風祭文庫・モノノケ変身の館






「おさげ髪の吸血少女」
(第四夜:夜の教室)

作・編髪(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-248





「ああ…、

 あ…あはん」

「うふふふ」

結男によって吸血鬼にされた悦子が別の少年を毒牙にかける。

しかもただ闇雲に襲い掛かったわけではない、

襲った少年を興奮させ、

いきり立ったその性器に噛み付き血を吸っているのである。

「う…、

 うう…」

「うふふふ、

 いい気持ちでしょ」

襲われながらも少年は悦子の頭から伸びる

超長いツインテールの髪に恍惚感を抱いていた。

強い痛みを感じながらもこみ上げてくる快感によって、

気持ちが朦朧としてくるのであった。

「うう…、

 うう…」

悦子の髪から漂ってくる不思議な香りを嗅いでいるうちに、

自分がなんだか判らなくなってくると、

「あぁ…

 ち、血がほしい…」

と少年の口からその言葉が漏れる。

そう血を吸われる少年は少女と同じように身も心も吸血鬼になっていくのであった。

「おほほほ。

 あなた達はわたしの言うとおりにに動くのよ。

 そうだわ。

 まず、同じ学年の好きな女の子を襲いなさい。

 無論夜中にね。

 大丈夫よ、

 わたしも手伝ってあげるから」

夜中に少女たちを襲って吸血鬼にした結男は、

襲い吸血鬼にした少女達にむかって高々とそう告げると、

日が昇る前に家に戻り、

夜が来るまで眠るのであった。



そして迎えた夜。

すっかり暗くなった部屋の中で目覚めた結男が起き上がると、

自分の背中の上にぱらっと二本にまとめていた三つ編みの長い髪の毛がかかる。

「あっ」

その感触に結男は髪を肩から前のほうに垂らして見つめていたり、

灯りを点け、

鏡を覗き込みながら

あこがれていた姿になれた自分の姿にうっとりと見とれたりするのであった。

また髪を背中へと払い、

三つ編みを結んでいる毛先のヘアゴムがお尻がちょうど膨らんでいるところに

触れるを感触に興奮してくるのであった。

その時、不意に母親が扉を開け、

「おほほほ。

 結男はその髪形がいちばんお気に入りのようね」

と尋ねると、

「うん。

 ずっと女の子を見て自分もしてみたいと思っていたから」

頬を赤らめながら結男は答える。

「ふふふふ。

 その格好で今度は何をしてみたいのかしら」

「うーんと、

 女の子にこの髪の毛を撫でられたり、

 引っ張られたりしてみるとか」

母親の質問に対して少し考えた後に結男は答えると、

「そう、それは良かったわ、

 今夜はそれにぴったりなお客様を連れて来たところよ」

と母親は言う。

「えっ?

