴーストバグ!…やはり)

「お前かっ

 この道で起きている行方不明事件の犯人は?」

それを聞いた俺はダンゴムシ男を指さしながら聞き返した。

『行方不明事件?

 そんなの知らないよ、

 だって、僕がここに来たのは今日が初めてだもん、

 ねぇそれよりもさっ、

 この服を着てくれないかな?

 君に似合うと思うんだけど…』

ダンゴムシ男はそう言いながら

どこから持ち出したのかパンパンに膨れた鞄から何かを取り出すと、

ビラッ

俺の間の前に派手目なアニメキャラ風の衣装を見せた。

「!!」

それを見た途端、俺は思いっきり引く。

『えへへへへへ

 良くできているでしょう、

 僕が精魂込めて作ったものだよ、

 なんなら、ブンブン総帥にお願いして君を改造して貰おうか、

 君も僕と同じように変身すればきっとお似合いのカップルになれると思うよ』

ダンゴムシ男が俺に迫りながらそう言うと、

「じっ冗談じゃない!!」

その言葉に俺は一目散に逃げだした。

『あっ待ってよ』

逃げる俺に向けてダンゴムシ男はそう言うとクルリと丸まり、

ドドドドドドド!!

っと転がりながら逃げる俺を追いかけてきた。

「くっそう、なんでゴーストバグの怪人が…」

俺は必死で逃げなからポケットの中のチョーカーに手を伸ばした。

そして、バニーエンジェル達に怪人出現を知らせる緊急ボタンを押した途端、

ガッ

「しまった!!」

俺の足がアスファルトの裂け目に蹴躓いてしまうと

そのまま道路上に転んでしまった。

そして慌てて振り向くと、

ドォッ

俺を押しつぶすかのように高々と飛び上がったダンゴムシ男の巨体が迫っていた。



「うっ…」

気がつくと俺は薄暗い部屋の中にいた。

「ここは…どこだ?」

周囲を見渡しながら直前のことを思い出していると、

「そうだ、

 ゴーストバグのダンゴムシ男に襲われたんだっけ」

と転んだ俺に迫るダンゴムシ男の巨体の姿を思い出した。

それと同時に、

ズキン!

俺の体中が悲鳴を上げた。

「痛い!!…」

体の中を走り抜けた激痛に俺は思わず悲鳴を上げるが、

しかし、手足を縛られているのか体の自由は全く利かなかった。

「くっそう…早くアイツをやっつけないとダンゴムシにされてしまうぞ」

俺に向かってダンゴムシ男が告げた言葉が俺の脳裏を駆け抜けていく、

そして、

「このやろう」

っと必死でもがいていると、

『馬鹿者!!』

突如、隣の部屋からダンゴムシ男の怒鳴り声が鳴り響いた。

「なにっ」

その声に俺は驚くと、声がした方へと痛む体を足を使って動かしていく、

『何度言ったら分かるんだ!!

