風祭文庫・異形変身の館






「剥ける女」
(第1話:剥ける女)


作・風祭玲

Vol.410





ザザザザザ…

砂利石を踏みしめながら一台の乗用車が曲がりくねった山道を走っていく、

高かった日はすでに西へと傾き、

周囲の景色は次第に夕方へと変化し始めていた。

「ねぇ、本当にこっちでいいの?」

幾度目かのカーブを曲がったとき、

これまで黙っていた大野裕子がついに口を開くと、

運転席でハンドルを握る彼氏の山田政弘に向かって尋ねた。

しかし、

「ちょっと待って………」

裕子の問いに政弘はそう返事をすると、

ただひたすら前を見つめ、

次々と現れる急カーブにあわせて右へ左へとハンドルを切っていく、

「もぅ…」

自分の問かけを軽くあしらわれたことに裕子はむくれながらも、

車内に漂い始めた気まずい雰囲気をすばやく嗅ぎ取ると、

「あっあのさ、

 なんか…

 ほら、映画であるじゃない。

 山道を走っているうちに道に迷ってしまって…

 それで、散々迷った末に、

 怪しげな科学者が居る屋敷の前でクルマが故障するって言うパターン…
 
 あはは…

 なんか、そんな感じがしない?」

その雰囲気を紛らわせるかのように

ホラー映画などでおなじみになっているシチュエーションを裕子が口走った途端、

ゴワァァァァァ!!

ガガガガガガッ…!!

突然、クルマのエンジン音に異変が生じると

ボッ!!

と言う音共にボンネットから煙が吹き上がった。

「うわっ」

「キャッ!!」

いきなり吹き上がった煙に視界を遮られた政弘が慌ててブレーキを踏むが、

しかし、クルマは暴れ牛のごとく右へ左へと向きを変えながら突き進み、

ズザザザザ!!!

濛々と砂埃を上げながら半回転するとやっと停車した。


「はぁはぁ」

「はぁはぁ」

シュワァァァ…

停車した車中よりボンネットから吹き上がる煙を二人は呆然として見つめていると、

「なっ何が起きたの…」

青い顔をして裕子がつぶやく、

すると、

バッ!!

政弘は慌てて車外に飛び出すと大急ぎでボンネットを開けた。

シュワァァァ!!

開いたエンジンルームから勢いよく煙が吹き上がる中、

「あちゃぁぁぁ!!」

現状を素直に物語る政弘の叫び声が山中に響き渡った。



「えぇ!!

