風祭文庫・モノノケ変身の館






「物怪人の恐怖」


作・風祭玲

Vol.1116





それは秋の風が吹き始めた”とある”夕暮れのこと、

場所は”とある”町にある”とある”公園。

その公園の真ん中にある築山の上に一本の樹が植わっていた。

”この樹、なんの樹…”

で始まるCMソングが流れてきそうな風体の樹だが、

何ゆえ、この樹がここに植わっているのか。

どのような謂れがあるのか、

それら樹に纏わる逸話を紐解いていくと話が長くなるので

この場では割愛する。



さて、周囲の迷惑を顧みずにどっしりと構える樹の根元で、

高校生と思える制服姿の男女が暮れなずむ街を見下ろしながら、

他愛のない話を延々と続けていた。

別に話で盛り上がっていわけでもなく、

愚痴を聞いているわけでも、

そして、痴情の縺れからの別れ話が拗れているわけでもない。

ただ、言えることは他愛のない話である。



すっかり日が落ちて星が瞬き始めると、

不意に二人の話が途切れ静寂が二人を包み込んだ。

空は月はなく満天の星空、

気温は20度そこそこ、

風はなく、

湿度も低いため不快な虫もほとんどいない。

まさに”絶好のコンディション”。

そして、

草地の上についていた男の手の上に

小さくて白い女の手が重なると、

ギュッ

とその手を握り締める。

「!!」

手の感触に驚いた大橋卓也は思わず振り向くと、

その視界に初旗まいんの顔が迫っていた。

「まっ、

 まいんちゃん」

そっと目を閉じて見せる彼女は

卓也に次のアクションへ移ることを要求していたのである。

まさに据え膳。

股間を立てるよりも、男を立てる時である。

ゴクリ

と卓也ののどが鳴り。

彼の心臓が打つ鼓動は瞬く間にレッドゾーンに突入すると、

血液が流れはハムスターが回す回り車のごとく高速回転を開始した。

だが、このシチュエーションによって彼の股間付近にて

著しい血液の滞留を誘発させてしてしまうと、

彼の体組織一部の体積が著しくしく増大し、

また硬度も増したことはあくまで男の嗜みの範疇である。



さて、この体勢になってすでに3分が経過し、

さらに10分が追加される。

そして30分の延滞が発生し、

あと17分で引き分け・再試合になろうとしたとき、

「もぅ早くしてよ」

とまいんの口から不満の声が漏れる。

気づけば崖っぷちであった。

そう、この試合には引き分け再試合というものはなく、

引き分けイコール敗北なのである。

これからの17分の間に二人の間で往復していたボールを支配し、

試合の主導権を握らなくてはならないのである。

確実にディフェンスを突破し、

そして、正面からの劇的ゴールをしなければならないのである。

「おっ、おうっ

 (気合だ)

 (気合だ!)

 (気合だ!!)」

固まっている間に抜けてしまった気合を注入し、

動きが悪い関節をギィギィ鳴らしながら

卓也は”まいん”を抱きしめようとしたとき。

『もぅ、いつまで固まっているのよ、

 足に根っこでも生えた?』

不意にその言葉が降ってきた。



「だれ?」

「誰だ!」

突然の声に”まいん”と卓也は周囲を見回すと、

チャポン!

亀と鯉しかいない築山の下にある池に波紋が広がり、

その波紋がゆっくりと築山へと向かってくる。

そして、

チャプンッ!

波紋の中から人の頭らしき影が水面に浮かぶと、

チャプン!

チャプンッ!

と音を上げながら人と思しき上半身が水面の中から姿を見せ、

さらにその左右より手の影を伸びると、

ザバッ

バシャッ

手を突き築山の下に這い出してくる。

「なっなに?」

「怖い?」

想定外の出来事に”まいん”は卓也にしがみつくと、

「”まいん”ちゃんっ

 さがってて」

と卓也は”まいん”を庇うように這い上がってきた者の前に出る。

すると、

ムクリ!

