風祭文庫・ヒーロー変身の館






「バニーエンジェル」
−ミミズ男参上−



作・風祭玲


Vol.365





『またしてもバニーエンジェルに倒されたそうだな…』

ゴーストバグの本部に威厳に満ちた男の声が響き渡った。

『申し訳ありませんっ

 ブンブン総帥っ』

半透明のカーテンの元にこてこての装飾が施されたマントを翻して、

高級幹部らしい怪人が平伏すと、

『しかも、我々の邪魔をするバニーエンジェルに、

 新しい仲間が合流したと聞くではないかっ』

とブンブンは幹部に詰問をする。

『はっ、

 バニーレッドと申す小娘でして、
 
 ただ、これまでの者とは違い、
 
 その考え方が若干違うところに苦慮をしております』

幹部はそう申し開きをすると、

『ほぅ…

 つまり我々はその小娘に劣るという訳か?』

『いっいえっ

 そのようなことは…断じて…』

『では、スグに目障りなウサギ共を処刑するのだ』

『ははー』

幹部はそう返事をすると、

そそくさと立ち去っていった。

『ふっ

 小賢しいバニーエンジェルめっ』

幹部が消えた後、ブンブンと呼ばれた声はそう続けた。



「はぁ、終わった終わった」

「今日の敵は大したことなかっわねっ」

「でも…ゴールドクリスタルの結局判らず仕舞いだったよ」

「うん」

ゴーストバグの怪人との戦いが終わって俺達バニーエンジェル達は帰路に就いていた。

「じゃぁ…あたしはこの辺で…」

キリの良いところで、俺はそうみんなに告げると、

「ふふふふふ…」

「え?」

バニーブルーやバニーグリーン達が意味深な笑みを浮かべると、

ガシッ

と俺の腕を掴むと、

「今日という今日は逃がさないわよっ

 バニーレッドちゃぁん」

と告げた。

「え?

 何のこと?」

ある種の危機感を感じながら俺はそう返事をすると、

「へへへへ…

 今日はこのままつき合って貰うわよっ」

「別に女の子同士なんだから、

 そんなに遠慮することはないわよ」

「そーよそーよ」

俺はたちまちそんな声に包み込まれてしまった。

「(やばい

  連中に俺の正体を知れたら大変なことになる…

  ここは何としても逃げないと…)」

この雰囲気に俺はそう判断をすると、

「あっ!!!」

と大声を上げた。

「え?なに?」

俺が挙げたその声にバニーブルーの注意が逸れると、

その隙に

スルリっ

俺は抜け出すと、

ダッ!!

っと一目散に走り出した。

「お待ち!!」

すかさず、バニーイエローが俺を追いかけてくると、

「こっここで掴まるわけには…」

俺は必死で逃げると、

「!!」

目に入った脇道に逃げ込んだ。

そして、目の前に見える表通りに向かって走りながら、

首のチョーカーに手を当てると変身を解除した。

シュルルルルルル…

見る見る俺の身体から胸の膨らみは姿を消し、

深紅のバニースーツは制服へと変化する。

そして、表通りに飛び出したとき、

俺の姿は男子高校生・五十嵐隼人に戻っていた。

「はぁ…」

無事に元の姿に戻ったのを確認すると、

ダンッ

俺の後を追ってバニーイエローが路地から飛び出してきた。

「あのバカ…」

俺はそう思いながらバニーイエローを見ると、

「(しまった!!)」

バニーイエローの口がそう動くと慌てて路地に戻っていく、

「まったく…

 勢いに乗って飛び出すから…」

そんな彼女の姿を見ながら俺はそう呟くと、

「あれ?

 でも、こういうパターンってどこかで…

 あっそうか!!

 今日、女子更衣室を覗いていた奴を追いかけて、

 着替え途中の格好のまま圭子が大捕物を演じていたっけ」

俺は昼間に起きた事件を思い出しながら笑うと、

「それにしても…

 圭子とバニーイエローの行動パターンって似ているなぁ」

と呟いた。



キーンコーン!!

セヤッ

セヤッ

月華高校の放課後…

俺は久々に空手着に腕を通すと稽古をしていた。

「キャプテーン、どうしたんです?

