風祭文庫・モノノケ変身の館






「祭の日 '04夏」



原作・カギヤッコ(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-094





ミーンミンミン…

ようやく梅雨が明けたばかりの夏空の下、

メモを片手に一人の少女・狩野美和子が歩いていく。

「えっと…確かこの辺のはずなんだけどなぁ…」

何かを探すようにして美和子が歩いて行くと

やがて彼女の行く先にある森から、

テンツクテンツク…

と祭囃子の音が微かに聞こえてきた。

「あっ、あの杜か…」

その音に気づいた彼女はそう呟くと

こんもりと盛り上がる森をキツイ視線で見つめると道を急いだ。



「すみませーん…」

ミーンミンミン…

蝉の鳴き声が響き渡る社務所で美和子が声を上げてしばらくすると、

「はい…」

と返事とともに巫女装束姿の女性が顔を出した。

見た目の年齢は美和子よりも年上だろうか?

しかし、身にまとった白に朱色のコントラストが美しい巫女装束と、

水引で括った長い髪がどこか神々しさを感じさせていた。

「あっあのぅ…、

 アルバイトのことで電話をした…」

出てきた巫女の美しさに一瞬呆気にとられていた美和子だったが、

しかしスグに来意を告げると、

「あぁ…狩野さんね」

巫女は合点がいったような表情をすると、

「ちょっと待ってて下さいね、

 いま、おじいちゃ…じゃなかった神主さんを呼んできますから…」

美和子にそう告げ、社務所の奥へと戻って行く。

「はぁ…きれいな巫女さんだったなぁ…」

まだ幼さの残る自分とは違い、

大人の女性の色気をもたたえた彼女の後ろ姿を眺めながら美和子はそう呟く。

「へぇ…これが私…」

それから約一時間後、美和子は自分の巫女装束姿を眺めていた。

その後ろで先ほどの巫女・北嶋香奈恵がなれた手つきで美和子の髪を束ねると、

キュッ!!

と美和子の髪を水引で縛った。

「うん、可愛いわよ」

ポンと肩を叩きながら香奈恵が感想を言うと、

「えぇ…」

恥ずかしいのか美和子は頬を赤らめながら返事をした。

すると、

「ほほぅ、

 いやなかなか…」

そんな彼女達の前に中肉中背でにこやかな表情をした神職姿の男性が入ってきた。

この神社の神主の田上武雄である。

「いやぁ…、なかなかのベッピンさんだねぇ」

満身の笑みを浮かべながら武雄は美和子を眺めると、

「おじいちゃんっ、ダメよ、セクハラをしては」

すかさず香奈恵がたしなめた。

「おじいちゃん?

 あっ、香奈恵さんは神主さんのお孫さんですか?」

彼女の言葉を聞いて驚きながら美和子が訊ねると、

「まあね…」

片づけをしながら香奈恵は答えた。

「オホン!!」

バツが悪いのか武雄は咳払いをすると、

「さて、いよいよ明日、

 この田神神社の夏の大祭が開かれます。

 美和子さんに来ていただいたのはその大祭の為なんです……」

と説明をし、

「はぁ…… 

 本当はもぅ少し巫女さんを雇いたかったんだけど、

 アルバイト情報誌を見てきてくれたのは美和子さんだけとはねぇ」

と内情を呟きながらがっくりと肩を落とした。

「あのねぇおじいちゃん…

 いくらアルバイトとは言ってもねぇ、

 こんな田舎の神社にそんなに人が来るわけがないでしょう」

そんな祖父の様子に両手を腰において香奈恵が注意すると、

「あっ、あたし…こう言う所が好きですし、

 それにちょっと憧れもあったんです」

やや肩を狭くして美和子が言うと、

「いいのよ、そんなお世辞なんて…」

「いえ、お世辞だなんて…

 こう言う所で働けたら良いですねぇ」

美和子は境内に視線を向けながらそう言う。

「そぅ?」

怪訝そうな顔をして香奈恵が返事をすると、

「では、香奈恵…私はちょっと用事があるので出かけるけど、

 美和子さんに作法などを教えてあげてくれないか?」

武雄はそう言い残すと神社を後にした。

「…何かあるんですか?」

見送りながら美和子が訊ねると、

「お祭りの関係で警察やら役所の人と相談をするんだって」

香奈恵は肩を窄めながら答えた。



「で、ここがこうなって…」

「違う違う…」

「あっ、そうそう…」

美和子は香奈恵より儀式などの作法一通り教わると、

「ちょっと休憩しない?」

と彼女から誘われた。

プシュッ!!