 CCサカキはXPモードで録画すると言ったろうがっ』

『イーっ』

『イーではないっ

 まったくぅ…』

『こらぁっ

 そのドールに勝手に触るんじゃないっ』

『イーッ』

『いいから、お前ら出ていけ!!』



「なにをやっているんだ?」

隣の部屋で繰り広げている悶着に聞き耳を立てながら俺はそう呟いていると、

バンッ

俺が寄りかかっていた壁がいきなり開いてしまった。

「うわっ(ドアだったのか)」

支えを失い、バランスを崩した俺は悲鳴を上げながら隣の部屋に転がり込むと、

「え?」

部屋の異様な光景に思わず目を疑った。

目の前には煌々とLEDの灯りを点滅させるビデオデッキと

DVDレコーダが納められたのタワーが鎮座し、

また壁に誂えたガラスケースに整然と並べられたフィギアと呼ばれるアニメキャラや特撮キャラの人形群、

そしてさらにはコミックやアニメ・特撮雑誌のバックナンバーの山と轟音を上げるパソコンの群…

「ヲっヲタクの部屋…」

その光景に俺は思わずそう呟くと、

『えへへへへへ…

 目が覚めたんだねっ

 ようこそお姫様、僕の城へ…』

ダンゴムシ男はそう告げると深々と頭を下げた。

「………」

しかし、当の俺は部屋の雰囲気に圧倒され、

なんて返事をしたらいいのか分からなかったが、

少し間をおいて、

「おっ俺をどうする気だ?」

とようやくダンゴムシ男に向かって尋ねるとことができた。

すると、

『おやっ

 女の子が”俺”だなんて言葉を使っちゃいけないよっ

 ”あたし”って言わなきゃぁ

 えへへへへへへ…

 決まっているじゃないかっ

 君は僕のものなんだよ、

 ここからは逃げられないし逃がさない。

 えへっ

 飼ってあげるよ、

 ずっとねっ』

ダンゴムシ男は俺にそう告げると、

ズイッ

っと近寄ってきた。

「なっなにを言ってやがるんだコイツは…」

俺の体の中に恐怖と感覚がよぎった。

『うん、こうしてみると君って結構可愛いんだねっ

 このサラサラの髪…
 
 あぁ堪らないよっ』

ダンゴムシ男はそう言いながら俺の髪を掴み上げると、

その感触を確かめ、そしてニオイを嗅ぐ仕草をする。

ゾワァァァァ

言いようもない悪寒が俺の背筋を走り抜けていくと、

「やめろ!!」

げしっ

俺は反射的に動かすことができる両足で

ダンゴムシ男の顎を思いっきり蹴り上げてしまった。

しかし、

『えへっ

 全然利かないよ、
 
 ブンブン総帥に改造して貰ったこの体、
 
 とーっても強いんだよぉ、
 
 ふんっ
 
 いじめっ子が束になって掛かっても
 
 もぅ僕を泣かすことなんてできやしないんだ。
 
 さぁ悪い子はお仕置きをしなくっちゃね』

ダンゴムシ男はそう言うと、

ムクリ

と俺に迫ってくると、

ぐっ

っとセーラー服の胸元に手をかけた。

「なっなにを…!」

『えへっ

 こうするのさっ』

ビリビリビリ!!

ダンゴムシ男の声とともに着ていたセーラー服が無惨に引き裂かれると、

白い下着がその中から出てきた。

「キャァァァァァ!!」

ダンゴムシ男の行為に俺は思わず女のような悲鳴を上げると、

『えへへへへへ

 女の子の悲鳴…

 やっぱり出せるんだね。

 いいねぇ…ゾクゾクしちゃう』

俺があげてしまった声にダンゴムシ男は興奮をし始めた。

そして、

『えへえへ…』

と呟きながら今度はスカートに手をかけると、

「やめろー」

俺の声むなしく

ビリビリ!!

スカートを引き裂く音が部屋にこだました。

『えへへへへへへ…

 白くてすべすべの肌…
 
 えへ、柔らかーーぃ』

ダンゴムシ男はそう言いながら露わになった俺の太股をなぞり始めた。

「くっそう…

 偽物の体なのに…
 
 何でこんなに恥ずかしいんだ…」

俺は顔を真っ赤にしてダンゴムシ男の辱めに耐える。

すると、

『えへえへ…

 下着姿じゃぁ可愛そうだから、

 代わりにこれを着せてあげるね』

ダンゴムシ男はそう言いながら、

ビラッ

さっき俺に見せた衣装よりも露出度が高い衣装を見せると俺に覆い被さってきた。

「やめ…」

ダンゴムシ男の行為に俺は必死で抵抗をするが、

しかし、最後の砦である下着も引き剥がされてしまうと、

俺はあっけなくその衣装を着せられてしまった。

『えへえへ…

 いいよっ
 
 よく似合うよ』

ダンゴムシ男はそう言いながら着替えさせられた俺を視姦し始めだした。

「………」

着せ替えの際に俺を束縛していた枷ははずされていたが、

しかし、俺は恥ずかしさを強く感じると、

身を縮込ませるようにして耐えていた。

すると、

『ん?