 ここんところ稽古にでてきませんでしたが」

後輩がそう言ってくると、

「あぁ…

 まぁ色々あってなっ」

汗を拭きながら俺はそう返事をすると、

「まさか…

 バニーガールになって怪人共と闘っているなんて言えないもんなぁ」

と呟いた。

「え?、何か言いましたか?」

そんな俺の呟きにすかさず後輩は聞き返してくると、

「いっいやっ

 なんでもない。
 
 なんでもない」

俺は自分に言い聞かせるようにしてそう言うと、

パサッ

持っていたタオルを壁に掛け再び型の稽古を始めだした。

そして、あんなバニースーツで闘うよりこの方が俺の性に合っている。

と思っていると、

ズズズズズズン!!

突然、武道館が大きく揺れ始めた。

「きゃっ」

「なに?」

同じ体育館で部活中の他の連中が悲鳴を上げると、

「じっ地震か?」

そう言いながら俺は天井を見上げた。

ギシッ

ギシッ

天井からつり下げられている水銀灯が音をたてている。

ズンンンンン…

地震はしばらく揺てようやく収まると

「いまの…

 結構でかかったなぁ」

と後輩に声を掛けた。

すると、

「きゃっキャプテンっ

 あっあれは何ですか?」

後輩は素っ頓狂な声をあげて校庭を指さした。

すると、そこには

モコモコモコ!!!

校庭を一直線に横切る様に盛り上がった土の山があった。

「なんだぁ?

 こりゃぁ?」

唖然としながら俺はそれを見ると、

『奴らの仕業よっ』

と言う声が俺の足下から声が響き渡った。

「え?」

その声に驚いた俺が下を見ると、

モゴモゴ

と口を動しながら黒ウサギ・ラビがじっと俺を見上げていた。

「きっキャプテンっ

 そのウサギ…

 いま喋りませんでした?」

驚きながら後輩がそう指摘をすると、

「あはははははは…

 んなわけないだろう?

 どこから入り込んだんだろうなぁ
 
 ははははは」

俺はそう言いながらラビを抱き上げると、

「ここにいると危ないから

 ちょっと逃がしてくるわ」

と言って俺は武道館を後にすると、

「ラビっ

 何でこんな所に来たんだ!!」

と怒鳴った。

すると、

『何を言ってんのよっ

 もぅみんなは出動したわよっ

 バニーレッドあなたもさっさと変身をしてみんなの所に向かって』

と俺にバニーエンジェルへの変身を告げた。

しかし、

「断るっ」

俺は腕を組みながらそう返事をした。

『こっ断るって…

 バニーレッド、あなた何を言っているのか判っているのっ?』

俺の返事にラビは驚きながらそう言い返すと、

「今度変身をして連中と会って見ろ、

 間違いなく俺の正体を晒す事になるんだぞ!!
 
 いいかっ、
 
 男がバニーエンジェルをしているなんて…
 
 例え仲間でも口が裂けても言えるわけないだろうがっ」

と俺がラビに向かって怒鳴ると、

『なぁんだその事?』

ラビは俺にとっての大問題をまるで軽くあしらうように返事をした。

「なぁんだとはなんだよ」

『だって、あまりにも馬鹿馬鹿しい悩みなんだもん』

「馬鹿馬鹿しい?」

『そうよっ

 要するに男であることがイヤなんでしょう?』

「いっイヤとかそーゆー事じゃなくて…」

『だったら女の子になる?』

「はぁ?」

ラビが告げた台詞に俺の目は思わず点になった。

『全く、こっちも忙しいんだから、

 そう言うことは単刀直入に言ってよね。

 はいこれっ』

ラビは文句を言いながら1本のアンプルを俺に手渡した。

『”超強力性転換薬・KAYO”

 これを一口飲めば飲めば充実した女の子ライフが待っているわ』

アンプルを不思議そうに眺めている俺にラビはそう説明した。

その途端、

「うわっ!!」

俺は小さな悲鳴を上げると手にしていたアンプルを放り投げてしまうと、

『あぁ…なんてコトするのっ』

地面に落ちて割れてしまったアンプルにラビが怒鳴った。

しかし、

「あのなっ

 勘違いするなっ

 俺は別に女の人生を送りたいわけじゃないんだからなっ」

ラビを掴み挙げながら俺は迫ると、

『まったく、我が儘なんだから…』

ラビは呆れたような表情をする。

「誰が我が儘だ!」

『はいっじゃぁこれを使って…』

そう言いながらラビは一本のカチューシャを取り出した。

「かちゅーしゃ?」

『そう…

 取りあえずそれを頭につけてみて…』

「ああ」

俺は言われるまま渡されたカチューシャを頭につけると、

ドクンッ!!