二人並んで冷えた缶ジュースを飲んでいると、

「ねぇ、美和子さん」

不意に香奈恵が美和子に話しかけてきた。

「はい?」

美和子が振り向いて返事をすると、

「あなた…ここ田神神社のご神体、何なのか知ってる?」

と聞いてきた。

「あぁ…確か、すごく変わったものだと聞いていますが…」

「あら、知っているの?」

美和子の返事に香奈恵は驚いた顔をすると、

「えぇ、

 ガイドブックで読みました」

と美和子は返事をした。

「ふぅぅん、そうなんだ…

 ガイドブックに載るなんて、
 
 この神社も有名になったのね」

自分の立てていたシナリオとは違う展開に戸惑いながら

香奈恵は残念そうな顔をすると、

「あっ、

 ひょっとして、いま見せてくれるのですか?」

と美和子は話を切り返す。

「え?

 えぇ…

 狩野さんが見たいというのであれば…」

美和子のパワーに圧倒されながら香奈恵はそう返事をすると、

「うわぁぁぁ!!

 見たい。

 見たいです」

と美和子は香奈恵に迫った。

「……わかったわ、じゃぁ見せてあげる。

 あたしに付いて来て…」

美和子の熱意に香奈恵は腰を上げると本殿へと向かって行った。

「あのぅ…でも、いいんですか?

 勝手に入って…」

本殿を前にして美和子が心配そうに尋ねると、

「今更、なに言っているのよっ、

 見たいといったのはあなたでしょう?

 それにあたし達は巫女っ

 問題は無いわよ」

と香奈恵は返事をし、

「あっそうだったけ」

美和子はその指摘にハタと気付いた。

こうして本殿の奥へと入っていった美和子と香奈恵に"それ"は無言で姿を現す。

「うわっ……

 すっすごい…」

”それ”を見た途端、美和子は思わず息を飲むと、

彼女の前にあるのは大きさは約1m半、

一抱えもある胴回りと、

亀のような頭を持った"それ"はまさしく男の性器・ペニスそのものだった。

「男性器をご神体にしている神社はいくつかあるけど、

 この神社のはそのリアルさと大きさ共にトップクラスよ」

ご神体を前に誇らしげに香奈恵はそう説明をすると、

「うわぁぁ、

 本当に男の人のペニスの形をして居るんだ…

 しかもご丁寧にキンタマまであるなんて…」

ご神体を見つめながら美和子が興味深そうに言うと、

「あなた…つき合っている人居るの?」

と囁くように香奈恵が尋ねた。

「え?」

フルフル…

思いがけない香奈恵からの問いに美和子は驚くとあわてて横に振ると、

「じゃぁ…男性経験は?」

と香奈恵は続いて尋ねる。

「そっそんなもん無いですよ!!

 第一、あったら巫女にはなれないでしょう?」

顔を赤くして美和子が反論すると、

「それはそうよねぇ…(ニヤ)」

それを聞いた香奈恵の顔がかすかに笑い、

そして、

「ねぇ、良いことを教えてあげましょうか?」

と本殿に差し込む光を背にして香奈恵は美和子に囁いた。

「は?」

彼女の言葉に美和子が聞き返すと、

「そのご神体の亀頭を手で3回なでると、

 未婚の女性は夫が見つかり、

 既婚の女性は子供が授かり、

 そして、妊婦は安産で子供を産むって言われているのよ。

 ねぇ…物は試しに美和子さんも撫でてみてはどう?」

と誘うように香奈恵は言った。

「…えぇっ!?」

彼女のその言葉に美和子は声を上げると、

「あたしは…今はそんな…」

と困惑しながら返事をすると、

「ほらっ、モノは試しって言うじゃない。ねっ?」

強く促すようにして香奈恵は美和子に言った。

すると美和子は、

チラッ

ご神体を一目見て、

「3回撫でればいいの?」

と、香奈恵に念を押した。

「…そうね、

 それでいいけど、

 どうせならその先端をあなたの腰…

 そう、アソコの辺りに当ててみたらどうかしら?

