風祭文庫・異形変身の館






「俺の口」


作・風祭玲

Vol.966





ピチョン…

ピチョン…

キッチンの蛇口だろうか、

「!!っ」

水が滴り落ちる音に俺は起こされるとゆっくりと起き上がる。

と同時にズーンと響くようにやって来た不快感が頭の中に広がっていくと、

俺は思わず頭を押さえ、

『頭が重い…』

と呟く。

だが、

「プチュ…プチュプチュ…」

俺の口からは人の声は出ず、

水気を帯びた空気が漏れ響くような薄気味悪い音しか出てはこなかった。



「プチュプチュ…」

「プチュプチュプチュッ…」

薄気味悪い音を響かせながらしばらくの間、

俺はベッドの上で座り込んでいたが、

しかし、いつまでのこうしているわけにもいかず

仕方なく立ち上がると洗面台へと向かっていく、

そして、鏡に顔を映し出したとき、

そこには女性用下着を思わせるリボンやフリルのついたマスクが掛けられた俺の顔が映し出され、

そのマスクの下で俺の口はモゾモゾと不気味に蠢いて見せる。

「プチュ…」

それを見た俺はため息をつくが、

出てきたのはまたしても空気が漏れ響く音だった。

そして、自分の顔を見据えながら俺はマスクを取ると、

その下から現れたのは人間の口ではなく、

肌がめり込むようにして縦に刻まれた縦溝であった。

「プチュ…

 プチュプチュ…」

口のある場所に刻まれた縦溝は左右に揺れながらあの音を響かせ、

次第に溝からピンク色をした襞が押し出されてくると、

まるで花が咲くように溝の周りを彩ってみせる。

「プチュ…」

ハッキリ言って見なくは無いものだった。

おぞましい…

気持ち悪い…

悪い言葉の全てが思いついてくる。

だが、

いくら心の中で罵ってみても目の前の現実は変わることはなかった。

グゥゥ…

お腹が鳴る。

「プチュ…」

俺はまたその音を響かせるとキッチンに置いてあるテーブルへと向かっていくと、

「おまんこへ、

 朝食は自分で調達するのよ。

 それと、食事前はちゃんとこれでウォーミングアップをすること、

 じゃないと、お口が大変なことになっちゃうからね」

と書置きされた紙と共に男の男性器を思わせるディルドォが置いてあった。

「プチュッ」

俺は口を鳴らしながらそのディルドォを手に取ると、

カチ!

取っ手についているスイッチを入れる。

その途端、

ブイィィィィン…

ディルドォは軽い音を上げながら震え始め、

その振動を感じながら俺はディルドォを口へと向けた。

ニュプッ…

「!!!!っ」

一呼吸置いてディルドォの挿入と共に俺の口は震え始めるが、

だが、それ以上に強烈な快感が俺を揺すり始めた。

振動の一つ一つが脳天に突き刺さり、

と同時に突き刺さる振動が解け出るようにして快感が俺の頭を揺さぶってくる。

ブブブブブブブ…

ディルドォが奏でる音は湿り気を帯びたものに変わり、

ドロォ…

ディルドォをくわえ込んだ口からは唾液とは違う液体が止め処も無く流れ落ちてくる。

なにも考えることは出来ない。

なにも考えたくない…

俺は股間のペニスを勢い良く勃起させながら安楽椅子に身体を預けると快感に酔いしれる。

ヌプッ

グニッ

グニッ

ヌプヌプ…

口に入れたディルドォをさらに深く押し込んだと思ったら、

今度は少し引き出し、向きを変えてさらに押し込む、

そして、小刻みに動かし始めると絶頂はもうすぐ。

「!!!っ」

「!!!っ」

俺はイチモツをしごきつつ激しく頭を振り続ける。

頭の中がしびれてなにも考えることが出来ない。

上げられない喘ぎ声を上げながら俺は身体を震わせると絶頂に達した。



コトン

コロコロ…

俺の手から粘液を滴らせるディルドォが離れ転がり落ちていくと、

「プチュプチュプチュ…」

口からダラリと粘液を滴らせて俺は放心状態になっていた。

だが、射精のタイミングを逸した俺のイチモツはいまだ勃起したままで、

行き場を失った熱いマグマを抱えたままジンジンと響かせている。

その感覚に俺は突き動かされるようにして身を起こすと、

ゆっくりと前かがみになり、

縦溝と化した口をイチモツへと近づけていく、

ツーン

とくる独特の臭いが俺の鼻をくすぐり、

「……」

その臭いに酔いしれるようにして

ヌプッ!