体の中が急に疼きだした。

「なっなんだ?これは?」

『”簡易型性転換システム・かえるくん”よ

 それをつけている間だけ性転換をするわ、

 これなら問題はないんでしょう?』

とラビはカチューシャの説明をした。

しかし、

「わっわっわっ」

俺は慌てて胸を押させると、

ムクリ…

胸を押さえる俺の両手を膨らんでくる胸が押し返し始め、

さらに、身体の形が急速に変化し始めた。

「そんな…

 マジかよぉ」

次第に小さく細くなっていく手を見ながら俺はそう言っていると、

シュルリッ

俺が着ていた空手着が変化し始めた。

「んなにぃ?」

ズボンが短くなっていくと、

瞬く間に紺色のプリーツのスカートへと変化し、

また、上着もセーラータイが眩しい女子の制服へと替わると、

下着が女性化した俺の腰や胸を締め上げていく、

そして最後に膝下までのソックスと靴が履かされると、

まさに俺は制服姿の女子生徒に変身していた。

「うそぉ!!」

腰まで伸びた髪を揺らせながら俺が驚いていると、

『まぁ…

 それなら誰が見ても普通の女子高生ね、

 じゃぁ出動してくれる?』

「はぁ…

 まぁいいか…
 
 元に戻れるのなら」

俺は女の子に変身をした自分の姿を眺めながらそう呟くと飛び出していった。



「はぁはぁ…

 くっそう、何でスグに息が上がるんだよ。
 
 しかも、身体がやたらと重いし…」

女子高生に変身し土盛りを追いかける俺は思わず文句を言うと、

『そんなこと言っても…

 普通の女の子はそんな感じだけど…』

とあきれ顔のラビは俺に言う。

「はぁ?

 そうなのか
 
 くっそぅ!!
 
 こんな事じゃぁ
 
 先にバニーエンジェルに変身するんだったなぁ」

後悔を滲ませながら俺はそう言うと、

『あっ近いわっ』

戦いを感じ取ったラビが声をあげた。

そして、程なくして、

「であっ」

「きゃっ」

バニーブルーやバニーパープルの声が聞こえてきた。

「あそこかっ」

路地裏で闘っているバニーエンジェル達を見つけた俺はスグにそこへと向かうと、

スカートのポケットから深紅のチョーカーを取り出してそれを首に当てながら、

「チェーンジ・バニー!!」

と叫びながら右腕を高く掲げた。

その途端、

シュパァァァァァァ!!

チョーカーから炎が噴出すと

俺の身体を見る見る包んでいく、

そして、熱さを感じない炎の中、

俺の身体を取り巻いた炎は着ていた制服を焼き尽くすと、

炎は真っ赤な網タイツとなって俺の脚を覆い、

胴体には同じような赤い光沢を放つバニースーツが俺の身体を包み込んでいく。

「くぅぅ」

変身に耐える俺の顔に炎を模した仮面がつくと

唇に真っ赤なルージュが引かれ、

そして、髪の上には2本の耳が起立すると、

最後に足先に赤いハイヒールが姿を見せた。

パァァァ!!

俺の身体を包み込んでいた炎が飛び散っていくと、

「バニーレッド参上!!」

と叫び声を挙げながら俺はバニーエンジェル達の中に降り立った。

「バニーレッドちゃん、おっそーぃ」

バニーブルーそんな声が上げると、

「ちょっとの遅刻ぐらい問題はないでしょうっ」

と俺は怒鳴り返した。

「そんなに怒らなくても…」

俺の剣幕にバニーブルーがいじけながらそう言い返してくると、

「で、今度の敵は何?」

すかさず俺は敵の正体をバニーパープルに尋ねた。

「いやっ、それが…

 地面の下に潜ったままで判らないのよっ」

バニーパープルは困惑の表情をしながらそう返事をすると、

「地面の下か…」

俺はそう呟きながら土盛りを眺めた。

すると、

『フッフッフッ

 全員が揃ったな、ウサギ娘共め』

と言う声が響き渡ると、

ゴゴゴゴゴゴゴ…

地響きをたてながら地面の中から赤黒い物体が姿を見せてきた。

「なに?」

その様子を俺は見届けると、

『ふわっはっはっはっ

 我こそはゴーストバグ・会員ナンバー68のミミズ男である!!』

と叫びながら赤黒い身体にいくつもの水平筋をつけた怪人が姿を見せた。

その途端、

「いやーっ」

ミミズ男の姿に俺以外のバニーエンジェル達が一斉に悲鳴を上げた。

『ははははは、

 どうしたのかね?