 ご神体の霊力がより強く宿るかもよ」

香奈恵は妖しげな表情でそう告げる。

それを聞いた美和子は思わず赤面と身震いをしたが、

それでも意を決したように右手の袖をまくると、

ゆっくりと御神体に近づいていく。

「なんだか妙な感じだけど…」

 ご神体の先端をちょうどいい高さに股間の位置に合わせる。

「ん…」

感じこそしないが複雑な感覚が彼女を襲う。

それをこらえながら亀頭にそっと手を乗せた。

香奈恵は黙って美和子の行為を見つめている。

とその時、

ドクン

ご神体が一瞬脈動した。

「え?」

美和子はそれに驚くと手を止めた、

「どうしたの?」

香奈恵が美和子にその訳を訊ねると、

「いま、これ、動かなかっ…」

と言いかけると、

「ううん、何でもない…」

美和子は首を振ってそう言い直すと、

1回、2回、とご神体の亀頭をゆっくりと撫で、

そして3回撫でた時、

ムクムクムク!!

突然ご神体が大きく勃起すると、

ブシュッ!!

美和子に向けて液体を発射した。

「きゃっ!!」

突然の事に驚いた美和子だったが、

しかし、避ける間もなく美和子はご神体が放った液体を頭から被ってしまい、

また同時に

シュッ

彼女の身体に何かが入ってきた。

「あ…っ」

その途端、美和子の意識が徐々に遠のいていくと、

ドサッ!!

彼女はその場に倒れてしまった。

「フフフフ…」

そして、倒れた美和子の姿を見下ろしながら香奈恵は静かに笑う。



「なんと、美和子さんがご神体に触れてしまったのか?」

打ち合わせから戻ってきた武雄が香奈恵より美和子がご神体に触れ、

ご神体が放った液体をまともに浴びてしまった事を告げられた途端、

彼の表情はこわばった。

「で、美和子さんは何処に…」

「あっこっちです」

そう言って美和子を気遣う武雄を香奈恵は奥の和室へと連れて行く、

8畳間の部屋の敷かれた布団に美和子は寝かされていた。

「取りあえず、ご神体の液体はふき取りましたが…」

と経過を説明する香奈恵を余所に武雄は

バッと美和子が寝ている布団をめくり上げると、

シーツの上に寝ている美和子の裸体が現れた。

「………」

じっと目を凝らすように武雄が美和子の身体を観察していると、

ムクッ!!

突如、美和子の乳房が盛り上がるのと同時に、

ピクッ!!

彼女のクリトリスがふくれ始めた。

「こっ、これは…」

その様子を見た武雄は声を上げると、

「間違いない、美和子さんの中にマラ様が降臨なされた」

と告げ、

「香奈恵…

 なんで美和子さんをご神体の所に連れて行ったんだ?」

と彼女の行動を窘める言葉を言った。

「…えっ、それは…

 ご神体の話をしたら美和子さんが是非見たいって言うから…」

バツが悪そうに呟くようにして香奈恵が事情を説明すると、

「だからと言って、連れていく奴があるか、

 お前は前にも同じコトをしたろう」

と武雄は香奈恵を怒鳴った。

「ごっ、ごめんなさい…」

香奈恵はそう言って謝ると、

「とにかく、マラ様が美和子さんに降臨なされたと言う事は、

 彼女の身体はもうじきマラ様になると言う事だ。

 すでにその兆候は現れておる。

 全く、香奈恵…お前はまたとんでもない事をしてくれたんだぞ。

 今回こそは田所の血を引くお前がマラ様を迎え入れるはずだったのだからな」

武雄は美和子に布団をかぶせながら、

香奈恵にキツく言うと部屋から出て行った。

そして、ひとり香奈恵が部屋に残されると、

「………ふん、だれが好き好んでマラ様なんかになりますか。

 マラそのものはともかく…、

 まぁ、今回もこの子にあたしの変わりとしてマラ様になって貰いましょう」

と、香奈恵は冷たい目で美和子を見ると、そそくさと部屋から出て行った。

"ん…あん…

 何かが…あたしの中で…

 あたしが…溶けて…一つに…"

パチッ。

「ん?」

翌朝、奇妙な感覚にうなされ続けた美和子が目を開けると、

「あれ?、

 あたし…どうしたんだろう?