這い上がってきた者が立ち上がると、

びちゃっ

びちゃん

水の音を響かせつつ卓也たちに迫り、

近くの街灯が照らす明かりの範囲に入ったとき、

ヌラリ

その者の姿がはっきりと見える。



粘液に包まれた緑色の肌。

がっちりと硬くしまった甲羅。

水かきが張った両手・両足。

前かがみの体勢から顎を上に上げて

卓也たちを見つめる顔の上には

丸く口を開いたような皿が水をたたえていた。

「カッパ?」

「そっそうね」

驚いた表情を見せながら卓也と”まいん”は固まると、

姿を見せた”物の怪”は嘴をゆっくりと開け、

『けけっ』

と笑ってみせる。

「笑った」

「うん、笑ったね」

その声に二人は互いに手をとって震えると、

『怖いのかい?』

と尋ね、

『けけっ、

 私は化生ッカーの物怪人・カッパ娘』

と自己紹介をした。

「カッパ娘ぇ?」

「ちょっと無理があるんじゃい?」

「だね、ほら、

 ホウレイ線があるし、

 どう見ても娘はなぁ。

 カッパ婆…ならまだしも」

「それは失礼よ。

 ほら、ちゃんと胸があるじゃない。

 せめて、カッパ・オバサンって言ってあげないと」

「胸ぇ?

 確かにあるみたいだけど、

 バストなら必ずあるアレがないじゃん、

 これじゃぁ前についているラクダの瘤だよ」

などと二人が話をしていると、

『なにがっ、カッパ婆じゃっ、

 これは、ホウレイ線でないぞ。

 嘴の境目じゃっ!

 それにこのバストはれっきとしたDカップじゃ』

とカッパ娘は声を荒げた。

「なるほど」

その説明に二人はハタと手を打つと、

『お前らっ、

 ワシを馬鹿にしてただで済むと思うな』

負のオーラーを噴出して戦闘体制になると、

『けけけっ、

 そうっれっ、

 プリンプリン』

と声を上げてカッパ娘は胸を揺らしながら

不思議な踊りを始めてみせる。

その途端。

「うっ」

卓也は強い催眠効果を感じると

「だぁ!」

声を張り上げてカッパ娘の元に飛び込み、

思いっきり押し倒した。

バシャッ

頭の皿から水がこぼれる音が響き、

『うぎゃぁぁ!』

闇夜にカッパ娘の悲鳴が上がると、

『水が』

『水がぁ』

空になった皿を抑えながらカッパ娘はのたうち回る。

すると、

「このぉ!」

卓也は苦しむカッパ娘を思いっきり蹴り上げると、

ドボン!

池へと突き落とした。

そして、

「逃げるんだ!」

”まいん”の手を引いて卓也は走り出す。

そう。

こう言う時こそ咄嗟の判断が重要である。

襲ってきた相手は水物の化けモノ。

当然、活動範囲は水辺の近場が主となり、

今回の場合は築山の下に見事な池がある。

そしていま、化け物は水の中に落ちている。

それらの情勢を踏まえた上で卓也が下した判断は、

「一目散に逃げる」

であった。

まさに完璧。

まさに鉄壁。

日頃から、いじめられっ子である彼が日頃から心がけていたもの。

それは、常に非常事態を想像し、

あらゆる対策を立て実行していることであった。

それらが功を奏して、

”まいん”の手を引き逃げ出した卓也の決断は評価されるべきである。

だが、

皿の水を空にして戦闘力を奪ったカッパ娘を”水の中”に蹴り落としたこと、

さらに

カチャ!カチャ!

”まいん”との次のステージへの準備を兼ねて、

ズボンのベルトを緩くしていたのが彼の命取りとなった。

まさに若さ故の過ちである。

グッ!

いきなり卓也のズボンが引っ張られると、

にゅる。

彼の股間を湿り気を帯びた細長い肉塊が通り過ぎていく、

そして、

プスッ!