俺は自分のイチモツを口に含んだ。

「!!!っ」

ディルドォですっかり柔らかくなっていたのか、

俺は難なくイチモツを飲み込んでしまうと、

グググッ

っと根元まで含んでみせる。

すると、

グニッグニッ

グニッグニッ

俺の口の中が蠢き始め、

ジワ…

口の中に愛液が溢れかえり始める。

硬くて、

熱くて、

ゴリゴリする自分のイチモツ…

ゆっくりとその味を味わいながら俺は

ムギュッ!

っとイチモツを締め付けると、

それと同時に

「(うぅ、締まる…)」

イチモツを締め付けてくる愛液を伴ったヌメヌメした感覚に身もだえながら、

俺は首を前後に振り始めた。



ピチョン…

水の音が静かに響いていく中、

クチョ!

クチョ!

クチョ!

俺は一人で卑猥な音を立てていた。

そして、頭の中を貫きビリビリと痺れてくる快感の中で、

「あぁ…

 美味しい…

 美味しいよぉ俺のちんぽ…

 とってもうめぇぇ!」

俺は自分のイチモツを締め付けながら味わっていた。

やがて、締め付けられたイチモツは次第に限界へと達し、

ビクンッ!

ビュビュビュッ!

合図の花火が弾けた途端、

股間に溜まりきっていた熱いマグマが一気にイチモツの中を駆け抜け、

口の中に熱い精液が放たれる。

その精液を

ゴクン…

ゴクン…

俺は飲み込み惜しそうに口を離す。

射精した自分の精液…

それが、今朝の俺の朝飯である。

トロ…

飲みきれなかった精液が愛液と共に滴り落ち、

俺は粘液まみれとなった口回りを腕で拭い落とそうとした。

すると、縦に開いている口が捲りあがり、

中の肉襞が腕に引っ張られると、

「プチュッ!」

っと音が響き

それを聞いた俺は慌てて腕を放して両手で押さえる。

そう俺の口はもはや人の口ではなかった。

男のイチモツしか食べることが出来ないオマンコというものになっていたのであった。



「ねぇ、聞いた聞いた?」

「聞いたわよ、今度入ってきた中途の新人。

 んーと、なんて言ったっけ」

「幌墨美和よ、

 3課に配属ですって?」

「それって本当?」

それは3ヶ月ほど前のことだった。

給湯室で若いOL達がなにやら騒いでいるのを俺は耳にすると、

「幌墨美和…うちの課かぁ…」

彼女達の口から出た名前を俺は呟く、

すると、

「鷹田君っ」

と俺の名前を呼ぶ声が響いた。

「はい、

 何でしょうか」

席を立ち、

俺は俺を呼んだ課長のところに行くと、

「あぁ、君が提出したこの概算書ね…」

課長はそう言いながら書類を開きアレコレと質問をし始めだす。

「(ちっ、

  いちいちくだらない事で質問してくるなよ、

  おめーには考える力がないのかよ)」

六大学卒を自負する課長を見下ろしながら俺は心の中で舌打ちすると、

「課長…」

と女の声が響いた。

「ん?」

その声の主へと視線を動かしていくと、

「おっ!」

書類を手にした一人の女性が立っていた。

日本人離れをした彼女の目鼻立ちはどこかエキゾチックな印象を与え、

さらに170cm近い細身の身体はバスト・ウェスト・ヒップ、

どれを見ても男が理想として描いている数値を満たしているようだった。

「……君っ

 鷹田君っ」

課長の俺を呼ぶ声が響くと、

「はっ、

 なっなんですか?」

我に返った俺は慌てて返事をする。

「あぁ、いいよもぅ…」

そんな俺を見上げながら課長は俺を追い払う仕草をすると、

「失礼します」

俺は不愉快そうにそういい残して立ち去ろうとしたとき、

「あぁ、そうだ

 紹介しておこう」

と課長は俺に声をかけ、

「今日からこの課に配属された幌墨君だ。

 よろしくな」

あの女性を手で指し俺に紹介をした。

そして、

「コホン…

 君は女性でちょっと問題があるようだけど、

 ほどほどにしておけよ」

と付け加えると、

プッ

クスクス

周囲から小さな笑い声が響いてくる。



まぁ、確かに俺は女性に手が早く、

口の悪いOLからはセクハラ魔人などと陰口を叩かれている。

だからと言って、

課のみんなの前でそんなことを言わなくても良いのに…

課長の陰険なやり方に俺はむくれながら席に戻ると、

仕事の続きを始めだした。

夕刻、

「はぁ、

 全く今日は散々だったぜ」

