風祭文庫・獣変身の館






「トレーニング」
(後編)



作・風祭玲


Vol.427





タッタッタッ!!

乳房を揺らし全裸の翔子が昨日と同じコースを走っていくが、

しかし、昨日と違う点はコースに障害物が置かれ、

翔子はその障害物を跳び越しながら走って行く。

「はぁはぁ

 なんで、

 障害物競走をしないとならないのかな…

 でも、これもきっと何かのわけがあるはずだわ」

そう思いながら走る翔子の肉体は

昨日と比べて体脂肪が落ち、

また、一回り大きくなっていたことだった。

しかし、このことは翔子自身未だ気づいてはいなかった。

「はいっ

 小宮山さん。

 計量をします」

夕刻、

一日走り詰めだった翔子が戻ってくるなり

妃津女はそう告げると、

そのまま計測室へと翔子を連れて行き測定器で計測を始めた。

「うん…

 体重は95kg…
 
 昨日より2倍に増えたわね…
 
 それに身長も30cm伸びたわ」

翔子に聞こえないように妃津女は呟くと、

スッ

彼女の首筋に手を這わせた。

「あっ」

いきなり当てられた妃津女の手に翔子が驚くと、

「あぁっ、驚かしてごめんなさい」

妃津女は謝りながらも、

サワ

「(ふふ…

  もぅ鬣が生えているのね…
 
  大丈夫、
 
  あなたは立派な牝馬になれるわ)」

翔子の首筋に生え始めた鬣の感触を確かめていた。

そして、その日の夕食時…

ハグハグハグ!!

翔子の食欲はさらに増し、

すでに、朝食と昼食を合わせた量を超える食事を食べていた。

その一方で、翔子の前に置かれる食事の中から肉類が消え、

ほとんど菜物が占めていたのであった。



「ハァハァハァ…

 ウックッ…」

夜…

昨夜と同じように寝入った翔子の身体を異変が襲い始めていた。

ムリッ

メキメキメキ!!

不気味な音共に翔子の腕や脚、

そして体中から血管が浮き出ると、

ムリムリムリムリ!!!

それを追うようにして筋肉が盛り上がっていく、

「くはぁ

 うぅ…
 
 苦しい…
 
 あぁ、
 
 熱い
 
 うぅ…熱い…」

まるでシャワーを浴びたかのように噴出した汗で全身をずぶ濡れにしながら、

ズルっ

ドサッ!!

翔子はベッドから落ちてしまうと、

床の上を這いずり、

なぜか部屋の隅に用意されていた藁床の上へと

身体を横たえると、

「はぁはぁ

 はぁはぁ
 
 あぁ、楽になる…」

苦しみが次第に消えていくのを感じながら、

翔子は眠りに落ちていった。



そして迎えた3日目の朝…

「うっそぉ!!」

目を覚ました翔子は自分の腕が長くなっていることに気づくと

驚きの声を上げる。

「なっなんで?

 どうして?」
 
理由はわからなかったが自分の腕は昨日より確実に伸び、

自分の指が遠くに見える。

「なんなの?

 これ?」

足と同じ長さではないかと思われる腕に翔子が呆然としていると、

バンッ!!

閉じられたドアが開き、

「はいっ

 いつまでそうしているのっ
 
 さっさとする」

キツイ声を上げながら乗馬姿の妃津女が部屋に入ってきた。

「あっはいっ」

妃津女の声に翔子は慌てて部屋から飛び出していくと、

そのまま食堂へと向かっていった。

ところが、

「こっこれを食べるのですか?」

用意されていた翔子の食事はバケツに山盛りに盛られた菜物であった。

「そうよ、

 あなたの食欲にはこれが一番なのよ、
 
 さぁ、お食べなさい」

ピシッ

鞭を叩きながら妃津女はそう説明をすると、

「………」

空腹に耐えかねた翔子はバケツから手づかみで食事を取ると口に入れていく、

しかし、そのような非効率な食事を取っているほど翔子胃は待ってくれなかった。

ハグハグハグ!!