「あっ…(ポッ)」

卓也の肛門に異物が挿入されたことを伝える

痛みを伴った違和感が走ると、

その場に押し倒されてしまったのである。

「大橋君っ」

”まいん”の叫び声があがるのと同時に、

「うわぁぁぁ!」

卓也の悲鳴も上がった。

『けけけっ

 水の中に落としてくれてありがとう。

 お陰でこうして復活をすることが出来た。

 そして、復活したこの私から逃げようとしても無駄じゃよ。

 人間ごときが私のこの舌から逃れると思うてか』

と勝ち誇った声が響くと、

開いた嘴から舌と思える肉塊を伸ばした、

カッパ娘が池から這い上がってきた。

「ひっひぃぃ!!!!」

カッパ娘の口から伸びた肉塊に股間を犯されている卓也は、

自分の穴に潜り込んでくる肉塊を必死で引っ張りながら悲鳴を上げると、

『無駄だと言っているだろう、

 ほれ

 ほれ

 ほれ』

カッパ娘の掛け声と共に、

体内に挿入された舌先は卓也の腸管の中を進んでいく。

「あぐっ」

「あひっ」

「ふぐぅ」

肉塊がビクンと動くごとに卓也の悲鳴は上がり、

彼の腸管はカッパ娘に支配されていく。

そして、

『ほらっ、

 もぅお前の盲腸までたどり着いたぞ』

とカッパ娘が宣言をすると、

『うりゃぁぁぁ!』

卓也に挿入した舌を激しく痙攣させた。

その途端

「ぎゃぁぁぁ!」

絶叫が響き渡り、

下腹部を押さえながら卓也は悶絶する。

『けけけっ、

 泣けっ、

 苦しめっ、 

 このワシを蹴り落とした罰じゃ』

卓也の体内で舌を痙攣させながらカッパ娘は勝ち誇ると、

『内蔵からお前を支配してやろう』

そう言うや、

ズズッ

舌をさらに奥へ、

小腸へと進ませ始めた。

ボコッ!

ボコッ!

カッパ娘の舌が小腸を進むごとに、

卓也のお腹に瘤が膨らみ、

グボッ

逆流してきた内容物が卓也の口から吹き出していく。

『けけけっ

 けけけっ』

その様子が面白いのか、

カッパ娘の笑い声が響き、

そして、何度目かの笑い声が上がったとき、

ゴンッ!

ゴリッ!

鈍い音が響き渡ると、

『うがぁぁぁ!』

今度はカッパ娘の悲鳴があがった。

しかし、

ゴンッ!

ゴンッ!

ゴッ!

鈍い音は止むことなく続き、

その音に卓也が我に返ると、

「さっさと、

 離しなさいよ」

と叫びながらソフトボールほどの石を手にした”まいん”が、

卓也の体内に突き刺さっているカッパ娘の舌を

幾度もその石で打ち付けていたのであった。

『ひゃめっ!』

『みぎゃぁ!』

『えがろぉ!』

打ち付けられて度にカッパ娘の悲鳴が上がり、

ついに、

ズズズズズズッ

卓也の体内挿入していた舌が引き戻されると、

ビチュゥ!

ブブブブ…

卓也の体内から舌が抜け、

体内に溜まっていたガスが抜けていく。



「まっ”まいん”ちゃん」

苦痛から開放された卓也が”まいん”の名を呼ぶと、

「立てる?

 逃げるわよ」

と卓也の手を引くが、

「ダメだ、

 腰に力が入らない。

 君だけでも逃げろ」

動くことができない卓也は”まいん”に逃げるよう薦めると、

「でも」

”まいん”は困惑してみせる。

すると、

『おのれぇ!』

伸ばした舌を巻き取り傷を致したカッパ娘は”まいん”を睨み付けると、

『お前は赦さんっ!』

と”まいん”に狙いを定めて舌を伸ばした。

「あぶない!」

「きゃっ!」

そのことに気づいた卓也が声を上げると同時に、

”まいん”の姿が彼の目の前から消えると、

「助けてぇ!」

悲鳴を上げる”まいん”の両手・両足は伸びた舌に絡みとられ 

大の字になって宙吊にされてしまった。

そして、舌の先端が”まいん”の股間へと迫り、

『けけけっ、

 お前は絶対に赦さない』

そう言いながら舌の先で”まいん”の下着を引き摺り下ろすと、

「やっやめてぇ!」

ヌプッ!

悲鳴を上げる”まいん”の肛門に潜り込んだ。

「ひぎゃぁぁぁ!」

”まいん”の悲鳴があがり、

ズズズズ…

ヌププププ!!

カッパ娘の舌は卓也のときとは違って、

荒々しく”まいん”の中へ入っていく。

『けけけけけ、

 痛いか?

 苦しいか?

 お前に受けたワシの怪我はこんな物じゃぁなかったよ』

舌を挿入させながらカッパ娘はそう言い放つと、

ブリュッ!

容赦なく小腸へと舌を進めた。

ゴボッ!

カホッ

卓也のときと同じように、

いや、彼よりも激しく”まいん”は舌に押され、

逆流してきた内容物を口から吹き上げると、

ボコボコボコ!

彼女のお腹は醜く膨れあがっていく。

そして、

グブッ!

白目を剥いて胃液を吹き上げると、

メリメリメリィ!

”まいん”ののど元が異様に盛り上がり、

それはゆっくりとのど元へ向かって遡上していく。

そして、

気を失ってダラリと下がっていた頭が上に持ち上がると、

閉じていた口が力なく開き、

胃液と唾液があふれんばかりに流れ始めた。

「”まいん”ちゃん」

その様子を動けない卓也は泣きながら見上げていると、

流れていた唾液が止まり、

程なくして、

ニュッ!