悪態をつきながら帰宅の支度を終えた俺はエレベータの前で待っていると、

スッ

俺の横に黒い影が立ち並んだ。

「誰?」

視線を動かして俺は影の正体を見ると、

なんと、あの幌墨美和が俺の横に立っていた。

「幌墨…」

制服から私服に着替えたのか、

黒いドレスを思わせる服装をした彼女の姿に俺は思わず見とれてしまうと、

「あの…」

と透き通るような声が響いた。

「え?」

その声に俺は改めて幌墨を見ると、

彼女は前を指差し、

「エレベータ、着てますけど」

と囁く。

「あっ!」

その指摘に俺はバツが悪そうな気持ちで飛び乗ると、

追って幌墨も乗ってきた。

ポーン!

軽い電子音と共にドアが閉じ、

俺と幌墨を乗せたエレベータは下へと動き始める。

この時間、いつもなら満員のはずのエレベータ。

だが、なぜかその時は俺と幌墨だけの世界になっていた。

「あっあのさっ」

重苦しい空気を払うようにして俺は幌墨に声をかけると、

ジッ!

幌墨は返事をせずに俺を見つめる。

「なっ何だ、この眼は…」

まるで俺の心を頭から引きずりだし、

くまなく精査するような感覚に俺は陥ってしまうと、

スッ

俺の首に幌墨の手がかかり、

「大丈夫、

 あなたを本当の姿にしてあげる」

と言う声が響くや否や、

俺の唇に幌墨の唇が重ねあわされた。

甘く強い力が俺の口をこじ開け、

彼女の舌が俺の口の中に入ってくる。

「なんだ…

 まるで犯されているみたいだ…」

男のイチモツで犯される女性のような心境になりながら、

俺は彼女の舌に蹂躙されていく、

そして、

スッ!

いきなりその舌が離れていくと、

「あっやめないで…」

と俺は思わず声を上げてしまった。



「はぁ?」

「え?」

ふと気がつくと、

俺は満員のエレベータの中に立っていて、

さっきの俺の言葉が聞こえてしまったのか、

周囲に立つ者達は怪訝そうな目で俺を見ていた。

「あっいえ、

 なっなんでも」

俺は場を繕うために咳払いをして見せると、

ヒソヒソ

なにやら話をする声が聞こえてきた。

「ちっ、

 何でいきなり満員になっているんだよ、

 大体、幌墨はどこに行ったんだ?」

やりきれない気持ちをぶつけるようにして、

俺は拳を握り締めるが、

だが、

「あのキス…すごかったなぁ…」

と俺は初体験といっても過言でないキスの味をかみ締めながら顎を摩っていた。



それからも俺と幌墨は何かと出会い、

そして、奇妙な二人っきりの空間でキスをするようになっていた。

「幌墨のやつ、

 俺に惚れたのか?

 だから、俺が一人で居るところにやってくるのか?」

舌を絡ませ、積極的に自分の舌を俺の中に入れてくる濃厚な幌墨のキスを自分の席で俺は思い出していると、

「あの鷹田さんっ、

 口の周りが汚れていますよ」

と幌墨の声が響き、

俺の目の前にハンカチが差し出された。

「え?

 あっあぁ…」

いつの間にか俺は涎をたらしていたらしく、

俺は慌ててハンカチで口を拭うと、

「ふふっ」

そんな俺を見下ろしながら幌墨は笑みを浮かべる。

「?

 なにか、おかしいのか?」

そんな幌墨に笑みの理由を尋ねると、

スッ

彼女は何も答えずに去っていってしまった。

「変な奴…」

彼女の後姿を皆がら俺は呟き、

そして、

「外回り、行ってきます」

とカバンを片手に社を出て行く。



「あはんっ」

「んっ」

「あぁんっ、

 凄い、

 凄い

 あぁ、

 いっちゃいそう!!」

ラブホテルのベッドの上で中井美佐が身体を震わせながら喘ぎ声を上げると、

ぺチャぺチャ

ぺチャぺチャ

俺は彼女の股間に顔をうずめ、

赤く熟れた肉襞を舌で責めていた。

「お願い…

 入れて、

 このままでいかせないでぇ」

懇願するように美佐は俺のイチモツを所望するが、

だが、俺はその声には耳を貸さずに、

舌と唇でひたすら責め続けていた。

ビリビリ…

ビリビリ…

「あっ、

 くっ、

 何だこの快感は…」

女の肉襞を舌で責めるごとに感じてくる快感に俺は飲み込まれていて、

美佐の声など聞こえてはこなかったのである。

そして、

「あぁぁんん!」

一際高い美佐の声が響くと、

ビクビクビク!!!!