 車が故障した上に

 道に迷ってたぁ?!」

政弘より裕子がその事実を知ったのはそれから程なくしてからの事だった。

「あぁ…」

動かなくなったクルマの外で政弘はタバコの煙を揺らせながら裕子の言葉にそう答えると、

「どっどっど…

 どうするのよっ!!」

そう叫びながら裕子は政弘の顔に迫るが、

「いやぁ

 まぁ
 
 北に向かっているから大丈夫と思ったんだけど、

 でも、こんなところで動けなくなるとはなぁ…」
 
とまるで人事のように政弘は返事をする。

「あっあのねっ」

政弘の答えに裕子は呆れ顔をすると、

「とにかく、

 JAF…呼ばなくっちゃな…
 
 とはいっても携帯は圏外みたいだし
 
 どこかで電話を借りられれば…」

タバコを吸い終わり、

政弘はゆっくり立ち上がると、

グルリと夕闇迫る周囲を見渡した。

そして、

「まったく…もぅ」

そんな政弘を裕子が冷たい視線で見ていると、

「あっ」

何かを見つけたのか思わず政弘が声を上げた。

「どうしたの?」

その声に裕子も立ち上がって見ると、

「ほら、あそこ、

 何かの明かりがある。
 
 行ってみよう!!」

と政弘はいま居る地点から少し離れた谷間でかすかに光っているものを指差すなり、

さっさと歩き始めてしまった。

「あっちょっと」

思い立ったら即行動…

そんな政弘の性格に惚れた裕子であったが、

しかし、このような状況でもそれを発動できる彼の心のタフさに呆れるのと同時に

ある種の不安を抱えていた。



それから小一時間が過ぎ、

二人の前に姿を見せたのは

夕闇を背にして聳え立つ、緑深い蔦が絡る門だった。

「ほー…」

レンガ造りの堅牢そうな門を眺めながら政弘が感心していると、

「ねぇ…研究所って書いてあるよ」

と門柱に掛かる表札を指差し裕子が声を上げた。

「よしっ

 じゃぁ入ってみよう、
 
 誰か居るかもしれないし」

一通り門を眺め終わった政弘はそう言うと、

「でも、閉まっているよ

 この門」

硬く閉ざされた門を裕子が指差す。

「ふむ」

閉ざされた門を眺めながら政弘は小さくうなづくと

「どれ?」

とつぶやきながら

グッ

手で門の扉を押してみた。

すると、

スー…

音を立てずに門は開くと、

二人の前に奥へと続く道を作って見せた。

「どうやら誰か住んでいるみたいだな」

門が音も無く開いたことに政弘はこの奥に誰か居ることを確信すると、

ザッ

草を踏み潰しながら中へと入っていった。

「あっ待って!!」

奥へと入っていく政弘を追いかけて裕子が慌てて入っていくと、

スー

門は独りでに閉まりはじめ、

パタン…

と言う音共に敷地を再び下界から切り離した。



「ねぇ、待ってよ」

そう言いながら裕子が政弘に追いつくと、

ギュッ

っと政弘の腕にしがみつく。

「おいっ

 暑いだろうが」

ピッタリと身を寄せる裕子に政弘は文句を言うが、

しかし、裕子はその手を離さなかった。

やがて、二人の前にレンガ造りの1軒の洋館が姿を見せると、

「へぇぇ

 こんな山奥に…」

政弘は感心しながら洋館を見上げた。

「ねぇ…

 気味悪いよぉ
 
 やっぱ戻ろうよ」

洋館の不気味さに臆した裕子が政弘にそう言うと、

「なに言ってんだよ

 あっあそこが玄関のようだな」

怯える裕子に構うことなく玄関を見つけた政弘はさっさと先に進み、

「ごめんくださーぃ

 誰かいませんか?」

と硬く扉が閉じられたドアにむかって声を上げた。

「………」

1分…

5分…と無言の時間が過ぎていく

「やっぱり誰も居ないんじゃないの?」

沈黙したままの建物を見上げながら裕子はそう呟くと、

「確かに光が見えたんだけどなぁ」

依然、沈黙を守る洋館を見上げながら政弘はそう呟き、

「すみませーん」

と再び声を張り上げたとき、

ガチャッ

いきなり正面の扉が重々しく開くと、

「どなたかな?」

と言う声と共に小柄で和服姿の老婆が姿を見せた。

「うわっでたぁ!!」

老婆の姿に裕子が思わず悲鳴を上げて政弘の後ろに隠れると、

「あっあぁ

 すみません。
 
 ちょっと電話をお借りしたいのですが?」

臆することなく政弘は老婆に向かって電話を借りたい旨を伝えると、

「ほぅ、

 電話とな」

政弘の言葉に老婆は驚きそう返事をすると、

「奥の部屋にある、

 使うがいい」

と言いながら洋館の中へと入っていった。

「どうするの?」

「どうするって行くに決まっているだろう」

不安顔の裕子に政弘はそう言うと、

「おじゃましまーす」

と挨拶をしながら洋館の中へと入っていった。



「なんだよっ

 明日かよ」

そう文句を言いながら政弘は黒電話の受話器を置くと

「どうしたの?」

間髪居れず、裕子は成り行きを政弘に尋ねた。

「あぁ…
 
 今日は遅いので明日行きますってさ、
 
 まったく、
 
 こう言う時の為に何の為に会費を払っているんだろうが」

彼女の質問に政弘は成り行きの説明と文句を続けざまに言と、

「お二人さんっ

 もぅ日が暮れたので今夜はここに泊まって行くがいい」

いきなり顔を出した老婆は政弘と裕子に向かってそう言うと、

そのまま背中を向けた。

「え?