 確か、本殿で香奈恵さんとご神体を見て、

 それに撫でた時に…

 何かがあたしの中に飛び込んできたんだ…」

そう思い返しながらキョロキョロと部屋の様子を探った時、

「!!」

自分の胸にやや重めの圧迫感を感じた。

「?…あたし、こんなにオッパイ大きかった?」

美和子が自分の胸に手を持っていくと、

掌に素肌の乳房の感触が伝わる。

「あたし裸?」

と気づくと同時に、

ゴリン!!

彼女の乳房の中で何かが動いた。

「うっっ!!」

その感覚に美和子は思わずうめき声を上げると、

「え?

 なに?

 今の?」

と呟きながら再び熱を帯びる乳房に手を伸ばすと、

ニュルン!!

両乳房の中にボールのような物体がある事が解った。

「いやだっ、オッパイの中に何か入っている!!」

それに気づいた美和子が悲鳴をあげると、

ビンッ!!

股間からも何か異様な感触が伝わって来た。

「こっこっちはなに?」

恐れおののきながら美和子が手を股間に這わせそっと触って見ると、

ピクッ

「あんっ!」

 まるでピンポン玉のような大きさに膨れ上がっていたクリトリスの感触が

美和子の前身を走った。

「いっ、一体どうなってんのっ!」

美和子はそう叫ぶとグッと起きあがろうとしたが、

次の瞬間、彼女の身体は金縛りにあったように動かす事が出来なくなった。

「え?

 なんで?

 身体が動かない…」

首を動かし髪を振り乱しながら、

美和子は必死になって唯一動かせる腕を使って布団をはぎ取ると、

灯りの下に彼女の裸体が照らし出されるが、

しかし、

ムリムリ…

ムクムク…

苦痛と快感が繰り返し襲う中、美和子の目の前で彼女の乳房は膨らみ続け、

次第に美和子の身体はいびつなモノへと変化していった。

「あっ…うっ…あんっ…くうっ…」

時間が経つに連れ、美和子の乳房はさらに膨らみ、

また股間のクリトリスがピンポン大からソフトボール大、

さらにバレーボール大へと膨らんで行く。

「あっ…やっ…止めてぇ!!

 クウッ…誰か助けてぇ!!」

それを見た美和子は悲鳴のように助けを呼んだが、

しかしその声を聞きつけて駆けつけてくるモノは誰もいなかった。

「香奈恵さん、田所さん!!」

なおも呼び続ける美和子だったが、その間にも彼女の身体は変化を続けていた。

巨大化したクリトリスに縦の溝が現れると、

ピチュッ!!

と口が開き、

その一方で内部に"タマ"が成長している乳房はそれに合わせるようにしてさらに膨らみを増し、

そしてその表面には幾筋ものシワが刻まれてはじめていた。

「いやぁぁ…やめて…誰か助けて!!」

力無く美和子は声を上げるが、

しかし、大きく膨らんだ乳房はすでに乳房ではなく男の股間にぶら下がっている陰嚢と化し、

また身体の中では溶けて無くなった骨格の変わりに成長する海綿体が支え始めていた。

その姿はさながら人の形をした無様な肉の塊のようでもあった。

「うううう…」

ムリムリ…

ムリムリ…。

膨張するペニスと入れ替わりに感覚を失い縮んでいく手足が

膨れていく体に飲み込まれて行き

胴体=陰茎が大きく伸びた美和子の身体はもぅ何処を見ても巨大なペニスにしか見えず、

そして、変身がようやく止まった時には

美和子の顔は陰嚢と化してしまった乳房の間に埋もれている状態になっていた。

―しくしく―

変わり果てた自分の姿に美和子はすすり泣いていると、

閉められていた障子がスッと開き、

神職姿の武雄が部屋に入って来る。

そして、ペニス化した美和子の姿を見るなり、

「…あぁ…もぅマラ様となられてしまいましたか…」

とため息混じりに呟き、

続けて、

「美和子さん、まことに申し訳ありませんが、

 美和子さんにはご神体・マラ様として祭に出てくれませんか?」

と頼んだ。

「マラ様?