カッパ娘の舌先が”まいん”の口の中から顔を出した。



『けけけけけっ』

カッパ娘の笑い声が響くと、

ズシャッ!

卓也の前に内臓を舌に貫かれた”まいん”の膨れた体が下ろされ、

彼女の口から飛び出す舌が卓也に向かってさらに伸びると、

ベロリ

とその顔を舐めて見せた。

「うわぷっ」

”まいん”のさまざまな体液が混ざるカッパ娘の唾液を浴びた卓也は

慌てて顔を拭って見せると、

『けけっ』

カッパ娘は小さく笑い、

『いい物を見せてやろう』

と告げる。

すると、

ズルッ

”まいん”の口から伸びていた舌が口の中へと引っ込み、

その直後、

グリュグリュグリュ…

膨れ上がっている"まいん"の体の中から異様な音が響き始めた。

「なんだ?」

その音の意味が判らない卓也は呆然としていると、

グチュ

グチュグチュ

”まいん”のお腹で膨らんでいる無数の瘤が

回転するように動き出していることに気づいた。

「おいっ、

 何をしているんだ」

震える声で卓也はカッパ娘に話しかけると、

『けけけっ

 こうするのさ』

とカッパ娘が声を上げ、

ニュポッ!

”まいん”の中に挿入していた舌を一気に抜いた。



ドサッ!

"中身"を失った”まいんの外側”が卓也の前に落とされ、

そしてカッパ娘の舌に絡めとられた”まいんの中身”が掲げられた。

「ひぃ!」

街灯の光を受けてヌメヌメと光る”まいんの中身"に卓也は声を失うと、

クワッ!

カッパ娘は口を大きく開き、

その”まいんの中身”を一飲みにしてしまった。

『けけけっ

 うん、

 生きの良い臓物はうまい』

膨れた自分の腹をさすりながらカッパ娘は満足げにうなづくと、

「かえせっ

 ”まいん”ちゃんを返せ!」

這いずりながら卓也はカッパ娘に近づいていく。

『ほぉ!』

その様子をカッパ娘は感心して見せると、

手を伸ばし、

卓也の頭をつかんだ。

そして、

その顔を自分に向けると、

『けけっ

 お前のその根性気に入った。

 化生ッカーの優秀な物怪人になりそうだ』

と告げると、

パチンッ!

その指を鳴らした。

すると、

ズモモモモモ…

周囲から一斉に黒い影が沸き起こると、

『この者を本部に連れて行くのだ』

と影に指示をする。

そして、

「くっクルなっ」

声を上げて追い払う仕草をする卓也を

闇の中へと引きずり込んでいった。




「ん?」

卓也が深い眠りから目を覚ますと

彼は自分の身長がすっぽりと納まる大きさの円形の壁に

大の字状の姿で手足を拘束されていた。

「え?

 あれ?」

最初のうちは状況が理解できない様子だったが、

「あっ」

カッパ娘とのことを思い出すと、

慌てて左右を確かめる。

だが、

右を見ても

左を見ても

ここがどこかのかを知る手がかりはなく、

「おぉーぃ」

声を張り上げても誰も駆けつけてはこなかった。

「ひょっとして放置プレイ?」

不安になりながらそうつぶやいたとき、

パッ!

いきなり正面の壁に光が投げられると、

その光の中にある動画が映し出された。

「これはは…」

それを見た卓也がそうつぶやくのも無理はない。

中身を失った”まいん”の抜け殻が

いま卓也が拘束されているのと同じ姿で拘束されていたのである。

そして、その画面の中にあのカッパ娘が姿を見せると、

”まいん”の抜け殻に覆い被さるようにヨツンバになって力みだすと、

ニュルン!

卵のようなものを産み落とした。

そして、”まいん”の抜け殻の肛門にカッパ娘は手を伸ばして広げると、

その肛門に産み落とした卵を挿入しはじめる。

ググッ

グググッ

内臓を失っても”まいん”の肛門は挿入されようとする異物を拒もうとするが、

しかし、その抵抗も束の間。

ヌプッ

意図もたやすく受け入れてしまうと、

モコリ!

彼女の腹はカエルの腹のごとく膨れあがった。

「ひどい」

それを見た卓也は目を背けてそう呟くと、

しかし、その状態は長くは続かず、

グチュゥ!