俺も同じように絶頂に達してしまい、

「あぁぁぁ…

 何て気持ちいいんだ…」

そう呟きながら美佐の上に倒れこんでしまうと、

トロ…

俺の唇の端から止め処も無く涎が手落ちて行く。

その頃からどういうわけか幌墨は俺の無視するようになり、

他のOL達と給湯室などで話をするようになっていた。

「ちっ、

 どうせ、俺の悪口を聞かされて

 愛想をつかせたんだろう」

ある意味自業自得という奴だが、

でも、無性に腹が立ち、

俺もあえて幌墨を無視するようになっていった。

だが、OLたちも時を合わせるようにして俺を無視するようになり、

変な言い方だけど、

まるでOL達の頂点に幌墨が君臨し、

その幌墨に彼女達は忠誠を誓っているようにも見えてきたのである。

そんなOL達と俺との冷戦は一週間以上続き、

「はぁ…」

次第に職場環境に疲れを感じるようになってくると、

食べ物が喉を通らなくなっていた。

「あぁ、

 何を食べても美味しく感じないなぁ…」

会社帰りの赤提灯。

顔見知りのママとしょうもない会話をしながら俺は出されたおつくりに箸をつけるが、

だが、それを口に運んでも、

美味しく感じることは出来ず、

なにか異物を放り込んでしまったかのような不快感を感じるようになっていた。

またさらに、

「うっ!」

酒を口に運んだ途端、

アルコールの刺激が粘膜を必要以上に刺激してしまい。

俺はあれだけ好きだった酒を飲むことが出来なくなったのである。

その一方で、

チュバッ…

幌墨のあの舌の感覚を思い出すと、

見る間に口の中に粘液が溢れ返り、

さらに胸がときめいてしまって眠れなくなるのである。

「はぁ、

 何が変だぞ、

 俺?」

不眠症に悩まされた俺はベッドの上で頭を抱えると、

「ちょっと遅いけど、

 サウナにでも行ってくるか」

と腰を上げる。

だが、

「この野郎!!

 なに変な目で俺を見ているんだ!」

響き渡る男の怒号に俺はハッとすると、

サウナ室で同席していた男が怒り心頭の表情で俺を睨みつけていた。

「あっいや、

 勘違いだって、

 俺はそんな…」

慌てながら俺は下心がないことを強調するが、

「嘘つくんじゃねぇ、

 さっきから物欲しそうに俺をジロジロみやがって、

 さては、てめぇ、

 ホモ野郎かぁ?

 俺はそんな奴が大嫌いなんだよぉ」

肉体労働者だろうか、

丸々張り詰めた腕を振り上げて男は怒鳴ると、

「違うって、

 違うって」

俺は腰をあげると逃げるようにしてサウナから飛び出した。

しかし、確かに俺はあの男の股間に目が釘付けになっていたのは事実だった。

「俺は…何をしていたんだ…」

だが、それは始まりにしか過ぎなかった。

「おいっ、

 なに用か」

男子トイレで突然声をかけられると、

「え?

 あっいや」

その声を聞いた俺は慌てて正面を向きなおす。

「あんまり人が用を足しているところをジロジロ見ないほうがいいぞぉ」

俺に向かって注意をすると、

隣の男はトイレから去って行く。

「まただ」

用を足し終えた俺は頭を抱えるが、

だが、どういうわけか、

男の股間がやたらと気になって仕方が無い。

それだけではない。

男のイチモツを見るとそれを口に含みたくて仕方が無くなってしまうのだ。

自宅のパソコンを開くと

同性愛サイトからダウンロードしてきたイチモツの画像データがずらりと並び、

さらに気がつけば

アダルトショップで購入してきた男性器の張型を口に含んでいることもあった。

「俺は…

 俺はどうしちゃったんだ?」

言いようも無い不安が俺に圧し掛かかってくる。



そんなある日、

あの幌墨からメールが届いた。

”幌墨です。

 最近、元気が無いようですが、

 お加減が悪いのですか?