すぐに翔子はバケツの中に顔を突っ込み、

直に盛られた食事を食べ始める。

もはやその姿はもはや人とは言えるような姿ではなかった。



「はいっ、

 今日の午前は走り詰めよ、
 
 そして、午後は障害物の練習!!」

食事が終わりコース出た翔子に妃津女はそう指示をすると、

「はっはいっ」

翔子は揺れることが無くなった胸を張ってコースを駆け抜けていった。

しかし、

長くなった腕が翔子の走りを妨害し始め、

稀にではあるが、

タタ!!

ガマンできなくなった翔子は手を地面につけると、

4本足で走り始めていた。



「(ふむ…

  体重は157kg…
 
  身長は…
 
  ふふ…確実に馬になっていっているわよ、翔子さん)」

計測が終えた翔子に妃津女はそう思いながら、

筋肉が張り詰める彼女の尻を軽く叩く。

そして、その夜から翔子が寝るところは変えられ、

計量室の隣にある厩舎の一角が割り当てられた。

「こっここで、寝るのですか?」

バケツの食事数杯を平らげた翔子が入ってくるなり驚きの声を上げると、

「そうよ、

 今日からここがあなたの寝室よ」

「そんな…」

妃津女のその返事を聞きながら

自分の寝室を見るなり翔子は絶句した。

そう、寝室といっても昨日までの人間の部屋ではなく、

コンクリの床に藁床を敷いただけの簡素なもので、

とても人間が寝泊りをするようなものではなかった。

しかし、その一方で翔子の姿は3m近い身長に、

長く筋肉が張った腕、

脂肪が薄く、

張り詰めた筋肉が動く様子がハッキリと見える肉体と化していた。

「はいっ」

翔子はそれに文句を言わずに

ザザザ

藁床の上に身を横たえると

「ふぅ…ふぅ…」

翔子は盛んに荒い息をすると、

そのまま藁床の上に寝っころがるとそのまま寝入ってしまった。

そして深夜…

「はぁはぁはぁ…

 はぁはぁ…
 
 あぁっ
 
 また、あれが来る…」

夜が来るたびに襲ってくる苦しみに翔子は身体を固くすると、

そして程なくして、

「うぐぅぅぅぅ…」

翔子は歯を食いしばり苦しみに耐え始める。

メキッ

ミシッ

翔子を人の姿から別の生き物の姿へと変える変化が起こり、

メリメリメリメリ!!

翔子の体が変化し始めた。

「あっ

 うっ
 
 うぐぅぅ」

歯をむき出しにして翔子は変化に耐える中、

メキメキメキ!!

翔子の肌から血管が浮き出ると、

ドクンドクン!!

翔子の心臓は激しく高鳴り全身に血液を送り始める。

すると、

グッグググググ…

翔子の身長が伸び、

ムリムリムリ!!

その血管を覆うように筋肉が張り出すと、

彼女の体重が見る見る増えていった。

そして、3時間近くの変身が終わったとき、

「はぁはぁ」

藁床の上には姿を変えた翔子が静かに横たわっていた。



こうして、翔子の変化は続き、

肉体の変化に合わせるように

彼女の意識は走ることのみを考える馬の意識へと染められていった。

「はっ走りたいの…」

「そう…」

「お願い、走らせて…」

「いいわっ

 だけど、
 
 今日からはこれを口にはめるのよ」

「そっそれは」

「轡よ」

「轡?

 あぁ、いいわ…
 
 填めて…
 
 それを填めれば走れるんでしょう?」

「えぇ、そうよ」

「あぁお願い…」

「ふふ、

 素直で良いわ、
 
 さぁ口を開けなさい…」

4日目の朝、体重が200kgを超えた翔子は妃津女によって轡を填めさせられ、

300kgを超えた5日目には

「今日からはこれを背負って走りなさい」

「ひっヒヒン…

 そっそれは?」

「鞍よっ」

「鞍?」

「えぇ、

 人を乗せるための道具よ」

「なんで、それを背負わなくてはならないの?」

「それはね…

 あなたにとって必要なものだからよ」

「それを背負わないと走れないの?」

「そうよ…」

「お願い…

 それを背負わせて…
 
 はやく…」

「はい…」

翔子の背中に見事な鞍が掛けられ、

そして400kgを越えた6日目には、

「翔子さん、

 大分轡と鞍には慣れたようですね、

 今日からあたしがあなたの背中に乗せてもらうわ、
 
 さぁふんばりなさい」

「ひっヒヒン!!