 泊めてくれるんですか?」

老婆の申し出に政弘が嬉しそうな声を上げると、

「ちょっと!」

そんな政弘を裕子が窘める。

すると、

「あぁ、構わんよ、

 こんな山奥で何も出来ないが、
 
 まぁこれだけ広い屋敷に住んでいると、
 
 何かと不安でな、
 
 さぁ部屋まで案内をしよう」

老婆はそう返事をしながら

政弘と裕子を部屋へと案内をした。



「なんとか落ち着けたな」

「そぉ?」

ベッドに寝転がりながら政弘は寛いだ表情でそう言うのに対して

裕子は辺りに気を配りながら椅子に座っていた。

「気楽にいけよ気楽に」

そんな裕子に政弘はそう言うが、

しかし、裕子にはそんな気にはなれず、

落ち着かないまま窓へと歩いていった。

外は既に日が落ち、

煌々と輝く月が辺りを照らし出していた。

とそのとき、

「あれ?」

何かに気づいた裕子が声を上げると、

「ん?

 どうした?」

ベッドから起き上がった政弘が裕子の傍に駆け寄った。

すると、

「ほらっ

 あそこっ
 
 テラスのところ…

 誰か人が居る」

指差しながら裕子が洋館のテラスに佇む人影のことを指摘すると、

「あっほんとだ…」

窓を覗き込む政弘もその人影を見つける事が出来た。

「誰なんだろう?」

「さぁな…

 あの婆さんじゃないみたいだな
 
 他にも人が居たのかな」

「でも、変よ

 ここに一人で住んでいる人ってお婆さんだけって言っていたじゃない」

「あっそうか」

裕子の指摘でこの部屋に案内をしたとき

老婆がこの屋敷に住んでいるのは自分だけという言葉を政弘が思い出すと、

「行ってみよう」

と裕子は政弘に提案した。

「おっおいっ

 その婆さんに言われたことを忘れたのか?」

出て行こうとする裕子を引きとめるように

…あぁそれから…

 何があっても決して庭には出ないように…

と老婆からの忠告を告げると、

「なによっ

 いつもの政弘なら、
 
 そんなもの関係ない。
 
 て言って飛び出していくじゃない
 
 現にここに来たときもそうだったじゃないのよ」

裕子は政弘に向かって文句を言うと、

「判ったわっ

 政弘がそんなに弱虫なら、
 
 あたし一人で行く」

そう言い残して裕子は部屋を出て行ってしまった。

「あっおいっ」

突然積極的になった裕子の振る舞いに翻弄されながらも、

政弘はスグに裕子を追って部屋を出て行った。



「この向こうか?」

「うん、おそらく」

人影が居たテラスへと続く廊下を歩きながら政弘がそう話しかけると、

裕子は静かに頷く。

やがて、二人の前に月明かりに照らし出されたテラスが姿を見せると、

居た。

テラスの真ん中辺りに置かれた椅子に一人の人影が座り込んでいた。

「あの人…」

「うん?

