風祭文庫・異形変身の館






「嘘」


作・風祭玲

Vol.617





「うっそぉ!!」

昼休み中のOL達でにぎわう喫茶店。

その店内に佐野美冬の驚く声が響き渡ると、

「え?」

「なに?」

その声に驚いた者達が皆一斉に声が響いた方角へと頭を向ける。

「しっ、声が大きい!!」

周囲の注目を一身に浴びながら戒めるように日比野美夏の声が追って響くと、

「だってぇ…

 いきなりそんなことを言われれば
 
 誰だってぇ…」

とある都市銀行の制服に身を包む美冬はそう言い訳をした。

すると、

「コホン!

 佐藤さん、

 これは貴方のためを思って言っているのよ」

咳払いを一つして、

同じ制服姿に身を包む美夏はキツイ表情で美冬を見つめ、

諭すようにそう告げる。

「でも…

 そんな浩二さん…

 いえ、沢渡さんがその…

 ほっホモセクシャルだったなんて…」

恥ずかしさと戸惑いを見せながら美冬は呟くと、

「(シッ!)

 いいこと、

 これはあたし達だけの秘密よ、

 もし、他の人に知られたら、

 沢渡さんは銀行にいられなくなるわ、
 
 それで良いの?」

と美夏は口先に人差し指を立て、釘を刺す。

「うっうん、

 判ったわ…

 でも…」

「大丈夫、

 いまならまだ間に合うわ、

 あたし達の力で彼を更生させるのよ」

困惑する美冬の手を握りしめ、

美夏はそう力説すると、

「更生?」

「そう、

 沢渡さんに男よりも女の方が断然良いって事を判らせるの」

「判らせる?」

「そう、

 そうなれば沢渡さんはごく普通の恋愛が出来るようになるわ」

「あっありがとう…」

美夏の言葉に一筋の希望を見いだすことが出来たのか、

美冬は小さな笑みを浮かべると、

「持つべきものは友達ね」

と微笑んだ。

そして、

「美夏…

 あたしの力になってね」

と100%美夏を信頼している目で見つめながら、

美夏の手をキツク握りしめると、

「うん、

 任せなさい。
 
 実はあたしの知り合いにこういったことが専門の精神科の医者が居るのよ、

 今度相談してみるね」

「本当、

 美夏だけが頼りよぉ」

力強い美夏の言葉に美冬はすがった。



「あれ?

 もぅこんな時間?」

話に一区切り付いた頃を見計らうように美夏が腕時計を見ると、

「やばっ

 こんな時間なのぉ?

 あたし午後の当番なんだ、

 先戻っているね」

時間を見た美冬は驚いて飛び上がると、

「先に行ってていいわ、

 お金は立て替えておくから、後で精算ね」

席を立った美冬に向かって美夏はそう告げる。

「あっはい

 ありがとう!」

美夏の言葉に美冬は感謝しながら去っていくが、

しかし、

「うふっ

 簡単に引っかかっちゃって、

 単純ね…

 沢渡さんがホモなわけないじゃない。

 それに、彼を狙っているのは貴方だけじゃないわよ、

 うふっ

 これで、美冬は沢渡さんに近づきにくくなったっと、

 さて、次だけど、

 うーん、どうしようかなぁ…」

美冬が去り、一人残った美夏は

そう呟きほくそ笑む。

しかし、美夏の話を信じ込んでしまった美冬は

午後の仕事中も悩み続け、

また、休憩時間で浩二に出会っても、

そそくさとその場から去ってしまっていたのであった。

そして、

「うーん、

 どうしよう…

 全部美夏に任せるって言うのも無責任だし。

 それにこれってあたしの問題もあるんだよね。

 でも、あたしで出来る事って…」

翌日の帰宅途中も美冬は真剣に悩んでいた。

すると、

「あら?」

美冬の行く手に一件の古めかしい店舗があることに気づいた。

「あんなところにお店ってあったけ?」

駅への近道として美冬がよく通るこの道には、

遙か後方にコンビニが一軒あるだけで、

あとは、ビルの裏口か、

ワンコインの駐車場ぐらいしかないはずだった。

しかし、まるで悩める美冬を待ちかまえるかのように、

その店は存在していたのであった。

「黒・蛇・堂…

 創業・寛弘二年?!