 どっどうぞ…
 
 あたしの背中に乗ってください」

「そう、

 良い子…
 
 さぁ、今日からはダートコースにでるわよ」

妃津女は翔子の背中につけられた鞍にまたがると、

「ハイッ!!」

ドンッ!!

乗馬用のブーツを履いた足で翔子の両脇を思いっきり叩いた。

「ヒヒン!!」

それを合図に翔子はひと鳴き声を上げるとコースを走り出していく、



そして迎えた6日目の朝…

ドドッ

ドドッ

ドドッ

ダートコースを手をつき、4つ足姿で疾走する翔子の姿は人間の姿はなんとか維持しているものの、

しかし、その身のこなしや、障害物を軽々とまたぐその動きは馬と言っても過言ではなかった。

「はいっ

 よーしっ
 
 どぅどぅ」

轡をかまされ、背に鞍を乗せられた翔子は

妃津女を背に乗せダートコースを一回りさせられると、

トントン

と横腹を叩く妃津女の合図にしたがって厩舎の傍まで四つん這いで歩いていく、

そして、

「はいっ

 止まれ!!」

との声と同時に

グィッ!!

っと手綱を引かれると、翔子はその合図に従いその場で立止まった。



フルルルル…

鼻息荒く鼻を鳴らしながら

ブルルル

っと馬並みの巨体になってしまった身体をゆすると、

「どういまの気分は?」

鞍から降りた妃津女が翔子の首筋を撫でながら尋ねる。

すると、

「あぁ…

 もっもっと、

 もっと走りたいの…」

内部に黒い物が浮かび上がる変形した手で

地面を盛んにかきながら翔子は片言の言葉でそう返事をすると、

「ふふ…

 すっかり馬になってしまって
 
 そうよ、あなたはもう馬よ…」

妃津女はそう呟き翔子の首筋を撫でる。

「馬?

 あたしは馬なの?
 
 馬…
 
 馬…

 !!っ

 うっ馬?

 違う…

 あたしは馬ではないわ
 
 いやっ
 
 なにこれぇ
 
 なんであたしこんなのを噛んでいるの?
 
 それに背中につけられてるものってなに?」

妃津女がかけた言葉に翔子はハッとした表情するなりそう言い返すと、

「あら

 目が覚めたの?

 ふふ…
 
 何を言っているの?
 
 あなたは馬よ、
 
 人間の皮を被った馬…
 
 走りたんでしょう?
 
 その偽りの皮を脱ぎ捨てて思いっきり走りたいんでしょう、
 
 そう、それが馬の気持ちなのよ、
 
 そして、それを知ったあなたは馬なのよ」

と逆に言い聞かせるようにして妃津女は翔子の耳元で呟く。

「!!

 それってどういうこと?」

「どういうことって、

 そうね…
 
 翔子さん、
 
 いま自分がどういう姿でいるのか見たことが無いんでしたわね。
 
 ふふ
 
 いいわ見せてあげる
 
 さぁこちら来なさい」

翔子の言葉にあることを思いついた妃津女はグイッ

っと轡につけた手綱を引くと、

「あっいやっ

 そんなに強く引っ張らないで」

悲鳴を上げる翔子をあるところへと連れて行く、

そして、程なくして翔子の目の前に大きな鏡が置かれた壁が姿を見せてきた。

「鏡?」

「そうよ、鏡よ、

 翔子さん、
 
 あなた、ここに来てまだ一度も鏡を見たことが無いでしょう?」

「そっそういえば…」

「うふっ

 見せてあげるわ、
 
 今のあなたの姿を」

「いまのあたしの姿?」

妃津女の言葉に翔子はまるで引き寄せられるように鏡の前に行き、

そして、今の自分の姿を映し出す鏡を見させた。

すると、

「ひっひっ

 いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

間髪いれずに翔子の悲鳴が周囲に響き渡った。

「いやっ

 いやっ
 
 これがあたしなの?
 