 …それよりもコレは一体なんですか、

 何であたしの身体は男の人のオチンチンに…」

必死になって美和子が自分の変身の理由を問いただそうとすると、

「それは、美和子さんにマラ様が乗り移られたからです」

と静かに武雄は告げた。

「マラ様?に乗り移られた?

 マラ様って?」

武雄の説明に美和子が聞き返すと、

「マラ様とはこの神社のご神体でして、

 それに手を触れると、

 未婚の女性は夫が見つかり、

 既婚の女性は子供が授かり、

 そして妊婦は安産で子供を産む。

 と言われています」

と昨日香奈恵が美和子に説明をした事を再び告げた。

「それは昨日聞いたわ…

 じゃぁそのマラ様があたしに乗り移ったから、

 あたしはオチンチンに変身したの?」

「はい…実はこのマラ様は50年に一度若返りの為の再生を行うのですが、

 実は3年前の祭のとき間違いがありまして、

 マラ様は十分に若返ることが出来ませんでした。

 それで、今年、仕切り直しの意味を込めての祭だったのですが…」

と武雄は残念そうに言うと、

ジロッ

っと後ろに控えている香奈恵をにらみつける。

「……」

祖父の視線に香奈恵はそっぽを向くと、

「こほんっ

 という訳ですので、

 美和子さん、誠も申し訳ありませんがマラ様をお願いいたします」

と武雄は手を着いて頭を下げる。

「そんなぁ…」

武雄の返事に美和子は驚いていると、

「では、早速で申し訳ありませんが、まもなく祭が始まります。

 御支度を…」

武雄はそう美和子に告げるなり、

パサッと彼女の前に黒染めの布束を置いた。

「なっ、何を…」

彼の行動を見た美和子が声を上げると、

「先ほども申しました通り、

 マラ様となられた美和子さんには

 これからご神体として祭に出て貰います。

 その為に、この廻しを締めていただかなくてはありません」

と言って美和子の身体を持ち上げると、

パサッ

彼女の顔を隠す様に廻しをかぶせた。

そしてそれを美和子の背中に回すと、

今度は陰茎に巻き付けて行く。

「やっ、止めてぇ…」

美和子は声を上げたが、しかし武雄は容赦なく廻しを締めていく、

そして、ギュッ!!

と締め上げると美和子の陰嚢を2つに分けるように廻しが締められた。

事実上顔を隠された美和子には自分の姿が見えないのが唯一の救いだった。

ビン!!

「ウッ!」

廻しを締められたためか美和子の身体は大きく勃起していく。

その衝撃が一瞬快感となって美和子を襲った。

「ではマラ様…参りましょう」

武雄は美和子にそう告げると、

ダッ!!

部屋の外で待機していた下帯姿の男たちが部屋の中に入ってくるなり、

ソレ!!っと、勃起している美和子の体を勢い良く持ち上げると、

部屋の外に用意した輿に乗せ、

そして、境内で今か今かとご神体の登場を待っている参拝客の前へと引き出していく。

その姿を香奈恵があざ笑うかのような目で見ていた事さえ知らず…。

「きゃぁー!!」

ご神体=美和子の姿を見た参拝客の中から女性達が我先にと飛び出す。

その声と勢いを全身で感じた美和子に戦慄が走る。

『そんな…

 あたし…

 みんなの前で裸に…

 しかもこんな姿で…。』

そんな美和子の気持ちも知る事なく女性達は彼女の傍によると、

黄色い歓声を上げながら次々と伸びた手が美和子の亀頭や陰茎を触り始めた。

『やっ、やめて!!

 そんなに乱暴にさわらないで!!』

タテミツに顔を隠され外の様子が分からない美和子が

必死になって自分の男根を触りまくる手から逃れようとした。

「すごい、久方ぶりにまた生きているみたいなマラ様に出会えるなんて」

「ほんと、動くわ」

女性たちは動くマラ様に驚きながらも、行為をやめようとはしなかった。

そして、彼女たちの手は美和子の陰茎や亀頭を容赦なく襲い、

その触感は否応なしに美和子を刺激した。

『あっ、だっ、だめぇ…』

グングン!!