 元気の無い鷹田さんを励まそうと思いますので、

 今日の夕方、私のマンションに着てください。

 待ってます。”

思いがけないその内容に俺は小躍りしたいくらいに嬉しくなり、

不安と期待で仕事が手につかなくなってしまった。

そして、終業のチャイムが鳴るのもほどほどに俺は会社を飛び出すと、

一目散に幌墨のマンションへと向かっていったのであった。

「お待ちしておりました」

ドアチャイムを鳴らすのと同時にまるで待っていたかのように幌墨がドアを開けて俺を招き入れる。

「今日姿が見えなかったけど、

 休んでいたのか?」

はやる気持ちを抑えながら俺は職場で幌墨の姿が見えなかったことを尋ねると、

「えぇ…

 鷹田さんのために会社を休んで支度をしていたのです」

と彼女は答え、

その目で俺を見つめた。

「うっ…」

幌墨の目は間違いなく魔力を持っている。

その魔性の目で見据えられた俺は無性にキスをしたくなり、

「幌墨…」

と名前を呼びながら唇を寄せた。

すると、

「鷹田さん…」

幌墨もまた唇を寄せ、

俺と幌墨は熱いキスを交わし始めた。



ジュブッ

ジュブジュブ…

幌墨の舌が俺の口の中を蹂躙し、

俺は快感に悶えながら覆いかぶさってくる幌墨を抱きしめる。

俺も幌墨も裸になっていた。

そして、彼女が用意していたベッドの上で俺たちは抱き合い唇を重ね合わせていた。

ヌプッ

ヌプヌプヌプ

突然、幌墨の舌が俺の口の中を暴れ始めると、

「あっあぁぁぁ」

俺は喘ぎ、

ギュッと彼女を抱きしめる。

そういう訳か判らないが、

幌墨の舌は強く硬く大きく感じ、

まるで喉の奥まで入ってくるような勢いで俺を犯し始めていた。

「うっ

 いっ息ができなくなる!」

猛烈な責めに俺は一瞬、危険を感じたが、

ビリッ

ビリビリ…

すぐに脳天を貫いて襲ってきた快感に俺の思考がまとまらなくなってくると、

俺は幌墨のなすがままになって行く。

そして、

ジワッ

ジワジワ…

っとこみ上げてくる快感の津波が俺を押し流したとき、

ビュッ!

幌墨の舌が弾け、

ドロッ!

熱い何かが怒涛のように俺の口に注ぎ込まれると、

ゴクリ

ゴクリ

俺は喉を鳴らしてそれを飲み干したのであった。



「うふっ」

「あはっ」

どれくらい気を失っていたのであろうか、

女達の話し声に俺は目を覚ますと、

「あ、鷹田さんが起きたわよ」

「うふふ、完全にできあがっちゃったようですね」

「すごい感じまくりで、

 途中からあたし達が入ってきたのにも気がつかなかったしぃ」

「ホント、淫乱女みたいでしたよ」

と話しながら俺を覗き込んできた。

「(お前達は…)」

そう彼女達は皆、俺が今まで関係を持ち、

そして、捨ててきた女たちであった。

どうやら俺は裸でベッドに縛り付けられているようあり、

さらに鼻の前に棒のようなものが見える。

「(口にディルドォが押し込まれてるのか?)」

棒を見ながらそう思っていると、

まるでセックスしてる姿を見られるかのように

急に恥ずかしくなってきた。

「…(見るな)

 …(見ないでくれ!)

 …(?)…」

クチュッ

「…(声がでない!)…」

プッ

グチュ

いくら叫んでも口が思った様に動かすことが出来ない。

「(こいつら俺が寝てる間になにをしたんだ)」

そう思いながら女たちを見ていると、

「アハハ、

 なんか卑猥ねぇ。

 ぐにゅぐにゅ動いてるわ」

「きっと、おちんちんが美味しいのよ。

 エッチね〜」

と女たちは俺を指差し笑い始めた。

「(何を言ってるんだ!