 いやっ
 
 人じゃないっ
 
 人じゃなくなっているよぉ」

そう叫びながら翔子は取り乱した。

無理も無い、馬の意識に飲まれ事実上この数日間意識が無かった翔子が、

その間に変化してしまった身体を鏡によってはっきりと見せ付けられてしまったのだから…

「いやぁぁぁ」

鏡に写った自分の姿に翔子は愕然としていると、

「ふふ、

 そうよ、お前は馬だ!!
 
 ただの馬なんだよ」

取り乱す翔子に妃津女はキッパリと告げた。

確かに鏡に映し出された自分の姿は人の皮はかぶっているものの、

しかし、その肉体のシルエットはまさに馬…

「いやぁぁ!!」

「何を泣き喚いているの、

 ほらっ、
 
 ごらんなさい。
 
 お前の手や足には蹄が出来ているし、
 
 それに鬣も一足早くこんなに生えているわ、
 
 そう、もぅ後戻りは出来ないわ、
 
 翔子、
 
 お前はもぅすぐ本物の馬になるのよ、
 
 嬉しいでしょう?
 
 もぅ馬に嫌われることは無いわ」

「いっいやっ」

「あら、何を嫌がっているの?」

「いやよ、

 あたしは馬になるんじゃなくて、
 
 馬に乗れるようにして欲しかったのよ」

「そうだったわね」

「戻してよ、

 あたしを元に戻してよ」

「ふふ」

必死の翔子は訴えると妃津女は笑みを浮かべ、

ギリッ

っと鞭を持つ手に力がこもると、

ビッ!!

その鞭で筋肉の筋が浮き出る翔子の尻を思いっきり叩いた。

すると、

「ブヒヒヒヒン!!」

翔子は馬の鳴き声を上げると、

腕を勢いよくを蹴り上げ、

足のみの姿で立ち上がってしまった。

「!!!っ」

自分の口から出た馬の悲鳴に翔子は思わず驚くと、

「ふふ、

 そうよ、
 
 その声が馬の悲鳴よ、
 
 翔子…
 
 あなたはいまこのときも馬に近づいていっているわ、
 
 そう、一時間前と今とを比較すれば
 
 今の方がはるかに馬になっているのよ」

と妃津女は言う。

「うっ

 うううううう…」

彼女のその言葉に翔子は声を殺して泣き出すと、

「さて、

 翔子、あなたには泣いている暇は無いわ

 あら、お寝坊さんが、来たようね」

と言いながら後ろに視線を送る。

「あっあれは…」

妃津女の言葉に翔子も振り返ると、

フルルルル…

カポカポカポ

手綱を引かれ蹄を鳴らしながら一頭の馬がゆっくりとやってきた。

「翔子、

 お前がよく知っている馬よ」

「まさか、

 そんな…

 なんで、

 なんで、お前がこんなところに」

「ビヒヒン!!」

やってきた馬は翔子を見た途端、

猛々しく鳴き声をあげると、

後ろ立ちになって立ち上がった。

それと同時に、

「シルバーっ

 何でお前がここに」

翔子がこの馬が先日自分を振り落とした馬であることを叫ぶと、

「そう、

 シルバー号よ、
 
 ふふ…
 
 お前が人間だった頃、
 
 この馬に乗ろうとして蹴落とされたそうね、
 
 でも、今日はシルバー号に乗ってもらうのよ」

「え?

 シルバーに乗ってもらうって
 
 そんなこと出来るわけ…
 
 まっまさか…」

そのときになって翔子はこれから起きることがようやく理解できた。

「いっいやぁぁ

 やめて…
 
 そんな…」

「あら、どうしたの怖気づいて、

 ふふ…
 
 判るの?
 