”まいん”の腹の膨らみが潰れてしまうと、

程なくして”まいん”はバタバタと手足を動かしはじめた。

そして、

彼女の白い肌はカッパ娘と同じ緑色に染まり、

頭には皿。

手足には水掻き。

そして背中には甲羅が突きだしたらしく、

それに押されてか胸を大きく伸ばして見せた。

こうしてカッパ娘と同じ緑の肌と甲羅を持ち、

手足には水かきをもった二人目のカッパ娘が誕生すると、

”まいん”は解放され、

ビタン!

ビタン!

足をと響かせながら操られるように何処へと向かっていった。

「なんてことを…」

その様子を逐一見ていた卓也は臍をかむと、

ビタンッ

彼がいる部屋に水かきが張った足が床に付く音がこだました。

「え?」

突然の音に卓也はその方向を見ると、

顔こそは”まいん”のままだが、

首から下がカッパ娘と同じ姿になった”まいん”が立っていて、

『けけけっ』

『けけけっ』

と笑い声を上げながら迫ってきた。



「まいんちゃん!」

部屋の中に卓也の声が響き渡ると、

『おーほほほほほ!

 化生ッカーのアジトへようこそ』

と女性の甲高い笑い声が響き、

『けけけけけっ』

追って近くで河童の笑い声が響いた。

「え?」

”まいん”の立っているのとは違う方向からの笑い声に、

卓也は驚いて振り返ると、

『けけけけ』

あのカッパ娘が立っていたのである。

「お前っ

 まっまいんちゃんを元に戻せ」

カッパ娘に向かって卓也は怒鳴ると、

『けけけ、

 それは無理な相談じゃよ。

 あの女は私と同じ化生ッカーの物怪人となった。

 さぁ、カッパ女よ。

 その男の臓物を食べておしまい』

とカッパ娘は”まいん”に向かって指示をした。

すると、

「ちょっと待ったぁ!」

卓也の声が響き。

「ちょっと待った。

 なんでお前が”カッパ娘”で、

 ”まいんちゃん”が”カッパ女”なんだよ。

 それって逆じゃね?」

と食ってかかる。

『はぁ?

 そこて重要か?』

あまりにも場違いなクレームにカッパ娘は呆れると、

『カッパ女。

 ぼさっと突っ立てないで、

 サッサとやっておしまい』

指示をする。

すると、

『けけけけけ…』

カッパ女と化した”まいん”が迫り、

そして、

ベロリ

と伸ばした舌で卓也の顔をなめ取ってみせる。

「うわ、ぷっ」

『さぁ、その舌で男の臓物を食い尽くせ』

『けけ、は…い…けけっ』

「止めろ、

 止めるんだ”まいんちゃん”」

だが、

『何をしているのじゃ』

モタモタするカッパ女の姿にカッパ娘は苛立つと、

『けけっ、

 あ…の…

 おしり…届か…ない。

 けけっ』

卓也が仰向けに拘束されているため、

物怪人になったばかりのカッパ女が舌を伸ばしても

卓也の肛門に挿入す事が出来ないと訴えた。

『けけっ

 なによっ、

 もぅコレだから不器用は困る』

それを聞いたカッパ娘は呆れながら卓也の拘束を解いて俯せにすると、

肛門を広げ、

『けけっ、

 さぁコレで良いだろう』

と言う。

『けけ

 ありがと…うございま…す』

カッパ娘に向かってカッパ女は礼を言うと、

剥き出しになった卓也の肛門に顔を突け、

ニュルッ

伸ばした舌をその中へと挿入した。

「あっ、

 まいんちゃんの舌が、

 僕の中に…」

身体の中を犯す物の怪の舌の感触に卓也は頬を染めると、

ズブズブズブ…

伸びて行く舌は卓也の奥へ、さらに奥へと伸び。

その果てで一気に引き抜かれた。



『けけけっ!』

『けけけけっ!』

「なんだお前達は!」

『けけ…

 わたし…たちは…』

『化生ッカーの物怪人よ、

 けけっ』

「いやぁ!

 肛門から入ってくるぅ」

「あぁ〜っ!!!」



『ふわはっはっはっ!!

 カッパ女とカッパ男よ。

 物怪人になった気分はいかがじゃ』

『はい、

 なんだかとってもすがすがしい気分です』

『ふわはっはっは!!

 そうよねっ

 そうよねっ!

 そうよねっ!!

 さぁ、お前達。

 人間どもの臓物をもっと喰らえ、

 そして、物怪人を増やすのだ』



おわり