 これをはずしてくれ)」

クチュ

プチュ

笑い転げる女たちに向かって俺は怒鳴り返すが、

しかし、俺の口から出てくるのは相変わらずこの音だけだった。

すると、

「いいわ、

 何がおきてるのか教えてあげる」

女の一人がそう言いながら手を伸ばし

俺の口に押し込まれディルドォに手をかけた。

しかし、その手はディルドォを外してくれるのではなく

ゆっくりと上下に動かし始めのであった。

「(なにを…

  あっ動かさないで)」

覚めかけていた快感に火がついた。

そして、

「(口の中が、

  気持ちいい…

  見ないでくれ

  恥ずかしい)」

俺は頬を赤らめながら歯と舌でディルドォを押し返そうとしたがでも何か変だ。

「(え?

  歯や舌の感覚が…無い?)」

そう、いくら舌を動かそうとしても俺の口には舌が無く、

さらに口を閉じようとしても歯が無いのである。

ぐちゅ…

ぐちゅ…

ぶちゅ…

女に握られたディルドォが俺の口で粘りつくような音をたて、

「あは、

 鷹田君。

 とってもいやらしい音がでてますよ」

と女たちは代わる代わる俺に言ってくる。

ぐちゃ、

にちゃ、

ぐちゅ、

ぐちゅっ…

「(やめ、

  俺の口が、

  あ、あん

  いったいなにが?

  あぁ 

  あん)」

まるで女のように俺は悶え、

繰り返し響いてくる快感が直接脳を叩いて考えがまとまらない。

「(あぁ、

  だめっ

  いっちゃう

  いっちゃう)」

首を左右に振り、

俺は身体を強張らせると、

「はい

 お終い!」

その声と共に

ジュボン

とディルドォが口から引き抜かれた。

そして、

「わぁ、パックリ開いちゃってる」

「いやらしいわねぇ」

俺を見ながら女たちは口々にそう言い、

俺の口に指を突っ込みはじめた。

「(うっ)」

入ってくる指を止めようと、

俺は口を閉じようとしたが

だが、女たちのO指は易々と進入してしまい、

上顎の内側をかるく引っかくようにして指が動いた。

その途端。

ビクッ!

俺は逝ってしまったのであった。



「(うっ)」

それからも俺は弄ばれ続け、

幾度か逝かされた後、

挿入されている指を押し返そうと力を入れた。

「あら、まだ締め付けてるわぁ

 あたしより締りがいいかも」

指を入れながら女はそう声を上げると、

指を引き離し始めた。

「(なっなにを言っているんだ?)」

その声と指が離れていく感覚に俺は目を開けると、

目の前に鏡があり俺の顔がそこに映っていたのである。

俺は声にならない悲鳴をあげるが、

「プチュゥ…」

出てきたのはこの音だけだった。



そう、鼻から上は間違いなく俺の顔だ。

だが、その下は…

縦に割れた肉から赤味がかった粘膜がはみだし、

それが俺の表情にあわせてグニュグニュと動いているのであった。

「アハハッ

 いい気味だわぁ」

「鷹田君のお口は彼女に犯されまくってオマンコになっちゃったんですよぉ」

くちゅ…

「(オマ…

  なんだって

  そんなことあるわけない)」

女たちに向かって俺は怒鳴り返そうとするが、

「このお口じゃ喋れませんね」

と言いながらまた別の女が俺の口に指を入れた。

その途端、

ビクビク!!

俺は快感に酔いしれ

「(あぁ、だめ

  中を刺激されると頭がはたらかなくなってしまう)」

と心の中で叫んだ。

「うふっ

 トロトロのビショ濡れですよ

 恥ずかしくないんですかぁ?」

俺に向かって女はそういうと、

「さて、

 そろそろいいんじゃない?」

女たちは顔を合わせて頷くと、

メリッ!

彼女の口の中で何かが膨れ上がりはじめ、

唇を押し広げて丸い肉が姿をあらわす。

それは巨大な男根だった。

俺はもはや男でも人間でもなかった。

そう、一個の女陰、オマンコだった。

縦に開いた口から愛液という名の涎をだらだらと垂らしながら

迫るイチモツを待ている存在になっていたのである。

そして、口からペニスを勃起させている女たちの背後で幌墨が俺を見ると、

「これはね、

 天罰なのよ、

 あなたは女性をあまりにも傷つけすぎたわ、

 さぁ、あなたが大好きだったものになって、

 今度は犯されなさい。

 永遠にね」

と俺に告げ、

まるでかき消すように姿を消してしまったのであった。

その日から俺はこのマンションに監禁され、

代わる代わる女たちの慰み物にされている。

オマンコにされてしまった口と共に…



おわり