 そのカチューシャは似合わないなぁ』

とダンゴムシ男は俺が頭につけているカチューシャに気がつくと腕を伸ばしてきた。

「わっバカっ

 止めろ!!」

ガッ

カチューシャを握られた俺は慌てて抵抗をするが、

しかし、

『えいっ』

ダンゴムシ男は勢いを付けると俺がしていたカチューシャをはずしてしまった。

「あっ!!」

その途端、

キーン…

カチューシャを失った俺の体は一気に男へと戻りはじめた。

『なっなっなんだぁ!!』

毛臑が生え、見る見る筋肉質の男の体に戻っていく俺の姿にダンゴムシ男は驚くと、

「へっへっへっ

 男に戻ってしまったんじゃ

 しょうがないなぁ…」

男の体に戻った俺はそう言いながらゆっくりと起きあがった。

『そんなぁ…

 そんなぁ…
 
 僕のお姫様が…むさい変態男だっただなんて…』

俺の姿に驚いたダンゴムシ男は攻撃をするどころか、

サメザメと泣き始めてしまった。

「なんだとぉ〜っ!!」

ダンゴムシ男のその台詞に俺のこめかみがピクリと動くと、

「己ごときに言われる筋合いはなーーーーーぃ!!」

と叫びながら渾身の力を込めた回し蹴りをダンゴムシ男に食らわせる。

すると、

ドガン!!

見事吹き飛んだダンゴムシ男の体がビデオデッキのタワーに激突すると、

ガラガラガチャーン!!

大音響をたてながらタワーが崩れ落ち、

そして、それに康応するかのように、

コミックやアニメ雑誌の山が崩壊を始めると、

ゴゴゴゴゴゴゴ!!!

ついには大音響をたてながら部屋が崩れ落ち始めた。

「うわっ」

崩れ始めた部屋に驚いた俺は大急ぎで破り捨てられた制服のポケットからチョーカーを回収すると、

すかさずそれを首に当て、

「チェーンジバニー!!」

と叫び声をあげた。



シュパッ!!

バニーエンジェル・バニーレッドに変身した俺が夜空に飛び上がると、

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

俺の真下では古ぼけたアパートが崩壊をしていく真っ最中だった。

「あのアパートが奴らのアジトだったのか…」

そう思いながらそばの家の屋根に降りると、

「バニーレッド!!」

と言う声とともにバニーブルー、バニーグリーン、バニーイエロー、バニーパープルの

バニーエンジェルが俺のそばに駆けつけてきた。

「みんなっ」

彼女たちの姿に仮面の下の俺の目から思わず涙がこぼれ落ちる。

「で、ゴーストバグの怪人は?」

到着と同時にバニーイエローが尋ねると、

「うん、

 あの崩壊したアパートの中にいる。

 もぅすぐ出てくるよ!!」

俺は咄嗟に涙を拭ってそう説明をすると、

「バニーブルー!!

 一気に決めて!!」

とバニーブルーに向かって叫んだ。

そしてほぼ同時に、

『あぁ!!

 僕の…

 僕の、コレクションがぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

そんな叫び声を上げながら頭を抱えるダンゴムシ男が廃墟の中から姿を現すと、

それを合図に、

「バニーフラーッシュ!!」

バニーブルーがそうかけ声をあげると、

シュパァァァァァ

黄金のウサギが一気に駆け抜けダンゴムシ男を蹴散らしていった。



「ふっ

 俺の秘密は無事、守り通せたか…」

ダンゴムシ男が消えた後を眺めながら俺はそう呟くと、

「ねぇ…

 なんか、かわいそうな気がしたんだけど…

 あの怪人…なんで泣いていたの?」

とバニーパープルが俺に聞いてきた。

「え?」

バニーパープルの問いに俺が思わず聞き返すと、

「そう言えば、

 バニーレッドちゃんてあの怪人と一緒にいたみたいだけど、

 あの中でなにがあったの?」

とバニーブルーが追い打ちをかけるような質問をしてくる。

「いっいやぁ…

 その…無理矢理連れ込まれてね…」

俺は苦し紛れにそういいわけをすると、

「うそっ」

「そこんところ、詳しく聞かせて」

「いやっあのぅ…

 あっあたしはこの辺で!!」

さらに詰め寄ってきたバニーエンジェル達に向かって俺はそう言い残すと、

脱兎のごとくその場から逃げ出していた。



おわり