 これからされることが、
 
 ふふ…
 
 お嬢様育ちだったくせにその辺の情報は良く知っているのね、
 
 そうよ、
 
 これから、お前はシルバーに種付けされるのよ、
 
 人間ではなく馬としてね、
 
 シルバーの種付けは激しいから、
 
 お前のその偽りの皮も剥けてしまって本物の馬になってしまうかもね、
 
 でも、良いじゃない、
 
 もぅお前は馬なんだから」

「ブヒヒヒン!!」

「いやっ

 いやぁぁぁぁぁ!!
 
 やめて!!!」

シルバーの叫び声と共に翔子の悲鳴が高原に響き渡った
 


「やめて!!

 お願いだから、
 
 そんな、シルバーのが入るわけない」

「おとなしくしなさい!!」

厩舎に連れて行かれた翔子の背中から鞍が取り外されると、

翔子は悲鳴を上げ抵抗をする。

しかし、轡を噛まされ、

その轡から伸びる手綱を固定されている翔子に出来る抵抗は限りがあった。

「いやっ

 いやっ
 
 馬にしないでぇ
 
 お願いだから、
 
 なんでも言うことを聞くから、
 
 だから、あたしを馬にしないで!!」

涙を流し翔子は目の前の妃津女に懇願すると、

「そう…

 なんでも言うことを聞くの?
 
 だったら、ここで大人しく種付けをされて、

 馬におなりなさい」

妃津女は翔子の額を撫でながらそう告げた。

「そんな…」

妃津女の言葉に翔子が愕然とすると、

「フルルルル」

カポン

カポン

シルバー号が蹄の音を立てながらゆっくりと翔子に迫ってきた。

「いやぁぁ

 こないでぇぇ」

徐々に迫ってくるシルバー号の姿に翔子は悲鳴を上げるが、

しかし、

ズルッ…

シルバー号の股間に大ぶりのペニスが下がってくると、

種付けの準備は終わり、

「フルルルル

 フン
 
 フン
 
 フン」

シルバー号は自分の鼻を翔子の股間につけ盛んに臭い始めた。

「ふふ…

 シルバーは欲情しているわ、
 
 良かったわね、
 
 お前を牝馬として認めたわ」

「そんな…

 シルバーやめて、
 
 あたしよ、
 
 この間、あなたに振り落とされた翔子よ
 
 こんな姿だけど、
 
 あなたの上に跨った小宮山翔子よ!!」

必死の形相で翔子はシルバーに説得を始めだした。

しかし、

「さぁ

 やっておしまい、シルバー!!」

妃津女の声が響き渡ると、

「ブヒヒン!!」

シルバー号はひと鳴き声を上げ前足を上げると、

ガボッ!!

バックから翔子の上に跨った。

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」

翔子の悲鳴が少し間をおいて響き渡る。

「いやっ

 いやっ
 
 入ってくる、
 
 おっきいのが入ってくるよぉ
 
 やめて、
 
 突かないで
 
 いやっ
 
 動かないで、
 
 そんな、
 
 壊れちゃう、
 
 あたし壊れちゃう!」

フゴフゴフゴ!!

シルバー号の荒い息に合わせるように

処女をシルバーに奪われた翔子の泣き叫ぶ声も響く、

「ふふふ…

 いいわぁ
 
 ゾクゾクしちゃう、
 
 これが最高の快感よ」

種付けされる翔子の姿を見ながら妃津女は自分の股間に手を這わせオナニーを始めだした。

「どう?