見る見る美和子の身体は膨張し大きくなっていく。

陰嚢の中でも熱く激しい何かが

猛烈な勢いで生み出されその中を駆け抜けつつある。

「…凄い、このご神体、勃起するぅ!!」

女性達の黄ばんだ声が美和子をさらに刺激した。

『いや、そんな事言わないで』

廻しに覆われた中で美和子は叫ぶが、

その声に耳を傾ける者は誰一人居なかった。

ツツ…

鈴口から涎のようにガマン汁が流れ始める中、

ペチペチ、

ペチペチ。

それを見た参拝客達は一刻も早くマラ様を射精させようとして

美和子の体を叩き続けた。

『いやぁぁぁ…

 そんなに叩かないで、さわらないで…

 お願い、出ちゃうの…』

身体を覆う快感に恍惚としながら美和子は呟いていると、

その時、

サワッ

誰かの手が美和子の裏筋をそっとなで、

さらにカリ首の両脇を軽く引っ掻いた。

『あっ』

その途端、美和子の視界に火花が散った。

すると、

ジュッ!!

陰嚢となった乳房の中にある睾丸から作られた大量の精液が

美和子の中を一気に流れ下ると、

プシュッ!!

と、空に向けられた鈴口より白濁した精液を高く遠くへ吹き上げた。

「きゃぁぁぁぁ!!」

「おぉ!!」

パチパチパチ!!!