 寛弘っていつなのかな?」

すっかり黒ずんでしまっている重厚な看板を見上げながら

美冬は呟いていると、

つい手を扉へと当ててしまった。

すると、

キィッ

扉は大きな対抗もなくスルリと開いてしまうと、

「キャッ!」

バランスを崩した美冬は悲鳴と共に店内へと転がり込んでしまった。

「あいたたた!!」

転がり込んだ弾みで腰を打ったのか、

痛む腰をさすっていると、

『いらっしゃいませ』

と少女の声が響いた。

「え?」

突然掛けられた声に美冬はキョトンとすると、

『ようこそ、

 ここは道に迷いし者達の道標、

 さぁ、あなたの望はどのようなもので』

と言う声と共に暗がりでよく見えない店の奥より

黒づくめの少女が姿を見せると、

音もなく美冬の前に立った。

「え?

 あっ
 
 いやっ
 
 しっ失礼…」

少女の深紅の瞳をみた途端、

美冬は心を吸い込まれそうになるが、

しかし、直ぐに気を取り直すとそそくさと立ち去ろうとした。

すると、

『かしこまりました。

 いま貴方が必要としているものをご用意いたします』

突然、少女はそう告げると、

闇の中へと姿を消し、

そして、再び現れたとき、

その手には小さな小瓶が乗っていた。

『これを…』

「え?」

その小瓶を差し出され、美冬は困惑すると、

『この中に入っている薬を飲みますと、

 あなた様がなりたいと思っているものに変身することが出来ます。

 ただし、あくまでなるだけです。

 元に戻ることは出来ません。

 そこをよく考えて使ってください』

と少女は説明をした。

「はっはい…

 あの、お金は…」

言われるまま美冬は小瓶を受け取り、

そして、その代金のことを尋ねると、

『お金はいりません。

 あなた様の心が満たされたとき、

 それが私への対価となります』

少女はそう告げ、

闇の中へと姿を消してしまった。



「で、それがそうなの?」

翌日の昼、

いつもの喫茶店で不思議な店で貰った小瓶をテーブルの上に置き、

美冬と美夏はじっとそれを見つめていた。

「うっうん」

「なりたいものになれるって?」

「うっうん」

「騙されたんじゃないの?」

「うっうん」

「ちょっとぉ、

 あたしの話聞いている?」

「うっうん?」

問いかけても同じ返事しかしない美冬に

痺れを切らした美夏が怒鳴り声を上げると、

「え?」

ようやく美冬は美夏の顔を見た。

「まったく…

(本当に騙されやすい子なんだから)」

そんな美冬の姿を見ながら美夏はため息をつくと、

「そう言えばさ、知ってる?

 ホモの人って、

 男の人のオチンチンが大好きなんだって、

 だから美冬もその薬でオチンチンになってみたら、

 沢渡さんがめいっぱい愛してくれるかもね」

と意地悪めいたことを告げた。

すると、

「え?

 そっそうなの?」

美夏の言葉に美冬は驚くと、

「まっまぁ…

 その薬が本物…だった場合の事だけどね」

美夏は自分が付いたウソが急に恥ずかしくなったのか、

横を向きながらそう言いくるめた。

すると、

「そうか、

 うんっ

 ありがとう!」

急に何を思いついたのか美冬は元気を取り戻して立ち上がると、

「ちょっと、急用を思い出した。

 支払い、頼むね」

と言い残して店から飛び出して行ってしまった。

「あっ

 ちょっと…
 
 まっマジでそれするの…」

美冬の背中に向かって美夏は声を上げると、

「そこまで本気にするか?」

唖然としながらそう呟いていた。



そして、日が落ち、

夜も更けた頃、

「ふぅ…

 今日もきつかった。

 まったく、銀行員だって言うのに、

 サービス残業だらけって言うのは割が合わないよなぁ」

と文句を言いながら沢渡浩二は人通りが少なくなった通りを歩き、

そして、自分の部屋への近道である市立図書館の前庭を横切ろうとした。

その時、

「沢渡さん…」

突然、浩二の名前が呼ばれ、

スッ、

浩二の行く手に美冬が姿を見せた。

「え?

 あっ
 
 さっ佐野さん?!」

突然姿を見せた美冬に浩二が驚くと、

「沢渡さん。

 あっあたし…知っていますっ

 男の人が好きだって事、

 でも、それを咎める様なことはいたしません」

と浩二に向かって美冬は言う。

「はぁ?