 お嬢さん達っ

 私の姿がそんなに衝撃的だったかな?』

ミミズ男はそう言いながらボディビルダーの様に格好を付けて見せると、

「気味の悪いことをしないでよっ

 グリーンカッター!!!」

バニーグリーンがそう叫びながら、

必殺技のグリーンカッターでミミズ男を攻撃すると、

『おっと!!』

ミミズ男は巧みにそれをよけると、

『私のことをそこまで思ってくれるなんて…

 なんて光栄な』

と言いながらバニーグリーンの両手を握った。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」

握られた途端、即座にグリーンは悲鳴を上げると、

「あたしに触らないで!!」

と叫び声を挙げてミミズ男に蹴りを食らわせようとするが、

『ふふふ…

 悲鳴を上げるほど嬉しいだなんて…』

クッ

ミミズ男は涙を流し始めた。

「随分と自分勝手な奴だなぁ…」

そんなミミズ男を眺めながら俺はそう呟く、

すると、

『では、私からあなたへささやかなプレゼントを差し上げます』

ミミズ男はそう言うと、

『はいっ』

とかけ声をあげると、

バラバラバラ!!!

バニーグリーンの真上から普通サイズのミミズが降り注いだ。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

降り注ぐミミズの雨にグリーンは悲鳴を上げると白目を剥いてその場に倒れてしまった。

「バニーグリーン!!」

「バニーグリーンちゃん!!」

「よくも!!」

倒されたバニーグリーンにバニーエンジェル達の声があがる。

すると、

『さぁ、次は誰が私のプレゼントを受け取ってくれるのかな?』

ミミズ男はそう呟くと俺達をジロッと見据えた。

しかし、

「どっどうする?」

「いやだなぁあたし…」

予想外のミミズ男の攻撃方法にバニーエンジェル達は苦戦をしていた。

『あらら、来てくれませんか…

 では、私の方から伺いますよ』

ミミズ男はそう言うと、

トッ

その容姿とは裏腹に素早く動くと、

『私からのプレゼントでーす』

と叫びながら、近づいてくるとバラバラとミミズの雨を降らせ始めた。

「きゃぁぁぁぁ!!」

「いやぁぁぁぁぁ!!」

「やめて!!」

ミミズ攻撃でたちまち俺達は大混乱に陥ると、

『わはははははははは!!!』

そんな俺達をせせら笑うようにミミズ男の笑い声がこだまする。

ところが、

その中でただ一人俺は憮然とした表情で立っていると、

「で、あるか?」

と呟きながら顔にたかるミミズを悠然と払うと、

キッ

とミミズ男を見据えた。

『なっなに?

 君っ

 女の子なのに何故ミミズを見て悲鳴を挙げない?

 逃げまどわない?』

降りかかるミミズに動じない俺の姿にミミズ男は見る見る動揺していく。

「なぜ?

 何を言ってんだお前は、

 何で俺がミミズを見てキャーキャー騒がないとならないんだ?

 あぁん?」

腕を組みながら俺はそう言うと、

カツッ

カツッ

カツッ

ハイヒールの音をたてながらゆっくりとミミズ男へと迫って行った。

そして

ミミズ男の正面に立った俺は

ジロッ

っと睨み付けると、

『ほぉ

 なかなかお気が強いと思ったら

 あなたは私と同類ですね』

ミミズ男は俺を一瞥しながらそう言ってきた。

「(ピクッ)同類?」

『そうですよっ

 匂いで判ります。

 あなたは女でありながら男でもある…

 隠さなくっても良いんですよ』

とミミズ男は俺にそう言うと擦り寄ってきた。

その途端、

シュッ

ゲシィィィィィィ!!!