それを見た参拝客達の悲鳴とどよめきがあがると、

大きな拍手に包まれた。

『あぁぁぁぁ…

 出ちゃった、

 あたし…出しちゃった…

 女の子なのに、一人でした事もそんなにない女の子なのに、

 みんなの前で裸になって、

 しかも男の人のオチンチンになって…

 よってたかって触られて…

 出しちゃったよぅ…』

射精後の虚脱感に包まれながら美和子は呟いていると、

萎えた美和子の身体を再び参拝客は美和子の身体を触り始める。

「あっ…」

ムクリ…

感じてくると美和子は再び勃起した。

『あっ、やめて…

 さっき出したばかりなのよ、

 出る訳…出る訳…あっ!』

再び勃起し激しい勢いで精液を吐き出す美和子。

再び歓声が辺りを包む。

香奈恵は物陰でその様を見ていたが、

その顔はなぜか赤くほてり、

その手はいつしか巫女装束の隙間を縫って乳房と股間に伸びていた。



こうして一日が過ぎ、夜が更けた頃…

美和子にとって悪夢だった祭はようやく終わった。

ぐったりとした彼女の身体が腰からおろされると、

廻しを外され、

美和子の身体が丁寧に洗い清められる。

「お務めご苦労様でした。

 お務めが無事終わったので、

 明日の朝には元通りに戻っていますよ」

と田所がねぎらいの言葉をかける。

しかし当の美和子はと言うと、先ほどまでの興奮が抜けないのか、

「ハァ…ハァ…」

と全身を振るわせるだけで、

「…マラ様を宿した娘の精でご神体は甦り、

 マラ様もまたご神体に戻る。もちろん娘も元の姿に戻る…」

と言う田所の言葉も耳には入っていなかった…

その夜。

ピクッ、ピクッ、ピクッ、ピクッ…。

「ああ…いいわ…もっと…」

本殿の中で美和子は元の姿に戻ろうとしていた。

全体が黒ずんでゆく中、陰嚢はますます大きく膨らみ、

陰茎も太く、長くなってゆく。

反対に彼女の顔はその中に埋もれ、見えなくなって行く。

祭りの間異形の姿になった裸身をさらし、

多くの女性に触れられ羞恥と快感の中で幾度となく射精を繰り返すうちに、

ペニス(男性器)と化した事で全身を駆け巡る男性ホルモン、

そして何より彼女の肉体と精気を気に入ったマラ様の魂が

彼女の意識を性的経験の浅い少女のものから

たくましいまでの性的本能と精力に満ちた男根のそれへと変貌させて行ったのだ。

そしてその肉体もよりたくましい男根のそれへと変貌している。

そう、彼女は狩野美和子と言う女性としてのではなく、

田所神社のご神体、マラ様としての"元の姿"に戻ろうとしていた。

「はぁ、はぁ、

 女のアソコにあたしの全身を入れたい…

 あたしの魂を出したい…

 やりたい…

 やりたい…」

悶々とする美和子の前で本尊の扉が静かに開く。

「だ、誰?」

それに気づいた美和子が静かに声を上げると、

その先には白い衣装に身を包んだ香奈恵の姿があった。

「…香奈恵…さん…?

 ちょうどいい、

 させて、

 させてちょうだい…」

見動きできない体を振るわせる美和子をじらす様に

香奈恵は静かに微笑むとスルリと衣装を脱ぎ落とす。

その下には何も身に付けておらず

白い素肌と神々しさと言うより大人の女性の妖しさをまとった姿があった。

「うおぉぉぉぉぉぉ…」

美和子の歓喜の声が響く。

香奈恵はそれを見ると、

「うふふ…美和子さん、立派なマラ様になって…

 ほんとたくましくて素敵…」

と美和子の陰茎にスルリと白くて長い手を回し、

柔らかい両の膨らみを押し付ける。

グンッ!!

美和子の全身がさらに伸びる。

「あらあら、もうこんなになっちゃって…

 待ってて、あたしも準備するから…」

そう言うと彼女は美和子をちょうど胸の谷間で

亀頭をはさむ様に下向きで抱きしめた。

ピクッ!

「うっ!」

香奈恵の柔肌がまとわり付く感触に

思わず美和子の全身が引きつる。

それを見て笑みを浮かべながら香奈恵はそのまま全身を摺り寄せ激しく上下に揺らすと、

「あっ、香奈恵さん、

 もっと、もっと激しく…」

既にマラ様の本能に飲まれている美和子にとって

その行為は快感以外の何ものでもなかった。

みるみる亀頭から体液のしずくがたれ始める。

それにもかまわず香奈恵はさらに激しく全身を動かすと、

「うっ、うっ、うっ、うっ…」

大きく、硬くなった陰茎が彼女の乳房と股間を激しく刺激する快感が香奈恵を襲った。

そして、

「うっ!」

「あぁ〜んっ!」

二人が絶頂の声を上げた時、巨大な男性器から激しい体液が吹き出し、

また、香奈恵の股間からも激しい勢いで鉄砲水が吹き出した。

すると、

シュルシュルシュル…

見る見る美和子の体が小さくなっていくと、

全く間にながさ20cm程度の大きさへと小さくなってしまった。

「はぁ、はぁ…

 ホント、古文書にあったとおりだわ…

 まぐわう女の手に落ちたときマラ様は大きさを変えるって…言う話は

 そう、
 
 こっこれで、準備OKよ…

 さぁ美和子さん、いやマラ様、あたしに…頂戴…」

体液まみれになり、絶頂の余韻に浸る体を引きずりながら

立ち上がると香奈恵はそのまま自分の股間に美和子の亀頭をあてがう。

「あたしね…これでも始めてなのよ…

 だから…"あたし"を…あなたにあげるわ…」

と言うや美和子をそのまま胎内に突き刺した。

「うっ!」

一瞬苦痛が走るが彼女の母胎ははるかに巨大な美和子を見事に受け入れた。

その姿を満足そうに見つめる香奈恵。

「…ふう…さあ、マラ様、

 あなたの熱いものを…あなたの男を…」

そう言うとそのまま全身を前後にスライドさせ、

「あうっ!

 おうっ!

 ううっ!

 早く!

 早くあなたの男を頂戴っ!」

苦痛と快感に香奈恵の顔が歪むと、

「うっ、うぁっ、すごい、

 このままじゃ、吸い取られちゃう…

 あんっ!

 はんっ!!