 女の人…かな?」
 
「え?」

月明かりに括れた腰が浮かび上がる様子に、

政弘が人影が女性である事を指摘すると、

裕子は政弘の顔を見る。

「何だよ、その顔は」

感心したような表情の裕子に政弘はそう言うと、

「いや…

 よく判るなぁ…
 
 って思ってね」

「うるせー

 よし、行って見るぞ」

裕子は返事にさっきまでの怖がり様とは打って変わって

率先して政弘が人影に歩み寄っていくと、

「あのぅ…」

と人影に向かって声をかけた。

すると、

クイッ

人影がゆっくりと振り返ると、月明かりに照らし出すようにしてその顔を政弘と裕子に見せる。

その途端、

「なっ!!」

「ひぃっ!!」

二人は思わず悲鳴を上げると、

1歩…

2歩…

と後ろに下がり始めた。

そう、二人が見たのは

一糸纏わぬ裸体の女性だったが、

しかし、その首から上は人間の顔はなく、

代わりにサッカーボールほどの大きさの男性の性器・亀頭が月明かりに輝いていた。

「なっなんだよぉ

 コイツは…」

「しっ知らないわよ」

政弘と裕子は抱き合いながら

女性の肉体とペニスが合体したような生き物のチンポ女を見ていると、

ジュルッ…

チンポ女は顔の前に縦についている鈴口から”先走り”を垂らしながら

這いずるようにして近づいてきた。

「ねぇ、

 こっちに来たよ」

自分達に向かってくるチンポ女を指差し裕子が声を上げると、

「逃げるんだ!!」

政弘はそう叫ぶなり、

裕子の手を引いて走り出した。

そのとき、

ザンッ

いきなりチンポ女が逃げる裕子の背後に飛び掛ってきた。

「いやぁぁぁ!!」

裕子の悲鳴が響き渡ると、

「こらぁ!!

 裕子から離れろ!」

政弘は怒鳴りながら裕子に飛び掛ったチンポ女の肩を掴んだ。

すると、

ムクムクムク!!!

突然チンポ女の首が伸び始め、

見る見るその身長は1.5倍くらいに伸びてしまった。

「うわっ

 コイツ勃起したぞ!!」

チンポ女の変化に政弘は驚くと、

チンポ女は顔いや、亀頭をパンパンに腫らせていく。

「こいつ…まさか」

その様子に政弘はチンポ女が射精をするのでは…と思うのと同時に、

「裕子っ

 早く来るんだ!!」

と叫びながら政弘は裕子に向けて手を伸ばした。

しかし、

ビクッ!!

一歩早くチンポ女の体が動くと、

グィッ

己の亀頭を裕子の顔に擦り付け

ビュッ!!

その縦に開いた鈴口から白濁した粘液を裕子に向けて一気に吹きかけた。

「いやぁぁぁ!!!」

チンポ女の口から噴出した精液を頭から浴びた裕子は叫び声をあげると、

「なんてことをしたんだお前は!!」

間髪居れずに政弘はチンポ女の亀頭を殴り、

そして突き飛ばすと、

「くるんだ!!」

精液まみれになってしまった裕子の腕を引き洋館へ駆け込んでいった。



「うへぇぇ

 気持ち悪い!」

「裕子っ、とにかくそれを洗え」

栗の花の香りに似た匂いを撒き散らしながら部屋に戻ってきた裕子に

部屋のシャワー室が使える事を確認した政弘は裕子をシャワー室へと連れて行った。



「ねぇ…一体なんだったのかしら?」

タオルを巻き、精液を洗い流した裕子がシャワー室から出てくると、

「さぁな」

思案顔の政弘はそう返事をし、

「とにかく、あのチンポ女の正体を婆さんに聞いてみるしかないな」

というと腰を上げた。

するとそのとき、

ギュッ

裕子の手が政弘の手を掴むと、

「あぁ、心配するな、

 すぐに戻る」

政弘はそう言って裕子を安心させようとしたが、

しかし、

「政弘…」

政弘を見る裕子の顔はなぜか上気し、

その目は明らかに欲情していた。

「おっおいっ

 どうした?」

突然、欲情した裕子に政弘は驚くと、

ガバッ

裕子はいきなり政弘に抱きつき、

そして、政弘のズボンを引き下ろし始めた。

「やっやめろっ裕子!

 どうしたんだ?」

ズボンを抑えながら政弘が裕子の頭をどけようとして

彼女の首を触ったとき、

ゴリッ!!