 なっ何のこと?
 
 おっ俺が男が好き?」

「いいんです、

 隠さなくても、
 
 あたし、
 
 あたし、そんな沢渡さんを好きになったのですから」

と美冬は自分の決心を告げ、

「沢渡さん、
 
 この薬…何か判りますか?」

といいながらあの黒蛇堂で貰った小瓶を浩二に向けて掲げた。

「え?

 なんですか?
 
 それ」

「コレを飲むと飲んだ人は希望の姿になることが出来ます。

 私、浩二さんのためにオチンチンになります」

小瓶のことを尋ねる浩二に美冬は力強い口調で答えた。

「なっなに…

 そんなことが…」

「ふふっ

 出来るのです」

「出来るって…

 ばっ馬鹿なマネはよせ、

 だっ大体、チンポなんかになってどうするんだよ」

「それは…

 浩二さん、
 
 貴方に愛されたいからです。
 
 貴方に愛され、
 
 貴方に尽くしたいのです。
 
 だから…
 
 だから、あたしは貴方が唯一愛することが出来るオチンチンになります」

浩二の言葉に美冬はそう答える。

「なんだか判らないけど、

 やめろって!」

美冬の行動を阻止しようとしてか、

浩二は美冬の両腕を押さえようとするが、

「無駄です。

 薬はすでに飲んでしまいました」

と美冬は告げた。

「飲んだ?」

「はいっ(ゴフッ!)」

浩二とのやりとりの最中、

美冬は小さく咳をすると、

トロ…

その口より白濁した粘液が細い筋を付けながら垂れて行く。

「それは…」

それをみた浩二が驚くと、

「ゴフッ

 ゴフッ
 
 あたしのザーメン…精液です。
 
 ゴフッ
 
 あたしの身体の中でオチンチンが
 
 オチンチンが出来て居るんです。
 
 あぁ…固いのが
 
 伸びて…
 
 ゴフッ!
 
 行きます」

胸を押さえ幾度も咳をしながら美冬はそう呟くと

顎を上へと上げる。

すると、

グリッ

その美冬ののど元に瘤が姿を見せ、

グリッ

グリッ

不気味に蠢きつつ大きさを増しながら、

喉の中を上へと移動してゆく、

「さっ佐野さん…」

変身してゆく美冬の目の当たりにして

浩二は愕然としていると、

「ゴフッ!

 ゴボゴボ…
 
 こ…浩二さん」

精液の泡を噴きながら、

美冬は浩二を見た。

「!!!」

美冬に直視されたことに浩二は思わず身を引こうとしたとき、

チュッ!

美冬は浩二に抱きつき、

その唇を浩二の唇に重ね合わせた。

「(あぁ…

  あたし、キスをして居るんだわ…

  良かった…
  
  人間でいるときに出来て…)」

強引に浩二の唇を奪った美冬は

いまこうしてキスをしていることを喜ぶものの、

しかし、美冬の中を成長してきている”もの”は

喉の直ぐ傍まで迫り上がってきていた。

一方、

「うぐっ」

美冬に唇と奪われてしまった浩二は

ドロドロ

と自分の口の中に注がれてくる精液に苦しめられていた。

「うっくっ、

 くっ臭い…し、苦い…

 これが精液の味?

 うっ」

幾度も襲ってくる嘔吐感と共に、

流し込まれてくる精液に悪戦苦闘していると、

メキ!

美冬から何かがひび割れる音が響いた。

「?」

その音に浩二が気がつくのと同時に、

ネトォ…

流れてくる精液の粘性が増し、

さらに臭いがキツくなった。

その時、

メキッ

メキッ

メキメキメキメキ!!!

美冬から異様な音が響き渡ると、

「!!っ」

グリン!!

口づけをしていた美冬の顔がいきなり真上を向き、

ボゴッ!!

何かが砕ける音が響き渡ると、

それと同時に

ブッ!!

美冬の口から何かが噴き上がりバラバラと降ってきた。

それは彼女の歯であった。

「これは…」

顔に当たった歯を手に取り浩二は驚いていると、

ゴボゴボゴボゴボゴボ!!

目をまん丸に剥きいた美冬は

口から盛んに精液の泡を噴き上げ、

そして、

ミリミリミリ…

その開いた口がまるでゴムのように伸びてゆくと、

ニュッ!