 お客様って」

「さぁ、入っていらっしゃい」

驚く結男には構わず母親は部屋の外に向かって声をあげると、

入ってきたのは近くに住んでいながらも

結男とは殆ど会話をしたことがない幼稚園の少女・水森美恵子だった。

「あっ!」

美恵子を見て結男は驚くと、

「うふふふ、

 おにいちゃんのかみ、

 とってもきれいね」

と恵美子は結男の髪を褒め始めた。

「ほほほほ。

 きれいって言われて嬉しいでしょう。

 しかも女の子に」

そう母親は言うが、

だが笑ってみせる美恵子の口にも牙があり、

どうやらすでに吸血鬼にされていたようである。

「さあ、一緒にお風呂に入るのよ。

 身体と、

 特に髪の毛は折角長くしたんだから、

 いつも綺麗にしておかないとね」

そう言って聞かせる母親に連れられて結男と美恵子は風呂場に行くと、

結男はその場でまたも母親の吸血行為を受けたのであった。

「ああ、ああん…」

「おほほほ。

 もっと女の子の様に鳴いてみるのよ」

「あん、ああん…」

「おちんちんだけはしっかり勃っているわね」

三つ編み姿のまま背後からうなじに牙を当てられた結男は母親に吸われ、

さらに三つ編みの髪の毛を両方とも鷲掴みにされると、

思いっきり引っ張られる。

そしてしばらくすると、

先程の幼女である美恵子が裸のまま入ってきたのである。

「さ、美恵子ちゃん。

 あなたはお兄ちゃんの正面から飛びついておやり」

「うん」

結男の母親に言われるまま、

美恵子は結男の正面から飛びつくと

両手で結男の三つ編みに結っている髪の毛の中ほどを鷲掴みにし、

結男の首に牙を立ててみせる。

美恵子も髪の毛をお尻まで長くして広げており、

結男の肩に髪の毛をばさっと掛けると、

その香りを嗅がせ結男の意識を朦朧をさせる。

「ああ、痛いよぉ」

「おほほほ。

 長くした髪の毛を引っ張られて痛みを感じるのも、

 髪の毛を長くしたことができたために味わえるのよ」

痛みを訴える結男に向かって母親はそう言うと、

「おにいちゃん、わたしをだいて」

と言いながら美恵子がせがんで来た。

「えっ?」

「おほほほ。

 この女の子は結男のことが気に入ったようね。

 嬉しいでしょ、

 しかもこんな長い髪の毛の女の子に好かれるのは。

 ほら、折角だからあなたも女の子の髪を撫でておやり」

母親に言われるまま結男は美恵子の髪を撫でた途端。

「あっ、

 うっ

 うっ

 うぅぅぅぅ!!」

手から伝わる感触にイッてしまったのか、

結男は精液を出してしまったのであった。

「おにいちゃんったら、

 すごくでるのね」

それを美恵子が指摘すると、

結男が真っ赤に頬を赤らめる。

すると、

「あらあら

 こんな小さな女の子に、

 しっかり言われて立場がないわね」

と母親は冷やかすように指摘すると、

「ああ…」

結男はどうすることも出来ずにただ滴り落ちる精液の温かみを感じていたのであった。



一方、

悦子の他にもう一人結男に襲われて吸血鬼になった者が居た。

宮野昌子。

彼女は別の男子生徒の家に侵入し、

その生徒を吸血鬼にしたのであった。

「うふふふ」

「うわーっ!」

三つ編みにしていた髪の毛は解き、

その自慢の黒髪を男子生徒の肩にばさっと掛け、

昌子は男子生徒の首に噛み付くと、

流れ出る血液を吸っているのであった。

昌子に血を吸われる男子生徒の意識は次第に朦朧となっていくと、

口から牙が生え、

男子生徒は吸血鬼へとなっていく。

「おほほほ。

 あなたもこれで吸血鬼よ」

昌子に睨まれながらそう告げられると、

男子生徒は首を縦に振る。

こうして平和な少年少女達の間に忍び寄るように

吸血鬼が増殖していくのであった。



結男は次の日も夜が来るまで眠りに付き、

夜が来た時に目覚めるのであった。

その日の夜明け前に髪を洗って乾かしていたため、

三つ編みも解いていて束ねないままであった。

起き上がった体の肩の上からばさっと自分の体に髪の毛が掛かり、

結男は鏡の中の自分の姿に見とれてみせる。

するとまた母親がやって来るなり、

「おほほほ。

 今夜は学校に行くのよ」

と告げたのであった。

「えっ?

 学校に?」

母親の思わぬ言葉に結男は驚くと、

「この服と下着に着替えなさい。

 着換えたらあとで髪の毛を編んであげるから」

と言い残し去っていく母親が用意されていたのは、

女子用のスカートと下着であった。

「これを…

 着るの?」

頬を赤らめてスカートを見る結男であったが、

だが胸の高鳴りを押さえつつ意を決すると、

普段から女子の着こなしを見て来たためか、

何無くそれらを着こなし、

そして母親の元へと向かっていく。

「ほほほほ…

 すっかり女の子になっちゃって、
 
 さぁ、そこに座りなさい」

と言われるまま導かれた鏡の前で結い男は母親に髪を梳かされ、

女学生を思わせる三つ編みのおさげ髪に結われる、

「おほほほ。

 勉強もしないでいるわけにはいかないから、

 夜間の学校にも行ってくるといいわ」

母親に送られて、

結男はすっかり少女の姿になって学校へ向かうのであった。

だが、結男のいつも通っていた小学校とは、

同じ場所なのに雰囲気がどこか異なっていた。

「結男くんね?

 あなたはここの教室ね」

こんな先生いたっけと思うような、

見たことのない若い女子教師が案内されて、

結男は夜の校内を進んでいく、

そして後ろから教師を見ると

この教員も髪の毛を腰から尻まで長くしていたのである。

その教師に案内されて入った教室も灯りのついていない真っ暗な教室であるが、

だが既に大勢の生徒が登校しているのである。

けど薄灯りで見える人影は異様であった。

そう、その教室には女子だけしか居ないのである。

しかも、みんな髪の毛を肩から最低でも三つ編みができるぐらい長くし、

じっと前を見据えていたのであった。

「さ、みんな入り口に張ってある表のとおりに席について」

さきほど案内していた女子教師の言葉で全員が自分の座席に着いてみせる。

どうやらこのクラスの担任もこの若い教師のようである。

「じゃあ、みんな出席をとるから返事してください」

事実、その名前をあげられた者たちが結男を除いてみな女子の名前で、

返事したのも女子ばかりであった。

「はい、これで全員いますね」

という教師の言葉どおり、

このクラスには男子は結男のみであり、

しかも、三つ編みをしているのも自分だけだったのである。

「それでは、

 今日の最初の授業は人の血を吸うやりかたについて行います」

それを聞いて結男は驚ろくが、

だが他の者は平然としていて、

どうやら驚いているのは結男一人だけのようであった。

「早速ですが、

 だれかひとり実験台になっていただきます。

 そうだわ、一人だけ男の子がいるから、

 結男くん、

 いいわね」

と言いながら教師は結男を指してみせる。

「えっ?」

それと同時に他の者じは皆結男の方を振り向き一斉に口を開き、

ギラリと光る牙を出して見せると、

「あっ、あの…」

結男は困惑しながら腰を浮かせる。

「おほほほ。

 ここにいる女の子たちも全員吸血鬼。

 結男くんもいままで女の子の血を吸っていたのだから、

 いまはたっぷり血があるでしょう」

そんな結男に向かって教師は指摘すると、

「うわっ」

「くくくく」

「くくくく」

牙を生やす女子達は一歩一歩踏みしめるようにして結男に近づいてくる。

「ほら、ぼやぼやしていると、

 吸血鬼になったばかりの女の子達は誰の血を吸っていないから、

 結男くんを目がけてくるわよ」

と背後から教師の声が響くが、

「ああっ」

立ちすくんでいる結男の周囲に大勢の吸血少女たちが迫ってくるのであった。



つづく