裕子の首の後ろで横一直線に盛り上がっている筋に触れた。

「なんだ?」

そう思いながら政弘は裕子の首の後ろの筋を改めて確かめようとすると、

「あっいっ

 いいっ

 そこっ
 
 気持ちいい!!」

裕子は大きな喘ぎ声を上げた。

「なんだよっ

 お前…
 
 これ感じるのか?」

裕子の反応に政弘は面白がり、

コリコリ

コリコリ

と裕子の首の筋を弄り始めた。

すると、

「あっあっ

 あぁ!!」

裕子は髪を振り乱し、

声を上げ喘ぎまくる。

「ははは…

 面白れー」

チンポ女のことをすっかり忘れ、

裕子の乱れ方を面白がった政弘は更に激しく筋を弄ると、

モリッ

その筋が少しずつ大きく成長を始めだした。

「ん?

 なんだ?
 
 これ…大きくなってきたぞ」

政弘がその事に気づくと同時に

「あんっ

 あんっ
 
 いやっ
 
 だめっ
 
 大きくなっちゃだめ」

涎を流し裕子はそう喘ぎ始めると、

自分の手で首の周りを押さえた。

「なっなんだ?」

裕子の行動の変化に政弘が気づくと、

「うっ

 うっ
 
 うっ」

何かがこみ上げてきているのか、

裕子は首に廻していた手を喉元に動かし、

必死になってこらえ始めた。

「おっ

 おいっ
 
 裕子、どうしたんだお前?」

ただならない裕子のその様子に政弘は問いただすが、

「うっ

 うぅ…」

裕子は目を剥き、

必死になって何かを伝えようとし始めた。

「おいっ

 裕子っ
 
 どうしたんだ?」

そう叫びながら政弘は裕子の肩を鷲掴みにし激しく揺する。

すると、

「うっ

 うぐっ」

裕子は口に両手を当てると、

必死になって何かを飲み込み始めた。

そして、

「うっうっ……」

裕子が目をまん丸に剥いたとき、

ドンッ

目の前に居る政弘を突き飛ばし

ベッドの下に顔を向けると、

グボッ!!

ブシュッ!!

裕子の口から白濁した粘液を噴出した。

ムワッ

湧き上がってる栗花の香りに政弘は思わず鼻を押さえながら、

「精液?」

といま裕子が吐き出したのが精液である事に気づくと、

「おいっ

 裕子…お前…」

ジュブジュブ…

ジュブジュブ…

なも精液を吐き出し続けているのか、

首が上下に動くごとに精液を吐き出す音を響かせる裕子の肩を掴み、

そして、振り向かせたとき、

「うっうわぁぁぁぁ!!」

政弘は悲鳴を上げ、

そして思いっきり壁に身体を打ちつけた。

「ジュブジュブ…」

口から涎のように精液を流す裕子の顔は

顎の周りが縁を張り出すように大きく膨らむ一方で、

鼻から口に掛けての部分が陥没をしていた。

「おっお前…」

思わぬ裕子の顔の変化に政弘が指差すと、

「うっうっうっ」

裕子はうなり声を上げながら手を伸ばすと辺りを探り始めた。

「裕子…

 お前…
 
 言葉が喋れないのか?
 
 それに目も見えないのか…」

這いずる様に動く裕子に政弘は驚きながらそう話しかけるが、

しかし、裕子はそれには答えなかった。

そして、

ムリムリ…

裕子の体から何かが膨らみ始めたような音が響き始めると、

ハラリ…

裕子が体に巻いているバスタオルがはだけ、

その下に隠されていた彼女の乳房が姿を見せた。

しかし、

ミシッ

姿を見せた裕子の乳房は皺を刻みながら膨らみ、

その中には玉のような楕円の物体が成長していた。

「キンタマ…」

その様子を見た政弘は思わずそうつぶやく、

「うっうっうっ」

陰嚢と化していく乳房を揺らせながら裕子は再び口を押さえる。

「まっまた出すのか?」

その様子に政弘は裕子が再び射精をするのかと思ったが、

しかし、今度は様子が違っていた。

「うぅぅぅぅ」

裕子はうめき声をあげながら自分の口の上唇と下唇に手を掛けると、

グィッ

っと上下に引っ張る。

すると、裕子の口はまるでゴムのように伸び、

瞬く間に30cmほども開いてしまった。

そして、その開いた口の中から飛び出すようにして

縦に裂け、ピンク色の肉肌に覆われた口が出てきた。

「まさか…」

ニュニュニュニュ…

その肉塊が出た途端、

これまでの裕子の口は捲れあがり、

そして顔を巻き込みながらゆっくりを後退していく。

「ちっチンコ…」

ニュルニュルニュル…

次第に姿を見せる裕子の新しい顔の様子に政弘はそう呟くと、

ズルリ…ビンッ!!