ムリムリムリ!!!

口を押し広げピンク色の肉塊が美冬の中から飛び出してきた。

「こっこれは…」

あまりにも見慣れたその固まりの姿に浩二は声を失うが、

ムリムリ…

肉塊は浩二にお構いなく伸び、

その一方で美冬の顔は大きく引き延ばされてゆく、

そして、肉塊がある程度まで伸びたところで、

グニュン!!!

美冬の顔は一気に裏返り、

肉塊の下に縦に巻き付いてしまった。

「剥けた…」

その光景に浩二は思わずそう呟くが、

その言葉に偽りはなく、

まさに美冬は剥けてしまったのでった。

ピュッ

ピュッ!

剥けた実冬の新しい口なのだろうか、

真上に向かって開く穴より美冬は精液を飛ばし続けていると、

ムリッ!

今度は臀部が膨らみ始めた。

ムリッ

ムリムリムリ!!!

スカートが覆う美冬の臀部が左右別々に膨らみ、

やがて、そのスカートを押し上げながら出てきたのは

男の股間には必ず下がっている袋、

陰嚢が美冬の後ろから飛び出てくると、

ゆっくりと下がっていった。

「うっ

 うっ
 
 うわぁぁぁ!!!」

変化してゆく美冬の姿に浩二は悲鳴を上げるが、

美冬もまた、顔の変化と臀部が変化した上に、

身体を支える骨格が消え失せていく、

プルンプルン!

身体を左右に揺らしながら、

美冬の身体の中を海綿体が成長してゆくと、

バスト・ウェスト・ヒップの3サイズがどれも均等になり、

また、

ズルズルズル…

力を失った美冬の手足も萎縮しはじめ、

ついに身体の中へと吸収消滅してしまった。

どんっ!

「うわっっ」

本物のペニスと同様、

勃起と収縮することしか出来なくなってしまった美冬は

浩二の腕に抱き支えられるが、

しかし、

「うわぁぁぁ!!!」

女の服をまとう巨大なペニスとなってしまった彼女の姿を見て、

浩二は悲鳴を上げ突き飛ばしてしまった。

ドン!!

ボンボン…

人として姿と骨格を失った美冬の身体は

地面に叩きつけられても弾み、

路面上を転がっていく、

「はぁはぁ

 なんなんだよ、これ…

 まっマジでチンポになっちまったのかよ」

青い顔をしながら浩二は呟いていると、

「沢渡さん!!!」

再び浩二の名前が呼ばれ、

美夏が走り寄ってきた。

「日比野…」

藤色のワンピースに白いカーテガン姿の美夏は浩二の元に寄ると、

「どうしたの?

 顔色悪いけど?」

と理由を尋ねる。

すると、

「どうしたこもうしたもあるか!」

怒った口調で浩二は怒鳴ると、

無言で下に転がるペニスを指さした。

「え?

 うわっ
 
 なにこれぇ!」

それを見た途端、美夏は驚きの声を上げると、

「これ…

 佐野さんだったんだよ」

と浩二は美夏に説明をした。

すると、

「あら…美冬ったら、

 こんな姿になって…」

そう言いながら美夏はペニスの横に腰を下ろすと、

そっと、そのカリ首を撫る。

すると、

ビクン!!

ペニスが反応をすると、

ムクムクムクムク!!!!

見る間に大きくなり、

そして瞬く間に固くなってしまった。

「あはは…

 なにこれぇ」

勃起してしまったペニスの様子に美夏は笑い転げると、

「おっおいっ

 何笑って居るんだよ、

 佐野さんがこんな姿になってしまったんだよ、
 
 笑う奴があるか」

と笑う美夏を窘めるが、

「だぁてぇ、

 あの佐野さんがオチンチンになっただなんて…

 あははは…」

そんな浩二を尻目に美夏は笑い転げる。

すると、

「あぁもぅ!

 とにかく医者に…」

そんな美夏に見切りを付け、

浩二が怒鳴りながら、

ムクムク…

ムクムク…

勃起と萎縮を繰り返す美冬を抱き起こそうとしたとき、

「待って」

真顔の美夏が止めた。

「なっなんだよ」

突然真顔になった美夏に浩二は戸惑うと、

「彼女のことはあたしに任せて」

と美夏は言う。

「え?