 種付けされる感覚は

 最高でしょう
 
 ふふ
 
 そうよ、
 
 それが種付けって奴よ、
 
 翔子、馬に犯されたお前はもぅ人間ではないわ、
 
 さぁ、
 
 その皮を剥き、
 
 馬におなりなさい」

オナニーに狂いながら妃津女はそう言うと、

「あっあぁ…

 いやっ

 あたしの中から、
 
 何かが、
 
 湧き出してくるぅぅぅ!!」

翔子は自分の体内から湧き出てきたものを感じ取っていた。

そして、それは、

ビシッ

ビシッ

人間だった頃の翔子を伝える皮膚を引き裂き、

その中から栗毛に覆われた馬としての皮膚が姿を見せていた。

「あっ

 あっ
 
 いやっ
 
 いっちゃう

 でも、いったら
 
 うっ馬になっちゃう
 
 馬になっちゃうよぉ」

ゴリッ

ブリッ

手や足を突き破って姿を見せた蹄を輝かせ、

ブルン!!

お尻より飛び出した尻尾を振り翔子は泣き叫ぶ、

フゴフゴフゴフゴ

その一方でシルバー号の種付けは馬になっていく翔子を突きまくる。

「あぁぁぁ…

 ひっヒヒン
 
 ヒヒン!!」

顔の形が馬面へと変形し、

言葉が喋れなくなった翔子の口から馬の鳴き声が上がると、

ピンッ

頭の上に2本の耳が立った。

そして、

「ブヒヒヒヒン!!」

射精をしたのかシルバー号が大きく啼くと、

「ヒヒヒヒヒヒン!!!」

翔子も絶頂の声を高らかに上げ、ついに馬に変身してしまった。

こうして、

「ヒヒン!!」

「ブヒヒン!!」

高原の牧場に新しく誕生した馬の歓喜の鳴き声が響き渡った。



7日目の昼過ぎ、

ガァァァァァァァ

一台の馬運車が砂埃を上げてトレーニングセンターに到着する。

すると、

「お待ちしていました」

1週間前と同じ乗馬のコスチュームに身を包んだ妃津女が出迎えると、

バムッ

馬運車から降りてきたのはあの運転手の柴田だった。

「お嬢様は?」

到着早々柴田は妃津女に翔子の安否を確かめると、

「はいっ

 立派な馬となってコースを走っていますわ」

とコースを周回している一頭の牝馬を指差した。

「おぉ」

それを見た柴田は目を細めると、

「お嬢様!!」

と叫びながら手を振った。

「(え?

  柴田?)」

柴田の声に翔子は立ち止まると、

フルルルル…

言葉が喋れなくなった口から鼻息だけが漏れた。

すると、

「さぁ、お嬢様、

 学校の皆さんがお待ちです、
 
 この柴田と一緒に学校へ行きましょう」

翔子の傍に寄った柴田は降り立った騎手から手綱を受け取ると、

翔子を馬運車のほうへと連れて行き始めた。

「ヒヒヒンヒン!!

(柴田、これは一体どういう)」

馬となってしまった自分の姿に驚かない柴田に翔子は疑問を持つと、

「お嬢様は言っておられましたよね、

 生徒のために頑張ると…
 
 ですので、この柴田、
 
 人を馬にするここをお嬢様に紹介して差し上げたのです」

「ヒヒン!

 (そんな!!)」

「さぁ、

 これにお乗りください、
 
 いまから立てば夕方には学校に着きますよ」

「ヒヒン!!

 ヒヒヒヒン!!

 ブヒヒヒン!!

(いやっ、
 
 学校には連れて行かないで、
  
 この体をみんなに見せないで、
  
 お願い、
  
 この牧場から連れ出さないで!!)」

言葉をしゃべれない翔子は馬の悲鳴を上げて力いっぱい抵抗をするが、

「ホラッ」

ビシッ!!

妃津女の鞭が唸ると、

「ヒヒン!!」

翔子はひと鳴きすると抵抗をやめ、

柴田に従い馬運車へと乗せられてしまった。

「では、ありがとうございました」

「またのお越しをお待ちしています」

柴田と妃津女の挨拶が終わり、

ガァァァァ!!

翔子を乗せた馬運車は厩牧場から去って行った。



キキッ!!

「さぁ学校に付きましたよ、お嬢様」

厩牧場を発って数時間後、

馬運車が停車すると、

その言葉とともに翔子の後ろのドアが開いた。

「ヒヒン!!