俺の右ストレートがミミズ男の顔面に炸裂すると、

『うげぇぇぇっ』

ミミズ男の身体は軽く10m程、宙に舞うとそのまま地面へと激突した。

「…………」

あまりものの出来事に周囲は一瞬のうちに静まりかえる。

「バニーレッドちゃんすごーぃ」

「まさに燃える女って感じね…」

「おねぇさま…」

飛び交うミミズに逃げまどっていたバニーエンジェル達も

俺がミミズ男に喰らわせた一撃にはしばし見とれてしまっていた。

「あっあにをするんですかぁ、乱暴な!!」

腫れ上がり始めた頬を庇いながらミミズ男が抗議すると、

「えぇぃっ

 うざい!!」

ゲシッ

続けざまに俺はミミズ男に蹴りを入れると、

「貴様のような奴を見ると虫酸が走るんだよっ!!

 レッドウィップ!!」

俺はそう叫ぶと、

ピシィ!

鞭で唸らせた。

『まっまっまって!!

 あたしが何をしたというの?

 ねぇ、おなじニューハーフ同士、仲良くしましょうよ』

ミミズ男はそう叫び声を上げると、

「消えろ!!」

俺はそう呟くと一気に鞭を振り下ろした。

そして、

「バニーブルーっ

 いつものヤツを!!」

と叫ぶと、

「バニーフラッシュ!!」

バニーブルーの掛け声と共に光り輝く金色のウサギが姿を現すと

ミミズ男を一気に蹴散らして行った。

『うぎゃぁぁぁぁぁ!!!

 ブンブン総帥っ

 申し訳ありませしぇぇぇぇん!!!

 ナメクジ男…私の仇を…』

ミミズ男はそういい残して俺の前から消えてしまった。



「ったくぅ!!」

パンパン

ミミズ男が残した影を見ながら手を叩いて俺が振り返ると、

ジッ

バニーエンジェル達が俺をじっと見つめていた。

「なっなによっ」

その様子に俺は思わず言い返すと、

「ねぇ、バニーレッドちゃん

 バニーレッドちゃんって本当はニューハーフなの?」

とバニーブルーが尋ねてきた。

「なっなんで、そう言う風になるんだよ」

バニーブルーの問いに俺はそう言い返すと、

「だぁて、

 未だにバニーレッドちゃんの素顔見せてくれないんだもん。
 
 ねぇみんなっ」

バニーブルーはそう言うと他のメンバーの同意を求めた。

すると、

「そうねぇ」

「えぇ…」

バニーグリーン・バニーパープル・バニーイエローの3人はそう返事をしながら頷いた。

「はいはいっ

 判りました判りました。
 
 じゃぁ、見せてあげますわよ」

みんなのその様子に俺はそう返事をすると、

スッ

っと首のチョーカーに手を当て変身を解除した。

すると、

しゅるるるるっ

たちまち俺の変身は解け、

バニーレッドに変身する前の女子高生の姿に戻る。

「これでどう?

 疑いは晴れた?」

腰に手を置きながら俺はそう言うと、

「あっいやっ」

「ううん…別にね」

「うん」

バニーブルー・バニーグリーン・バニーパープルの3人は

そう返事をすると次々と変身を解いた。

「いやぁ…疑ってごめんね、あたし、青田亜由美よろしくね」

「あたしは緑川光子」

「あたしは紫雲紗緒」

と次々と変身を解除すると自己紹介をし始めた。

とそのとき、

「あれ?

 バニーイエローは?」

バニーイエローの姿がないことに俺が気づくと、

「あれ?、バニーイエローちゃん?」

バニーブルーだった亜由美が振り返りながら声を上げると、

『あぁ彼女にはちょっと役目を言いつけたわよ』

と言いながらラビが俺達の輪に割って入ってきた。

「なんだ、そうか…」

亜由美はそう返事をしながら笑うと、

「ようしっ、

 バニーレッドちゃんのお顔も拝見できたし、
 
 みんなでお茶しよう!!」

と提案をすると、

「賛成!!」

光子と美紗緒もそれに同意した。

「いやっ

 あっあたしは…」

「まーま」

学校に戻ろうとする俺を押しとどめるかのように、

亜由美たちは俺を引きずっていったのであった。



おわり