 任せてって…

 どうするんだよ」

「うふっ

 あたしの知り合いに彼女を預けるわ」

「預ける?」

「えぇ…

 こういう事は専門の人がいるのよ」

戸惑う浩二に美夏はそう返事をすると、

チャッ…

携帯を開き、

「あぁ…ボブ?

 ちょっといま手が空いている?」

と携帯に向かって話しかけた。

そして、それから待つこと20分ほどで、

「ミカぁぁ!!」

一人の外国人青年が美夏の名前を呼びながら姿を見せると、

「ボブ、こっち!!」

美夏は手を振り彼を呼び寄せた。

そして、道路上に転がるペニスを見るのと同時に目を輝かせれると、

「ボブ、

 こういうのってイケる口でしょう?

 任せるわ」

と美夏は彼に告げた。

すると、

「オゥ!!」

ボブは喜びながらペニスを担ぎ上げると、

「サンキュー!」

と一言言い残して立ち去って行ってしまった。



「だっ大丈夫かな?」

連れ去られた美冬のことを浩二は心配すると、

「大丈夫よ、

 彼、こういう事のエキスパートだから」

と美夏は答え、

「ねぇ、

 それよりも、

 今夜、予定が空いているんでしょう?
 
 あたし、お腹すいちゃった」

と美夏は甘えるような台詞を言いながら、

浩二にすり寄っていった。



『…どうしたのかな…

 浩二さん…』

ペニスとしての触覚以外、

全ての感覚を失ってしまった美冬は

浩二から受けるであろうホモセクシャル的な愛撫を

ひたすら待ち続けていた。

『そう言えばさっき、

 あたしの身体触っていたわよね、

 どんな風に見ていたのかしら…

 興奮してくれたかな…
 
 そのあと、どこかに運んだ感触もしたし、
 
 それにいま…
 
 ベッドの上に居るみたい…
 
 あぁ…早く抱いてほしい…

 あっいやだ、そんなこと考えてしまうだなんて、

 でも、やっぱり、

 口にキスをするのかな…

 オチンチンを抱くって

 浩二さんから見るとどんな感じなのかな…

 お尻から来るのかな…
 
 ううん、
 
 あたし決めたんだもん、
 
 オチンチンになって浩二さんに愛されたいって…』

全く何も見えない世界で美冬は独り言を言う。

すると、

サワッ…

美冬の胴体を手らしきものが振れると、

『キャッ!』

美冬は響かない悲鳴を上げ、

身をすくめた。

すると、美冬の身体は瞬く間に硬くなり、

ズズズズズ!!!!

その大きさを伸ばし始める。

『あっあっあっ、

 首が…
 
 首が感じちゃう!!』

カリ首がシーツらしきものと擦れる快感に美冬は感じてしまうと、

ドロ…

噛むことを失った口から先走りが漏れ始めた。

『いやっ

 感じちゃう…
 
 あっまた触って来た…
 
 あっあっ
 
 あんっ
 
 いやっ
 
 持ち上がっていく、
 
 あぁ抱かれているわ…
 
 あたし抱かれているわ…
 
 浩二さん…
 
 もっと、
 
 もっと、強く抱きしめて、
 
 オチンチンになったあたしを愛して…』

盛んに先走りを流しながら美冬はその身体を相手に委ねるが、

しかし、美冬が浩二だと思っていた相手は、

「オゥ!

 グッド!!
 
 グッド!!」

と声を上げながら己の棍棒のようなペニスを勃起させた外国人青年で

目の前の巨大ペニスをゆっくりと持ち上げると

垂れ下がる陰嚢の根元に付いている二つの口のうち、

窄んだ菊門にその先を押し当て始めた。



メリッ!!

『!!っ

 あぁっ、
 
 そこはお尻…
 
 前で、
 
 お願い、前にして!!』

肛門を押し広げられてゆく感覚に美冬はそう懇願するが、

しかし、その声は無論届くことなく

メリメリメリメリ!!!

『あっあぁぁぁ!!!』

美冬の肛門は無惨に犯されると、

ビクッ!

ブシュッ!!

美冬は上の口より精液を思いっきり噴き上げてしまった。



…美冬…

 幸せになってね。
 
 あたしは、浩二さんと幸せになるから…




おわり