(いやっ降りない)」

話しかけてきた柴田に翔子は抵抗をすると、

「お嬢様っ

 駄目ですよ、
 
 そんな態度では大会で優勝することなど出来ませんぞ」

抵抗をする翔子に柴田はきつい言葉をかけた。

「ヒヒヒヒヒン!!

(こんな姿を生徒たちに見せるわけにはいきません)」

と翔子はすねると、

「お嬢様…」

柴田のその声と同時に、

ビシッ!!!

翔子の尻に鞭が炸裂した。

「ヒヒン!!

(痛い!!)」

「判りませんか、

 お嬢様は馬なのです。
 
 馬はわがままを言ってはいけません。
 
 いいですか、
 
 馬となったからにはお嬢様は人様の命令に従わなければならなのです、
 
 もし、それが出来ないときは、
 
 判ってますね」

ヒュンヒュン

と乗馬鞭を唸らせながら柴田は翔子に告げた。

「ヒン…

(うっ)」

そのときになって翔子は自分が馬になってしまったことをつくづく実感すると、

カポッ

カポッ

蹄を鳴らしながら馬運車から降りてきた。

そして、目の前に広がる学校の景色を見るなり、

ジワッ

翔子の目に涙がわきあがってきた。

すると、

「あっ来たよ」

突然、女子生徒の声が響くと、

「本当だ!!」

翔子を見つけた馬術部の部員たちが集まり始めると、

「へぇぇ、

 これが、シルバーの代わりの馬なんだ」

「優しい目をしているね」

「あっメスなんだ」

「本当だ」

一斉に翔子の姿を興味深そうに見始めた。

「ヒヒン

 ヒヒン
 
(いやっ

 そんなにあたしを見ないで、
 
 お願いだから)」

集まってくる部員を避けるように翔子は声を上げると、

「お嬢様っ」

ビシッ

そんな翔子に注意するように柴田は鞭を鳴らした。

そして、

「あぁ、古舘先生は来ていますか?

 新しい馬を運んできたのですが」

と柴田が部員たちに話しかけると、

「あっはいっ

 既に一人向かっていますのでまもなく来ると思います」
 
一人の部員が元気よく返事をした。

「ところで、この馬の名前はなんて言うんですか?」

「あぁ、

 この馬は翔子…ショウコ号を言うんだよ」

一人の部員の質問に柴田はそう答えると、

「ふぅぅぅん…」

その部員は大きく頷き、

「よろしくね」

と言いながら翔子の首筋をなでた。

「ヒヒン

 ヒヒン
 
(ねぇ、あなたたち、

 翔子って聞いて何も浮かばないの?
 
 あたしのこと覚えてないの?)」

自分の名前を告げられたのに部員たちの反応が無いことに翔子は驚くと、

「お嬢様、

 部員の方たちはお嬢様の事、覚えてはいないみたいですね」

そんな翔子の意を汲んだのか柴田はそう話しかけてきた。

「ヒヒン

 ブヒヒヒヒン…
 
(そんな…そんな…
 
 みんな酷いよ、あたしのこと忘れてしまうだなんて)」

翔子の悲痛な叫び声が響き渡っていった。



そして月が替わり、

都内の某馬事公苑で馬術部にとって19回目の優勝を目指す大会が行われていた。

カカッ

カカッ

その試合で栗毛馬の肉体を持つ翔子は生徒を背中に乗せ

華麗な馬術を披露し周囲を驚かせていた。

無論、この牝馬に跨る生徒や大会の成り行きを見守る関係者も

軽やかに馬場を駆け抜けていくこの馬が

かつてこの学校に赴任してきた女教師であることは誰も気が付かなかった。

「見事です、お嬢様

 人間としてのお嬢様は皆忘れてしまったようですが、
 
 でも、馬としてのお嬢様はきっと皆の心に残るでしょう」

馬場を駆け抜ける翔子の姿に柴田は目頭を熱くしていた。



おわり