に裕子の首から上にサッカーボール大のズル剥けになった大きな亀頭が飛び出した。

「チンポ女…」

裕子のその姿にさっきであったチンポ女のことを思い出すと、

ブンブン

ズル剥けになった顔・亀頭を振り回して裕子は部屋の中を這いずり始め、

と同時に

カリカリカリ!!

窓を引っかく音が響き始めた。

「え?」

その音に気づいた政弘が窓を見ると、

ビタッ

窓にへばりつく人影があり、

その頭部はペニスの亀頭の姿をしていた。

「まさか…

 あのチンポ女か?」

窓にへばりつく影を見ながら政弘がそう呟くと、

バンッ!!

音を立てて窓ガラスが割れ、

ザザザザ…

割れ落ちるガラスをものともせずにあのチンポ女が飛び込んできた。

「うわっ」

まるで爬虫類を思わせるその動きに政弘が悲鳴を上げると、

クニッ

クニクニ

チンポ女と裕子はお互いの亀頭を擦り合わせながらじゃれ合い始め、

そしてスグに69の姿勢になると、

お互いの頭を相手の女性器に擦り合わせ始めた。

「なっなにを…」

床の上でお互いの股間に亀頭と化した顔を埋める裕子とチンポ女、

すると、

ジュルッ

お互いの女性器から愛液が噴出し始めると、

見る見る広がっていき押し当てている亀頭を飲み込み始めた。

「まっまさか」

次第に広がっていく女性器に二人はそれぞれの亀頭を挿入し、

そして

ヌプッ

完全に挿入をしてしまうと、

ニュプニュプニュプ!!

淫らな音をたてながらグラインドを始めだした。

「やっやめろ!!」

その様子に政弘はそう叫ぶと、

「無駄じゃよ」

という言葉と共に老婆が部屋に入ってきた。

すると、

「婆さん

 これはいったいどう言うことだ!!」

そう叫びながら老婆に向かって政弘が食って掛かると、

「良かったなぁ佐和子…

 もぅお前は一人ではないぞ」
 
老婆はそうつぶやきながら挿入し合う二人のチンポ女を見つめた。

「佐和子?」

老婆の言葉を政弘が繰り返すと、

「佐和子はわしの孫娘じゃった、

 しかし、メキシコに卒業旅行に行ったとき、
 
 向こうで変な病気を貰ってのぅ…

 ついにこんな奇妙な姿になってしまった。

 わしは親からも捨てられた佐和子が不憫で引き取ったのだが、

 でも、良かった
 
 もぅお前は一人ではない、
 
 その女と共に生きていくがいい」

と言うと政弘に背中を見せた。

「ちょっと待ってくれ

 そんな身勝手な、
 
 裕子は俺の女だぞ、

 なぁお願いだ、
 
 裕子を元の姿に戻してくれ」

去ろうとする老婆に政弘は縋ると

「無駄じゃよ

 見よ、

 二人ともマラの本能に目覚めおっておる」

「マラの本能?」

「そうじゃ、

 挿入と射精。
 
 この二つのみがマラと化してしまったあの者達のすべて」

老婆はそう言うと、永久機関のようにグラインドを続けている二人を指した。

「どうすれば

 どうすれば裕子を元の姿に出来るんだよ
 
 教えてくれよ婆さん!!」

政弘の悲痛な叫び声ぶが洋館の中に響き渡っていった。



おわり