 あおぅっ!」

胎内で全身を締め上げる快感に美和子も歓声を上げ全身を振るわせる。

そして、高まった二人のエネルギーは同時に爆発した。

「ああああああああああああああーっ!」

「おおおおおおおおおおおおおおーっ!」

香奈恵もそれを待ち望んでいたかの様に香奈恵を激しく包み締め付ける。

「ハァ、ハァ…

 すごいわ、凄すぎる…

 もっと、もっと頂戴…」

絶頂の余韻に体をふらつかせながら

香奈恵はさらに美和子を自分の中に押し込む。

その行為に美和子は必死で抵抗しようとするが、

しかし、まともに見動きできない上

香奈恵の勢いに押されただ快感に酔う事しかできなかった。

姿こそ美和子の方が異形だが、

ひたすらに美和子を求める香奈恵はそれ以上の異形のようでもあった。

異形の交わりはまさに一晩中続いた…。



チュンチュン…

すずめの声が響く。

その声に目を覚ました女はけだるさを引きずりながら起き上がる。

「ん、んんん…」

女は自分が二本の足で立ち上がっている事に気がつく。

そして本能的に二本の腕で全身をまさぐる。

柔らかい素肌にそこそこのふくらみを湛えた乳房。

そしてささやかな茂みの中に隠れた"女の証"…。

「あたし…女になってる…人間の女に…」

女はすかさず祭壇に立ててあった鏡に顔を映す。

そこには"見なれた"少女の顔があった。

しかしそこからは少し大人の女性の空気も漂う。

「おんな…あたし…女…」

生まれ変わったと思しき自分の姿に思わず見とれる女は

そのまま座り込むと乳房と股間をわしづかみにする。

「あっ…」

全身の感触が女に"女"としての快感を呼び戻し、

同時にかつての自分を呼び覚ます。

そこに、

「…美和子さん、もう体は大丈夫ですかな?」

と言う声と共に田所が入って来た。

「キャッ!」

その声に思わず女は体を隠すと

そのショックで女―美和子は完全に我に返った。

「…美和子…

 そうだ…

 あたしは狩野美和子…

 確かこの神社にアルバイトに来て、

 そこでご神体のマラ様にさせられて、それから…」

そこで何かを思い出したかの様に立ち上がる。

「そうだ、香奈恵さん、

 香奈恵さんは?

 確かあたしを抱きたいと言って裸で抱きついてきて…

 あっあのぅ田所さん、香奈恵さんは?」

香奈恵の事に気づいた美和子はそう言って田所の肩をつかむ。

すると、田所は一瞬驚きながら、

「香奈恵さんってお前の事じゃ…む?

 あなたはもしかして?」

と聞き返した。

「はい、美和子です。

 昨日マラ様になっていた狩野美和子です」

と力強く答える。

それに対して武雄は、

「なんと…いえ、美和子さんが一瞬香奈恵に見えましてな。

 それでつい…」

と気まずそうに返し、彼女に薄手の羽織をかける。

ふと美和子が目をやるとそこにはかつての自分以上に大きく、黒い男性器が立っていた。

その姿に美和子と武雄は思わず息を飲む。

「ムム…なんと立派なマラ様ではないか…」

「これって…まさか…」

それを見た美和子は思わず口に手を置いてしまった。

そう、あの交わりの際

本来ご神体が受けるべき美和子の精を吸い尽くした彼女は

それにより見事なまでのマラ様に姿を変え、

反対に美和子は香奈恵の"女"としての要素を取り込み

彼女自身の幼さを残すかわいらしさと

大人の女性としての色気を兼ね合わせた女性の姿になっていたのであった。

「香奈恵さん!!…」

トタトタトタ!!

香奈恵の名を叫びながら慌てて武雄が本堂から出て行くが、

しかし、複雑な表情で美和子は新たなマラ様を見つめていると、

美和子の肩をポンっと誰かの手が叩いた。

「え?」

半ば驚きながら美和子は振り返ると、

「久しぶり美和子…」

と言う声と共に彼女の姉の祐美子が笑顔を見せながら立っていた。

「おっお姉ちゃん!!」

驚く美和子を他所に祐美子はマラ様を一目見ると、

「ついに、なっちゃったか、

 マラ様に…」

と呟くが、

そんな彼女の思いを知る事もなくマラ様は巨大な威容を湛えていた。



おわり



この作品はカギヤッコさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。